「ニューヨーク一の富豪一家の弁護士だった父が、ある日突然、飛行機事故で死んだ。
父が俺に残したものは二つ。ブリーフケースと最大の依頼人、ダーリング家。
帝国を築き上げたトリップ。気品あふれる貴婦人レティシア。高潔な政治家パトリック。離婚に関してはプロのカレン。神に仕えるブライアン。お行儀のいい双子ジェレミーとジュリエット。
彼らの仕事はしないと決めていたが、今は違う。
このうちの誰かが父を殺したかもしれない・・・。」
ニューヨークの高級住宅街アッパー・イースト・サイドの中でも群を抜いてリッチなダーリング家の顧問弁護士ダッチ・ジョージが飛行機事故で急死した。ダーリング一族のために自分の家族のことはないがしろにして働いていた父親によって家庭は崩壊し、決して幸せとは言えない少年時代をおくった息子のニックは、ダーリング家に反発するかのように恵まれない人々を助ける理想主義的な弁護士になっていた。
父の死によってやっとダーリング家とのつながりが切れると思ったのも束の間、家長のトリップ・ダーリングから呼び出され、父の後を継いで一家の顧問弁護士になるよう要請される。一度はきっぱりと断ったニックだったが、法外な額の給与に加え、自分が援助しているチャリティへの多額な寄付金までオファーされ、遂に引き受けることに。
しかし、ダーリング一族の世話は思いの他、重労働だった。長男のパトリックは上院選に立候補する身だというのに男から女に性転換した愛人となかなか別れられなくて悶々としているし、長女のカレンは4度目の結婚を目前に控えているのにかつて恋人だったニックへの思いを諦めきれていない様子。司祭の次男ブライアンはニックのことを子供の時から憎んでいるが、隠し子が居ることを知らされて嫌々ながらニックに助けを求める。三男で双子のひとり、ジェレミーは無職でブラブラしているクセにすぐにトラブルに巻き込まれ、博打で勝ち取ったヨットが不法入国者のものだと判り、逮捕されたとニックに泣きついてくる。もう一人の双子で次女のジュリエットは、女優志望だが、実力で勝ち取ったと思っていた役は実は父が金の力を使って買収したものだと知り、自殺未遂騒ぎを起こす始末。 皆が皆、問題児ばかりなのだ。
父ダッチは事故死ではなく誰かに殺されたのではないかとの思いから、ダーリング家の顧問弁護士としての激務をこなしながらダッチの死の調査をしていたニックは、トリップやブライアンを疑った末、億万長者サイモン・エルダーという存在にたどり着く。サイモンは自分の両親の死に関してトリップを恨んでおり、ニックやパトリックを取り込んでトリップに復讐を果たそうとしているように見えたが、実際には彼の両親の死にダッチも大きく関与していたのだった。そのことを知ったサイモンがダッチを謀殺したのだろうか?しかしもちろん証拠は無い……。
サイモンの登場で、ダーリング家の家族関係は大きく揺らぎ始める。トリップはパトリックを取り込み利用しようとするサイモンに対し憎悪の炎を燃やすが、パトリックはトリップに愛人カルメリータと強引に別れさせられそうになったことに激怒し、父子の関係は修復不可能に。また、トリップは自分の娘であるカレンをサイモンに近づける計画を企てるが、当のカレンの気持ちは…。そんな中、ニックにある事実が伝えられる。ブライアンはトリップではなくダッチとレティシアの間の子であり、ニックの異母弟であるというのだ。ニックは同じくその事実を知らなかったブライアンと共に衝撃を受ける。
ダッチの死の真相を知ろうとしてあらゆる人間に振り回され、さらにニックがあれほど忌避していた父ダッチの生き方に次第に近づいてきたことに、ニックの妻リサが悲しみと憤りを募らせていくなど、ダーリング家のみならずジョージ家も波乱に満ちた生活に巻き込まれていく……。果たしてダーリング家、ジョージ家それぞれの運命は?ニックの父ダッチ、彼の死に関する疑惑は解けるのだろうか?