それぞれ患者さんの血液から得られる情報。救急車で運び込まれた場合ほぼ必ず検査されます。"血算"とは血球算定の略で、赤血球や白血球を計り、出血量や感染の有無などを調べます。"生化学"は血液中の化学的な酵素の量から肝臓や心臓など各臓器のダメージを調べること。"電解質"はナトリウムやカリウムなどの無機質のことで、その量で体内の状態を知ることができます。いずれも血圧や脈拍と同じくらい基本的で重要な検査なので、もし病院でこの単語を聞いても不安にならないでくださいね。
よくドラマなどで見る、胸に電気ショックを与える、あの行為です。 心臓は電気信号で動いています。なので、心臓が停止したり、けいれんなど異常な動きをした時、心臓に一時的な電気ショックを与えることで、止まっている心臓を動かしたり、異常な動きを元の動きに戻したりします。その装置のことを"除細動装置"と呼びます。装置の先に付いていて、患者さんの身体に当てる部分が"パドル"。ショックを与える時、患者の体に触れていると感電してしまうので、「離れて!」になるわけです。
緊急時の患者さんの病状で最も重要なものの一つが意識状態。病気の重傷度を深く反映しているからです。そこでこの意識状態を現す指標としてⅢ-3方式、あるいはグラスゴー・スケールという二つの方式が用いられます。一般的に、頭部外傷が見られない意識障害にはⅢ-3方式、事故などによる頭部外傷などでは脳神経の損傷を現すグラスゴー・スケールが用いられます。ちなみに、「意識レベル300」は「昏睡状態で痛みにも反応しない状態」で「グラスゴー4点」は「昏睡状態。脳に損傷がある可能性あり」の状態です。
リドカインという薬には二つの異なった作用があります。一つは、局所麻酔薬として皮膚の下に注射し、その部分の痛みを消す作用。歯医者さんで抜歯の前に歯茎に打つ麻酔がそれです。もう一つは抗不整脈剤として、心臓が弱った時に出てくる心室性期外収縮や心室頻拍といった危険な不整脈(心臓の動きの乱れ)を押さえる作用があります。だからERで「リドカインを点滴!」と言う場合は心臓を救うためで、決して抜歯するわけでも抜糸するわけでもありません。
胸の中は心臓を包み込むように呼吸器官である肺が詰まっています。胸を銃で撃たれたり、ナイフに刺されて肺やその周囲の血管が傷ついて出血すると、胸の中に血が溜まって肺を圧迫して呼吸が出来なくなってしまいます。この状態を文字通り"血胸"と呼びます。血胸になったら、呼吸を助けるために脇の下から胸の中に管を刺し込んで溜まった血を抜きますが、この時に胸に刺しこむ、針とチューブが一体となった道具を"トラッカー"と呼びます。