「X-ファイル」のデヴィッド・ドゥカヴニー主演最新作!
全米を震撼させた無差別殺人事件。
悪名高きチャールズ・マンソンとその真相に迫る刑事、そして60年代のアメリカを鮮やかに描く衝撃作!
「Age of Aquarius(水瓶座の時代)」と呼ばれたアメリカの“ニューエイジ”1960~1970年代。泥沼化していくベトナム戦争に苦しむアメリカで若者を中心に、愛と平和と自由を人生哲学にしたヒッピー・ムーブメントが盛り上がっていた。精神的な自由を求め既存の体制や価値観から解放され、真に人間的な生き方を模索していた時代。そんな時代の波に乗って現れたのが、犯罪カルト集団に君臨したチャールズ・マンソンだった。
「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」は、2015年5月28日より全米ネットワークテレビ局のNBCにて放送をスタート。舞台は1967年のロサンゼルス。市警察の刑事サム・ホディアックを主人公に、後に女優のシャロン・テートをはじめとする罪のない人々を無差別に惨殺したことで世界を震え上がらせたマンソン・ファミリーの台頭やブラックパンサー党による黒人解放闘争など、実際に起きた事件を架空のキャラクターを交えながら描く話題作である。
シーズン2では、1969年8月9日に実際に起きたシャロン・テート事件を主軸とし、当時の時代背景や実在した人物たちを物語に交えながら、サム、そしてマンソン・ファミリーにまつわる出来事を中心に描かれている。
主人公のサム・ホディアックを演じるのは、TV「X-ファイル」のフォックス・モルダーFBI捜査官役で知られるデヴィッド・ドゥカヴニー。60年代のアメリカを鮮やかに描いている点で本作に魅かれたというドゥカヴニーは、製作総指揮にも名を連ねている。対する悪名高きチャールズ・マンソンには、「ゲーム・オブ・スローンズ」のレンリー・バラシオン役で注目されたイギリス人俳優、ゲシン・アンソニー。ソフトな物腰の中に凶暴性を潜め、そのカリスマ性で狂信者たちを操ったマンソンを好演している。
本作の企画を手がけたのは、TV「新スーパーマン」、「ファストレーン」、「新・第一容疑者」などのエグゼクティヴ・プロデューサーのジョン・マクナマラ。主演ドゥカヴニーらと共に製作総指揮も務めている。
シーズン2では、いよいよマンソン・ファミリーが、その本性を露わにして、マンソンが提唱する人種闘争、ヘルター・スケルター遂行の準備を進めていく。1968年には、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが暗殺され、ロバート・ケネディ上院議員も銃弾に倒れる。本作は、“水瓶座の時代”を迎えて大きく変わっていくアメリカをマンソン・ファミリーという時代が生んだモンスターに投影させながら描き、クライマックスを迎える必見のドラマになっている。
近年、実際に起きた事件を基にした映画やTVドラマが話題になることが多く、「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」は1960年代の終わりにカルト集団を率いたチャールズ・マンソンとその“ファミリー”を題材としている。
マンソンは白人と黒人の最終戦争、ハルマゲドンを「ヘルター・スケルター」と呼び、砂漠に疑似生活共同体“ファミリー”で隠れ住むよう信者に説いていた。やがて1969年に彼の信者である“マンソン・ファミリー”はロマン・ポランスキー監督の妻(当時)で女優シャロン・テートを含む7名を惨殺。1971年にマンソンは、自分の信者たちを教唆して殺害させたとして、殺人・共謀罪のかどで死刑判決を受ける。しかし1972年にカリフォルニア州が一時的に死刑を廃止したために終身刑に減刑され、現在もカリフォルニア州立コーコラン刑務所で受刑中である。事件から45年以上経った今でもマンソンの崇拝者は後を絶たず、2014年11月には80歳のマンソンと26歳の女性が婚約したニュースが報道され話題になった。また、2015年6月に1969年の事件を担当した検事が癌で逝去した際にもマンソン・ファミリーのメンバーたちのその後についての記事が地元紙ロサンゼルス・タイムズに掲載されるなど、マンソンの悪名高き伝説は今も生き続けている。
なお本作ではマンソンのほか、シャロン・テート殺害の実行犯であるセディことスーザン・アトキンスやパティ・クレンウィンケル、チャールズ・“テックス”・ワトソン、さらにマザー・メアリーことメアリー・ブルンナーといったマンソンの崇拝者たちや、ブラックパンサー党の党員だったバンチー・カーター、ザ・ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンといった実在の人物も登場する。
本作のタイトルの「AQUARIUS」は、60年代から70年代にかけてのいわゆるニューエイジのアメリカが「アクエリアス(水瓶座)の時代」と呼ばれたことに由来している。悪夢のようなベトナム戦争がアメリカの強さに翳りをもたらす中で、愛と平和と自由を謳うヒッピー文化が生まれ、50年代から60年代にかけてのアフリカ系アメリカ人公民権運動の流れを引き継ぎながら共産主義の影響を受けたブラックパンサー党が自衛闘争を繰り広げた一方で、「秩序の回復」を掲げたニクソン大統領が政権を取るという、アメリカの1つの転機となった時代。「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」は、そんな「アクエリアスの時代」のアメリカを、第二次大戦に従軍した経験を持ち、ニューエイジの価値観になじめない主人公サム・ホディアックの視点を通して鮮やかに描いている。
過去の時代を描くTVドラマで衣装や舞台装置に続いて重要な役割を果たすのは、当時の音楽だろう。「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」も例外ではなく、ザ・フーやバーズ、ローリング・ストーンズやモンキーズなど、60年代後半から70年代にかけてアメリカで活躍したバンドの代表的なヒット曲がふんだんに使われており、団塊の世代にはもちろん、往年のポップミュージックのファンにも大きな魅力となっている。また各話のエピソードタイトルは、バーズ、ボブ・ディランら60年代のヒット曲や、チャールズ・マンソン本人が手がけた楽曲のソング・タイトルから引用されている。
本作の主役、刑事サム・ホディアックを演じているデヴィッド・ドゥカヴニーは、7シーズン続いたTVシリーズ「カリフォルニケーション」に続き、本作でも製作総指揮を務めている。主演するだけにはとどまらず、製作サイドにも関与したいと思わせたのは、本作がチャールズ・マンソンを通してアメリカの60年代を描いているからだと、ドゥカヴニーは次のようにコメントしている。
「60年代というのはアメリカ、そして世界にとって、常に回帰する時代であり、マンソンはそういった60年代を象徴する人物だ。60年代には左派のマクガヴァン(民主党の大統領候補)がいてヒッピー運動があり、右派にはニクソンがいて、マンソンはその真ん中に位置するような存在だった。マンソンはヒッピーのようなふりをしていたけれど、中身はファシストであり殺人者だった。ホディアックはそういった時代に乗り切れない世代で、ちょうど僕の父ぐらいの年代であり、これまで演じたことがなかったキャラクターですごく興味深い経験だった。それに、本作の製作総指揮を務めて驚かされたのは、『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』のような革新的なドラマがNBCという地上波ネットワーク局で放映できるようになったということだ。このドラマはHBOかFXあたりで放映されそうな内容だ。地上波局もケーブル局に対抗するには、こういうドラマを放映しなくては、と考えたNBCは本当に賢いと思うよ。」
「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」の製作・放映局NBCは、アメリカでのTV放映を開始した翌日に、全13話を一気にNBCのウェブサイトNBC.comとモバイルアプリケーション、及び動画配信サイトのHuluで配信するという前代未聞の公開のかたちを取り、大きな話題になった。アメリカではケーブルボックス付属のデジタルレコーダー及びオンデマンド・サービスや、インターネットの映画・TV番組配信サービスなどを利用することによって、連続ドラマを一気に見る視聴者が急増したことに着目した公開戦略は大きな成功をおさめ、「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」は、夏季に開始されたTVドラマの中で、公開後最初の24時間にNBC.comで最も多く視聴された番組となった。それにとどまらず、「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」を“一気見” して大いに楽しんだ視聴者たちは、デジタル配信が始まった翌日に早くもシーズン2の放映を続々とリクエスト。NBC側もそれを受けて、シーズン1のテレビ放映が終了するのを待たずしてシーズン2の製作を決定・発表した。
チャールズ・マンソンとマンソン・ファミリーの最も悪名高き犯罪だとされるのが、女優シャロン・テートとスーパー・マーケットの経営者のラビアンカ夫妻の殺人事件だが、今回のシーズン2では、1969年8月9日、テートが友人らと殺された殺人事件が描かれる。当時、映画監督の夫ロマン・ポランスキーとの子供を妊娠していたテートは、マンソン一味に必死で命乞いをするがその甲斐もなく刺殺され死亡。ポランスキー/テート宅に居合わせた友人たちも共に惨殺される。世界を震撼させたこの事件を描くにあたり、本作では、時系列に沿ってストーリーを展開させていく代わりに、殺人当夜とそれに至るまでの過程を交互に見せることによって、サスペンスを盛り上げている。
ロサンゼルス市警察の刑事、サム・ホディアックの目を通して1960年代のアメリカを描く本作だが、今回のシーズン2では、1960年代後半にアメリカで起きた実際の歴史的事件が大きな役割を果たす。その1つは、1968年6月5日にロサンゼルスのアンバサダー・ホテルで起きたロバート・ケネディ上院議員の暗殺事件で、ホディアックは架空の人物であるものの、暗殺現場に居合わせるという設定になっている。もう1つは、ホディアックとは愛憎半ばといった関係を保っているブラックパンサー党のリーダー、バンチー・カーターの暗殺事件。1969年1月17日にUCLAのキャンパス内で起きたこの事件も、事実関係に全く忠実に描かれているわけではないようだが、1960年代の人種問題を象徴する事件としてストーリー展開上、重要な役割を果たしている。人種問題と言えば、テネシー州メンフィスで起きた事件ゆえ、直接描かれることは無いが、アフリカ系アメリカ人公民運動の指導者、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの暗殺事件も、マンソン・ファミリーがテレビ放映を視聴するという形で登場する。キング牧師の暗殺は、マンソンに人種間の戦争を意味するヘルター・スケルターを確信させる根拠の1つになったという点で重要性を持つのである。
マンソンが女性の追従者たちを多く惹きつけた理由の1つに、彼にはそこそこの歌唱力があってギターが弾けたということがあった。作詞作曲もこなせたマンソンは、プロのミュージシャンとしてデビューしたいという野心を持っていたが、シーズン2では、マンソンがビーチボーイズの結成メンバーの1人、デニス・ウィルソンと懇意になり、ファミリーのメンバーたちと共にウィルソンの自宅に住み着くようになる。マンソンとウィルソンがそれぞれギターを抱えて一緒に歌うシーンも出てくるが、現在だったら、プロの人気ミュージシャンが、どこの馬の骨ともわからない人間を自宅に招き入れるなどということはありえないだろう。コミューン・リビングが珍しくなかったヒッピー文化盛んな時代を良く映したシークエンスである。なお、今回のシーズン2には、マンソンがもう1人、意外な人物とギターを抱えながら熱唱するシーンも登場する。
過去の時代を描くTVドラマで衣装や舞台装置に続いて重要な役割を果たすのは、当時の音楽だろう。「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」も例外ではなく、CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)、オーティス・レディング、ロイ・オービソンなど、60年代~70年代のヒット曲がふんだんに使われており、団塊の世代にはもちろん、往年の音楽ファンにも大きな魅力となっている。また各話のエピソード・タイトルには、チャールズ・マンソンに啓示を与えたというビートルズの1968年発売のアルバム、通称「ホワイト・アルバム」に収録されている楽曲がつけられている。
今回のシーズン2では、ホディアックのパートナー、ブライアンと、優秀であるにもかかわらず女性だというだけで半人前に扱われることを不満に感じているシャーメインがそれぞれ直面する問題がより掘り下げられる。おとり捜査の過程でドラッグを打つことを余儀なくされたブライアンは、薬物中毒症状に苦しむが、それと同時に妻のクリスティンがブラックパンサー党の活動に積極的に参加するあまり、白人警官である自分との間に人種的なわだかまりが生まれてしまい、苦悩する。シャーメインにしても、正体がバレたら殺されかねない危険なおとり捜査に貢献しているのに、女性蔑視の姿勢を変えない上司に自分の意思や考え方が通じないことに苛立つばかり。いまだに男女の賃金・地位の格差が縮まらないことに不満を募らせている女性などはシャーメインに共感を覚えずにはいられないだろう。
原題 | アクエリアス 刑事サム・ホディアック AQUARIUS |
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データ | 2015~2016年/アメリカ/二カ国語&字幕/60分/HD作品 |
製作総指揮 | ジョン・マクナマラ、デヴィッド・ドゥカヴニー |
出演 |
デヴィッド・ドゥカヴニー グレイ・デイモン ゲシン・アンソニー エマ・デュモン クレア・ホルト ミカエラ・マクマナス ブライアン・F・オバーン |
あらすじ | |
企画・原案 | ジョン・マクナマラ |
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