2017年12月に「ブラックリスト シーズン5」のPRのため2度目の来日を果たしたトム・キーン役のライアン・エッゴールド。主演のスピンオフ「ブラックリスト リデンプション」を成功させた彼は、役者としてさらに一回り大きくなって再び日本ファンの前に戻って来てくれた。ただ前回の来日時と変わらないのは、その柔らかな物腰と謙虚な態度、飾らない魅力。そして、彼は今回も時にユーモアを交えながら真摯にインタビューに答えてくれた。実は最新シーズンはトム・キーンにとってこれまで以上に重要なシーズンであるとのこと。彼が語るシーズン5の見どころ、作品に込める想いとは?
今回はおかげさまで前回より早く時差に慣れることができました。週末は渋谷に行ってレコードショップを回ってたくさんレコードを買いこみました。それから昨日は富士山の河口湖に行って温泉旅館に泊まって、リラックスした落ち着いた時間を過ごすことができました。すでにまた日本に来たいという気持ちになっています。
日本で「ブラックリスト リデンプション」が放送されていることをとてもうれしく思っています。「ブラックリスト リデンプション」の撮影はとても楽しいものでした。「ブラックリスト」に比べるとお楽しみやユーモア、気軽に楽しめる部分が多いかもしれません。分割画面を駆使しているのも見ていて楽しいですし、ソロモン役のエディ(・ガテギ)との調子のいいやり取りも面白いと思います。「ブラックリスト」よりさらにテンポが速くてエネルギーのある作品なので、ぜひそこを楽しんでほしいですね。
「ブラックリスト」では脇役でしたが、「ブラックリスト リデンプション」では主役という大きく違う立場だったので、出演シーンが多くほとんど毎日、一日中撮影に臨まなければいけませんでした。これは骨の折れる経験ではありましたが、一方でモチベーションは高まりました。作品に対する思い入れも強くなりますし、自分がリーダーとなってチームをまとめていかなければいけないという気持ちを強く持ったからです。自分がこのドラマの原動力となってストーリーを牽引しなければならない、自分がアンカーとなって共演者のみんなをリードしていかなければならないことは、責任を感じると同時にチャレンジでもありました。
ご存知のとおり「ブラックリスト リデンプション」の撮影のため僕はシーズン4の後半にはほとんど出演していません。トムはシーズン4の最終話でミスター・キャプランから託された人骨の入ったスーツケースを受け取るシーンで「ブラックリスト」にカムバックします。そして、シーズン5の第1話で久しぶりにエリザベスと再会します。実際、僕自身もシーズン5の撮影でメーガン(・ブーン)と数ヶ月ぶりに再会を果たすことができて、劇中のトムと同じようにうれしい再会の気持ちを味わいました。また、前シーズンでレディントンがエリザベスの父親、つまりトムの義理の父親であることがわかったので、3人の関係が新しい局面を迎えるシーズンになるという期待がありました。
ミスター・キャプランがスーツケースをトムに託したのは、トムがレディントンから距離を置いて彼を決して信頼してはいないから、また、ミスター・キャプランがトムのことを信用していたからだと思います。かつてエリザベスの死を偽装した際にトムとミスター・キャプランは協力し合い、そこで2人の関係は近づきました。さらに、トムがエリザベスのためだったらどんなことでも命を懸けてやるということを、ミスター・キャプランはわかっていたのでしょう。
そもそも2人の関係は複雑ですよね。当初はレディントンがエリザベスの警護に当たらせるというシンプルな仕事のためにトムを雇ったはずでした。ところが、トムはエリザベスに本当に恋をしてしまいました。ある意味、レディントンとトムは対局に位置しているのだと思います。まるでエリザベスの両肩に2人がそれぞれにいるような形です。そんな2人が義理の親子関係になってしまって、互いに仲良くなるために努力する姿が描かれていくことになります。シーズン5ではそんな2人の関係をよく表す僕のお気に入りのシーンもありますよ。
エリザベスは自分の父親がレディントンだったという事実を受け入れるために努力することになります。レディントンは犯罪者で支配的で人を平気で傷つけたり操ったりする暴力的な人物ですが、エリザベスを深く愛していて、それを自分の弱みとして心の奥深くに隠しています。大人になってからそういった人物が自分の父親だと知った場合、どういうふうに対応したらよいか、誰にとっても難しいことだと思いますが、エリザベスは努力して父親を愛そうとするわけです。一方、トムとエリザベスは久しぶりの再会を喜び、地に足をつけて仕事に打ち込むためにもお互いが必要な存在だということを再認識します。2人は子供がいるひとつの家族でもあり、トムはカオスに満ちた世界にいながらもこの家族が普通の平和な生活を送れるのではないかとどこか楽観的に考えています。また、トムとエリザベスはこれまで何回もじゃまが入ってなかなか正式には結婚できていませんでしたが、シーズン5ではそのことについても描かれることになります。
5年も一緒に仕事してきたので、もう家族のような存在ですね。メイクやカメラのスタッフに親しい友達もできました。このチームの一員となれたことを誇りに思っていますし、名誉なことだと思っています。真面目にシリアスなシーンに取り組むときもあれば、共演者同士でジョークを飛ばしながら楽しいシーンを撮影するときもあり、日によっていろいろな体験ができる現場ですね。
いい質問をありがとうございます。いつもは何が変わったかを聞かれることが多いので、この質問はうれしいですね。トムを演じるにあたって最大のチャレンジは、いったい彼は何者かということを見極めることでした。彼は別人になりすますためにいろんな“仮面”をかぶるわけですが、本当の彼はいったい何なのかということを見つけたいと思っていました。僕自身が考えるトムの唯一変わらないところは、彼が家族を持ちたいと渇望していることです。彼は家族を持つことによって人並みの人間になれると感じているのではないでしょうか。以前の彼は人を操ったり戦ったりするスパイとしての仕事のことだけを考えて、私生活というものがありませんでしたが、誰かと心から通じ合いたい、結ばれたいという気持ちがシーズンを追うごとに強くなっていき、シーズン5では自分の愛する家族、エリザベスとアグネスのためにはどんなことでもやり抜く覚悟ができていると思います。
いくつかありますね。ひとつはマイケル・ワトキンスが監督したエピソードを撮影しているときのことです。トムが道を歩きながら携帯でエリザベスと電話しているというシーンで、台本になかったのにいきなり死体が頭の上から降ってきたんですよ!ニセモノの死体でしたけど(笑)。夜遅くてみんな疲れていて、笑いがほしかったんでしょうね。それは僕を驚かせるドッキリだったんです。すごく驚いている僕を見てみんな大笑いしていました。それから、シーズン1が放送されている頃にニューヨークのレストランで、仕事ではなくプライベートでメーガンとディナーを食べていたときのことです。僕たちは歩道から見えるテラス席に座っていたのですが、ある高齢の女性が僕たちを見つけるといきなり歩み寄ってきて僕の腕をつかみ、「彼女を傷つけたら承知しないわ!」ってお説教を始めたんですよ(笑)!その頃の放送エピソードではトムがなぜエリザベスと一緒にいるかまだ明らかにされていなかったんですね。この出来事はすごく印象に残っています。
初挑戦でしたが自分にとってとてもいい経験となりました。考えるべきことを考えて、やるべきことをきちんとやるということを学びましたし、ひとつの作品を初めから終わりまで自分で手がけて完成させることは有意義な経験でした。スキルを上げるためには継続が必要だと思っていますし、実は今もう次の脚本を書き始めています。ぜひこれからも続けていきたいですし、いつかは監督・脚本に加えて主演もやってみたいですね。同時にこなすことが僕にできるかどうか、難しいとは思いますがチャレンジしてみたいと思っています。
監督業は始めたばかりで、俳優業はすでに10年やってきています。監督業のほうがこれから学ばなければならないことがたくさんあると思いますが、ひとつのチャレンジとして追求していきたいという気持ちを強く持っています。どちらの仕事も物語を伝えたいという気持ちが根本にあると思いますが、監督や脚本は自分の伝えたい物語を一から作りあげて伝えたいように伝えられることが楽しいです。俳優は物語を伝えるためのパズルの一点、ツールとしているわけなので、「ブラックリスト」のように僕もその物語を伝えたいと強く思えるような作品に出会いたいですね。
日本のみなさん、こんにちは。また日本に来られて大変うれしく思っています。2度目の来日をとても楽しんでいます。本当にすばらしい国でいろんなことを体験したいと思っています。それを全部体験するためにこれから何度でも日本に来たいと思っています。
そうです、同じコートです。第1話では私物のピーコートでしたが、同じようなコートを番組が購入してくれたので、その後はそれを着ていました。キャラクターにマッチしているなと思ったときはときどき私服を着用するんです。「ブラックリスト」のシーズン1で着ているコーデュロイのコートも私服でした。すばらしい観察眼ですね(笑)。
去る12月に「ブラックリスト シーズン4」のPRのために、ハロルド・クーパー役のハリー・レニックスとアラム・モジタバイ役のアミール・アリソンが揃って来日した。今回が2度目の来日となるレニックスは、穏やかな物腰や語り口の中にも、長いキャリアを通じて自身の演技に対する哲学を持ち、明確に理論を語るなど圧倒的な知性とともに謙虚さも際立つ、まさに”人格者”と呼ぶにふさわしい人柄が垣間見えた。同時に、声を立てて大らかに笑うようすには親しみやすさも。一方のアリソンは、初来日であると同時に、このようなプレスツアーも初めての経験とあって、張り切る姿も微笑ましく好感度満点。俳優という仕事、また本作のことをいかに愛しているかが伝わるような、あふれるばかりの情熱をもって語ってくれた。
いいえ、今回が2度目です。前回もとても楽しみました。前回は親しい友人のジュリー・テイモアが演出していたミュージカルの舞台「ライオン・キング」のオープニングのために来日しました。現在もブロードウェイで上演中の人気の演目ですね。
寝ることです(笑)。昨日の午後3時に到着して、今朝も朝早くから仕事をしているので、まだ街を見て回る時間がないのですよ。明日と明後日で見たいですね。できたら、京都へ日帰りで行きたいなと思っています。前回は東京を出ることができなかったので。もちろん、東京は1年間かけても見飽きないほどエキサイティングな街だと思いますが。
おっしゃる通り、シーズン1から随分経ちました。まるで違う人生のようです。それはクーパーだけでなく全てのキャラクターに言えることですね。ひとつのエピソードで本当にたくさんのことが起きるドラマで、これまで88エピソードを撮影しているわけですから。シーズン2の終わりで、クーパーは奇病によって自分は死なないことが分かったのですが、それはまるで彼にとって人生のセカンドチャンスを得たようなものでした。さらにクーパーの妻の不倫も発覚したので、シーズン4ではもう、彼らは一緒には住んでいないでしょう。そのため、彼はさらに仕事に打ち込むようになり、犯罪者の検挙、そしてエリザベス・キーンが自分のアイデンティティーを知り、ミッションに打ち込めるように彼女を支えるのです。また、クーパーはレディントンへの対応がよりフランクになり、自分の感情や考えを率直に伝えられるようになります。
私は、クーパーは自分のことを、世界に大惨事起きるのを阻止できる最後の防波堤のように思っていると解釈しています。それ以上に重要な仕事はないと、彼は考えている。その点において、まさにクーパーは肉体的にも精神的にもセカンドライフを得たと思っているというわけです。
登場人物の中では、レディントンとクーパーが一番長い付き合いです。パイロット版では2人が80年代からの知り合いだということが語られている。2人とも軍隊に入っていて、お互いの事は知っていたのですが、私は決して、お互いを好きではなかったと思っています。少なくとも昔はそうだった。ところが、政治的な状況から一緒に仕事をするようになって、もう長い間一緒なので、よそよそしかった関係が今では友好的になっていると思います。長い期間一緒に過ごすというのは、そういうことでしょう。より個人的な関係に進展したと思います。
エリザベス・キーン本人も結婚式でクーパーのことを父親のような存在だと言っていますが、私も実際にそうだと思います。彼も彼女のことを娘のように思っている。さきほどレディントンについて述べましたが、物語が展開していくうちに、クーパーにとってはレディントンよりリズの方が、より重要な存在になりつつある。彼女は自分がどれだけパワフルなのか気が付いていませんが、周りは全員気付いているようです。そこがこのドラマの最も大きな魅力的でもあると思いますね。
チーム全体に対するクーパーの役割もリズに対するものと同じく、一家の父親だと思います。ただし、クーパーのような男にとって、仕事は個人的な感情よりも優先されます。実際、秩序を守り効率性を保つために、彼は周りの人間と感情的な関係を持つことを絶対にしないでしょう。少なくとも表向きは任務第一で、感情的な部分は出しません。誰もがエリザベスは死んだと思った時でさえもです。彼にとっての神聖な責任感を破るのを見られるのは、葬式でのシーンが限界でしょうね。
とても良い質問ですね。実は近年、私は演じることに対して、ひとつのセオリーを持っています。演技をひとつの科学に進化させているのですよ。クーパーに関して言うと、私の演技の持論に「俳優というものは、自分の中に役柄との共通点を見つけることによって1番良い仕事ができる」というものがあります。その意味において、俳優が最高の仕事ができる役柄というのは、本当に2~3ぐらいしかしかないと思っている。私自身、これまで30年間演技力に磨きをかけてきて、クーパーという役柄を得て初めて、自分自身との共通点をベースに役を演じる自信が持てるようになりました。
同時に、長く続くテレビドラマに出演する俳優にとって人間関係はとても重要になってくる。キャストやスタッフやプロデューサー達との良い関係は、良い番組を作るためには非常に重要です。ですから、あなたが感じている要素は私が役柄に、より現実感を与えるために私が意図的に投影しているものなのです。
私たちは約9ヶ月半、実際には10ヵ月撮影に入っています。現場の雰囲気と言うのはやはり主役の役者によって決まるものでなんですね。この場合はもちろんジェームズ・スペイダーです。彼の高いプロフェッショナリズム、仕事への真面目な姿勢、同時に仕事を楽しんでもいる。そう、我々はみんな、これだけ長く人気を誇っているテレビドラマに出演する事は素晴らしい幸運だと考えて、仕事を楽しんでいます。
ヒッチコックの初期の作品『海外特派員』(1940年)という作品に、ハーバート・マーシャルという素晴らしい俳優が出演しています。私はハーバートが大好きで、俳優として強くインスパイアされています。マーシャルは第一次世界大戦で負傷して義足をつけるようになったのですが、優れた技量の持ち主で、その障害を克服し、自分の役の一部としたのです。彼を見ていると障害に全く気づかないのですが、でも隠してもいないんですね。クーパーも全く同じだと思います。特に、シーズン2の最後で彼は病気を宣告されますが、彼はその大きな障害を克服します。彼のそういった内面の強さを演じるためにハーバート・マーシャルをお手本にしました。
シーズン1第4話のシチューメーカーですね。彼が最も魅力的です。彼の場合、情報がほとんどなく目的も分かりませんでした。とてもねじれた不気味な男だということしか分からず、それが人々を不安にさせるのです。私はこれまでの中では一番、彼が印象に残っています。
日本に来るのは初めてで、とても嬉しいです!
はい。2日前に父と来日しました。父は42年前に医学部にいた頃、交換留学生で日本に来て大好きになったんですよ。それで再び僕と日本に来たんです。昨日は浅草に行きました。浅草のお寺、なんだったかな、そう浅草寺にも行きましたよ。素晴らしかったです。街もとても素敵で楽しみました。
10年前に二人でインディ500(アメリカンモータースポーツのイベント)に行きましたが、父は外科医でとても忙しいので、なかなか一緒に旅行することができません。だからこんな風に一緒に旅行ができるのは、とても特別なことなんです。
当初、僕の役はとても小さな脇役で1話しか雇われていませんでした。シーズン4まで出演するなんて考えてもいませんでした。僕のこれまでのキャリアと人生において、最も素晴らしい出来事のひとつです。
実は彼には別の名前がついていて、脚本に書かれていたオリジナルの名前はモーガン・ハケットでした。彼についての説明は唯一、「モーガン・ハケットはガジェット(機器)を自分のゴーティ(あごひげ)よりも愛している」というものでした。僕はちょうどその前にHBOの「GRILS/ガールズ」に出演していてひげをはやしていたので、その説明をもらってひげを剃らずにいたんです。そして、「ガジェット(機器)を自分のゴーティ(あごひげ)よりも愛している」というのを、仕事熱心で、自分の仕事が大好きな人物だと解釈しました。僕も演じることが大好きで、自分の仕事が大好きなので、それはとても共感しやすいことだった。僕たちはぴったりだったわけです。それが出発点で、そこからどんどん広がっていきました。
僕の最初のエピソード、シーズン1第3話の監督マイケル・ワトキンスが、後に番組のプロデューサーにもなりました。彼には大変お世話になったのですが、マイケルは僕に役柄を自分なりにアレンジすることを勧めてくれたんです。さらに、彼は僕の以前の仕事を見てくれていて、他のプロデューサーに僕がとても良い俳優だからもっと使うべきだと進言してくれたのです。また、少し即興もするように勧めてくれました。これはネットワークのドラマでは極めて珍しいことです。僕にとっては願ってもないことでした。それで最初の出演シーンの最後に、レスラーとシーズン1に出ていたマリクに僕がある人物の居場所を聞かれて答えると、彼らは何も言わずに出て行ってしまう場面があって。僕はまだカメラが回っていることに気がついて、いつでもカットできることを知っていたので、即興で役になりきって冗談半分で、僕に何も言わずに出て行った2人に代わって「ありがとうアラム」「どういたしまして」と独り言を言ったのです(笑)。僕が笑い出してもまだカメラが回っていたので、コンピュータにその場所の位置を入れて「奴らを捕まえろ」とタイプしました。で、オンエアを見ると、それが全部使われていたのです! 忘れもしません。僕は姉と見ていて「こんな事はネットワークのドラマでは考えられないんだよ」と言いました。その後、知ったことですが、脚本家たちがそれをとても気に入り、この1行のセリフから僕の役柄を当初の予定より大きくしてくれたのです。ユーモアが加わった役柄は僕にぴったりで、本当に夢が叶いました。
初めての脚本をもらったときに、僕はセリフを確認するために「モーガン・ハケット」の名前を一生懸命探したのだけれど、全く出てこなかったのでどうしたのかなと。ちょうどウージン(シーズン1第3話)の話だったので、中国名がたくさんありましたが、僕は中国人役でないことは分かっていたので、メインの登場人物の名前と中国名を除くと5人の名前しか残っていませんでした。そのうち女性が3名で、男性は2名。この2人のどちらかしかないと思ったのですが、ひとつはジョンとかとてもアメリカ的な名前で、残りがアラム・ モジタバイだったんですね。それなら僕の役名はアラム・ モジタバイしかないなと。ところが後からわかったことですが、マイケル・ワトキンスが他のプロデューサーたちに、この役はアミールのような役柄にしようと言ってくれたそうなんです。だから名前もアミールに音が似ているアラムになったというわけ。とても有り難いことだと思っています。
シーズン4はアラムにとって特にエキサイティングです! シーズン3で役がさらに大きくなり、アクションもあり、ロマンス…とまでは言いませんが、ナヴァービ捜査官にほのかな恋心を抱くようにもなります。これは僕にとってボーナスのようなもので、ただのコンピュータの専門家で問題解決人で情報収集人ではなくなりました。その役割も僕は楽しかったのですが(笑)。さらにシーズン4では、詳しくは言えませんが、僕が予想もしていなかった展開があります。最近もらった脚本で、1月に撮影に入るエピソードで第14話になりますが、これまでどのエピソードよりも僕が活躍します。でも、これ以上は言えません!!後もう少しだけ。アラムがめずらしく現場へ出て行きます。そして、もしかしたら彼がおとり捜査をすることになるかも知れません。いやもう、本当にこれ以上は話せません(笑)。
ハリー・レニックスは本当に素晴らしすぎて、彼については賞める言葉が見つかりません。このドラマには2人の優れたベテラン俳優が出演しています。その1人はジェームズ・スペイダーで、もう1人はハリー・レニックスです。そして彼は僕の上司役なので、僕は幸運なことに毎回彼と共演することができます。また、アラムがクーパーのことを尊敬して師と仰いでいるように、実生活でも僕もハリーのことを師と仰ぎ、俳優としてもこの業界の先輩としても、よくアドバイスをもらっています。何か意見を聞きたいときに彼のところに行くと、ハリーはものすごく頭が良く、暖かい人であるということをいつも痛感しています。一生友人でいることを確信しています。
3人あげてもいいですか? 大勢いるので、それぞれ違った理由で、違ったエピソードで印象に残っています。シーズン1からは、アンズロ・ギャリック(第9&10話)。彼はとても人気の高いブラックリスターですが、レディントンが初めて対等のライバルと出会ったと僕は思いました。彼の話は前編と後編に分かれていて、アラムにとっても重要なエピソードで、初めて彼がタスクフォースの主要な一員として描かれているとも思いました。
シーズン3からは、僕の大好きな俳優デヴィッド・ストラザーンが演じている局長です(第9&10話)。ブラックリストに出演していると、憧れの俳優たちがブラックリスターとしてゲスト出演してくれるので、僕としては一緒に共演できるのが夢のようです。役柄としてはアラムはなかなかブラックリスターと共演できないのですが、タスクフォースの部屋に来てくれたりすると、個人的にすごく嬉しいですね。この局長とは、これまではほとんどなかったことですがリズ・キーンを巡ってアラムが直接対決します。アラムが彼に銃をつきつけるわけですが、それはとても特別なことでした。撮影に際しては、デヴィッドと目線や演技についていろいろ話すこともできて、それも信じられませんでした。キャラクターとしての局長も好きですが、撮影での恵まれた機会も僕にとっては特別で印象に残っています。
最後にもうひとつ。シーズン3の第11話にグレゴリー・デヴライというキャラクターが出てきて、彼はレディントンになりすますのですが、僕は脚本を数回繰り返し読んだことを覚えています。この番組の核にはレディントンとは何者かという謎があるわけですが、そこに彼を100%真似ることができる人物が現れるわけですから。この脚本がとにかくすごくて、ひとつのセリフに二重にも三重にも裏があって、僕はそれがすごいなと思いました。
去る12月に「ブラックリスト シーズン3」のPRのために初来日した、トム・キーン役のライアン・エッゴールド。日本で初めて受ける取材となったスーパー!ドラマTVの独占インタビューでは、シーズン3の魅力を中心に、作品について、演じるトムについてたっぷりと語ってくれた。柔らかな笑顔に、話しぶりは紳士的で穏やか。だが、作品の話になるとしっかりと自分のビジョンを持ち、真摯な姿勢で現場に臨んでいることがよく伝わってきた。
築地市場からスタートして、まずそこでラーメンを食べてから代々木公園に行き、明治神宮、それから浅草に行きました。
イエス! 築地の「井上 (いのうえ)」で。すごく美味しいところで行列ができていてね。有名なお店だよ。
最初にオーディションを受けに行く段階では、トムは良い旦那さんで、キッチンでコーヒーを飲んでいるようなナイスガイだということしか知りませんでした。パイロットのスクリプトも全部は読んでいなかったですし。初めてオーディションの会場に行った時に、彼にはダークな側面があって、もっと暴力的な部分もあると聞きました。その後、トムがサイコパスのような場面のセリフを渡されて10分ぐらい練習してから、ナイスガイとバッドガイの両方のオーディションを受けました。ただ、トムの詳しい経歴などは、製作者側もシーズン1を通して順次考え出して作り上げていったので、皆さんがご覧になっているトムという人物は、製作者側もオーディションの時点では把握していなかった、考えてもいなかったと思います。
学校の先生役のためにはね、学位を取ったよ! というのはもちろん冗談だけど(笑)、ダークな方では、イスラエルのマーシャルアーツ「クラヴマガ」を学びました。簡単に言うと、何でもそばにあるものを武器として使うというスタイルです。ワークアウトも出来る限りやっていますよ。僕はファイトシーンが大好きなんだ。アクションの決まった振りがついているわけだけど、それを忠実に再現するのが好きなんですね。ただ、何せテレビシリーズは時間がないので、リハーサルに十分な時間を取れないことも多い。やはりリハーサルを十分に取ると、より良いシーンになりますね。
トムは初めて、自分がどういう人間なのかということを分かり始めているんだと思う。これまでに色んな仮面をかぶってきたけれど、仮面なしでの自分はどういう人間なのか?と頭で考え始めている。これまでトムは仮面をかぶることによって、自分が欲しいもののために常に周りの人たちを操作していたわけですが、初めてリズと恋に落ちて、誰かを愛するということはどういうことかを理解し始めている状態です。生まれて初めて信頼できた人間もまた、リズなんでしょう。そうしたことも含めて、ああ、こういう人生を生きられたらいいな、こういう将来が欲しいなと、初めて思えるような理想の人生を描けるようになった、そういうことを考え始めている時点だと思います。
日本の女性は、男性から「君のためなら何でもする」と言われたら嬉しい?
それは嬉しいな(笑)。そうなんですよ、トムはすごくロマンティックなキャラクターでもあると思います。すごく暴力的だったり、よくトレーニングされた人物で特技があり、危険なことも平気でやってのける。一方で、基本的に彼は本当に献身的にリズを愛しています。シーズン3では、あらゆることをリズのためにやると覚悟を決めている。それは、幸せって何かなということを少しだけ分かり始めてきて、それをリズと一緒に勝ち取れるのではないかと思い始めているからでしょう。だから、僕の中ではトムとリズの関係は「ロミオとジュリエット」に近いと思っている。悲劇的な背景の中で、一生懸命に愛を貫こうとするんだけど、正直言って彼らは近い将来に幸せになれることは絶対になさそうなわけで。だけど、彼らはそれに向かって努力をする。そこがシーズン3の見どころのひとつです
シーズン3は非常にいいシーズンですよ!
すごく幸運なことに、僕は自分のアイディアを取り入れてくれる人に囲まれています。例えば、トムが最初にかけていたメガネも、僕のアイディア。そもそもはオーディションの時にメガネをしていったんだけど、あまりにもハマっていたので僕の持ち物だと思われたんですね。僕はメガネをかけないんだけど(笑)。役作りのために友人に借りて持っていったのですが、それがそのまま採用されました。シーズン3の第5話からはトムは全く新しい人物になりすますことになるのですが、そこからは新しいアクセントで話しています。新しい人物にトムがなりすます際には、大体何かしら意見を出して役作りに反映させています。
そうだなあ。多分、長髪でヒゲをはやしているのが、一番僕自身に近いと思う。でも、髪の毛を剃ったのは、すごく気持ちよかったですね。シャワーをしている時に頭皮にシャワーが刺さる感じが好きだった(笑)。
無精髭をいつも生やしているかな(笑)。今の状態より、もうちょっとはやしているかもしれないですね。あまり髭は剃らないので。髪の毛も、今ぐらいの長さで短くするか、逆に長髪の方が好きです。
ドイツ語は本来話せいないから、セリフを一生懸命練習しました。おかしかったのは、ニューヨークでドイツ人の番組のファンに会ったら、「あなたのドイツ語はフランス語訛りのドイツ語だ」と言われたことがあって。一体、どこでフランス訛りが入ったのか、さっぱりわからない(笑)。
もちろん! 僕はツイッターをやっているのでファンは直接、僕にツイートしてくれるし、番組の公式アカウントもありますから、それも読みます。面白いことに、このシーンは自分たちとしてはすごくいいなと思っているのに、全くファンの反応がなかったり、反対に本当に細かいことで我々が見向きもしなかったようなことが、すごくそこがよかったと言ってくれたりする(笑)。そういった予想外のリアクションも面白いし、明らかにファンの意見は参考にさせてもらっています。
とても複雑な関係です。そもそもはトムがレッドを雇ったわけだけど、トムが本当にリズを愛するようになった結果、レッドはそれを自分に対する裏切りだと考えた。雇ったにも関わらず、結果としてトムは彼女のもとを去ってしまったから。ただ、お互いに尊敬し合っているところもあります。同時に、相手を邪魔者だ、いなければいいと思っている部分も否めません。トムは、自分の方がレッドよりリズのことをよく知っていると思っているし、そう信じている。実際に、そうでしょう。だからトムは、リズにとってレッドはそんなに良い人間ではないし、リズがレッドの後を追って一緒に行動することはよくないと考えているのです。同じようにレッドも、トムがリズを知っているよりも自分方がよく知っている、そして、リズにとってトムは良い人間とは思えないと考えている。2人は、同じように相手のことを考えているのです。簡単に言ってしまうと、リズが一番レッドのこともトムのことも知らないということになる。シーズン3の終わりに、レッドとトムの過去の関係性がどんなふうだったかが描かれると思われるのですが、この段階で撮影はまだなので確定ではありません。同時に、レッドとトムが一緒に組んで仕事をするという可能性もあります。いずれにしろ、オンエアを待ってみないと確かなことはわからないですが。
とてもユニークな人物でもあるし、同時に本当に自分の仕事に献身的な俳優でもあります。これまで多くの映画やテレビに出演しているベテランなので、僕が彼から学ぶことは多いし、一緒に仕事していて、とても楽しいですよ。それは、常に僕に何かのチャレンジをさせてくれるから。彼と同じシーンの時は、とりわけ気が抜けないのですが、それが心地いいというところはあります。ジェームズはとても頭がいいので、同じシーンでも、いろんな演じ方をされる方なんですね。それに対して、一生懸命に自分もついていくというのは、とてもチャレンジングなこと。僕はそういう演じ方をする俳優が大好きだし、本当に彼とはコネクトできる。だから彼との共演は、とても幸せだと思っています。
ジェームズと一緒に仕事をするのとは全く違う(笑)。レッドとトムのキャラクターは対極にあって、常にお互いをけん制しあっているけれど、リズとトムの関係は、トムが唯一自分自身でいられる相手がリズであるわけで、実際に僕とメーガンはすごく仲が良いということは大事なことです。夫婦役だったり恋人役だったりする場合、相手役の女優さんとはある程度仲良くなって、普段からいろいろ話し合ったり笑いあったりできなければ、親密なシーンも説得力が出ないので。すごく仲良くて、楽しいですよ。
二人の関係を考えてみると、やはりシークレットラブという要素が軸になると思います。密かに恋心を抱きながら、簡単には一緒になれないということは、お互いによくわかっている。だからある意味、リズにとってトムは夢なんです。そして、トムにとってもリズは夢。この人といつか一緒になって、どこかで暮らせるようになったらいいなと思い描ける相手、対象だと、お互いに考えているのです。
そう。特にシーズン3は、レスラーとトムはけん制しあって仲違いをする。内容については現時点ではあまり話せないけど、トムはクーパーに「リズのために何でもする」と言うわけですが、シーズン3では基本的にレスラーはレッドとリズを逃亡者として追っていて、トムは、その逃亡の手助けをしようと思っている。なぜなら、それはリズのためになるから。だから、考えてみるとレスラーとトムもまた、対極にある存在ですよね。レスラーは訓練を受けて法を守る捜査官であるのに対して、トムはワイルドカードで、常に暗闇で動いていた人物で何をするかわからない。自分の目的のためには違法なことでも平気でするのがトムです。だから二人が仲良くなれるわけがない(笑)。シーズ3では常に対立しながら、でも、2人ともそれぞれにリズを助けようとするという関係性にあります。
おっしゃる通り! ジョン(・ボーケンキャンプ)はとても音楽を愛していて、選曲を非常に楽しんでやっています。音楽は、「ブラックリスト」にとってとても大切な要素のひとつだと思います。僕自身は、ギターとピアノを弾きます。フォークロック調の曲を作っていて、ボブ・ディランやベン・モリソンなどが好きですね。プロの活動としては、『Lucky Them』(13年)という映画でミュージシャンを演じたのですが、その時の挿入歌のうちの一曲をスポティファイに出しています。あと、ソン・ヨム・キムさんという韓国の監督の新作映画『Lovesong』に出演していて、それにも楽曲を一曲提供しています。2016年1月にサンダンス映画祭で上映されて、公開はその数ヶ月後になると思います。その曲は、1月か2月にはスポティファイに出したいと思っています。
今回、東京に来る事ができて嬉しいです。みなさんの応援にいつも感謝しています。「ブラックリスト」に関するツイートやアイディアも待ってます!いよいよ日本での放送が始まる「ブラックリスト シーズン3」ですが、リズとレッドは逃亡中、トムはボートから戻ってきて再び潜入、レスラーはリズとレッドを追っていて、結社もいるは、爆発はあるは、決闘もあるは…で大変なことに!とにかく スーパー!ドラマTVでぜひお楽しみ下さい!!
ドラマを盛り上げるのに私が貢献できているかは分からないが、シーズン2はエリザベス・“リズ”・キーンとレイモンド・“レッド”・レディントンが逃走してチームが混乱した状態で終わった。いわば、賽が投げられた状態なんだ。だから、その賽がどこに落ちるのかが面白いところだろうね。今はまだ最初の2話を観たところだが、チームがバラバラの状態になっているのが実に面白い。脚本を最初に読んだ時、伏線が無数に張り巡らされているように感じて期待が膨らんだんだ。それこそが、テレビドラマに期待することだと思うんだよ。少なくとも私にとってはね。好奇心と興味を引きつけてこそテレビドラマなんじゃないかってね。だから私はすごく恵まれていると思う。
シーズン1では、連続ドラマでありながら一話完結型のストーリーを取り入れて、テレビ局と制作会社がバランスを取ろうとしたんだ。そうすれば視聴者にこのドラマをもっと浸透させることができるからね。今シーズンに視聴者数を増やしたいなら、シーズンの途中でも色々な時間に観られるようにすればいい。できれば話数が少ないうちに。連続ものは見逃すとストーリーを追うのに大変なんだよ。
レディントンは起きてしまったことに頭を悩ませるんだ。シーズン2の最後で予想していなかったことが起きてしまったからね。それで今2人は逃亡しているわけだが、レッドでもいつでも助けを得られるとは限らない。それに、2人は何度も最悪の状況に直面する。ただ、そうなっても彼は平気のようだけどね。そもそも、レッドという人物は、ドアの向こうに何があろうとも、ためらわずに中に入って行くようなキャラクター。どんなトラブルが起きても、華麗に立ち回ることができる。とにかく、今シーズンもレッドに驚かされることは多いと思うよ。
知っていることも多い。謎はさらに増えるし、私はみんなが知らないことをたくさん知っているよ。
そうだね。ただ、私はシーズン3ですべてが完結するとは思っていないんだ。もしそうなら、シーズン4に関心を持てなくなってしまうからね。物語が本当の結末を迎えるまで、自分の予想が正しいのかは知りたくはない。その点は今のところ問題ないがね。
確かに、このドラマでは、世界で今起こっている出来事を描いている部分はある。だが、それが物語の本質ではないんだ。そういう出来事をうまく取り入れているドラマなら他にあるからね。このドラマは、そういったドラマではない。実際に起きている出来事を十分に取り入れることでリアリティを出してはいるが、パラレル・ワールドの話なんだ。ドラマで描かれている政府や情報機関が現実通りかというと、そうは思わないしね。そういう場所は、いつだって少しグレーな部分があるものだから。それに、誰が味方なのかによって話も変わってくるだろうしね。
まあ、そういう解釈もできるかもしれないけど、どうだろうね。何年も昔にテレビが出現したタイミングが、変化の時だったんだと思う。テレビが定着し、その後テロが起きた。全く異なる場所を恐怖に陥れることで、目的の場所にまで影響を及ぼせるようになったんだ。これはテレビがあるから、できることなんだよ。しかしね、個人的な意見を言えば、レディントンはどんなに事態が混乱しても動じない。それがあの世界にいる彼らの強みだと思う。だからこの作品を観て、混乱した状況の中でも自分でもコントロールできると思ってもらえたら最高だね。だが、そんなことが可能かどうかは分からない。人間は人より優位に立ちたいと思うものだし、支配し続けようとする生き物。それこそが人間の欠点で、弱みなんだ。
レッドは悪党。このことについてはどんな幻想も抱いてはいけない。たとえ老婦人には親切な男だとしてもね(笑)。
ああ、もちろん。悪事を働く人間を演じるのにその感覚がないなんて、おかしいことだと思うしね。
確かに2面性のあるキャラクターは好きだね。初めて『セクレタリー』の脚本を読んだ時は、実にすばらしい作品だと思った。甘美なラブストーリーを自虐的なサド・マゾヒズム的関係の中で描くなんて実に見事なアイデアだよ。本当に最高のラブストーリーだと思ったね。
演技をしている時に自分自身のことはあまり考えないな。演じる役柄に集中するようにしてる。役が自分に似ているかどうかなんてことはどうでもいいこと。私は仕事以外でとても充実した人生を送っているから、仕事で達成感を得る必要はない。生活のために役者をしているんだよ(笑)。
いやいや、ないね。絶対になりたくない。あんなにリスクの多い危険な生活は送りたくないよ。レッドを演じている時も、可能な限りユーモアを交えたいと思ってるしね。それが自分自身と関係あるかどうかは分からない。ストーリーやシーンや状況に適したユーモアを入れたいと思ってるだけなんだ。そもそも、レディントンが私と同じユーモアのセンスを持っているかは不明だがね。
以前出演した「ボストン・リーガル」で演じていたのは、カテゴライズするのがかなり難しいキャラクターだったんだ。それに、ドラマのトーンも常に変化していて非常に楽しかった。だから、次の作品を探していた時、できればまた色々なトーンがあるものがいいと思ったんだ。1年中その役を演じるんわけだしね。
そうだね。最新の注意を払って脚本を読んでいる。撃つ相手が違ったり、傷つける相手が違ったり、そのタイミングが違うな、と感じた時は意見を言うようにしているんだ。レッドがどんな風に自分の人生を生きようとしているのか、人の命を奪う時の倫理規定は何なのか、という部分をしっかりと考えるようにしている。軍にいた人間や戦争を経験した人間の多くは、体験を語りたがらないから。もちろんそこを尊重しているんだけどね。
いやいや、まさか。そんなこと、考えたこともなかったよ。そもそも、私は勘違いやすいところがあってね。自分のキャリアのことが全く分かってないんだ。そういう事に関しては計画を立てるのが得意なわけでもないし、あまりよく考えるタイプでもないからね。だから、「ボストン・リーガル」に出演できたことは運が良かった。その前の「ザ・プラクティス/ボストン弁護士ファイル」を撮影していた最後の年に、デヴィッド・E・ケリーに会って話を聞いたんだ。彼は私がテレビの経験が少ないことを知っていたし、だから私が躊躇するだろうってことも予想していた。だから彼はこう言ったんだ。「聞いてくれ。1年間は保障する。でも、それ以上の期間については嫌なら契約しなくていい。普通は契約書にサインをしなきゃいけない。でももし君が耐えられなかったらやめてもいい。約束するよ。」こんなことを言われて断れるかい?それで、いいよって答えたんだ(肩をすくめながら契約書にサインをするしぐさ)。「ボストン・リーガル」の契約をする時、テレビ局側は7年間の契約を結ばせたかった。でも、私は思ったんだよ。いつだって辞められるんだから、どっちでも同じだなってね。その後の「ジ・オフィス」でも同じようなことがあった。1年間スタッフが交渉に来ていたよ。私は、「いいよ。ただ、『リンカーン』の撮影が秋にあるから、その時は抜けてもいいか?」って聞いたんだ。彼らは快諾してくれた。だから「ブラックリスト」の話が来た時、同じようにやろうと思ったんだ。家を失わずに、辞めたい時に辞めれるんじゃないかっていう思い込みがあるんだよ(笑)。
それがね、TV「The Office」に出演した頃からなんだよ。ある時期から突然、道で声をかけてくる年齢層が下がったんだ。映画に出たりすると変動はあるけど、これまで若者が観るような映画にはあまり出ていなかったからね(笑)。ただ、『リンカーン』はたくさんの学校で上映されていたから、若者が突然私に群がった(笑)。実際には、私はニューヨークに住んでいて歩き回るのも好きだから、色んな人が声をかけてくれるよ。年齢も経済的な格差も様々に見えるし、幅広い人たちがね。
私の場合はよい方に転んだのかもしれないね。声はどんなジャンルでも、役者にとっては強力な武器になり得るものだよ。私はきちんとしたトレーニングを受けたことはないが耳がよくてね、非常によく聞こえるんだ。母親譲りでね。母はとても耳がよかったから、家族は用心しなきゃいけなかった。それが功を奏したのかもしれない。でも今は、仕事や声のことを考えるより、7歳になる子どもとの生活を考えることの方が多いかな(笑)。
メーガン・ブーン:逃亡者となったリズはレッドの知識をすごく頼りにしてるわ。新しい人生を生き抜くためにね。2人は常に行動を共にして、リズの身の潔白を証明するために協力し合うの。リズがレッドを頼りにすることで、お互いに依存するような関係になった。そんな関係がずっと続いてる。そして、今シーズンさらに危険な状態が待ち受けているの。2人とももっと危険な目にあうことになる。レッドは関わりのあるあらゆる悪から彼女を守ろうとする。だから、2人は信頼関係を深めていく。だってもっと危険な状況に追い込まれていくからね。
レスラーとリズの関係はシーズン3でかなり面白くなるわ。レスラーは規則に忠実なFBI捜査官。テロリストの罪に問われたリズを追跡して捕まえることが彼の任務なの。でも一方で、2人は長い間相棒だった。レスラーはリズに情があるし彼女をよく知ってる。残忍なことはできないと分かってる。だから、レスラーは彼女を追跡しながらも、本当にこれでいいのか迷いを感じるの。すごく面白い関係になるし、今シーズンのレスラーにはすごく興味深い心の葛藤が生まれるわ。
トムとリズがはぐくんできた関係はどことなく緊張感があって複雑だった。2人は愛し合っている。シーズン2でトムにまつわる秘密が明らかになるけど、それでも彼がリズを最初から愛していたことが分かった。だから、今シーズンのトムは逃亡するリズを助ける役割を演じることになると思うわ。
エリザベス・キーンはシーズン1の第1話から今まででずいぶん変わった。初めの頃は初々しかったのに、今ではすっかり疲れ切ってる。初めは甘っちょろかった彼女が、今ではすっかり疲れ切ってる(笑)。道徳的な理想をしっかり持ってた彼女が、今ではやっぱり疲れ切ってるの(笑)。彼女は色々な悪人がたくさんいる闇の世界にさらされてきた。だから、彼女は闇の世界があることに気づくことになったし、悪に立ち向かうためには善悪の感覚が必要なんだって気づくようになったわ。
今回の役を演じるにあたっては、エリザベス・キーンと私自身、メーガン・ブーンが共に成長することが重要だと思ったの。まったく無名の私が「ブラックリスト」のエリザベス・キーンを演じるのはすごく大きな変化だったから入念な準備が必要だった。スクリーン上では自信や落ち着いた雰囲気なんかを見せなきゃいけない。でも、自分自身が変わったら演じるキャラクターも変わってきたの。私自身が成長し続けることで、演じるキャラクターをよりリアルに表現できるって分かった。だから、一歩離れてみて、着実に成長し続けるにはどうすればいいか、強みや自信を持つにはどうすればいいか、闇の世界をどんなふうに立ちまわればいいのか見つけることを1番の目標にしてる。それが最終的にはカメラに映る自分につながるの。カメラは自分が思いもしなかったちょっとしたニュアンスを映し出して視聴者へ伝えるでしょ。だから、私自身の人生を躍動感のあるものにして、演じるキャラクターをより大きな存在にできるように努力してる。あとは、脚本家次第だと思うわ(笑)。
今シーズンのリズは、自分も知らなかった自分の正体に関するたくさんの事実を知ることになるはずよ。例えば、実の父親を自分が銃撃したことだったり、司法長官を殺したことだったりね。思いもしなかったことを彼女はやってきた。封印されていた真実が明らかになるの。より凶暴でより衝動的なリズを見られるはずよ。彼女は自分の鋭さをコントロールしなきゃいけないんだけど、慣れていないからどうやって抑え込めばいいのか分からない。だから、今シーズンのリズはもっと鋭い一面を見せることになるわ。
朝5時半にバンに乗ったら、誰かの運転でどこかへ行くの。10分で到着することもあれば、1時間かかることもあるわ。到着したらまわりを見回して「ここはどこなの?すごく変な場所」って思う(笑)。撮影は大抵すごく変わった環境で行われるからね。前日の夜から自分が出るシーンを覚えて準備して、セットに上がってシーンを撮影をするの。今では撮影にはリズムがあるって分かるようになったわ。共演者はそれぞれ芝居の仕方が違うから、どうやって一緒に演じればいいのか、どうやったらシーンを完成させられるのか、自分自身はどう演じればよいのか分かるようになった。だから、やりやすい環境にできたのはよかったし、他の役者のみなさんと一緒に仕事をする方法が分かるようになったのはよかったわ。「ブラックリスト」の撮影ですごく面白いのはゲストで登場する俳優が来てくれること。短い時間だけど、ゲストが撮影現場に来る時はすごく楽しんでる。彼らはみんな面白くて才能があるの。とにかく現場では思いっきり楽しんでるわ。それがこのドラマの撮影で一番好きなところね。
ロン・パールマン(ルーサー・ブラクストン役)やリッチー・コスター(アンズロ・ギャリック役)みたいな極悪人が好きかな。ピーター・ストーメア(ベルリン役)もいいわ。彼らは1話だけじゃなく数話に登場している犯罪者よ。毎週登場する犯罪者は脚本家のアイデアみたい。どうやって作られているのか私には分からないんだけど、多分、脚本家は13歳の少年のような純粋さを今も持ってて、一番クレイジーなアイデアをキャラクターに取り入れてるんじゃないかしら。ある犯罪者は鼻がなくて肉体を維持するために変なキノコを食べてて、余命わずかな人間を探しては自殺に見せかけて政治家なんかを道連れに殺させるの。おなかいっぱいよ!すごく複雑で難しいと思わない?(笑)。でも、そんな奇妙な犯罪者に立ち向かうのがリズの役目なのよね。
エリザベスを曲に例えるなら、ピーチズの『ボーイズ・ワナ・ビー・ハー』ね。歌詞はこうよ。
男の子たちはあの娘になりたい
女の子たちはあの娘になりたい
男の子たちはあの娘になりたい
女の子たちはあの娘になりたい
男の子たちはあの娘になりたい
女の子たちはあの娘になりたい
わたしもあの娘になりたい
だからあなたも
捜査チームはお互いによく分かり合えてると思ってた。でも、リズとレッドが、犯罪者を捕まえる立場から、捕まえられる立場になってしまうんだ。2人は逃げ続けるのか、FBIは2人に対してどんな判断を下すのか、これからどんな状況になっていくのかまだ知らないんだ。ただ、レスラーは最初の頃から2人に疑問を持っていて、今でも確信が持てない。だから、シーズン3は以前のような規則に忠実だったレスラーに戻るんじゃないかな。ストーリー全体がどうなるかは言えないけど、レッドから影響を受けて知ったグレーな部分を理解しようとは思わなくなるんじゃないかな。かつての捜査手法に立ち返ると思ってるよ。
組織の上に立つ立場になれば、終始うまく指揮をとろうとするもんじゃないかな。チームを統制するためには、何が正しくて何をやらなければならないか考えなきゃいけない。レスラーが指揮をとるということは、シーズン1で知った闇の世界のグレーな部分を正当化するのをやめるってことだと思うんだ。闇の世界に足を踏み入れたことで、リズと築いてきた友好関係が裏切られたと感じているからね。だから、後戻りできない道に足を踏み入れたリズを探し出して裁きにかけようとしている。少なくとも事の真相を知りたいと思ってる。状況は変化するけど、一巡して元の状態に戻ると思ってるよ。シーズン3の行く末を見届けたいね。何かが明らかになるのは間違いないかな。まだまだ先のことだから、そのうち分かると思う。
ブラックリストの悪役はこれまでと同じように毎週登場するから、悪役とやり合うシーンで銃撃戦が見られるはず。でもシーズン3はレッドとリズを捕まえることがもっと重要だから、違った意味ですごく目が離せないシーンが見られると思うね。
すごく面白い関係になるんじゃないかな。脚本家がストーリーをうまく描いてくれているんだ。捜査チームは自分たちを取り巻く世界をどうとらえて、お互いにどうコミュニケーションをとればいいのか、改めて結束を強めて活気を取り戻そうするんだ。そして、チームがうまくいくよう頑張る。でも、リズとレッドを捕まえるべくチームみんなで捜査を続ける一方で、どうしてこんなことになったのかってことについてはそれぞれが違う思いを持ってるんだよね。
複雑な心境だよ。パートナーだったリズが何者なのかわらないんだから。2人がこれまでに作り上げてきた関係は、シーズン2の最後で途切れてしまったんだ。今レスラーはFBI捜査チームの責任者として職務を全うしようしている。罪を犯したリズを処罰して、その報いを受けさせなければいけないと思ってるんだ。FBIとして真相を探らなくてはならないんだけど、でも個人的には、リズは本当はいい人間で、仕事ぶりも認めていたんだ。この先どうなるかは見てのお楽しみだね。
クーパーとレスラーの関係は…。ハリー(・レニックス)と一緒に仕事ができるのはすごくうれしいよ。彼は素晴らしい人間だし最高の俳優だからね。クーパーとレスラーはすごくいい力関係に築いてると思うんだ。シーズン3では2人がストーリーをリードしてくれることを期待してる。困難な状況を一緒に乗り越えながら任務を遂行するんだ。どうなるか分からないから、見てのお楽しみだね。
ストーリーが佳境を迎えたら2人は直接向き合うことになると思う。レスラーはレッドがエリザベスを操っていると思ってて、彼女にとってレッドと一緒にいるのは一番いい状況だと思っていないんだ。レッドをもっと自分勝手な人間だって思ってる。たとえレッドが自分のために血液を提供してくれたことがあってもね。2人は特殊な血液型の持ち主だった。とはいえ、2人の関係には進展があるはずだよ。シーズン1の最初の頃から最後の頃ではすごく驚くような変化があったからね。これまでにもお互い多少は理解していたし、レッドが突拍子もないことをしても、レスラーはレッドを理解しようとしていた。だから、これからが見ものだよ。
最も興味深いブラックリスターか……う~ん。そうだ、トム・キーンがいたね。人をひきつける悪役は何人かいた。シチューメイカーみたいなね。でも、自分がお気に入りの悪役がいるかって言われると、どうだろう。ボンド映画に出てくるような悪役……分からない。考えておくよ。
面白い質問だね、なんだろうな。「ザ・フォー・ホースメン」みたいなカッコいい曲かな。「フォー・フーム・ザ・ベル・トールズ」なんかのメタリカ初期の曲ならどれでも似合うと思う。
他の誰を演じたいかって?今まで登場した中ではいなかったけど、変わった役がいいかな。薄気味悪くて異常な役を待ってるよ。
よく聞かれるんだ。僕のITスキルは悪くない方だと思うけど、アラムの方が腕利きだね。もし彼ぐらいのテクニックがあるなら、役者はやってないと思うね。ドラマの中では毎回、技術的な調査を具体的にやるから専門家が2人いて、ロックを解除するには何が必要かなんて話をずっとしてるよ。アラムはハッキングするだけが仕事だと思われてるみたいだけど、実際には仕事の約75%~85%はデータの解析に時間を使ってるんだ。先入観にとらわれずにクリエイティブな解決方法を見つけるためにね。今シーズンのアラムは、あまり詳しくは話せないけど、コンピュータースキルを持つ他の人間と対決することになるよ。
たぶんアラムはFBIの任務を続けるんじゃないかな。(シーズン3の)第1話ではレスラーとの間に緊迫したやり取りが見られるけどね。演じていてすごく興奮したよ。リズは逃亡中で捜査チームのみんながリズの味方だけど、それぞれがそれぞれの方法で真実を求めようとする。黒白はっきりさせたいと思う者もいれば、あいまいにしておきたい者もいるんだ。クーパーはこれまでのシーズンでは僕たちのボスだったけど捜査チームから外されたから、アラム、サマール(・ナヴァービ)、レスラーの小さな捜査チームになった。だから、前の2シーズンとはかなり違いがあって面白くなるし、それぞれの登場人物が引き起こすストーリーが繰り広げられることになるはずだよ。
それが今シーズンで一番エキサイティングな部分だと思う。毎回登場する悪役がリズとレッドの逃亡劇に直接関係してくるわけだからね。リズとレッドはFBIと結社とその他にも色々なものから追いかけられることになるのがダイレクトに感じられるんだ。アラムを演じていても緊張感を感じるよ。2人を痛い目に合わせたいわけじゃなく2人のために探し出そうとする。そして毎回登場する犯罪者も見つけようとする。だから危険度は3倍。追いかける側は何とかして2人を捕まえようとするから、TV「24」や「エイリアス」みたいに、一話完結のストーリーに加えて、連続ドラマの要素が濃くなってエキサイティングな展開になるよ。
このドラマではごく自然に生まれるんだ。撮影はすごくあっという間に進められて短い時間の中で大勢の人が参加する。もしテイク2やテイク3で済まずに何度もやり直すことがあれば、スタッフが時間を気にしてるのが分かる。だから、緊張感は自然に生まれてて、それを撮影に持ち込んでる。リズを救うシーンや他にも危険な事態がたくさん発生するからね。
ああ。地下鉄に乗ってる時にいきなり僕の写真を撮ろうとする人がいるんだ。ある時は10代の女の子たちが僕を見てクスクス笑って携帯を向けたから、僕は自分の携帯を取り出して反対に構えたら逃げてったよ。ちょっと変だよね。
外国の若い子たちがたくさんツイートをしてくれるんだ。アラムが南アジアや中東やオーストラリアでも知られてるって分かるのはうれしいね。ファンは間違いなくテクノロジーおたくと、あとブラジル人が多いかな。彼らは冗談抜きでファンというのが何なのかを教えてくれる。とんでもないんだ。一度ドイツから自宅にファンレターが届いたことがあって不気味だったよ。いつもならマネージャーのオフィスに届くことになってるからね。でも、この状況になれなきゃいけないよね。どんな人であっても隣人と接するような気持ちでいないと。優しい心で人を信用する心を持って道を歩かなきゃいけない。ファンがいることに感謝をしてその代償を受け入れるよ。
僕とヒシャム・タウフィーク(デンベ役)はシーズン1ですごく似たような立ち位置にいたと思ってるんだ。プロデューサーが視聴者から意見をもらったことで、繰り返し登場することになって、さらに大きな役回りになるかもしれないって分かった。僕はシーズン1の時にツイッターを使い始めたんだけど、投稿者がどんな反応をしてるのかコメントを全部読んでたんだ。(シーズン1で)アリソン・ギャリックが登場するエピソードでデンベとアラムが少し躍進したんじゃないかって思ってるんだ。周囲は敵に完全に包囲されて主要な登場人物全員が捕らえられてる中で僕だけが自由に動けた。その時は「僕のシーンが増えぞ」ってことだけ考えてたんだけどね。
時々会えるよ。すごいことだよね。いつも一緒に共演してる役者たちも大好きなんだけど、ゲストで登場する素晴らしい俳優に現場で会えるのってうれしいんだ。ある時に、自分のトレーラーから出ようとした時にジェニファー・イーリーにぶつかったんだ。ジェニファーと共演するシーンはなかったんだけど、彼女は「あら、アミール! 撮影うまくいくといいわね」って声をかけてくれたんだ。彼女みたいに素晴らしい役者もこの作品を見てて登場人物を知ってくれてるんだと分かって驚いたんだ。
これまでの枠組みが崩壊して、全員が新しい領域に足を踏み入れことになる。1人残らずね。ディエゴと私、つまり、レスラーとサマルがパートナーを組むことになるの。前のシーズンでは一緒に行動することなんてなかった2人よ。ハリー(・レニックス)はもうボスではなくなって、今までなら考えられないような人たちに協力する。私が演じるサマル・ナヴァービの素性や家族についても分かることになるし、彼女がどうやって捜査チームに加わることになったのか明らかになるわ。私の友人は「登場人物が家でくつろいでるところを見たいね」なんて言ってたから、私は「ひょっとしたら見られるかもね」なんて返答したの。
すでに人気のあるドラマに出演できるのはすごくうれしいだし、ぜいたくな立場だと思う。シーズン1は視聴者の1人として見てて、この作品のファンなの。だから、オーディションを受ける前から、このドラマの世界にすごくなじみがあった。どんな世界に足を踏み入れるのかよく分かってたから仕事がやりやすいの。
そんなことはないわ。TV「ハウス・オブ・カード 野望の階段」では色々なところでロケをしてたから、撮影が終わったらホテルの部屋で過ごすかロケ先で友だちを作って食事するかしてた。今回は全員ニューヨークに住んでいてそれぞれが時間を過ごしてるから、お互いのことは徐々に知り合ってる感じだけど、私は人付き合いに積極的な方だからみんなと仲良くやってるわ。
誰もが楽しめる作品だからじゃないかしら。事件が起きてそれを解決する刑事ものの側面があって、1話だけ見てもすごく満足できる内容になってる。それから、アクション・シーンがたくさん見られるわ。アクションには力を入れてて、このドラマの見どころの1つになってる。他にも、リズとレッドの関係はシーズンを通して目が離せないし、2人に付随する登場人物との関係やストーリーも見どころ。だから、いろんなタイプの視聴者のニーズをつかんでるんだと思うの。私はアクションを見るタイプじゃないけど、この作品は楽しんで見てたわ。アクション・シーンが刺激的だし、謎あるんだもの。
たぶんね。脚本家からはそう聞いてる。今シーズンの第7話で涙を見せるシーンがたくさんあるはずよ。
キングメーカーみたいな政治的な思惑がある悪役が好きね。それからミルトン・ボビットもいいわ。鼻が取れるシーンはゾッとしたもの。
すごく興味深い疑問よね。みんな国家を冷ややかな目で見るようになったんじゃないかしら。少なくとも愛国心が以前よりなくなってるんだと思うの。それから、政治的な選択肢が増えたこともあるかもね。アメリカは二大政党制をとっているけど、二大政党の中にもいろんな集団が出現している。あと、アメリカはイラクを侵攻して評判を失った。世界から目を向けられる存在になったことにみんなが気づきはじめたたこともあると思うわ。
たまにあるわ。脚本を読むのと映像を見るのって感覚は違うものなの。脚本は娯楽のために読むわけじゃなくて仕事で読むものだからね。脚本はたいてい地下鉄に乗っている時に読む。よく考えたら読み物と書き物をするのはいつも地下鉄だわ。脚本を読みながら、「ほんとに?このページ分を一日で撮影できると思ってるのかしら?」って考えてしまって、嫌な気分になるの。だってシーズン1は視聴者としてすごく楽しんで見られたからね。「信じられない、あの人は全然違う人物だったなんて」って驚くことができたけど、脚本を読んでもそんな気持ちにはならないもの。
そう思うわ。この前、TV「MR. ROBOT/ミスター・ロボット」の第1話を見たんだけど、あまりに率直でダークでショックみたいなものを受けたわ。最近は視聴者の注目を引くような作品でなきゃいけないと感じてるの。いい意味でも悪い意味でもね。たくさんのドラマが放送される中で視聴者が実際に見てくれて評判になれば、エッジを効かせてもっと奇抜なことができると思うの。一方で、「MAD MEN マッドメン」のようにゆっくり出来上がる作品もいいと思ってる。出だしはゆっくりでゆっくりとその世界に浸っていくのがいいわ。でも最近はみんながそんな好みじゃないみたい。
世界中のテレビドラマが見られるのは素敵なことよね。私は北欧の作品がすごく洗練されて好きなの。「THE BRIDGE/ブリッジ」や「コペンハーゲン/首相の決断」を見てたわ。今は自分の生活の遅れを取り戻そうとしてるところで、6週間前に新しいテレビを買ったばかり。若い頃はフランスやドイツ、スウェーデン、アルゼンチンに住んでてテレビを見てなかったの。テレビを持ってすらなかったわ。でもテレビを見るべきだったわ。だって、外国語を学ぶすごくいい手段なんですもの。そうは言ったけど、フランス語、ドイツ語、スペイン語はできるけどね。テレビをたくさん見たのはスウェーデンにいた時。でも全部英語の作品だったの。
たぶん知らないと思うけど、シーズン1と2の時に面白いことにデンベには家族がいるんじゃないかという噂があった。ストーリーに取り入れるアイデアが浮上していたけど、なくなってしまって僕としてはガッカリしてたんだ。それ以上は考えないようにしてたね。だからシーズン3の第1話の脚本を読んで、娘だけじゃなく孫もいることが分かって……。プロデューサーはいっぺんに放り込んでくれたよ。でもすごく気に入ってる。
レッドが一緒じゃないことが最初は少し怖かったよ。どういうわけか彼と一緒にいる方が安心感を覚えていたからね。だから、今までと違うエネルギーや動きのあるシーンが見られるはずだよ。
僕にはありがたいことに息子がいるんだ。息子を持つ人間として、もし自分がドラマと同じ状況になったら何をするかを考えて演技に取り入れた。ドラマでは息子じゃなく娘だけど、実生活でのシーンを思い浮かべて重ね合わせて激しく怒り狂うんだ。難しいことじゃないないよ。
写真を撮られるようになったことかな。他にも面白いことがあった。僕は消防士だったんだけど、まだ勤務していた時に、今までまったく付き合いのなかった消防士が親しげに近づいてきて、「妻があなたと一緒に働いていることを信じない」と言うんだ。まあ、そんなささいな変化はあるかな。有名人になるってすごく落ち着かないね。この間お祈りをした時の話なんだけど、その場にいた全員が僕を子供の頃から知っていて僕のことを誇りに思ってくれているのはうれしいことさ。でも、お祈りが終わったらみんなが僕を外に連れ出して、「支援金を集めているから少し支援してくれない?」って言うんだ。身動きが取れなくなるってことをもう少し分かってほしいよ。それから、フェイスブックの迷惑メールフォルダを最近発見したんだけど、世界中から何百万人ものファンからのメッセージが来て、その中に僕が8歳の時に一緒にキャンプに行った人からのメッセージがあったんだ。不思議な話だよ。
もちろん。僕の人生だね。息子を育てる責任があるんだ。20年間は続けて年金をもらおうと決めていたから、実現できたなんて夢みたいだよ。「ブラックリスト」に出演し始めたのは消防士になって17年目の時。そして20年目にプロデューサーはレギュラーの役をくれたんだ。消防士をやめることを決断するのは恐ろしかったね。消防士は大好きな仕事だったし、生まれ育ったハーレムに奉仕できることがうれしかったからね。ニューヨークには1万人の消防士がいて、そのうちアフリカ系アメリカ人は2%にも満たないから、心から誇りに思って働いていた。でもレギュラーの役をもらったことに感謝しなければいけない。夢見ていたレギュラーの役が目の前にある。背を向けることなんてできなかったよ。
僕はだいたい一日おきの朝にツイッターに投稿している。「ハーレムに朝が来た。あなたが目覚めて息をするのには意味がある」って感じでね。消防所には毎朝6時から8時半の間に通報がきていた。つまり、毎朝亡くなってる人がいるってことなんだ。だから、毎朝目覚めて呼吸をすることがどんなにありがたいことかを実感してたんだ。消防士の経験があったから広い視野で物事を見られるようになったね。
ソーシャルメディアはよく使ってる。ファンのみんなと接するのが大好きだからね。「このインタビューが公開されたよ」なんて知らせてくれたりするんだ。だから、ソーシャルメディアの大部分は大好きだって言えるかな。
もちろん。シーズン1の第9話、アンズロ・ギャリックのエピソードの時だった。第9話の放送後にツイッターで話題になったんだ。当初の予定では1つのエピソードに登場するだけ。8月7日には撮影が終了する予定だったから、翌8日からアルゼンチンにスノーボード旅行に行くつもりだったんだけど、プロデューサーに「16日までいてくれないか」と言われて旅行を1週間延期した。そしたら今度は、「もうちょっと出演してほしい」と言われてね。そのまま出演してるんだ。
共演者によくからかわれてるけど、僕のファンは年上の女性か10代前半の女の子の両極端。どちらもありがたいね。7月にチリに行った時には、ブラジルやアルゼンチンにファンがたくさんいることが分かった。彼らは「うちに来て」なんて言うんだ。だから僕は、「撮影に戻らなきゃ……」って返したんだ。
ゲストスターとはそんなに関わらないから、話さなくても問題ない。でも、ジェームズとの撮影があった初日、彼は僕がどういう人間なのかすごく興味を持って話しかけてくれてね。その上で、「私が考えるデンベは……」って意見をくれるんだ。今では現場に入ったらハグをしない日はないね。「調子はどう?息子さんは元気?ご家族は?」って話しかけてくれる。すごくあたたかくて、そんなことを言われることが少ないからすごくありがたいんだ。彼は素晴らしい人間さ。
アンズロ・ギャリックがいいね。彼には死んでほしくなかったよ。悪いヤツだけど彼のキャラクターが大好きだった。それから今シーズン共演しているミスター・ソロモン。彼はスタイリッシュで洗練されてて、そんな男には注意しなきゃいけないね。
映画を制作している気分だった。経験はたいしてないけどね。序盤と中盤、終盤がきっちり分かれていてすごく濃厚な内容。脚本が90ページぐらいになって、盛りだくさんだよ。これまでも重要なストーリー展開があったよね。シーズン1の最後では、トムが実は悪いヤツだということを明らかにしたし、シーズン2ではリズが逃亡することになることを示した。今シーズンはそれらの重要な出来事を発展させて、ストーリーを急展開させたりペースを落としたりする。車で旅をするような感じかな。まわり道をすることもある。細かいことは決めずにストーリーの方向性だけ決めてるんだ。
だから、ある程度はストーリーを自由に書いてるけど、全体を通したストーリーに矛盾がないように過去のエピソードを何度も確認してるよ。それがけっこう一筋縄ではいかないんだ。過去のエピソードを見直して、つじつまが合わないこともあるしね。ただ、ストーリーの方向性に関しては常に把握してる。
それについては何も話せないよ。みんながアッと驚くような展開にできればいいなって思ってる。リズはレッドの世界に足を踏み入れていく。レッドの手に取り込まれ、レッドの世界に導かれていくんだ。例えば、秘密の隠れ家を持つライルという男にかくまってもらったり、トロール・ファーマーに逃亡の手助けをしてもらったりね。だから、レッドについてもう少し分かるようになるよ。
それから、リズは本当はどういう人間なのかが少しずつ判明していく。彼女には罪を犯した過去があって、FBIに採用された時に提出した書類には嘘の記載をしていた。レッドのようにはなりたくない、犯罪者にはなりたくないと思っているけど、逃亡犯となってしまった今、無情にも犯罪者としての本能に頼らざるを得なくなった。そういう彼女の影の部分が明らかになるから、かなり面白くなるよ。
真相に近づきすぎていることが心配になって、ペースを落としたことはあったね。それで何度か過去にさかのぼったりした。ストーリー展開のスピードを正確に把握するって難しいんだ。このドラマは一話完結のストーリーと連続もののストーリーが奇妙に入り混じった作品。時々ゆっくりした展開になるから視聴者が飽きなければいいなと思っている。一方で、展開が早くなり過ぎないようにも気を付けているよ。
もちろん。毎日じゃないけど、脚本家部屋で何度も話には出てる。すべてが変化する中で、リズとレッドの関係に関するある真実が明らかになっていく。少しずつね。どんなラストになるのかわからずに脚本を書くってすごく難しい。もし『シックス・センス』の脚本を書いていて、ブルース・ウィリスが死んでることを知らなかったら、すごく難しいでしょ?同じことがこの作品でも言えるんだ。どこに向かっているのか確信がなければ、このストーリーを描くのはかなり難しいと思う。
今後も毎週犯罪者たちは登場するよ。シーズン3の第1話ではたまたまレッドが利用した人物が登場する。彼らも犯罪者だからね。これまでのシーズンでは、レッドはFBIの司令室にふらりと入ったり、リズとベンチに座ってみんなが知らない犯罪者について教えてくれたりしていた。今回はレッドが犯罪者たちと接触するところが出てくるし、なぜ犯罪者を引き渡そうとしているのかが明らかになるよ。
全体を通したストーリーは気に入ってる。でも、毎週登場する悪いヤツらのストーリーも最高にいいんだ。悪人を作り上げて脚本を書いてキャスティングするのは楽しいよ。すごく面白いからやめたくないね。それがこの作品の見どころでもある。FBIがその存在すら知らない犯罪者を作り上げるんだからね。
ドラマが終わったらお答えするよ。2人はどんな関係なのかについてはできるだけ話すけど、みんなが納得する頃にはドラマは終わってる。みんな今の段階でちょっと盛り上がりすぎだよ。放送する前からいろんな憶測が飛び交っててるんだ。ストーリーが進むにつれて、核心部分でかなりビックリするような真実が明らかになると思うよ。以前にどこかで聞いたことがあるような内容なら書き直してるからね。アッと驚かせるような展開になればいいな。
何かアイデアがあれば、いつでも聞くよ。
他のドラマも似たようなものだからって、ストーリーを変えるつもりはないよ。リズを指名手配犯にするってアイデアは最初からあったしね。ただ、似たような作品を見るのは変な感じ。僕たちはいろんな作品をお手本にしているんだ。陰謀ものが大好きなんだよね、『コンドル』や『パララックス・ビュー』とか。
彼は僕が想像もしていなかったやり方でキャラクターに命を与えてくれてる。もともとイメージしていたよりもっとユーモアがあって少し不気味な感じのキャラクターになった。僕がイメージしてたのはもっと分かりやすくて、70年代サスペンスに出てくるような謎に包まれたバッド・ガイだったんだ。ジェームズは気がつくと制作過程から参加してくれてるんだ。ストーリーの方向性を彼と話すチャンスがなかったら、このドラマを作り続けることができなかったんじゃないかって思ってる。
だからジェームズとはよく話をしてる。彼はキャラクターを作る素晴らしいアイデアをたくさん持ってるんだ。以前にやったことやレッドがやりそうなこと、やらなそうなことを彼は教えてくれる。彼のアイデアで書き換えたセリフもあるよ。だからレッドのセリフは脚本家たちとジェームズ彼自身のアイデアの組み合わせなんだ。でも、あるセリフを書いて、彼がセリフを口にするのを聞いたら「すごい。脚本を書いた時に想像していたよりも、もっとカッコいい」って思うんだ。
ああ。ラストについてじっくり話をしたんだ。これまでテレビドラマはやったことがなかったから、間違ったやり方をしちゃうかもしれないよね(笑)。でも、レッドがリズの母親について話すシーンがあるんだけど、その重大な事実を知らなかったら役者として意見を言うことはできないと思うんだ。彼は楽しんで役を演じているし、彼が役を演じるほど、どうすればより魅力的なキャラクターにできるかが分かるようになるんだ。
ジェームズは素晴らしいよ。非常にユニークなユーモアのセンスを持ってる。かと思えば、ものすごい恐ろしい雰囲気も出せる。彼は本気で役を生きているんだと思う。リスクを負うことを恐れていないし、脚本を大切にしてくれている。ストーリーに矛盾がないか、という部分も意識してくれてる。それに、レッドを演じることをかなり楽しんでいる。ダークで残忍で楽しさがない、ということになりかねない役だけどね。その点では、希望がかなったよ。彼は邪悪だけど楽しい役を作り上げてくれたんだ。
たくさんの人の名前が出たけど、いまいちピンとこなかった。レッド役が決まってなかったから、パイロット版の制作も延期していたんだ。その後、ジェームズの名前が挙がった。センチュリーシティの路肩に車を止めて彼とじっくり話をしたのを覚えているよ。どんな役なのか、彼が想像するキャラクター像について話を聞いたら、自分の考えと一致したんだ。しっくりきた。それに、彼は情熱にあふれていて説得力があった。
あるよ。今シーズンはそんなレッドがもっと見られると思う。だいたいいつも冷静なレッドが苦戦を強いられる姿は見どころだよ。アンズロ・ギャリックのエピソード(シーズン1、第9、10話)では、レッドは罠にはめられて拘留ボックスに逃げ込む。アンズロ・ギャリックはデンベとリズを殺そうとするんだ。あの時は例外でそれ以外ではめったになかった。レッドが窮地に陥る瞬間がたくさんあったら、特別感がなくなるからね。でも今シーズンは結構見られると思うよ。
彼女は素晴らしいね。この役のオーディションに来た時の彼女は、さわやかで初々しかったよ。そんな彼女の印象がこの役にぴったりはまった。経験豊富なジェームズと共演すれば、いい組み合わせだと思ったんだ。メーガンは役そのものになりきっているし、このチャレンジを一生懸命頑張っていると思うね。他の誰よりも熱心に取り組んでいる。ほとんどのシーンに登場しているから、毎日現場にいるんだ。仕事量は半端ない。彼女を誇りに思うね。今回は指名手配中の逃亡犯だから、面白いんじゃないかな。
トムは今シーズンも登場する。最後に彼を見たときはボートで消えたよね。トムはリズが罠にはめられたことは知っていても、リズが司法長官を殺していたことは知らなかった。そのことを聞いたトムはリズを助けたいと感じる。だから、リズとトムとレスラーの三角関係っていう興味をそそる動きが再び沸き上がるんだ。ロマンティックな関係かもしれないし、兄妹のような関係かもしれない、もしくは親のような気持なのかもしれないけど、トムはリズを守ろうとする。だから、おもしろい三角関係が見られるはずだよ。
そう思う?(笑)今シーズンで興味深いのは、トムが自分の犯した罪をなかったことにしてもらうことだね。裁判官が彼の記録を消したんだ。一方のリズは逃亡中。だから2人は入れ替わった状態なんだ。ただ、リズは犯罪者になったけどFBIを理解している。だから、ボニーとクライドをもっとパワーアップさせたようなレッドとリズが、誰も想像できないようなことをやるんだ。FBIはただただ頑張るしかないね。
(製作総指揮の)ジョン・アイゼンドレイスと僕は、いつもだいたい7話分ぐらいのストーリーが頭に入ってる。その量が限界だね。書いたり消したりできるボードに、リズがロシア大使館に自首すると何が起こるのかとか、どうやって大使館から脱出するのかとかアイデアを書き出す。そして、複数話にまたがるストーリーをキャラクター毎に設定する。レッドはどんな反応を見せるのか、レスラーは裏切りにどう対処するのかなんかをね。それから、毎週登場する悪いヤツらについて意見を重ねるんだ。みんなで座って、意見を出し合ったり、読んだり聞いたことを出し合う。そして、それを全部ごちゃまぜにする。そして、それぞれの脚本家がエピソードを受け持って、定期的に僕たちのところに来るから状況を確認するんだ。
全部本当だと思うよ。情報を手に入れるスピードについては多少手を入れたところはあるかな。でも、FBIに長年勤めていた科学技術のアドバイザーがいるから、脚本をすべて彼に見せて、より信ぴょう性のある筋書きにするための意見をもらってるよ。
僕個人としては疑い深い人間だから、SFすぎるものは避けるようにしてる。顔認識ソフトのような実際に存在するものでも、スタートレックっぽいから使わない。もっと70年代の方法が好きなんだ。でも捜査方法は本格的だよ。実在するものよりも少しだけ遅れているドラマ用のFBI捜査官を作り上げることもある。そうすればレッドが闇の世界で何かをやる間に、FBIに間違った手がかりを追跡させたりすることができるんだ。
陰謀は大好きだね。完全に信じてるわけじゃないけどね。世界は白黒つけられないし、みんなが思っているよりももっと灰色な部分があるんじゃないかな。お金のために怪しいことが往々にして行われてると思うんだ。レッドがものすごく悪い人間だとは思わないし、レスラーとリズが完全に善だとも思わない。だから陰謀には真実の部分と嘘の部分があるんじゃないかな。
レビューやコメント、メッセージを読むのが好きなんだ。できるだけ全部読んでいるよ。なぜかって?視聴者がコメントを書いてくれるのは、彼らが関心を持ってくれてるってことだからね。もし99人が否定的な意見だったとしても、1人がドラマをよりよくするために意見を書いてくれるんなら、その1人を大切にしたいって思ってる。オンラインで読むのはダメージを受ける危険がある。でも、もし視聴者のコメントに内に秘めた強い意見や信念があるなら、読む価値があると思うんだ。ちょっとした脇役からスタートしたミスター・キャプランやデンベのようなキャラクターを、ファンの方からもっと知りたいという意見があって登場シーンを増やした。他にも、視聴者はレッドが語る話が大好きなんだって分かったから、レッドについての話がもっと必要だと思うようになったしね。肯定的なコメントでこのドラマがよくなっていくのを見たいよ。
マティアス・ソロモンは非常にミステリアスな男。彼について分かっていることは少なくて、以前は「結社」のメンバーだった高官に雇われて水面下で任務にあたっていた。見るからに打算的な人間で、恐怖心など微塵もないし、任務を楽しんでる。喜んで自分の手を汚すような人物だね。
彼はレイモンド・レディントンとエリザベス・キーンを見つけ出して抹殺するためだけに、ストーリーに登場する。任務を遂行する中で野蛮なこともやらなければならないけど、それを心から楽しんでるし、人の命を奪うことなんて何とも思わない男なんだ。
「ブラックリスト」ではストーリーに新鮮味を持たせて面白くするために、制作陣もどんな展開にするのか決めていないっていう話はいろんな人から聞いてた。制作陣は視聴者の反応を見ながら、流れに任せてストーリーやキャラクターを考えているってね。でも、ソロモンについてはゲストスターとして少なくとも6話ぐらいに登場するキャラクターとして最初から考えられていたはずだよ。いつもなら制作陣もどんなキャラクターにするのか見えていないし、悪役は一話完結のストーリーの中で死ぬことが多いけど、ソロモンについては最初から6エピソードぐらいに登場させる計画だったし、そのことは僕も知っていたんだ。
ソロモンが初めて登場するエピソードの台本を読んだ時、面白い役だと思ったよ。それから、少なくとも6エピソードに登場することが決まっていて、仕事がある安心感も多少あってこの役に惹かれた。シーズン1と2を一気に見たんだけど、「ブラックリスト」の世界に引き込まれたね。ジェームズ・スペイダーの演技は素晴らしいし、メーガン・ブーンとは以前から友人で、ハリー・レニックスやモズハン・マーノとも知り合いだったから、しばらくニューヨークに行ってこの作品に出演するのは最高の経験になると思ったんだ。
知らされてなかったね。悪役って長くは続かないから、最終的には死ぬことになるとは思っていたけど、どんな結末を迎えるのかは知らなかった。一時的に登場するキャラクターだと思っていたから、ブラックリストに載るなんて考えもしなかったし、「ミスター・ソロモン」がタイトルになるエピソードができるなんて想像すらしてなかったよ。しかもあんな結末を迎えるなんてね。でも、ブラックリストの悪役だと名乗れるのはうれしいことさ。悪役を演じるのは楽しいんだ。特にブラックリストの悪役を演じるのは楽しいし、僕の場合はそれを繰り返し演じることができるんだから最高だよ。ブラックリストのNo.が付けられて、エピソードのタイトルにもなって、ソロモンの人物像が見えてきた。第17話「ミスター・ソロモン(前編)」と第18話「ミスター・ソロモン(後編)」でストーリーは前進する。自由の身になったソロモンがレイモンド・レディントンに追われることになるんだ。
面白い質問だね。ソロモンのキャラクター設定は一番苦労したところなんだ。台本を受け取った時はソロモンという男をどう演じればいいか悩んだね。撮影現場に行って、自分で考えた演じ方がうまくいくのか分からなくて、やりながら信じるしかなかったけど、クリエーターたちが気に入ってくれたから自分で考えた演じ方で続けることにしたんだ。
しばらくソロモンが登場しないエピソードがあって、久しぶりに撮影に入った時には演じ方を忘れてしまっていたんだ。「ブラックリスト」の撮影がない間に別の役の撮影をしてたから、ソロモンをどう演じていたのか思い出せなくて、何度も試してはやり直して感覚を取り戻していったんだ。この先ソロモンをどのくらい演じるのか分からないけど、ソロモンのニュアンスの思い出せてよかったよ。
このところ、すごく忙しくてね。今はプエルトリコで別のドラマの撮影中で、そっちに忙殺されていたから「ブラックリスト」の撮影にあまり準備ができなかった。現場に入ってから何度も試してはやり直して感覚を取り戻しながらセリフを覚えたんだ。人目を気にしていたら役に入りきれない。ソロモンになりきれていない時は、自意識を取っ払ってソロモンのキャラクターを見つけるようにした。
そういうわけで、事前準備なしで撮影に臨んだ。ソロモンのいるブラックリストの世界がどういうものだったかを思い出しながら、過去の記憶をつなぎ合わせてソロモンを作り上げるしかなかったんだ。
僕は毎回新しい共演者と一緒に仕事をすることが多いから、自分の世界に入るんだ。関わる人物に一貫性がないから、役に立つようなことはなかったね。毎回新鮮なのはそのおかげもあると思うけど。俳優として自分が演じる役を常に考えるようにしてたし、僕にはチャレンジングだった。でも、ニュアンスを思い出したときはワクワクしたね。それが理にかなっているかどうかは分からないけど、すごく役者らしい作業なんだ。
改めて考えても、悪役を演じるのはやっぱり楽しい。自由に演じられるし、何の責任もいらないところがいいんだ。悪いヤツの中でも一番の悪人なら、何でもできるしどんなことでも言える。それこそ悪役を演じる者が目指すところであり役割なんだ。制限されることがない。一方で、正義の味方や主人公は普通の感覚をもっている必要があるし、キャラクターのものの見方を通して視聴者に世界を見せて、視聴者がキャラクターに共感できるように演じなきゃいけない。だから、演じるキャラクターに自分自身をあまり投影しないようにしなければならないし、まっさらな状態で役に臨む必要がある。やりがいがあるし素晴らしいと思うけど、僕としては悪人を演じる方がもっと楽しいと思ってるんだ(笑)。
メーガンとジェームズと共演することになると思うよ。彼らは2人ペアで撮影するシーンが多い中で、数回だけ彼らと一緒に撮影したんだ。共演はエピソードが進んでしばらくしてからだったんだけど、ジェームズとの共演はあっという間に終わったんだ。彼は俳優の中でもベテランだからね。彼の演技は最高だった。脚本家たちには冗談半分に、「レッドとソロモンが共演するシーンを先延ばしにしてほしい」って話しをしていたんだ。レッドと対決することになった時点で終わりだって分かっているから、シーズンの最終話までジェームズと会いたくなかった(笑)けど、結局、彼と対戦することになった。でも、第5話あたりでソロモンが生き延びるんじゃないかって感じてたんだ。「ジェームズと対戦して生き残るなんてありがたい」って思ったね(笑)。
モズハンやハリーと共演したことがないから、共演する機会があればうれしいね。
そうなんだ。死んじゃいない!戻ってくる。ソロモンのエピソードの2つ目のタイトルに“Conclusion”(直訳:完結)なんて言葉が含まれてたからすごく誤解させたと思うけど、ソロモンは死なない。うれしいね。視聴者は悪人のソロモンが死ぬのを期待してたと思うから、まさかそんな展開になるなんて思わなかったんじゃないかな。
僕は今までいろんなタイプの悪人をたくさん演じてきた。ソロモンは軍で訓練を受けた経験を持っていて、CIA工作員で戦闘経験が豊富な一方で、スーツを着て洗練されていて結社の下で働いている。上品さがありながら骨の髄まで悪い。だから、ソロモンを悪人の概念から切り離して、悪いことを楽しんでいるキャラクターになりきることにしたんだ。
口ひげをひねるような、そんな役は演じたくなかったね。彼自身、自分を悪人だと思っていないと思ったから、クールな印象を与えてリアリティをもたせたかったんだ。彼はただ好きな仕事をしている。間違いなく孤独な人間だけど、やるべき仕事があって、その仕事に情熱を持って取り組んでいるし、楽しんでいる。そして善悪の区別がつかない人間なんだ。
ものすごく頭が切れるし、上質なものが好きでカリスマ性がある。でも彼はどんなことにも境界線がないような男。少なくとも心の境界線は全くない。人生を意義深く生きていて、どんなことにも限界を感じない男だと思った。自分が欲しいものを追い求めるし、それを手に入れることができると思っている人間なんだ。
最近は視聴者に衝撃を与えて重要なキャラクターを殺す傾向があるのは面白いと思うし、ソロモンについてもその可能性はある。視聴者はソロモンが死ぬのをすごく期待していると思うから、その期待に反してストーリーを展開するのは賢いやり方かもしれないね。大きなターゲットを持つソロモンを泳がせておくのは視聴者に衝撃を与えることになると思うんだ。だから、どれくらいまで登場するか分からないけど、彼は持ちこたえるし、少なくとも僕はソロモンの最終日は聞かされてないし、終わりがないことを祈るよ(笑)。今後の展開を見てのお楽しみだね。
僕はこの作品が好きなんだ。米テレビ界では競争が激しくなる中で映画並みのスケールのすばらしい作品がたくさん制作されている。今、新たな革新の中にいて、どのテレビ局も必死で頑張っている。そんな中で、「ブラックリスト」はテレビドラマとして文句ない成果をあげているんじゃないかな。撮影監督たちはすばらしくて、中には映画みたいな撮影をする監督もいるし、俳優たちも才能がある。台本は秀逸だし、テレビだからシーンの撮影も多いけどうまくいっている。
この作品のすべてに敬意を表したいね。撮影クルーはまるでオイルがたっぷりなじんだ機械のようによく働くんだ。「ブラックリスト」の撮影現場に入ればハリウッドの何か大きな存在の一部になったような気分になる。だから、僕はこの作品に出演するんだ。
いや。そこは判明しないだろうな。しかし、核心に近づくとは思う。もし、今後ストーリーが我々の意図する通りに進みシリーズが終わりを迎えた時、これまでのストーリーを振り返ると気が付くはずだ。これまでは分らなかったことが、その時突然1つにつながる。そこが、面白い。パズルに近いものがある。しかし、普通のパズルと違うのは、パズルのピースが全て自分の前に並べられているということ。物語が進むごとに手にできるパズルのピースを、最終的には見る人の手で組み合わせることができる。ただ、このドラマはその核心に向かって進んでいく作品だとは思う。最初のエピソードから存在している、「2人の関係とは何か?」という疑問に対する好奇心を我々がこれからも維持していけたら、すごく面白くなるだろうね。すごくシンプルな疑問であり、その間逆とも言える。第1話の放送後に聞かれた質問をいまだにされるんだから、楽しいよ。
私もまだ観ていないんだ。だから上手く話す事ができないんだが、シーズン2もなかなかの幕開けになっているよ。シーズン1のラストでは、様々なことが混乱していた。シーズン2はその2、3ヶ月後の話だから、やはりまだ混乱は続いてる。しかし、興味深い事実が、スタートしてすぐに明らかになる。
ベルリンは間違いなくストーリーの大筋に絡んでくる人物。しかも、ドラマのミソロジー的な部分にね。だからシーズン2ではより絡みが増えるだろう。このドラマは、主要人物同士のつながりだけでなく、彼らが途中で登場するキャラクターともつながりがあるのが興味深い。そこに、1話完結するブラックリストの悪人たちのストーリーが加わる。全ての事件には常に理由があり、無作為に選ばれている訳ではない。事件がより大きな物語につながっていることもあれば、そうじゃないこともある。自然に発生する事件もあるからね。ただ、どんな時も理由は存在していて、それがすごく小さいこともある。私が覚えているのは、シーズン1の確か第3話だったと思う。「ウージン」のエピソードで、レッドがコードの書かれた紙を受け取っていた。あのコードは次につながっている。そんな風に、長いストーリーに関わるものと、逆にすぐに話が展開するものがこの作品には存在しているんだ。
それがまさにあのセリフの意図だっただろうね。どちらとも解釈できる。真実を言っているともとれるし、比喩的な意味ともとれる。
そうだな…。今まだ第4話の撮影をしているところだからね。でももうすでに、レッドはこれまでにはないような状況に置かれている。だからその対応の仕方から、驚きだけでなく彼の新たな一面を感じてもらえたらいいなと思う。得体の知れない人物を演じるには、微妙なバランスが必要なんだ。それがそのキャラクターの衝動や魅力につながり、見る人の興味を引いたり、その興味を持続する事ができるからね。テレビドラマのシリーズや、長く続いていく物語において、謎を明らかにすることは避けられない。だから見ていく中でキャラクターに親しみが出てきて、謎めいた部分はどんどん減ってくるだろうが、その微妙なバランスは持続される。謎が明らかになり、視聴者が親しみを感じ始めれば、どこかでまたそれをひっくり返す必要がある。我々は常にそれを意識してやっているから、たとえ見ている人がレッドのことを理解した気持ちになったとしても、実際はそうでもなかったりする。
俳優の仕事は、全体的に変化してきた。昔に戻りつつあるというかね。何年も前、テレビの初期の時代は、映画に出ていた役者がテレビに出たり、テレビと舞台で活動する役者がいたりした。役者たちは、この3つの仕事をしていた。それが、突然きっちりと分類されてしまった。3つの異なるビジネスに分けられてしまったんだ。それは、それぞれの業界が大きく成功したからだと思う。そのため、映画業界の役者は映画業界の中だけで業績を積み、さらにその業界で仕事をすることになった。役者が他の業界とクロスオーバーすることがなくなってしまった。テレビの世界も同じだ。テレビ業界が急激に発展して、今までテレビの仕事をしていた人たちはそのままテレビに出続けた。それは舞台でも同じことが言えた。そのあたりの著しい変化をこの目で見てきたが、おそらく経済的な理由もあったんだと思う。
この仕事をもう数十年続けているが、自分がどう立ち回るべきなのか今でも良く分からないんだ。私はただ台本を読んで、自分の興味のある仕事をするだけ。そう考えると、この5年はすごく恵まれていたと思う。テレビの仕事が6年前に終わって、その後ニューヨークに来てブロードウェイの舞台に1年立った。その後映画の仕事を1年やって、他のテレビシリーズに1年出てから休みを取った。その間にスティーヴン・スピルバーグの映画『リンカーン』の撮影に4ヶ月も参加できたことはすごく良かった。その後でこの仕事が決まった。トミー・リー・ジョーンズの、映画『The Homesman(原題)』にも出ているよ。あれはすごく楽しかったな。そしてこのドラマを1シーズン撮影して、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の撮影があった。こういう仕事の仕方も、1つのビジネスになりつつあるんだろうね。
そういうやり方もあると思うよ。長い間仕事をしている役者なら誰でも評判は付きまとう。映画でもテレビでも、何かを宣伝するというのは非常に骨の折れる仕事だろう。周りには競争相手がいくらでもいるからね。だからどんな事であれ、宣伝になるなら利用してもいいと思う。今回のケースでは、見覚えがある顔や名前やこれまでの評価を利用することでドラマを見てもらえれば、それは最終的にはレディントンの宣伝になる。ドラマを1度見てもらえば彼をまた見たいと思ってもらえるかもしれない。だから、こういう売り込み方は続いていくだろうね。
視聴者がどんなところに反応しているか、私にははっきり分からないんだ。一般的な視聴者の好みが、ここ何年も私には分かっていないんだよ。しかし、アンチヒーローが持つ二面性という部分が好きな人は多いんじゃないかな。興味を惹かれる部分だと思う。その二面性に注目してもらえれば、レッドが主人公であり、時に敵にもなる人物だということが分かる。その2つのバランスに注目して欲しい。もしレッドが実は正しい人間で、全ては償いのためであって本当は罪のない人間だったというのが真実なら、視聴者も私もがっかりするだろうな。彼がいい行いをする真の悪人なのか、悪い行いをする善人なのか、どちらか分からないというところが魅力だからね。
いつも話をしているよ。
そうだね。
私が一番興味があったのは、演じるという面で自分にとって一番実りが多いのは何かということに対してだった。それにテレビドラマの場合、ドラマがどこまで続くかはっきり分からないからね。しかし、必ず終わりは来る。それゆえに、完璧な結末を用意する事は不可能だと思うんだ。「これがドラマが2年続いた場合の結末で、これが10年続いた場合の結末です」なんてことはできないだろうしね。
ただ、役者としての好奇心の面から言えば、結末は知りたい。より全体的な物語の意味や、過去の重要な出来事や、重要な意味を持つ歴史的な問題なども気になる。しかし、結末までの道のりは流動的でなければならないと思っている。だから、1年とか2年後のことは分からないが、数ヶ月先のことは教えてもらっているよ。
それがまさに今このビジネスの最高なところだろうな。ブロードウェイでどんな舞台がやっているか、新聞でチェックしてみれば、そこには舞台俳優やテレビ俳優、映画俳優が幅広く出演しているのが分かる。それぞれの世界の境目が曖昧に、もしくは存在しなくなってきたことが素晴らしい。映画、テレビ、舞台の仕事は、それぞれ実は全く違うものだと思う。本当に違うんだ。「ブラックリスト」のシーズン1を終えた時はくたくたになった。全力疾走したようなものだったからね。どんな仕事でも1年やればすごく疲れるものだよ。でもこの仕事の2ヶ月半の休みの間に、映画の仕事を入れたんだ。休みの間じゅうこの映画の仕事をする予定だった。それが、全くジャンルの違うものだった。本当に違いがありすぎて、ロンドンに向かう飛行機の中で、どうやって演技をするべきか悩んだよ。今まで出演したどんな映画とも違っていた。私が演じたのは漫画の世界のキャラクターで、かなりの部分をCGIを使って撮影したんだ。モーション・パフォーマンス・キャプチャーではパフォーマンス・キャプチャーのスーツを着て撮影をする。そしてモーション・キャプチャーのステージでそのシーンをもう1度撮影する。それの繰り返し。あれは、全く違うプロセスだった。
それに、TV「ボストン・リーガル」が終わった時に、次にやりたいことを探して様々な脚本を読んだが、なかなかいい作品に出会えなかった。そんな時にある舞台に興味を持った。デヴィッド・マメットの「Race」という新しい舞台で、今では様々なプロダクションが海外でも公演している作品なんだ。そういえば面白い事があったな。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の撮影でパリに滞在していた時に、レストランでイヴァン・ナターレというパリの役者に声をかけられたんだが、彼は私がニューヨークで演じた役をパリで演じていたんだ。
自分で経験してみて言えるのは、テレビの仕事を一定の期間続けていると、舞台に上がるのが最高の解毒剤になるということ。というのも、テレビの仕事というのは本当に容赦がないんだ。台本を1冊頭に入れたと思ったら、すぐに次の2冊を渡される。それが1年続く。だから「ボストン・リーガル」を6年やった後に、ブロードウェイの仕事で毎晩同じ作品に出演するのはどこか儀式的で、楽しく感じたよ。
自分が出演する作品に対して、私はかなり好みがうるさくてね。だから検討はしたよ。正直なところ、ネットワーク局のドラマの仕事をすることに不安があったしね。最初はただ話数が少ないことを理由に、ケーブル局のドラマを探してたんだ。この作品はたまたまネットワーク局のドラマだったけどね。
そうだな。ドラマを捜していた時に私が求めていたのは、ドラマのトーンが二分している事だったんだ。面白さを感じさせるポイントがあって、まったくそうじゃないポイントがある。そして、それを表現できるキャラクターであること。このキャラクターは、シリアスな部分と不遜な部分を両方持っているから、演じがいがあると思ったんだ。さらに、長い時間視聴者の興味を引き好奇心を持たせるために、複雑さを伴ったストーリーも探していた。だから、この作品のストーリーがどんな展開をするのか、この男がどうなるのか、それが全く読めない部分にも心が惹かれたのは確かだ。第1話の台本を読み終えても、読み始めた時と比べて理解できている部分が増えていなかった。それで思ったんだ。「素晴らしいじゃないか」ってね。これから何シーズンも演じていくとしたら、驚きがあり常に新しい発見がある方が面白い。単に難しい問題が出てきて、それを毎週解決するようなドラマでは生き残れない。私は無理だと思う。
そんなこと自分で考えたことはないな。仕事に没頭するタイプでね。エミー賞の時期も知らない間に終わっていたよ。ないがしろにしている訳ではないよ。エミー賞にはこれまで出席したこともあるし、受賞もしたし、贅沢なことだと思う。でも私には仕事があったし、テレビの1時間ドラマというのは本当に仕事量が多いんだ。他の事をする余裕など一切ない。出演するというだけで、すごい事なんだ。そこが気に入ってる所ではあるがね。ただ、ドラマに集中していると他の事を考える時間さえもないんだ。
成功させたい、うまく演じたいという気持ちでやっているからね。自分でこの役を演じられると思えなければ、仕事は受けないよういしているんだ。だから、契約をしたということは、自分ならこの役を演じられると思ったということだ。
演技は、台本と想像をもとにするようにしている。でも「実際の経験から影響を受けているか?」と聞かれれば、それはもちろん受けているだろう。人生経験は、その人の全ての行動に表れる。目にしたものや、読んだ本や、耳にする音楽も全て。自分の周りを覆っている世界を、包括的な目で見るとその影響は計り知れない。私の場合もそうだ。でも、パイロットの台本を読んだ時に気づいたんだ。レッドという人物を演じるにあたって、必ずしも自分を投影する必要はないという事にね。だから自分の感覚を基に様々な色付けをしていった。
このドラマにアドリブはないんだ。全てが台本通り。アドリブを入れるようなドラマではないからね。
まだ分からないな。去年はシーズン1だけは続いて欲しいと思っていた。今はシーズン2は、という気持ち。来年はシーズン3までは続いて欲しいと思うのかもしれないな。
それは、全てそれぞれの見方によって変わる部分だろう。レディントンがそのセリフをエリザベス・キーンに対して言ったのは、彼女を挑発するためだった。彼がよくやる手口だ。でも、彼が本当に「犯罪者のように考えろ」という意味で言ったのかは、私には分からない。「今の視点とは全く逆の視点で考えてみろ」という意味だったのかもしれないからね。これもいつもの手口だ。それに、いつも誰かの希望や予測とは間逆の行動を取るのがレディントンだからね。
ドラマのために私が犯罪者と付き合うことがあるかってこと?今までの人生で多くの犯罪者と知り合った。でもレディントンのような人物には一度も会ったことがないね。似たような特徴がある人物はいたが、レッドのようなビジネスをしている人物には会ったことがない。私が気づいていなかったってこともあるがね。今思えば、そうだったかもしれないという程度だ。それにしても、あれほど堂々と誰かの家に出たり入ったりする人は誰も知らない。あの自信は、臨機応変に対応することができるからなんだろうね。
そうだよ。
ああ、もちろん。すぐそうなるよ。
それはどうかな。
全く分からない。実は、他のドラマを何も観てないんだよ。全く何の情報もない状態で仕事をしているんだ。私はただ自分のドラマを作るだけ。テレビを観たり映画を観たりするような時間がないんだ。
いや、そんな事にはならないと思うな。もうすでに長い間仕事をしてるからね。
恐らくあるだろうね。同じ人間が両者を演じているわけだから、声が似てる。それに、2人とも生に対する欲が強く、独自の倫理観を持っていると思う。
シーズン1ではよく比較してたわ。でもドラマが進むにつれ、ジェームズとはより親密に、より心地の良い関係になってきたなって感じる。同僚っぽくなってきた。ダークなドラマを作る撮影現場の中ではちょっと場違いなくらい、お互いを笑わせたりしてる。そういう楽しい雰囲気がドラマにちりばめられて、浸透してるんじゃないかな。一緒に1つの作品を作るようになっていい関係が築けたからこそ、一緒のシーンの中で楽しいエネルギーが生まれるようになってきたと思う。
私にとってシーズン2のリズはすごく興味深い。シーズン1ではどこかあいまいなキャラクターだったリズも、様々な事が起きて、それに対するリアクションや反応からよりはっきりとした人間らしさが出てきた。シーズン2になってすぐにその変化が分かるって訳ではないけど、シーズン中盤にかけて、たまねぎの皮を1枚ずつはがすように、彼女の行動のルーツには本当は何があるのかが分かってくる。本当に面白い女性キャラクターだと思うわ。シーズン2で撮影は第4話までしているんだけど、もうすでに皮がはがれてきてる。まだシーズン2の序盤だけど、何だか中盤の撮影をしているような気持ち。そのぐらい並外れたキャラクターだし、本当に充実した仕事だなって思う。
より確実に演じることや、無駄のない仕事をすることに対して、効率的にできるようになったと思う。スタントシーンがたくさんあると、その分たくさん休息が必要ではあるけどね。シーズン1では私とリズがすごく似ていたなって感じたけど、シーズン2では逆に反対になってるって感じてる。
またリズを演じられるってワクワクしたわ。今までやってきた他のどんな仕事よりも気持ちが高まった。これからシーズン2が始まるけど、シーズン1でこの作品に精一杯力を注いだことを考えると、リズも私自身もすごく成長したと思う。それがシーズン2にも活かせると思ってる。
シーズン2でも、リズの仕事以外のすごく興味深い生活が垣間見られるわ。何とか生活してるって感じだけどね。
そうなの!やっと女性が増える。シーズン1の時のパーミンダ・ナーグラは素晴らしかった。今年はモサド(イスラエルの対外情報機関の通称)の捜査官のナヴァービが私たちのチームで一緒に仕事をすることになる。彼女が入ることで人間関係がより複雑になるし、作品により深みが出てるわ。
そうね。それは観てもらえれば分かるかな。
トムに関することは全て謎。
そう思うわよね。でも「ブラックリスト」の謎に唯一イライラしないのがジェームズと私なのかも。私たちは脚本家たちと一緒にワクワクするようなサプライズを作り上げてるの。それを放送まで秘密にすることが、楽しみのひとつね。
いいえ、誰にも言わないわ。
一緒に話をしているから、ある程度の骨組みは知ってるわ。
ヒット作品に出演できるのというのは、私にとっては自分の根を張れる場所を手に入れたということ。それに役者をしていると、こういうチャンスってめったにないの。だからすごくありがたいなと思ってる。根を張れるだけじゃなくて、すごく才能のある素晴らしい人たちと楽しく仕事ができて、まるで家族のようになれたことは私の人生のとっておきの出来事。
この作品ではどんなことでも起きる可能性があるわ。どんなことでも、視聴者の目が飛び出すような事ならね。シーズン2でレスラーとリズの関係は様々な方向に向かうと思う。そういう微妙なラインをディエゴと演じるのは本当に楽しいわ。
まさか!彼のカリスマ的な部分や才能や知性はもともと分かっていたしね。想像していなかったことと言えば、レッドの根底にはすごく可愛らしい魅力があるっていう部分かな。さっきも言った通り、彼と一緒に仕事ができることはただただ楽しいの。
「お金を貯めなさい」とは言われたわね。実際にはこう言われた。「あのねメーガン。年をとった役者は若い役者に本来なら知恵を授けなきゃいけないことは分かってる。きっと周りの人たちも私が君に様々な事を教えていると思うだろう。しかし、私が伝えたいのはたったひとつ、お金を貯めなさいということだけなんだ」ってね。
文字通りね。でも実際には、彼から何かを学ぶために、彼に直接言葉で言ってもらう必要はないの。彼はすばらしい才能の持ち主であり、私がすべき事といったら彼の演技をまっさらな気持ちと謙虚な気持ちで見学することぐらい。彼の演技からは本当にたくさんのことを学ばせてもらってる。この仕事が終わる頃には、彼がいる場所に少しでも近づけていればいいな、というのが今の私の願い。
パーミンダは本当にプロフェッショナルな女性だった。撮影現場に入る時には、チームの中で自分が何をすべきか完璧に頭に入ってる。それって多くの人にとっては難しいことなのよね。特にそれがベテランの役者で、私のような自分より経験が浅い役者がドラマの大役を任されているような時にはね。それを考えると彼女はもう1人の女性キャストとして私にたくさんのことを教えてくれた。でも自分の豊富な経験を私に押し付けることはしなかった。彼女は最高に頼りになる同僚だったわ。
リズはドラマに登場するどのキャラクターとも関係があるわ。
そうね。彼女は、レッドと関わりのある女性よ。
着ている物が少しくたびれていて、色も暗め。ナイーブな一面は完全に取り去られてる。多分昔はこう見られたくない、っていう自分でいることをあえて選んでるんだと思う。でもシーズン1で見せた、愛すべき素晴らしいガッツは健在。
まだあの家に住んでたらバカじゃない?もう住んでないといいなと思うわ。ここで言っていいか分からないけど…あの家は盗聴されていたし、トムも場所を分かってるしね。
「HOMELAND」のクレア・デインズが演じる役と私が演じている役には違いがあると思う。「ブラックリスト」はファンタジーの世界をベースにしているから、娯楽として長く楽しめるのに対して、「HOMELAND」はすごくリアルなドラマ。観るのには気合がいるし、途中でチャンネルは変えられない。「ブラックリスト」は一種の現実逃避として楽しみながら観ることができる。例えばもし私がクレア・デインズの役を演じていたとしたら、衣装に関しても「この服はどこで手に入れたんだろう?お金はどうしたんだろう?」って考えて決める。でもリズの衣装を考える時は、「このシーンだとどんな衣装だったら楽しいかな?見る人はどんな衣装だったら楽しめるかな?」って考えるの。このドラマの幻想的な世界観をより高めるために、楽しさをベースにしてる。
リズのあらゆる面を考えて共同で選んでる。
自分の役柄は、視聴者と同じ目線を持っているキャラクターだと思ってる。何かに対して疑問を持つのが私の役目なの。ジェームズのキャラクターはスクリーンで輝きを放つ、観るのが最高に楽しいキャラクター。彼が出てくるだけでワクワクするの。リズが映画『レインマン』のトム・クルーズで、ジェームズ演じるレッドがダスティン・ホフマンって感じね。2人とも印象的なキャラクターだったけど、何年もたった後に覚えてるのはトム・クルーズのセリフよりも、床に散らばったつまようじを数えてたダスティン・ホフマンの方なの。間違いないわ。
1人の人間と1人のキャラクターのドラマね。キャラクターの方は、テレビ界の生きた伝説が演じる素晴らしく象徴的なキャラクターで、もう1人のリアルな人間を私が演じてる。
ある意味このドラマって、2人の主人公が存在すると思うの。暗闇から光の差す方へと向かっていくレッドと、逆に光の差す場所から暗闇へと向かっていくリズ。私たちはお互いに化学反応し合って、変化しているんだと思う。
エミー賞を受賞したコーディネーターのコート・へスラーを信頼して、全てを任せてる。エミー賞にはすごく感謝してるの。取り上げてもらえることで、ドラマの宣伝にもなるしね。
レスラーはこれまでにも結構撃たれたり怪我したりしてるから、もう十分血を流してきたと思うんだ。だからしばらくは大丈夫じゃないかな。シーズンが終わるまでとりあえず様子を見るよ。
可能な限りずっと続いて欲しい。ブラックリストに犯罪者の名前が何人くらいあるのかは分からないけど、「NCIS」とか「LAW & ORDER」のようになったらいいと思う。別にレスラーのスピンオフを狙ってるわけじゃないよ。
理想は特にないかな。全ては物語の展開次第だろうし。でも今すごくいい感じに進んでいるから、シーズンごとにどんな展開をするのかが純粋に楽しみなんだ。でも最高のクルーたちがこのニューヨークやLAで仕事をしてる。だからきっと続いていくと思う。「LAW & ORDER」みたいに、面白い限り続くだろうね。それにシーズンの間には休みもあるから、ミネソタの劇場で仕事をしたっていいしね。
そういう考え方もあるね。確かに、脚本家たちはすごく頭がきれるから、どんな行動にも必ず何か理由があるんだと思う。レスラーはどちらかというと善悪の区別を白黒はっきりつけるタイプの人間だった。それがレッドや様々な悪人たちと接することでグレーな部分を知るようになり、レッドのイデオロギーにルールや道徳の面でも影響を受けた。シーズン2では、レスラーには秘密があり、表面下で何か深刻な事が起きている。それがレスラーの仕事や人間関係や今置かれている状況にどんな影響を与えていくのかが描かれる。ただ、このドラマではどんな事でも起こりうるんだ。前にも言ったように、このドラマは予測するのが難しいから、今から2ヶ月後にどんな展開をしているのか分からない。2ヶ月後に家でテレビを見ている視聴者が驚くのと同じように、台本をもらった時に僕も驚いてる。だから自分のキャラクターを演じる上で長期的な計画は立てられない。とにかく今この時点で考え、選択する。2ヶ月後に自分の選択が正しかったのか、間違っていたのか分かるんだ。
スタント部門でエミー賞を受賞した、コート・へスラーっていう優秀なコーディネーターがずっと指導してくれている。それに、監督のマイケル・ワトキンスとは安心して一緒に仕事ができる。だから去年はすごくいい年だったな。それに様々な街に行けたし、出来にも満足してる。スタントに関しても、シーズン1第16話「マコ・タニダ」では走ってる車同士がぶつかりあうスタントシーンは最高だった。他にも地上から30メートルはあるビルの狭い足場のような場所で3人の中国人と戦うシーンとかね。だから今年はどんなことをするのか、ワクワクしてるんだ。去年を上回るか、新しいことをしないとって思ってるから。
大変な未来が待っているだろうね。いま第4話まで撮影したんだけど、何かがレスラーの表面下にひそんでいるのを感じ取ってもらえると思う。第1話で、レスラーが何かを抱えているということが分かるんだ。だから、その部分がこれから描かれていくと思う。脚本家たちがどの程度ストーリーを準備しているのかは分からないけど、何かがあることは確か。これがこのドラマの面白いところだと思う。登場人物の人生を垣間見る事ができるところがね。それが事件を描くストーリーとうまくブレンドしているんだ。ネットワークテレビのレベルは上がってるね。週ごとにブラックリストの悪人が登場するだけでなく、リズとトムの間の物語や、レスラーに起きる出来事も描かれる。視聴者の人たちにレスラーを知ってもらえるような、シリーズを通して描かれる部分が増えるといいなと思ってる。
今もしてない。
変わったと思う。色々な出来事を一緒に乗り越えたし、リズとトムとの間にどんなことがあったのかも分かっているから、共感する気持ちや理解する気持ちは前より確実に増えたと思う。ただ誰かを100%理解することはないんだ。レスラーがいい捜査官だと思う部分はそこかな。とにかく、レッドが出頭してきてからシーズン1の最後まで、レスラーは本当に多くのことを経験した。レッドに助けられたこともあるし、レッドはレスラーのことをかなり詳しく知ってた。だからレスラーは実はレッドの息子なのかも(笑)。いい捜査官というのは、誰かを100%信用することはないのかもしれない。誰にだって秘密はある。だからレスラーは前よりリズを信頼してはいるけど、リズに銃を突きつけられたとしてもきっと驚かない。躊躇なく撃ち返すだろうね。
どうなんだろう。正直言って、僕には全く分からない。視線はよく合うけどね。
あったね。でもその後何が起きたかは知らないんだ。一緒にワインを飲んで、いちゃついたのかも。どうだろう。僕も教えてもらってないんだ。彼女がやって来て、僕がドアを閉めた後に何が起きたのかは想像にお任せします、ということかな。正直、自分でも分からないんだ。でもファンからそういう要望が出てるのは知ってる。だから、「くっつくのかな?くっつかないのかな?」って興味を持ってもらえるのはいいことだよね。物語の展開にいい役割を果たす場合もあるし。だからもしそういうことになるなら、ファンの要望があるからとかではなく、それなりの陰謀なんかを絡めて展開させて欲しいな。もしくは、知らないうちにそうなってるとか。とにかく、面白いほど僕は何も知らないんだ。ただ、もしそういう方向に進めるとしたら、正しく進んで欲しいなとは思う。僕たちが恋に落ちてパリのセーヌ川のほとりを散歩すべきだとかそういうことを言ってるんじゃないよ。ストーリーやキャラクターを大事にしてもらって、やるなら正しくやって欲しいってこと。それがさらにドラマに付加価値を付けてくれたらいいかな。だから、反対ではないよ。ただ、脚本家たちを「さあ早く!」ってせっついてるわけでもない。どうなるかな。
ジェームズがどんな人か?かなり難しい質問だな。素晴らしい人だよ。役者って、本当に様々な事を噂されるんだ。その中には怖い話なんかもある。ただ、一緒に働いてみたらその話とは違った人もいるけどね。とにかく、始まる前から周りの人に共演者に関して色々警告されたりする。実際には仕事が始まってみなくちゃ分からないんだけど。本当にびっくりするほど様々なことを言われるんだ。それが、ジェームズの場合はさらにすごかったかな。でも、彼を撮影現場で見てもらえれば、彼がどれほど細かい部分まで正確に表現する人で、どれほどの準備をしてどれだけ考え抜いて演技をしているかが分かると思う。この世界で、その部分で彼を上回る人物はいない。彼は物事の実態を見抜く力のある人で、演技をする上で何が効果的かをよく分かってる。「一体どのくらい先まで見えてるんだろう?」って不思議な気持ちになるくらいだよ。だから、彼と一緒に仕事ができて、近くで彼の演技を見られるのは本当に恵まれてることだなと思う。それ以外の面では、ドラマがスタートした時からずっと謎の多い人。すごく親切で度量が広いんだけど、やっぱりつかみどころがない。まだ知り合ったばかりだからね。
ちょうどシーズン1が終了したあたりからスタートしていると思う。シーズン1はベルリンがワシントンD.C.にやって来たところで終わっていた。ベルリンはブラックリストの中でも最も重要な手配犯であり、我々には事件を解決したいというとても強い気持ちがあるんだ。だから全員が協力して、事件解決に挑む必要がある。シーズン2でのドラマのトーンは全体的により不吉な雰囲気で、暗くなっている。シーズン1のラストで経験した出来事により、登場人物たちが皆少し変化しているのが分かる。トムとの間で色々なことがあったリズが受けた影響は計り知れない。もちろん、クーパーももう少しで命を落とすところだったから、何らかの影響を受けているはず。警察とは言えもう何が起きるか分からない。だから例え絶対に安全だと思える人たちだって、実は安全ではない。今は私にはそのくらいのことしか言えないな。脚本家たちがさらに物語を展開させていけば、さらに色々なことが判明するだろう。でもまだシーズン2が始まったばかりだからね。
もちろん。ナヴァービはイランの女性で、モサドの捜査官。誰かがFBIに紹介し、捜査チームに加入した。私より上の誰かとつながりがあるんだと思うが、恐らくかなり上にいるような人物だと思う。CIAのマリクがチームに入ったのも、ジェーン・アレクサンダー演じる司法副長官の指示だった。だから彼女の場合も、何らかの権力が裏で動いているんじゃないかな。
彼女だけでなく、全員が怪しいと思う。誰もがお互いに疑惑を持っている。クーパーとしては…。彼は会社人間だから、上から命令を受ければ誰とでも一緒に仕事をするだろう。全てを自分の思い通りにしようという気持ちはない男なんだ。
クーパーは昇格したりはしていないが、警察という組織の中だから、何らかの命令はもちろん受けているだろうね。我々は司法省の機関だからもちろんクーパーにも上司がいる。FBIの長官だ。だからクーパーのポジションに変化はなく、今もチームの責任者だ。しかし、命令がさらに上の方から来るようになった。私も警察との深い関わりのある人たちと長く付き合っているから分かるんだ。官僚制度の慣習というのは、特に警察機関の場合、任務を完了するためには指揮系統が何よりも重要とされる。だから私は自分より上にいる誰かの地位を奪ったりすることはないし、目の前の仕事に専念するだけ。それに、警察の視点から言うと、レディントンは金の卵を産むガチョウなんだ。だから私が思うにクーパーはレディントンがこうして我々に力を貸してくれていることに関して邪魔をするつもりはない。レディントンのおかげで危険な犯罪者を街から除去できているということだからね。
やはりジェームズ・スペイダーの魅力だろうね。ジェームズ・スペイダーが演じることで、このレッドというキャラクターの魅力が増しているんだと思う。アメリカの古典的なアンチヒーローの型にぴったりはまっているとも言える。21世紀になり、善と悪の境界線が以前に比べてかなり微妙な色合いを持つようになった。白と黒が混ざったグレーの部分が何千、何万通りも存在し、我々はそのどこかに必ず当てはまる。白黒はっきりしていることはほとんどない。だから、「自分にとって価値のあるものを手に入れるために、どこまで悪に染まれるか」という疑問を、レディントンの存在が象徴しているんだろう。
回復には時間が必要だろうね。ただ割とすぐに仕事に復帰しているから、私が思うに2、3週間といったところじゃないかな。クーパーはシーズン2の第1話から登場する。でも完全に復活したわけじゃない。事件の精神的なダメージはかなり大きかっただろうし、影響も受けているはず。だから100%回復したという訳ではないんだ。
まず、現場に来るのは毎日ではないんだ。今の時点では『Batman v Superman: Dawn of Justice(原題)』の現場とこっちを行ったり来たりしている。他にも色々と活動しているので、ここに来るのは散発的なんだ。しかしこの場所にいられるのは自分にとってとても価値のあること。特に多くのテレビに出演してきた私だからこそ、そう思う。ほとんどの作品があまりヒットせずにシーズン1でキャンセルになったり、長くは続かなかった。だから最初からヒットが約束されているような作品に参加するのは初めての事なんだ。
私のここでの仕事は、作品の人気を継続するために自分にできる全てを出すこと。自分が主役だ、なんて勘違いはしていないからね。私は脇を固める存在として、付加価値を与える役割を担いたいと思っている。それに、1つの作品の中で息の長い役者になるべく学んでもいる。それは、短い作品にばかり出演してきた役者にとってはすごく魅力的なこと。脚本家が考えるそのキャラクターの方向性が自分の意向と同じだったらさらに素晴らしい。まるで何か不思議な力が働いているようだよ。役者がセリフを言い感情を表現するというのは、自分の感情をも注ぎ込むということ。それでも、そのシーンが次にどんな風につながっていくのかは分からないこともある。第2話で言ったセリフが17話まで意味をなさないとしても、役者はとにかく最高の演技をしなければならない。そういう部分を踏まえて仕事をするのは大変なこと。脚本家たちの意見と自分の考えの間でバランスを取る必要もある。できたものを一度分解して元に戻すような、まるで演技を通じて編集作業をしているような気分になるよ。
自分にとってすごくいい訓練になっているのが、周りの声をよく聞くということ。それがこの1年半で私の一番の難関だった。クーパーも立場的に、情報をふるいにかけ、重要事項を見極め、テロ対策本部の副本部長として上に何を報告するのかを考えているはずだからね。レディントンとブラックリスト以外にもやることはあるし、その他にも色々なことを抱えている。実際の仕事と同じように。しかし、レディントンとブラックリストの件は今優先させるべき事であるのは確か。このチームを率いる責任はクーパーにある。私が実際にこのドラマ以外にも仕事があることを考えると、ドラマが実際の生活と反響しているようだよ。他のプロジェクトを進めながら、自分のプロダクションを立ち上げ、このドラマに出演する…。ドラマと現実の境目が曖昧になってきているよ。
確かに権力のある役が多いね。それが自分に合った役なんだろうな。バリー・ボンズに「インサイド高めに早いボールが来たらどうする?」と聞くようなものだ。権力のあるキャラクターを演じる機会がすごく多いのと、それが私の気性に合っているんだろうね。声は低いし、この通り上背もある。だから、様々な面で、私はこの歳になるまで自分の特性を活かせる役を待っていたとも言える。この声は昔からずっと変わらないから、18才の時に40才の役を演じたこともあるんだ。だから50才近くになって、ようやく自分と同じぐらいの年齢の人物を演じられるようになった。演じる時は、ジェームズ・キャグニーが昔言った言葉をいつも思い出すようにしているよ。彼はね、「役者とは2本の足でしっかりと立ち、相手の目を見て真実を告げるものだ」と言っていた。だから権力のあるキャラクターを演じる際には、それをまず意識するようにしている。だから今の時点では、クーパーの身の安全に関しての心配はあっても、権力のある人物を演じることに関しての不安はない。
確かにそれはある。彼女(バーミンダ・ナーグラ)と一緒に仕事をするのはとても楽しかったしね。だから彼女を失った事ですごく考えさせられたよ。クーパーも、ここにいる人間は全員安全じゃないと感じただろう。もちろん対策はしているだろうが、こういう仕事をしていると、毎日が人生最後の日になる可能性がある。デスクワークとは違う。現代で警察の仕事をしているこの位の歳の男は、特にドラマの中でここ最近起きている出来事を考えると、誰も安全ではない。きっと誰もがそれを意識していると思う。
シーズン1の第15話「判事」の、ダイアン・ウィーストがゲストだったエピソードの中で、クーパーが過去にある暴力を振るっていたことが分かるから、昔からそういう部分はあったと思う。アフガニスタンで誰かにひどい暴力をはたらいていたんだ。理由もなく誰かに暴力を振るうわけではないがね。それに、首を絞められたエピソードでは、私は銃を所持していた。誰かが助けに来てくれる様子もなかったから、おそらくあの男に何かが起きたはずだ。私が推測するに、クーパーが男に反撃し、勝ったんだろう。銃を使ったのはクーパーだったはず。だから、自分のいる世界が危険だという事実が、ハロルド・クーパーにとっていまさら驚くような出来事だったとは思わないし、そのことが彼の仕事の仕方を変えたとは思えない。規則に従い、言われた通りの仕事をする男だからね。きっとそのスタイルを続けていくと思うよ。
司令室でのシーンを撮影したよ。いつもの捜査員たちと、そこで情報を集める。そして情報を取捨選択し、次の行動を指揮する。そういう仕事場のシーンだったね。
今やホームだよ。このチェルシー・ピアという場所が本当に気に入ってる。それにキャストの役者たちも素晴らしい。撮影クルーも最高。だからすごく楽しんでいるよ。
決まっていなかった。この仕事をしていると、保障されていることは何もないんだ。物事は常に変わる可能性がある。ただ、クーパーにはあのエピソードの中でどうにか生き延びていて欲しいなとは思った。しかし、台本を読んでいるうちに、登場人物の運命については何ひとつ分からないという気持ちになったよ。それはとても楽しいことだけどね。
そういった相対的な事は、私には分からないな。それを予測するには、視聴者の興味がどれ位長く続くかを知る必要がある。でも、そんなことが出来たら大金持ちだよ。何シーズンでも、続いてもらえたら自分たちにとってはありがたいことだと思う。私はわりと迷信を信じる方だから、あまり言葉では言いたくないんだ。
その通りだよ。私が一番好きなテレビドラマ「ガンスモーク」は20年も続いた。だから出来る限り長く続いて欲しいなと思う。レディントンというキャラクターにも、リズというキャラクターにもすごく魅力を感じているしね。2人の間に起きる出来事だけでなく、私とレッドの関係についてもこれから長い時間をかけて描かれていくだろう。レッドとクーパーは明らかに面識があったからね。クーパーに対して歯に衣着せず嫌なことを言うレッドに対し、クーパーは黙っていることが多い。なぜクーパーはレッドに対して何も言わないのか?願わくばそういった面がこれから明らかになっていくといいなと思っている。
シーズン1では準レギュラーだったんだけど、第3話に初めて出演してから出演回数が増えたんだ。それからは、かなり頻繁に登場する準レギュラーって感じだった。レギュラーになるっていうのは、登場シーンとストーリーに絡む事が増えて、ブラックリストの悪人たちを捕まえることにより関係するということじゃないかな。
今はシーズン2の第4話の撮影をしていて、第5話がすごく面白いって聞いたところ。そういうのは去年と変わらない。ただ、僕のシーンが増えてるからね。同じドラマなんだけど、より自分にとって大きな意味を持つドラマになった。物語にもっと絡むだろうし、やることも増えるし、もっと陰謀に巻き込まれたりするだろうからね。
すごく面白い展開が待ってるよ。シーズン2は少しダークな感じ。でも登場人物たちのキャラはもうシーズン1で定着しているから、シーズン2で彼らの人間関係を掘り下げたり、微妙なニュアンスを出せるのがいいよね。僕がすごく楽しみにしているのが、僕が演じているアラムのバックグラウンドが少し明らかにされることなんだ。これまでは、ドラマのクリエーターに電話をかけて要望を伝えたりすることは一度もなかった。常に自分のセリフを頭に入れ、自分の立ち位置からはみ出ないように、なるべく殺されないように、準備をして現場に入る、ということをモットーとしていたからね。でも今回初めて、アラムの過去を少し明らかにするのはどうかなって話したんだ。みんな快く僕のアイディアを取り入れてくれた。このドラマって、全員が協力し合って仕事をしている感じなんだ。だから、楽しみに待っていて欲しい。
その質問は脚本家にした方がいいかも。これからどんな展開が待っているのか、僕は何も知らないんだ。シーズン1では、クーパーが過去にレッドとつながりがあるという謎のバックグラウンドがあることが分かった。それに、レスラーとレッドが同じ血液型だというのもシーズン1のどこかで判明したよね?そういった様々な小さな秘密が色んなポイントで明らかになったけど、それがさらに大きな秘密へとつながっていく。それに、脚本家は本当に頭のいい人たちだから、何かのセリフが、その8話あとのエピソードにつながったりするんだ。もしくは、シーズン1の第2話で話していたことが、シーズン2の最終回で出てくるとかね。物語は色んな方向に展開するけど、全ての謎にちゃんと意味がある。
どうだろう。シーズン1のラストでチームの1人が殺されて、明らかに傷ついてるからね。アラムは繊細な男なんだ。でもセラピーに通ったりして、何とかしようという気持ちはあるみたい。
実は、NBCのウェブサイトですごく面白いことをやってるんだよ。“アラムのノート”っていうのがシーズン1からスタートしてる。アラムの視点から、放送されたエピソードを振り返ってるんだ。「アンズロ・ギャリック」(シーズン1第9~10話)のエピソードで、アラムが少しクローズアップされて、デンベやリズを助けるために男を撃たなきゃいけないっていうシーンがあって、そのエピソードがきっかけに始まったんだ。アラムはこれまで一度も実際に銃で人を撃ったことはなかった。だから仕事に戻れるようになるまで、セラピーに通ってたんだ。そこでセラピストに日記を書くように言われて、それをNBCが“アラムのノート”として公開し始めた。だからノートはアラムの視点でエピソードをおさらいしている感じ。ドラマの熱狂的なファンやアラムのファンにはたまらないちょっとしたネタがたくさんあって楽しいと思うよ。
どうだろう。「ブラックリスト」ならやりかねない。シーズン1でスパイの疑いをかけられた時は本当に恐ろしかった。多分僕をスパイにするっていうアイディアもあったんだと思う。でもきっと僕の守り神が「アラムは残しましょう。少なくともあと1シーズンぐらいは」って言ってくれたんだよ。
今のところシーズン2でもアラムの役割はシーズン1と同じ感じではあるけど、少しだけ進化してる。でも明るめのトーンは今も健在だと思うよ。
そうなんだ。ゲストの顔ぶれがすごい。アラン・アルダやダイアン・ウィーストがシーズン1で登場したし、シーズン2ではピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンス!ポール・ルーベンスがすごく面白い役を演じてる。それにメアリー=ルイーズ・パーカーやピーター・ストーメアもね。
夢のようなメンバーだよ。でもアラムはだいたいいつも作戦司令室にいるからチームのメンバーとの共演シーンがほとんどなんだ。他のゲストとの絡みがあまりない。僕の出演シーンのほとんどが他のレギュラーキャストとのシーンなんだよね。でもスペイダー氏と一緒のシーンがある時はただただワクワクする。一緒のシーンはそんなに多くないけど、本当に特別な事だって感じてる。
彼は本当にすごく集中力があって、細部までこだわって、色んなことに気付くことができる、才能のある人。レベルを引き上げてくれてる。
去年彼と初めて一緒のシーンを撮影した時は本当に面白かった。彼がどれだけ入念に準備をしてきたかが分かったから。それに、あるシーンの途中で彼が「この書類はこっちにあった」って指摘したんだ。脚本監督みたいな感じでね。僕もそういうタイプの人間だから、「やばい。僕もジェームズ・スペイダーと似てる要素があるんだ!」って思ったよ。いつもは自分が強迫神経症だってことは隠してるんだ。誰かの邪魔はしたくないからね。でもスペイダー氏を見て、強迫神経症でよかった!って思えたんだ。彼の仕事ぶりや細かい部分にまでこだわっているところを見るのは、それだけで勇気付けられる。
ああ。自分なりに考える原則みたいのがある。いい仕事をするための4つの原則。まずは時間厳守。2つ目はきちんと準備すること。3つ目は前向きでいること。4つ目は我慢強くあること。いい事だと思うから若手の役者さんとかにオーディションやセットの中で話す事もあるよ。スペイダー氏には確実に備わっている部分。
そうだね。シーズン1の時から進化はしているかな。マイケル・ワトキンスが監督した、アラムが男を銃で撃たなきゃいけなくなったエピソード(シーズン1 第10話「アンズロ・ギャリック」)で、僕たちはお互いの命を救った。マイケルいわく、戦争に行ったことがある人や刑事、誰かを撃つことで他の誰かを助けた事がある人には命と命のつながりが生まれる。妻や子供、親友との絆と、一緒に戦った者同士の絆はまた別物なんだ。だから僕たちはお互い常に味方であり、ただの同僚という以上の友情がある。相手のためにルールを破ってでもいいと思えるくらいの友情がね。メーガンともすごく仲良くなってきてとても楽しくやってるよ。1つの役をしばらくの間演じていると、その役と他のキャラクターがうまく回転するのを感じられたりしてすごく気持ちがいいね。
それに、アラムがだんだん自分と同じような皮肉やジョークを言うようになってきたのが面白いし、本当に夢のような仕事だよ。自分が恵まれている事に感謝する毎日だね。
その事についてあまり長く考えたりはしないかな。その謎がこのドラマを動かしている部分だし、そこはできるだけ長く謎のままでいて欲しい。そうすればその間仕事がもらえるってことだし。それに脚本家たちは僕の理解の範囲を超えて頭のいい人たちだからね。何となく展開が読めたな、と思うと物語を新しい方向へクルクルと転換して全く違う色の違う形に変えてしまうんだ。アラムと他のメンバーと、レッドとの関係もすごく興味深いよね。レッドが殺人犯であり危険な男だというのはみんな分かってる。でもブラックリストのおかげで極悪人たちを逮捕したり悪の組織を取り締まったり、多くの命を救うことができているのも確か。そのために犠牲も払っているから。それにレッドのことは嫌いにはなれないんだ。リズのことを守ってくれるからね。これまでも現場で何度となく彼女の命を救ってきたし、レスラーやチームだって助けられてる。だからリズの安全面を考えると信頼もしてる。それが彼女の友人であり同僚でもある自分にとってはすごく重要なことなんだ。彼女とはこれからもこのチームで一緒に事件を解決したいと思ってるからね。
その質問は僕には難しくて答えられないな。視聴者は疑問に対する答えをある程度もらえないと興味が薄れてくると思うんだ。だから秘密は明らかになるとは思うけど、その答えが新たな疑問や新たな謎を生むっていうのが希望。一度何かが明らかになると、それが新たな謎を生むだろうね。さらに複雑で魅力的な謎をね。だから、僕は本当に分からないんだ。それに、未知の世界にいることは僕にとって苦じゃないんだ。ジェームズとメーガンが少し先の展開を知ってるみたいだけど、僕は知りたくないよ。
今はシーズン2の第4話を撮影中。第5話の台本をもらったばかりなんだけど、そっちの台本は見ないようにしてるんだ。今まだ4話の撮影をしているところだからさ。でも視聴者と同じように「知りたい!知りたい!」ってウズウズしてる。第5話のことを考えるとワクワクしてくる。だから「5話のことはいったん忘れろ。4話に集中するんだ」って自分に言い聞かせるんだけど、とにかく次のエピソードでどんな展開が待っているか、何が明らかになるのか、知るのが楽しみで仕方がない。僕もドラマのファンだからね。
今のところはみんなすごく親切にしてくれてる。『Raisin in the Sun(原題)』 の初日公演に行った時、ウェーターに話しかけられたんだ。「ドラマ見てるよ。僕もコンピューターの技術者なんだ」ってね。じっと顔を見られてドキっとしたけど、「なかなかやるね」って言ってもらえた。気褐色の肌でヒゲがあって、アラムみたいな男だったな。褒めてもらえてよかったよ。
エピソードの撮影に入る前に、自分でできる最善のリサーチはする。そのシーンの共演者やチームのメンバーに電話することもあるし、モニターとかスクリーンに映っている映像を担当してるミックとケヴィンとも話をするよ。リハーサルの後は、2人と20分くらい一緒に作業する。「まず、この画面がスクリーンに出るんだね。それでこう打ったらこの画面になる。それでハッキング。この位の時間ハッキングしたらこうなる?」みたいな感じでね。カメラにどこが映っているのか、どの位の時間映るのかをチェックする。アラムを演じるための筋肉をシーズンを通してそうやって鍛えてきたって感じかな。
どうかな。スタントシーンをやると怪我をすることもあるから。アラムが怪我したり殺されたりすると困る!だから喜んでパソコンの仕事をするよ。でも、脚本家はみんな優秀だから、どんな内容であれ、僕は準備して時間通りに現れ、前向きに我慢強く仕事をするだけさ。
今のところすごくいいよ。スケールがより大きくなってる。シーズン1では「シチューメイカー」(第4話)とか「ミルトン・ボビット」(第18話)とかが人気だったのかな。シチューメイカーが鼻を取るシーンはぞっとしたよね。心理的にぞくぞくさせるのが上手いんだよ。脚本家たちはみんなそういうのが好きなんだ。恐ろしい事件も多かったし、きっとこれからもそうだと思うよ。
ホラーではないかな。僕にとってホラーっていうのは、血がたくさん出てくるような作品。だから心理スリラーと言った方が近いかもしれない。事件によってはそういう要素の多いものもあるけどね。僕の捉え方としてはだけど。
その辺りはシーズン1とそこまで変わらないかな。違うことといえば、事件のスケールが少し大きくなって、よりダークになり、人間関係がより発展し、登場人物のバックグラウンドがより明らかになること。特に主役であるレッドのバックグラウンドがね。それに、ご存知の通りナヴァービという新しいキャラクターも登場する。以前はモサドのエージェントだったみたいだけど、とにかくまだ謎の存在。新しい女性の登場で、アラムもいいところを見せようと張り切るんじゃないかな。これは本当の話なんだけど、シーズン1でアラムは1度もネクタイピンを付けていなかった。それが、突然ナヴァービが登場して以来、衣装室にネクタイピンが用意されるようになった。コスチューム・デザイナーのアイディアかな。
いや、それは演技をするちょっとした楽しみなんだ。自分の机を見るだけで、色んな妄想ができる。「これは、こういうことを意味してるのかな…。」って感じで楽しんでいるんだ。細かく妄想することが、演技の幅も広げてくれる。セット・デザイナーやコスチューム・デザイナーの力でもある。クリエイティブな才能にインスパイアされるって感じなんだ。アラムが自分と同じようにジョークを言ったりすると、そこからコスチューム・デザイナーがインスパイアされたり、台本を読んでアラムがナヴァービの気を引こうとする部分から、突然ネクタイピンが衣装室に用意されたりする。人間同士が影響をし合ってドラマが作られるんだね。
そういうこと。すごく楽しいことだなって思う。そういった小さいけど価値のあるものを積み上げていきたいと思うんだ。この作品って、1話完結の犯罪ドラマとシーズンを通して続くストーリーが合わさってできてる。本当に素晴らしいイマジネーションだよね。それに、他の犯罪ドラマと違って、事件がすごく奇抜で、ブラックリストというアイディアもそうだけど、逮捕するのが不可能なような犯罪者たちが登場する。そして、彼らを捕まえるために、さらにすごい犯罪者に導いてもらう。実際にどこかに存在するんじゃないかって気さえしてくる人たちだよね。脚本家たちは、『バットマン』のジョーカーみたいな思い切ったすごい悪人を毎週登場させたいって考えているみたいだよ。
「ブラックリスト」の場合は、さらに大きな謎につながるような悪人がいる。レッドやリズには直接関係していないような事件もあるけど、リズやFBI、なぜレッドは投降したのか?という謎に直接つながっているようなね。事件そのものよりも、人とのつながりがより重要な意味を持っているから、この作品はこんなにも面白くなっているんだと思う。
それがひどいのよ、みんなが私のこといじってきて。なんてウソ。すごくいい人たちよ。新しいレギュラーメンバーは私1人だと思うけど、本当に歓迎してもらってる。
チームに派遣されたモサドの捜査官。その裏にどんな秘密を抱えているのかは、シーズン2で少しずつ明らかになっていくと思うわ。彼女はレッドを長い間追っていて、第1話でレッドと接触する。その後チームのメンバーに加わるの。
どんなに人気の作品であろうと、準備の仕方はいつもと同じね。
技術的な面でアクションが多いから、体を作る必要はあった。アクション・シーンが予想を超えて素晴らしいところが、このドラマの刺激的な部分だと思ってるしね。だからアクション・シーンでしっかり動けるように、武道のトレーニングをしてる。それに銃のトレーニングや戦術的なトレーニングも。あとは、彼女がどんな人物なのか、なぜ彼女がレッドを追っているのか、レッドが彼女にとってどんな意味があるのか、このドラマの中で彼女が関わる全ての人とのバックグラウンドやバックストーリーを考えて役作りをしたわ。
そうは思ってない。正直に言うと、その間逆だと思ってる。レッドの存在を、むしろ喜んでる。彼の能力を尊敬して、憧れてもいる。追いかけていた時はもちろんレッドを犯罪者として見ていたけど、知的で頭の切れる、なかなか捕まえることが出来ない犯罪者をどこかで尊敬しているんだと思う。彼女自身もエキスパートだから、他の分野のエキスパートに感心しているの。だからたとえレッドが悪人だとしても、彼の能力にはどこか魅力や喜びを感じてるんだと思う。
分からないけど、ないと思う。私も答えを知らないことがたくさんあるのよ。きっと謎が次々に明らかになっていくと思うわ。
2人も知らないんじゃないかな。
いいえ、夏の話だった。確か6月か7月だったかな。
その時はまだ他のドラマに出ていたから、このドラマに出演するためにそのドラマを降板しなきゃいけなかったの。だからそのプロセスはあった。でももちろんすぐ承諾したわ。シーズン1をすごく楽しく観てたしね。毎週視聴者として、ファンとして番組を観ていたから、何人かキャラクターが殺された時に、事務所にメールしてたの。「次のシーズンで空きが出るかもしれないから、注意しといてね」って。これ、本当の話よ。それで2ヵ月ぐらいたってからオーディションを受けた。それで、役をもらってからこの事を思い出したの。この役を演じる運命だったのか、それは分からない。そういうことは信じていないから。でも目をつけていたのは確かだから、もしかしたらそうなのかもね。
理由はたくさんあると思う。まず、聡明な人だからかな。一般的に犯罪者ってすごく限定的な表現をされることが多いけど、このドラマではその概念を覆してる。レッドはすごく知性があって、ワイン通で、8ヶ国語を話せて、びっくりする位チャーミングで、冷酷で自己中心的な部分もあり、そうかと思うと土壇場でリズを助けたりする。だから、彼の魅力というのは、白黒はっきり分かれていない、「善人なの?悪人なの?」って常に考えさせられるところなんだと思う。それにレッドの謎めいた父性について、私なりに考えたの。誰も賛同してくれないんだけど。でも私が思うに、根本には娘のような存在を守りたいという気持ちと父親のような存在に守られたいという気持ちがあるの。その思いを2人がお互いに持っていることが、観る人たちに響く。あとは何よりも、ジェームズ・スペイダーがすごく格好いいからなんじゃない?
それはないんじゃないかな。私はそうは思わない。それも面白そうだけど。みんなそれぞれ考えがあって、そのどれも魅力があると思う。それに可能性は無限にあるし、謎も多い。すごく人気の作品って、そのジャンルに必ずしも興味を持っていない人たちを魅了してるっていうことだと思う。私、ヴァンパイア映画は嫌いなの。だから私が好きなヴァンパイア映画があれば、これは成功した映画なんだなって思う。このドラマもそう。私がこのドラマのシーズン1に魅了されたのは、ストーリーが思わぬ方向に展開していくのがすごく面白いし、スケールが大きかったから。でもジェームズ・スペイダーに人をひきつける力があるからでもあるわ。撮影の初日は、彼とのシーンだったの。別れの挨拶をするシーンなんだけど、彼が振り向いて私の名前を呼んで何か言うの。そして私が答える。その後の彼のセリフで、彼の瞳を見ただけで、そこに喜び、驚き、「またね」、「君は誰?」っていう4つの違う感情があるのが分かった。最小限の動きしかしない彼の表情から、たくさんのことを読み取ることができたの。彼の演技にはたくさんの気持ちが込められていて、深みがある。すごく繊細なんだけど、誰でもそれを感じとることができる。演技の勉強をしている学生じゃなくても、彼の演技にはいくつも層があるのを無意識に感じることができると思う。
最高の気分になるし、本当に嬉しい。それだけ演技の幅が広いし、言葉を使わずに物語を語ることができるんだなって思った。役者として学ぶべき事が本当にたくさんある。そういうタイプの役者さんがいることは感じてた。表情だけで様々な表現ができる、本当に才能のあるタイプの人たちね。ジェームズは間違いなくそのひとりだと思う。
まだまだこれから増えていくんじゃないかしら。見えない壁が完全になくなった、とまではいかないと思う。でも、そういう意味でもこのドラマは数少ない本当に素晴らしいドラマだと思う。一般的に、数だけ見ると女性の役って男性5人に対して1人くらいだし、20人男性の監督がいたら女性の監督はそのうち1人くらい。だから今の世の中を反映するほど変わったわけではないと思う。
どうだろう。まだそこまで共演シーンは多くないの。でもそれも物語の構成通りだと思うわ。レッドは外ですごいことをやっていて、私たちは司令室にいるか、悪者を追いかけてるかのどちらか。でも次のエピソードでは、接点があるわよ。
ええ。新しいキャラクターってどんな人物でも、今の私のように謎めいた侵入者のように見えるんだと思う。自分自身でさえも「私って誰?」って感じるしね。それに、イラン人でモサドの捜査官って聞いただけで複雑だし。だから、少しのためらいや不安を感じながら、2人はお互いに接してる。でも私たちの関係は少しずつ変わってきてる。そこがすごく気に入ってるの。ドラマ自体の在り方と同じで、少しずつ展開していって、紆余曲折があって、近づいたり離れたりする。進化していくの。だから、これから重要な関係になると思うわ。
そうだな。シーズン2のデンベは、多分シーズン1と似たような事をやってる。まだ3、4話しか撮影していないけど、最初の2、3話でレッドとデンベは何かを追ったり、探したり、誰かを捕まえたりしてるよ(笑)。
デンベはそこまで変わっていないんじゃないかな。他のキャラクターたちはみんなシーズン1で変化したけど、デンベは一貫して変わらない部分があるキャラクターなんだと思う。彼の仕事は、いつでも動けるように待機しておくこと、それはシーズン1でも同じだった。時々例外もあるだろうけどね。シーズン2ではまた、出番が来るまでそばで待機するというスタイルに戻ってる。だから変わってない。
そうだな。シーズン1で気に入ってるのは、第9話と10話「アンズロ・ギャリック(前後編)」かな。レッドがあの箱の中にいて、レスラーが撃たれて、悲しい事にルリが撃たれてしまったエピソード。うまく言えないけど、あの時のジェームズとのシーンはとても楽しかった。アラビア語で祈ったりね。それに、今まであまり明らかになっていなかったレッドとデンベの関係性が、少しだけ視聴者に明かされた。魔法にかけられたようなシーンだった。2人にとって、特に僕にとっては特別なものになったね。
シーズン1で一番手ごわかった犯罪者か…。僕はアンズロ・ギャリックだと思うな。恐らく、シーズン1でレッドを捕まえることができた唯一の人物だし、レッドにダメージを与えることにも成功してる。ルリは死んだし、デンベも捕まって、FBIの組織に忍び込んできた。だから僕にとって、シーズン1で一番手ごわかったのはアンズロ・ギャリックだね。もちろん、その後でベルリンがやって来るけど、ベルリンがどんなことができるのかはまだ分からないから。だからやって来て色んなことをめちゃくちゃにしたという点で、アンズロ・ギャリックだよ。
ベルリンがどんな人物かは全く分からないけど、危険な男だってことは知ってる。そのうち会うことにはなるだろうね。
シーズン1の時と同じで、何も分からないっていうのがエキサイティングなんだ。僕も個人的に何も知らされてない。だからどうなるとしても、飛び込むしかないよね。僕はただ身を任せて楽しむだけ。どのエピソードも分からないことだらけだからこそワクワクするし、面白い。ファンにとってもそうだ。だからこそ観てもらえる。それに、僕たち演じている役者にとっても同じ事なんだ。僕もそのドキドキにハマってるよ。
こんなに素晴らしいドラマに参加できるなんて、すごくいい気分だよ。でもシーズン1が終わるまで実感はなかった。というのも、実際に演技をして仕事をしていると、仕事に集中しなきゃならないし、やることもたくさんある。だからシーズンとシーズンの間に旅行したり、人がたくさんいる場所や電車に乗ったりして初めて、周りに「あ!」って気づかれたりして、その時に「ああ、このドラマは国内だけじゃなくて世界中で人気があるんだ」って実感した。だから、実感したのは時間がたってからだった。中に入っていると、外で起きていることって分からないんだ。外に出てみて初めて様子が分かる。シーズン2がスタートして、このドラマの人気はもう認識しているし、どのくらい話題になっているのかも知っているから、心の底からワクワクしてる。どのくらいの割合でドラマがヒットするのか、どのくらいの割合でヒットドラマに出演できるのかを考えると、一瞬一瞬を楽しまなきゃいけないなと思う。もちろん日々楽しんでやっているよ。
何も知らない。どんな展開をするかについては全く知らないんだ。何も知らない状態で台本をもらう。だから台本をもらった時に衝動を抑えるようにしないと、一瞬にして最後のページまで読んでしまいそうになる。自分を抑制してやっと、1ページずつ最後までじっくり読めるようになった。本当に心をそそられるんだ。でも本当に何も知らない。どのエピソードでもね。
確かにネタばれしないように常に気をつけなきゃいけないね。でもそれって、脚本家たちが僕たちに何も知らせないように頑張っているからだと思う。正直、本当に何も知らないからね。それが僕の立ち位置なんだ。全く知らない。台本を渡されればもちろん分かるけど、それ以外の、ストーリー全体の展開や登場人物たちに関しては、次のエピソードの台本が来るまでは全く分からない。
すごく楽しいよ。新しいキャラクターがたくさん増えたし、素晴らしい役者が何人も参加してくれている。個人的にも今まで会った事もないような人たちと会えて、一緒に仕事をすることで彼らの演技を見て、そこから学ぶ事ができるのはすごく面白い。本当にみんな素晴らしい人たちなんだ。優しくて紳士的で。だから、夢が叶ったような気持ち。あらゆる才能が集まるような場所で自分も経験が積めるんだからね。色々吸収したい。誰だってそう思うと思うよ。
僕、ドン・チードルのファンなんだ(笑)。役者としてすごく好きだね。今思いつくのは、彼くらいかな。是非一緒に仕事がしてみたい。
ドラマが始まるとすぐ、私が演じるレイモンド・レディントンがワシントンDCにあるFBIの本部に出頭してくる。彼はFBIの最重要指名手配リストの10人のうち4人目の人物。FBIは当然慌ただしくなり混乱する。なぜ彼が出頭してきたのかはFBIにも分からないが、レディントンは入国してきた犯罪者の情報を教えてくる。そして彼はエリザベス・キーンという女性としか話さないと言うんだ。その女性が誰なのかこれもやっぱり分からない。後に登場する彼女はとても若い新人のFBIプロファイラーで、彼女とレイモンド・レディントンの関係は謎だ。第1話の中ではまだ2人の関係は明らかにされない。
ドラマの内容について説明するのはあまり得意じゃないんだよな。今まさに、このドラマを作り上げているところなんだ。映画でもテレビでも、ほとんどの場合今のこの段階では内容については分からないことが多い。それが楽しい部分でもあるがね。テレビの場合だと、1つのドラマを撮り終えた時点でも何が何だか分からない、なんてこともあるよ。この作品は特にそうだと思う。私が演じるのは得体の知れないキャラクターで、ストーリー自体も謎が多い。ドラマというのは、撮り方や、ストーリーを1つのシーズンの中で展開させるのか、それとも幾つかのシーズンを通して展開させていくのか、自由に構成することができる。そこが気に入ってるんだ。台本を読んですぐにいいなと思った。パイロットの台本を読み終わった時も、大部分が謎のまま残っていたから、次はどうなるんだ?と思わされた。そんな風に「次はどうなるんだろう?」と思わせるのが、テレビドラマのシリーズにまさに求められている部分だと思う。
テレビも映画も舞台も、それぞれ全く別物だから面白い。映画だと、ストーリーは始めから終わりまでもう決まってる。中盤の展開だって分かる(笑)。撮影現場に足を踏み入れる時にはもうすでに全部頭に入ってるんだ。それでも演技に関することや舞台設定なんかに関して驚くことはある。それがテレビドラマの場合は主にストーリーに驚かされる。それが楽しいんだよな。実は、今まであまりテレビは見てこなかったんだ。昔も今も、あまりテレビは見ない。だけど、もしかして今自分は視聴者と同じような気持ちでいるのかなとは思う。今までは、視聴者が特定のドラマに対して「来週まで待てない」という気持ちになることが理解できなかったんだ。そう感じたことが今までの人生でなかったからね。でもテレビの仕事を少しするようになって、演じる側ではあるけれど、「来週はどうなるんだ?」って思う視聴者と同じような気持でいることに気づいたんだ。次の週の台本をもらうのが楽しみでしょうがないんだよ。私が今年になってテレビに求めていたのは、好奇心を満足させることだったんだ。ドラマは1週間後にどんな意外な方向へでも展開させることができる。まさにこのドラマがそうだったんだ。ふり幅が広くて、新しいキャラクターに関しても無限の可能性があるし、設定や人間関係の方向性にも制限がない。それが好きなんだ。そこに惹かれた。
レイモンド・レディントンというキャラクターは、さっきも言った通りFBIの最重要指名手配リストの10人の中の4番目だ。でもそのことに彼はあんまり関心がなさそうだな。順位なんて気にしないんだろう(笑)。それに彼は、この世界の物事を違う視点から見ている、特に自分のいる世界のことをね。私も、今の段階ではそこまで多くの事を知らないんだが、彼の観点が我々のものとは違っていることは分かる。最重要指名手配リストの10人のうちの1人だしね。
彼に関しての情報は色々ある。FBIや司法省も情報を持っている。でもその情報には憶測が混ざっていたり、中には真実もあるだろうが、決定的でなかったり全体を把握できていなかったり、もしくは単純に真実ではなかったりするんだ。そこがいいなと思った。これから彼に関していろんな真実が明らかになっていくと思うが、できればドラマが続くかぎり真実を追い続けてほしい。それが最終的にはドラマを支えていくんだと思う。真実を追い求め、手が届くようで届かないというのが軸になっていくと思うよ。
「ブラックリスト」では、最重要指名手配犯が出頭してきて、主にその謎が描かれていく。彼は犯罪者のリストを持っていて、その犯罪者の逮捕に協力できると申し出てくるの。でも彼は、1人の女性としか話さないと条件を出す。それが私が演じるエリザベス・キーンよ。
エリザベス・キーンはどのような人物ですか?
私が演じるエリザベス・キーンは、都会で生きるための知識をたくさん身に付けた女性で、プロファイラーとしてFBIに初出勤する。そこで、今までより相当レベルの高いことを要求されることになる。最重要指名手配犯が出頭してきて、エリザベス・キーンとしか話さないって言われても、彼女にはその理由が全く分からない。彼との接点が全く思い当たらないの。そこから2人が連携することで物語が始まる。
強くて頭の切れる女性だし、自分の専門分野以外のことにも立ち向かっていく所に惹かれた。普通だったら絶対にありえない事に立ち向かうにはすごく勇気が必要だし、挑戦することで最終的にはすごく成長すると思った。若い女性で、新人なのに逃げないで勇気をもって賢く立ち向かっていけるなんてすごい。すごく成長するはずよ。
こんな激しいエクササイズは、エアロビでもしたことがないわ。素晴らしいアクション・シーンがたくさんあるの。車が事故に遭って煙にまみれたり、ひっくり返った車から脱出したり、後ろで爆弾が爆発したり。私の役はプロファイラーなのにまるで現場の捜査官みたいに動き回る。必要に迫られてね。犯罪者であるレディントンに差し向けられて色んなことをする。でも普段だったら絶対できないようなアクションにチャレンジできてうれしい。こんなことでもなければ経験できないからラッキーよね。
レディントンはエリザベスにゲームを仕掛けてくるの。ネコがネズミをもてあそぶみたいなゲームだけどね。エリザベスは彼とは何の関係もないけど、自分の人生についてレディントンが色々知っていることに疑問を感じてる。そして彼に会ったことで、エリザベスのいる世界は人間関係も含め、全てが揺らぎ始める。ただ、彼が持っている情報はFBIにとってはすごく役立つ情報なの。そしてFBIは彼女がずっと憧れていた場所で、今は新人の身。だからそういう意味ではレディントンの存在は彼女にとってはプラスにはなる。エリザベスはゲームには興味がないんだけど、レディントンにとっては何よりの喜びなの。
とってもチャーミングなライアン・エッゴールド演じるトムと結婚してるの。彼に関して、何が起きるのか、どんな謎が隠れているのか全く予想できないと思う。エリザベス・キーンも予想できていなかった。だから結構ショックよ。
すばらしい経験よ。何といっても彼はすごい経歴の持ち主だから、彼に会う前から彼に対するあこがれや、共演できる喜びを感じてた。今はそれがより深まったわ。それに、彼は本当に思いやりのある人で、1人の若い女性にとってこの状況に足を踏み入れることが、どんなに恐ろしいことなのか分かってくれた。私にとっては一大事だもの。本当に大事にしたいと思える役に出会えたことがね。彼は初めて会った日にそれを理解してくれた。これが私にとってどんなに大事かってことをね。その上で完璧な関係性を築いてくれた。仕事をする上では、理想の関係だと思う。だから彼が持っている謎めいた部分には、あまり踏み込まないようにした。彼が演じるレディントンもエリザベス・キーンにとっては謎の存在だから、その部分を大切にしたかったの。彼の謎めいた雰囲気は、本当に特別なことだと思ったから。それと、彼はすごく優しい人。撮影の合間に隣にきて、コソコソっていろんなことを教えてくれる。次のシーンで役に立つようなことをね。ある日若い女優さんに、うらやましいって言われちゃった(笑)。確かにうらやましいよね、自分でも信じられない。
台本を250回は読んだわ。ストーリーを暗記するぐらい読んだ。それが私にとっては大事なことだと思ったから。撮影現場に行ったら色々なことが降りかかってきて、圧倒されるだろうと思ったの。でも、エリザベスと同じような気持になれるからそれでいいと思った。だから準備もしたけど、ある程度不安な部分も出したかった。色んな衝撃がくることを覚悟して行ったわ。あ!それとすごくびっくりしたことがあったんだ。文房具屋さんを3軒回って、エリザベス・キーンが使いそうなノートを買ったの。皮のバンドがついた黄色のノート。もし自分がクワンティコ(バージニア州のFBI)で働くならこういうのを使うかなと思って、準備を楽しもうと思って買ったのね。それで撮影初日は、夫のトム役のライアン・エッゴールドとのシーンだったんだけど、撮影現場に行ったらそのノートが置いてあったの。まったく同じではないけど、それとそっくりのノートがエリザベスの部屋にあった。美術の人が用意したノートなのに、びっくりするでしょ!?
ディエゴ・クラテンホフはプロフェッショナルで素晴らしい人。撮影の前には、1人で洞窟に入ったみたいに集中してる。いつもは気軽に話しかけられる人だし、何か必要なことはあるかとか、いつも声をかけてくれるんだけど、集中している時は、近くにいるとそれが目で見えるし肌で感じることもできるくらいなの。第1話での彼との関係はモルダーとスカリーみたいな仕事だけの関係なんだけど、ふざけあったり言い合ったり、さぐりあったりしてお互いを知っていくような気がする。これから変化していく関係だと思う。
ハリーの演じるハロルド・クーパーはすごく高い地位にいるエージェント。だから出勤初日に彼と対面したことは、エリザベスにとっては信じられない事だった。憧れのスターのような人だからね。それぐらいしか当てはまる言葉がないわ。彼女にとって、彼は最高のエリートなの。だから、楽しいシーンだったな。
仕事初日だったのよ。それなのに爆弾が爆発して、みんなから怒鳴られて、最重要指名手配犯からゲームをふっかけられる。それが初出勤の日。
ニューヨークで撮影するドラマに参加できたことにワクワクする。街のエネルギーに力をもらえるんだよね、言葉で説明するのは難しいんだけど。力をもらえるし、ここでは新しい自分になる気がする。それに、自分にぴったりだと思えるキャラクターに出会えて、恋してる感じ。ずっと望んでたの。いい役柄に巡り合えた人たちがうらやましかった。それがやっと自分にもめぐって来たの。「私、恋してる」(笑)っていうのがエリザベス・キーンを演じられる私の気持ち。あとは、ジェームズ・スペイダーの演技が見られることにワクワクする。私、ほとんどのシーンに出てるから、本当に何時間も仕事をしているの。それでも彼と一緒のシーンじゃない時は、わざわざ居残って彼の演技を見学してる。控えめなのに司令官みたいな雰囲気が『ハンニバル』のレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンズを思い出させるの。素晴らしく頭が切れて、落ち着ついていて、どんなシチュエーションでも主導権を握れる役者さん。
こんなに質の高いアクション・シーンがあるドラマ、他に知らないわ。正直言って、映画を撮ってるみたいな気分なの。監督のジョー・カーナハンが以前撮ってたアクション映画『THE GREY 凍える太陽』は最高だった。その映画とエディターも監督も同じだし、台本も面白いしすごくワクワクする。テレビでこんな面白いなんて信じられない。
何年も逃亡していたレディントンが出頭してきて、新人のエージェントをパートナーにすることを条件に協力を申し出る。2人とも暗い過去を抱えていて、それが何なのかが解明されていく。悪者を捕まえながらね。
ご自身のキャラクターについて教えて下さい。
僕が演じるのはドナルド・レスラーというFBIエージェント。犯罪者を逮捕することが第一で、レディントンの真意を探ろうとしてる。
そうかもね。他の人たちのことを考えると、本当のことを言っているのは僕のキャラクターだけかもしれない。みんなそれぞれ何か裏があって、それがドラマを盛り上げているんだと思う。これからどんな展開になるのか読めないけど、誰と誰が過去に接点があるのかこれから分かってくると思う。自分のキャラクターはウソのない、いい人間だと思いたいけど…それは誰にも分からないよね。
ドナルド・レスラーの魅力か…。個人の魅力というより、台本かな。ウワサは聞いてたんだ。「今年のドラマで一番面白い」って言われて、「今出ているドラマより面白いわけない」なんて冗談を言ってたんだけど、台本を読んで同じ気持ちになった。すごくよく書けているし、それぞれのシーンやキャラクターがより物語を盛り上げてる。それに世界観が完成してるから入り込みやすかった。
ストーリーが最高だった。台本を読んですごく引き込まれた。それにどのキャャラクターも主役になれるぐらい味があるんだ。展開が読めないから、視聴者もすぐに面白さに気づくだろうし、これから楽しんでもらえると思うよ。
みんな最高だよ。それぞれの役にぴったりのキャスティングで、演じる人もキャラクターもそれぞれ突出しているし、キャラクター同士の関係性もおもしろい。もうすぐパイロットの撮影が終わるところなんだけど、みんなが次にどんな演技をするのか楽しみでしょうがない。メーガン・ブーンはタフでミステリアスなやり手だし、ハリーも最高だし、ジェームズは彼自身も謎めいた所があってジェームズ・スペイダーにぴったりなんだ。
レディントンに対して、僕が演じるレスラーはたくさんの疑惑を持ってる。もう逮捕するっていう目的はなくなったけど、その疑惑はしばらくは消えない。彼はみんなに対してゲームを仕掛けてるようだし、レスラーは全てに対して懐疑的になってる。ああいうシチュエーションになったら当然だろうけど。
FBIアカデミーを卒業したばかりで経験もない人物が急に出てきたら、嫉妬しない方がおかしいと思う。どういうつながりがあるのかと疑問に思うだろうし。これからもっとたくさんの疑問や可能性が増えていくんだと思う。
レスラーと、エリザベス…リズ…リジー…。最近はどういう呼び方してるのか分からないけど、彼女とレスラーには似たようなところがあると思う。2人ともタフなエージェントで正しいことをしたいと思ってる。ドラマが続いていけば2人の共通点がもっと見えてくると思う。でも初めは、レスラーから見たら極悪人の指名で急に現れたミステリアスなエージェントのことを疑わざるを得ない。
酒をたくさん飲んだけど、だいたいいつもと同じ準備をしたよ。でもラッキーなことに脚本家と話をしたり、時間がある時は資料を読んだり、できるだけたくさん映像を見たり、経験のある人に話を聞いたりした。
どちらの番組も脚本がすばらしい。一流だと思う。脚本もキャラクターも。最初に「HOMELAND」のパイロットを読んだ時もそう思ったし、今回もそうだった。特にどこがっていうのは分からないけど、どちらも最高の脚本でキャラクターもいい。共通点はたくさんあるし違いもいくつかあるけどどちらもとにかくストーリーが最高。
難しい質問だな。いろんな要素があってドラマを盛り上げてるから。監督のジョー・カーナハンがすごく才能がある人物で、あらゆる面でドラマの質を上げてる。2週間前に橋でアクション・シーンの撮影をしたんだけどかなりの出来だった。これは断言できる。でもそれだじゃなくてキャラクターの設定やスリリングな心理スリラーの要素もある。アクション・シーンもある。FBIが悪者を追いかけ、銃撃シーンも多い。1つのカテゴリーに入れるのは難しいだろうな。ストーリーが進むにつれてもっとジャンルが広がると思うし。ただ、どう転がってもロマンティック・コメディーには入らないだろうな。それだけはないと思う。アクション・スリラーや心理スリラーの要素は強いと思う。
そうだな、自分と一緒で、この最高のストーリーを楽しんでほしい。脚本がいいから、見てもらえばすぐにハマると思う。自分にとっては、様々なことにチャレンジできるところが面白い。裁判所だけで物語が進んだり、まっすぐな道を進んでいくドラマではないからね。それに、悪者を撃ったりクールなシーンもあるよ。
自分のキャラクターの行方か…。特に要望はないな。僕は指示に従うだけで決定権はないんだ。僕はただ自分の仕事をするだけ。僕の運命は製作する側の手にある。仕事をすると決めた時からもう判断は任せてるからね。それに、脚本家チームもスタッフもキャストも優秀で、パイロットの撮影をするだけでも素晴らしい時間をすごせた。FBIのキャプテン・アメリカみたいになりたいなんて希望もないし、みんな高い能力と経験豊富な人たちだから、先がすごく楽しみだよ。
“ブラックリスト”とは、FBIも把握していない犯罪者の名前が載っている、興味深いリストのこと。メイン・キャラクターであるレディントンという男の、ある意味武器でもある。レディントンはFBIも知らない事件に関する情報を握っていて、協力を申し出てきた。ただし、1人の特定のプロファイラーとだけ話すことを条件にするんだ。
そうだね。レディントンはFBIと何らかのつながりがあるんだが、それは今ははっきりと分からない不明瞭な部分。分からないことは多いが、レディントンが特定の人間しか知らない機密情報を知っているのは確かだ。だからレッドはFBIの人間ではないけど、何らかの関係があるんだろう。物理学には“量子エンタングルメント”というものがある。相関を持つ2つの粒子は、たとえどんなに物理的に距離があろうと相手の状態を決定することができる。だからそれをレッドに当てはめるのなら、レッドは実際にはFBIにいなくても、何らかのつながりを持てるのかもしれない。
私が演じるのはハロルド・クーパーというFBIのテロ対策本部の本部長だ。
ハロルド・クーパーはFBIのテロ対策本部の本部長で、上を目指す野心家でもある。彼は、政治の世界や官僚制度の中である程度高い地位にいかにもいそうな人物。おそらく完全には表に出していない部分を持っている。それは言うなれば“諜報”だ。だからハロルドの過去に何があろうが驚かないよ。それが何なのか分からないけど、知るのが楽しみだ。それは、おそらくレディントンだけが知っている何かなんだ。でも今はそれが何なのか分からない。これからどんどん明らかになっていくことを願うね。
ハロルド・クーパーは興味深い人物だと思う。私自身は南シカゴの出身で、学校とか大学とか色々な場所で話をする機会があるんだ。そうすると私のバックグラウンドに、少し驚かれる。ハロルドもそうだがやっぱり黒人である程度地位があると、何らかの過去があると思うらしい。「どうやってその地位を手に入れたんだ?」「どんな過程があって会社で権力を握るようになったんだ?」「どんなことを妥協してきたんだ?」そういう謎と興味深さが同居していることが面白さにつながる。それに味のある役者とミステリーはいつでも人を惹きつけるし、視聴者もそこに惹かれると思う。ただ、視聴者は全てを一度に知りたいわけではない。視聴者と同じように、何がこれから明らかになっていくのか楽しみな気持ちでいる役者が演じることで、視聴者の好奇心はさらに大きくなるだろうな。
レディントンを演じるジェームズ・スペイダーとついに共演できたことは、最高の喜びだよ。素晴らしい役者さんで、ずっと尊敬してきた。舞台やテレビや映画など、さまざまなメディアで活躍してきた人たから、共演できるのを楽しみにしてたんだ。メーガン・ブーンとは2度目の共演ができて光栄だよ。彼女が「LAW&ORDER:LA」で私の友人のテレンス・ハワードと共演していた際に私も出演したんだが、彼女はラブリーでチャーミングで才能のある女優さんだよね。このドラマでまた仕事ができるのが楽しみだよ。それにもちろんディエゴ・クラテンホフとの共演も楽しみにしていた。本当に素晴らしい男だよ。だから役者として一緒に仕事ができて本当に楽しい。だんだん彼のことが分かってきたし、きっとこれからも一緒のシーンが多いと思う。それに彼の仕事の仕方が気に入ってるんだ。彼が演じるキャラクターも、今後時間の経過とともに発展していきそうな可能性をたくさん秘めてるよね。
ここで2人の関係について話してしまったら、君のことを生かしておくことは…なんて冗談(笑)。2人の間には明らかに何かある。その細かい部分が今後2人をつなげていくだろうね。役を演じる時は、どんな役の時でも、役者はその役の詳細を理解した上で具体的に演じなきゃいけない。だから私の頭の中では、答えは出ている。と言っても、こうじゃないかな?という予想なんだけどね。それが、演じるためには必要なんだ。でもこのドラマの脚本家やショーランナー、監督たちは皆優秀だから、真実はこれから時間をかけてはっきりしていくと思う。私の予想だと、2人はその昔、同僚だったのかもしれないと思ってる。もしくは友人同士だった可能性もある。どんな出来事があってどんな選択をしてどんな結果が生まれたのか、それが正確に何なのかは、これから判明していくと思う。しかし、私の考えはあんまり言いたくないな。間違ってるだろうから。
このドラマの面白い所は、興味をそそる陰謀や謎がうごめいていて、表面上で見えている事と本当の事が違っているという所じゃないかな。そこを少しずつ見せることで視聴者は次の展開が楽しみになる。FBIやCIAやNSAのような大きな機関で働く人たちが、私たちの生活の土台であるマトリックスを作ってる。そういえば映画の『マトリックス』シリーズに出演できたのは光栄なことだったな。でもあの映画ではコンピューター・プログラムが仮想現実を作っていた。ただ、現実の世界でも日々同じような事が実は起きてる。我々は、私たちの周りに存在するそういった全ての機関が、実際に何をしているのかあまり分からない。それでもある程度はそのサービスやセキュリティーの恩恵を受けることができる。でも同時に幻の“普通の生活”を送るための犠牲者にもなり得る。“普通の生活”なんて、ちょっと中を覗いてみればそれほど普通ではないからね。そういった部分が私たちを惹きつけるように、視聴者の心もつかむと思うよ。
ある。アクションはたくさんあるよ。少しだけ映像を見る機会があったんだ。私はそのシーンに関わってなかったから全部見たわけではないけどね。ただ、アクション映画で知られるジョー・カーナハンが監督しているから、誰が撮るよりも面白いものができるに違いないね。
このドラマは、国際的に悪名高い、指名手配犯がどういうわけか出頭して来るところから始まる。理由は分からないが、男は自分が過去20年間に仕事をしたことのある全ての犯罪者の逮捕に協力すると申し出てくる。だが、接点はないと思われる新人捜査官を担当にすることを条件にするんだ。
「ブラックリスト」のアイディアは、プロデューサーのジョン・フォックスと僕がホワイティ・バルジャーっていう大物犯罪者がFBIに逮捕されたことからインスピレーションを受けてる。彼は当時75才か80才とかだったと思う。その男が知っているであろうたくさんの物語に興奮したし、そんな犯罪者が実際に犯罪どんなふうに関わっていのかを見られたら面白いと思った。それに歴史的にも有名な犯罪者とも関わりがあったら…?とかね。でも最終的にはそのアイディアをひっくり返して、なぜかは分からないが自ら出頭するというストーリーを作った。レイモンド・レディントンが出頭してくる。理由や、どうして今なのかは分からない。唯一はっきり分かるのは、レディントンが膨大な量の情報を握っていること、膨大な数の犯罪者と関わりがあること、協力しようとしている、ということだけ。
ジェームズ・スペイダー演じるレイモンド・レディントンは多くの謎を抱えたまま出頭した最重要指名手配犯で、昔は軍隊に所属していたけど20年前に姿を消した。なぜレディントンが人生も家族もすべてを捨てたのか、理由はまだ誰にも分からない。
ストーリーは、メーガン・ブーン演じるエリザベス・キーンがFBIのプロファイラーとして初出勤する日から始まる。その日は、偶然か否か、レイモンド・レディントンが出頭したまさにその日だった。そして唯一レッドが話をする捜査官というのがこのエリザベスなんだ。エリザベスは何て言うか、色んな人に共感してもらえるような役柄だと思う。常に銃を片手にドアを蹴り飛ばすようなキャラじゃないからね。ドラマの中にアクションシーンは多いけど、僕的にはこれはエリザベスのドラマでもあると思う。選ばれた1人の女性のドラマだ。なぜ自分がこの男に選ばれたのか、自分との関係は何なのか、リズがその秘密を探っていく過程はとても面白いと思う。それに彼女自身も気づいていない彼女の過去の秘密とは何なのかも気になる。とにかく、エリザベスはには誰にも言えない秘密や、自分でも気づいていない秘密や、驚くほどたくさんの秘密を抱えた女性なんだ。
ディエゴ・クラテンホフ演じるドナルド・レスラーは、5年間レイモンド・レディントンを担当していたFBIの捜査官で、この男のことを知り尽くしている。建前上ではね。エリザベスが事件の担当になって、パイロットの終わりの頃は、レディントンと直接やり取りするのが自分じゃなくてよかったとホッとする部分が心の中にはあっただろうね。
ハロルド・クーパーはFBIのテロリズム対策本部の本部長で、演じるのはハリー・レニックス。権力を持つ役だけど、やはり秘密を抱えてる。物語に登場する全員がそれぞれ秘密を持っている。クーパーも例外ではない。
「ブラックリスト」のというドラマはレディントンとエリザベスを中心に作られている。「なぜエリザベスなのか?なぜ今なのか?どうやって彼女は選ばれたのか?彼女の過去とは何か?今の状況と関係があるのか?彼女自分も知らない過去とは何か?」っていう、2人に関わる謎が全ての中心にあるんだ。ストーリーは行きつ戻りつ進んでいくし、2人の関係も変化していく。レディントンにFBIを操る力があるのと同じように、エリザベスもレディントンに対して力を持ってる。レディントンが話をするのは唯一エリザベス・キーンだけだからね。レディントンの弱点はエリザベスが握ってると言える。それに、レディントンは何となくエリザベスの父親のような存在。自分が捨てた家族には実際にはもう何年も会っていないけど、エリザベスはレディントンの娘のような役割を担ってるんだ。だからレッドがリズを気にかける様子は、FBIの最重要手配犯の4番目には見えないよ。
ジェームズ・スペイダーはすごい人だよ。彼が演じることでキャラクターにまた違った雰囲気が加わった。それに俳優としてすごく仕事が丁寧だし、本当に頭がいい人なんだ。だからよりこの役柄がリアルになる。レディントンは語学や暗号のエキスパートであり多くの機密情報を握っている人物だからね。アメリカだけでなく世界中の機密情報を知ってる。そんな役をジェームズ・スペイダーに演じてもらえるのは光栄なことだよ。彼は今やレイモンド・レディントンそのものだね。新しい一面が見れた。こんなジェームズ・スペイダー見たことないと思う。それは約束できるよ。
僕にとって「ブラックリスト」で一番面白いと思うのは、犯罪者を追いかける大きな流れの中に、エリザベスと夫のトムのような、人間関係に焦点を当てた奥深いストーリーが存在するところなんだ。それに彼女が強い精神力を持って、このおかしな世界を生き延び、巨大な陰謀に立ち向かって行くのも見所だと思う。
エリザベスがずっとFBIに見せてきたのは、実際の自分とは違うのかもしれない。ただ、こうなりたいっていう理想があって、人から少しでもそんな風に見られたいと思うのはおかしなことではない。エリザベスは本当の自分を見せていないのかもしれないけど、誰にでも秘密はあるでしょ?自分の見せ方って何通りもあると思うんだ。よく知らない人も含めた誰に見られてもいい外の顔があって、身近な人しか見られないプライベートな顔があって、その奥に誰にも打ち明けることはない本当の自分がいる。それがエリザベスやレディントンというキャラクターの鍵なんだ。偽の自分を作り出すために多大なる時間をかけてきた2人だからね。結局のところ、2人はどちらも贖罪を求めているんだと思う。
パイロットには登場していないキャラクターがいることは確かだよ。それにメインストーリーから離れていくキャラクターがいたり、逆にわき役だと思っていたキャラが大事な部分に絡んでくることもある。僕や、他のプロデューサーやジェームズ(・スペイダー)がやりたいのは、毎回ストーリーを意外な方に反転させること。視聴者が先の展開を予想したところで、それを丸ごとひっくり返すことなんだ。ドラマがこれからどんな展開をしていくのかは、誰にも読まれないようにしたい。毎週全く予期できない、ワクワクするような展開を用意するのが僕たちの仕事だと思ってる。それに様々な世界の犯罪や犯罪者を描くだけじゃなくて、それぞれのキャラクターの内面の描写も大事にしていきたい。
ライアン・エッゴールドがエリザベスの夫トムを演じてるんだけど、ライアンは最高だね。温かくて親しみやすい雰囲気を作り出す才能があって、素晴らしい役者だと思う。2人は幸せな結婚をしている。リズとトムは理想の結婚生活を送っていると言えるんじゃないかな。でも実際のところは、見た目とは違っているかもしれない。ただ、この2人に関しては根本的なストーリーがすごく面白いと思うよ。表面的に見せている顔と、実際の顔の2つがあるからね。
それぞれのキャラクターをリアルに描写したいと思ってるんだ。クーパーやレスラーのような捜査官や、FBIで働く人たちを、オフィスで働いたり拳銃を持ってパトカーに乗るようなただの捜査官としてではなく、私生活も見せていきたい。だから家族が登場することもあるよ。別れた奥さんだったり、昔の彼女や彼氏とかね。とにかく、FBIの外の世界での彼らもちゃんと描写したいんだ。それに、さまざまな犯罪者や、彼らのいる犯罪の世界も描かれる。このドラマは部屋の中だけで展開するドラマじゃない。ドラマを見るだけで、世界各国を旅しているような気持になれる作品なんだ。本当にたくさんの面白い舞台が登場するよ。
「ブラックリスト」はFBIという限られた世界の中だけで展開していくドラマではない。リアルな世界で物語が展開していって、様々な犯罪の世界が垣間見ることができるのが面白いんだ。ウォール街が出てきたり、偽造品やスパイが出てきたり、色々な犯罪が様々な場所で描かれる。ある意味、犯罪の世界をグローバルな視点から見られる。毎週、様々な犯罪や文化を、世界を股に掛けて取り上げていくよ。
ドラマの舞台はDCだけど、ニューヨークでも撮影はしてる。どちらの街も撮影にリアルなエネルギーを吹き込んでくれる。国会議事堂やリンカーン像の前の階段で撮影したんだけど、すごく良かったよ。ドラマを見る人たちにも、色々な場所を楽しんでもらえるように努力してる。
毎週スケールの大きい犯罪を解決していくし、新しい犯罪者たちがどんどん登場するところかな。でも個人的に僕が楽しみにしていて、また見たいと思うのは、どの脚本でも描かれている登場人物たちそれぞれのプライベートの物語なんだ。裏切りや、信頼や、愛情の物語。
毎週見たいと思ってもらえるのは、やっぱり登場人物に魅力があるのと、スケールの大きいストーリーが展開していく部分にあると思うよ。
レディントンがエリザベスを選んだ理由は、シーズン1で明らかになることはないかな。だから最後まで見逃せないよ。
私はジョン・アイゼンドレイス。「ブラックリスト」の製作総指揮の1人だよ。ショーランナーでもあるから、ドラマの脚本や製作など、全体を把握して監督するのが仕事。
「ブラックリスト」というドラマは、アメリカの最重要指名手配犯の1人が出頭してきて、これまで自分が過去20年間に仕事をしたことのある全ての犯罪者の逮捕に協力すると申し出てくるところから始まる。ただし、協力するためには、何の接点もなさそうなFBIの若い女性捜査官とだけ話をすると条件を出すんだ。だからその時点でいくつかの疑問が生まれる。まずは「彼は本当にFBIに協力する気があるのか?」ということ。それとも「FBIを利用して、さらなる罪を犯そうとしているのか?」さらには「なぜ、面識も接点もないと思われる特定の捜査官を指名してきたのか?」という疑問だ。
「ブラックリスト」のコンセプトは、善人なのか悪人なのかはっきり分からない人物を中心にドラマを作ったら面白いんじゃないか、というアイディアから生まれた。従来のドラマだと善人が悪人を追いかけることが多いが、「ブラックリスト」では、信じていいのか分からないような1人の犯罪者がたくさんのストーリーを生み出していく。
ジェームズ・スペイダー演じるレディントンは、真実を話しているのか、それとも欺こうとしているのか分からないようなキャラクターだ。ジェームズ・スペイダー自身も謎の多い、得体の知れない、信用できるか分からないような役を多く演じてきた俳優。だから、この善人なのか、それとも騙そうとしているのか分からないレッドというキャラクターにぴったりだ。世界中の犯罪者たちを知りつくしているが、若い頃は正しいことをしていた。軍隊に所属して、有望な仕事にも就いていたのに、仕事だけでなく妻も娘も捨てた。そんな男が20年たってまた姿を現したとなれば、周りは思うよ。「どうして彼はいなくなったのか?」「犯罪に手を染めるために、立派なキャリアをなぜ捨てたのか?」ってね。その謎に対する答えを明かしていくことが、このドラマの面白さの1つなんだ。
メーガン・ブーン演じるエリザベスは、物語が始まった時は、すごく順調な人生を送っていた。プロファイラーとしてFBIに初出勤し、幸せな結婚をしていて、ありとあらゆる面でまさにヒロインという感じだった。視聴者が共感しやすい、若いエネルギーに溢れ、理想を追い求め、人生を楽しんでいた。それが、パイロットの最後には全てひっくり返る。「心から愛する夫は真実を話していたのか?レイモンド・レディントンという人物とつながりがある男なのか?悪者なのか?」彼女は疑問にぶつかる。レディントンの策略によってレディントンの右腕にさせられ、突然FBIで重要なポストに就くことになっても、彼女にはレディントンの真意が分からない。「なぜレディントンは自分を指名したのか?夫が隠している真実は何なのか?」このドラマはエリザベスにとって、その謎を解決するための旅でもあるし、最終的には自分自身を知る旅でもある。
ある意味そうかもしれない。レディントンはエリザベスにいつも少しの情報しか与えないからね。でもエリザベスは常にレディントンに聞く。「真実を知りたい。本当のことを教えて。どうして私なの?私の夫は何を隠しているの?」しかしその質問に対して、レディントンは断片的なことしか答えない。エリザベスはそのことにいらいらさせられるが、時に満足する情報も与えられる。ただしエリザベスに対して、レディントンが本当に満足する答えを与えることは決してない。
「ブラックリスト」で私が一番楽しみにしていることは、このドラマに欠かせないミステリーだ。こういうドラマの謎やミステリーは、書くのも観るのも本当にワクワクする。
ディエゴ・クラテンホフ演じるレスラーは、FBIの捜査官としてこの8年間レイモンド・レディントンを追いかけてきた。それなのに、まさに自分が8年も追跡してきた男の策略で、エリザベスという無名で若いエージェントが突然現れ、レディントンと接触する立場になる。だから、レスラーがエリザベスに対して最初から敵対心を抱くのは当然のことだと思う。でもそれは自分が追っていた男の担当にエリザベスが突然なったことだけでなく、2人の関係に対して疑いの気持ちを持っているからなんだ。エリザベスはレディントンとは過去に接点がないと言っていたが、レスラーにはそれが真実だとは思えない。だからシーズンを通して、レスラーは「レディントンとエリザベスの間には何か深いつながりがあるのでは?」という自分の疑問を解明しようとしていく。
ハリー・レニックス演じるクーパーはテロリズム対策本部の本部長で、このドラマの中では年長組だ。彼はレディントンとの間に何らかの過去がある人物で、第1話でもそれがほのめかされていた。レディントンが去る前に、2人は何らかの形でつながりがあった。若い頃一緒に仕事し、野心を持って階級を上がった。そしてレディントンは姿を消し、クーパーは今の地位まで上り詰めた。だから誰でも気になるのが、「2人の過去とは一体何か?2人の接点とは?クーパーにはレディントンだけが知る秘密があるのか?クーパーにとって4人目の最重要指名手配犯のレディントンの出頭は喜べる出来事だったのか?それとも決して表に出ることはないはずだった過去を思い出し不安を感じているのか?」ということだろうね。
ライアン・エッゴールド演じるトムはエリザベスの夫で、最初は最高の夫であり、よき友人で、エリザベスのソウルメイトという感じだった。エリザベスが突然巻き込まれた、この恐ろしく緊張感のある世界の外にいる人物で、エリザベスにとっては安心できる人なんだ。
シーズン1を通して、なぜレディントンがエリザベスを選んだかが描かれていく。これからは…おそらく…シーズン1のある時点で、エリザベスがレディントンのことを信用できるんじゃないか?レディントンが実は自分にとって重要な真実を知るために手を差し伸べてくれているのではないか?と考えるようになる時がくる。でもそれもレディントンが自分の信頼を得るためにしたことだと知り、その考えも捨てることになる。だから今後、なぜレディントンがエリザベスを選んだのかその決定的な理由は、2歩進んで1歩下がるようなスピードで解明されていくよ。
いくつかのストーリーがうまく組み合わさっているのが、「ブラックリスト」の面白さの1つだと思う。毎回“ブラックリスト”に載っている犯罪者を追いかける、という一話完結のストーリーだけじゃない。追跡するその犯罪者たちがそれぞれ、より大きなストーリーである「なぜレディントンがエリザベスを選んだのか」「エリザベスの過去は?」という疑問を解くためのきっかけを作る。もちろん、エピソードごとに悪者を追いかけて逮捕し刑務所に入れ、次のエピソードに進む、といった連続ドラマの要素もあるが、それぞれのエピソードに付加価値がある。ミステリーや謎、視聴者が最終的に一番興味をそそられるようなさらに大きな謎が描かれているからね。
全体的に見て私が一番気に入っているのが、キャラクターがそれぞれ全く違うところ。今は、エリザベスの周りには他に4人の男がいる。男たちはエリザベスとそれぞれ独自の関わり方をする。4人全員、やり方が全く違う。夫のトムは登場してすぐの頃は家族思いの誠実な、主夫っぽい感じの、妻を愛する夫だった。レスラーはもっとマッチョで男らしく、エリザベスに対抗意識がある。クーパーは優しさのある父親のような感じでエリザベスを引っ張ろうとする。そしてレディントンはエリザベスのどこかに価値を見出し、一緒に仕事をしようとミステリアスなアプローチをしていく。だから全員がそれぞれかなり違ったキャラクターなんだ。そして物語の中心には女性らしくてイノセントで、正義感の強い、すごく共感できるキャラクターがいて、我々をこのワクワクする旅に連れて行ってくれる。
ジェームズ・スペイダーのような人と仕事をしてみて、彼が細かい所にもすごくこだわる人物だっていうことに感動した。演技に対しては言うことがないし、台本も完璧に頭に入っていて、自分の仕事に対して手抜きは一切ない。どんな小さなこともきちんと取り組むから、それが素晴らしい演技につながる。今は彼の事が前より分かってきたから、細やかな演技ができるのは入念に準備をしているからだって思えるけど、本当にすごい。驚くほど細かいところまでこだわることが、完璧な演技を生むんだ。
ジェームズ・スペイダーは適役でしたか?
「ブラックリスト」はすごくラッキーなドラマだと思うよ。自分で創造したキャラクターに、似た要素を持つ役者をキャスティングできるチャンスなんてめったにない。だからレッドというキャラクターとジェームズ・スペイダーという俳優が色んな面でオーバーラップしていたことは、我々にとってすごくラッキーだった。
「ブラックリスト」には刑事ドラマの要素に加えて、2つの家族のドラマが含まれている。そこから興味深いキャラクターが登場するだろうね。1つ目の家族は、第1話で描かれた通りエリザベスと彼女の夫のトム、それにこれも第1話でほのめかされていたエリザベスと彼女の両親との関係も引き続き描かれていく。第1話では、レディントンがFBIも知らないエリザベスの家族について知っているようだった。だから両親が娘に与えた深い影響は何か、2人はどんな人物で何をしたのか、レディントンがエリザベスを選んだことに関係しているのか、その部分が描かれる。2つ目はレディントンの家族だ。彼は妻と今は大人になっただろう子供の元を20年前に去っているが、きっと今後彼らが登場することもあると思う。だからおそらく、「レディントンは本当に家族を捨てたのか?姿を消した理由は何か?自分の意志で?それとも愛があったから?」という部分が今後明らかになる。レディントンにとってはすごく重要なことだから、ドラマにも欠かせない要素だ。それに「ブラックリスト」には毎週、悪人が大勢登場する。そっちもワクワクする顔ぶれだよ。
楽しみにしていて欲しい新キャラクターはやっぱり“ブラックリスト”に載っている犯罪者たち。すごく彩り豊かなキャラクターが登場すると思う。アメリカ人とは限らないし、犯罪が起きるのも国内だけにとどまらない。見ている我々も世界中に連れて行ってくれるよ。
「ブラックリスト」は“秘密”についてのドラマだ。全員に秘密がある。さっきも話したけど、クーパーとレディントンの間には何らかの過去があるし、その過去はストーリーが進むごとに明らかになっていく。秘密がストーリーの展開に影響していくんだ。最初はレディントンという犯罪者からストーリーが生まれた。でも時間と共に他の人みんなの秘密が明らかになっていく。それらの謎を解き明かそうとすることで、それぞれストーリーを生み出していく。レスラーも「レディントンはエリザベスの何を見て彼女を選んだのか?」その答えが必ずあると考えているから、その謎を明らかにしようと動くことでストーリーを展開させていく。
“ブラックリスト”には世界中の犯罪者の名前が載っている。だからレッドはこのドラマの登場人物たちを、アメリカだけでなく世界中に連れて行く。あるエピソードではマイアミの麻薬売人を追っているかもしれないし、次のエピソードではレバノンで兵器のディーラーを追っているかもしれない。だから視聴者はそれぞれのエピソードで舞台やシチュエーションに驚かされることになる。国内なのか海外なのか全く予想できないからね。ありとあらゆる場所に行きたいと思ってるよ。
「ブラックリスト」は間違いなく“秘密”を描いたドラマだ。その“秘密”には、レディントンだけが持つ犯罪者の名前が載っているミステリアスな“ブラックリスト”だけでなく、キャラクターそれぞれの持つ秘密も含まれている。その秘密を明らかにしていくことで、レディントンとエリザベス、レディントンとクーパー、トムとエリザベス、それぞれの奇妙な関係をもっと知ることができる。キャラクターたちが抱えている全ての秘密が、ストーリーを追うごとにより深く鋭く描かれていくんだ。
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