ケリー・ラッセルティーンエージャーの時に芸能界デビューを果たし、「フェリシティの青春」でブレイクしたケリー・ラッセル。今年の夏は、「フェリシティの青春」の生みの親、J・J・エイブラムスの映画監督デビュー作「M:i:3」で、出番は短いながらカッコいいアクション・シーンもこなし、女優としてまた一歩成長したところ見せてくれたケリーに、まずはハリウッド大作に出演した感想を聞いてみた。

「すごくワクワクするような経験だったわ。だって、なんていったって、トム・クルーズ主演で、アクション満載で、とにかく製作スケールの規模がもの凄く大きいハリウッド大作だったから。それに、私はすごく自己批判的になりがちなところがあって、いつもだと画面に自分の顔が映ると“あら、イヤだ。私ってあんなふうに見えるのね。自分で思っていたほどキレイじゃないわね”なんてことを考えてばかりいるんだけど、今回は不思議なことに、そんなこと全く考えずに、“これってサイコーだわ!”なんて楽しめたのよ」

監督のJ・Jとは気心の知れた者同士とはいえ、やはりテレビと映画、しかもハリウッド大作映画の製作ということで、だいぶ現場の雰囲気は違ったのではないかと思いきや、全くそんなことはなかったとケリーは言う。
「J・Jの仕事ぶりは『フェリシティの青春』の時と全く変わらないと思ったわ。彼が『M:i:3』を監督することになったと聞いた時、最初は、“オーマイゴッド、初監督作が『M:i:3』だなんて信じられないわ!”と思ったけど、その後すぐに、“J・Jの初監督作が『M:i:3』なのは当然よね”と思い直したの。だって、彼は考えることが大きいし、プレッシャーをかけられて混沌とした状態でもすごく上手く仕事をやってのける、本当に有能な人だから。私だったら、そんな状況に置かれたら逃げ出しちゃうけど、彼はそういう状況に自ら飛び込んでいくような人なのよ。それでいて、のんびりとリラックスしていて、何事も楽々こなしてしまうの。でも、彼について言える最も素晴らしいことは、何に対しても“ノー”と言わないことだと思うわ。それは、彼の創造的な才能のなせる業なのよ。誰かが何かアイディアを持ち込むと、J・Jは“うん、うまくいくようにするよ。その方がより良くなると思うよ”なんて返事をするの。それから、彼は携帯が鳴ると必ず出るのよ。J・Jみたいに忙しいのに必ず携帯に応えるなんて人、他には居ないわよ。私なんて、なーんにもしてないのに携帯になんか出ないもの。(笑)彼は、私たちよりもずっと頭を駆使しているんだと思う」

J・Jのことを誉めまくるケリーだが、彼女自身は「フェリシティ」時代から成長したのかな?
「うーん、そうねえ。あの頃は若かったわね。(笑)私は今でも、この業界に居ることについて自己防衛的になるところがあるんだけど、『フェリシティの青春』に出ていた頃は、この業界のことを怖がっていたところがあったわ。有名になり過ぎるのは嫌だと考えていたりして。とにかく全てにビビっちゃっていたの。全然、御金なんか稼がない状態だったところから、ああなっちゃったものだから、セレブとかそういうことについては頭から締め出してしまっていたのね。テレビのオフタイムに映画に出ようなんて思わなかったし、あれ以上、顔が売れて欲しくなかった。そういうこともあって、あの番組が終わってからしばらくは休暇をとったの。その間に少し体勢を立て直すことができて、今ではそういうことに対処するのもちょっと楽になったと思うわ」

あなたが髪を切った時の大騒ぎも、今振り返ってみれば、馬鹿馬鹿しいと思える?
「あれは、あの当時からあまり私の耳には入ってこなかったのよ。私はすごく忙しくしていて、雑誌なんか読む暇も無かったから。すごく忙しくしていると、そういうことに煩わされなくても済むということはあるわね。でも、あの髪を切った事件についてはJ・Jに聞いてみて。だって、私の髪をショートにするというのは彼の思いつきだったんだから。責任の全ては彼にあるのよ。(笑)でも、あんな騒ぎになるなんて全く考えもしなかったわ。だって、誰かが髪を切っただけのことがあんな大騒ぎになっちゃったのよ。よっぽど、これといったニュースが無い年だったんじゃないかと思っちゃうわよね」
【ロサンゼルス(米) 荻原順子 2006年6月】

ケリー・ラッセル Keri Russell

ケリー・ラッセル1976年3月23日カリフォルニア州生まれ。
1991年から1993年までMMC(ミッキーマウス・クラブ** ブリトニー・スピアーズやクリスティーナ・アギレラも在籍していた子供タレント集団)に所属し、歌って踊れる子役として活躍。その後LAに本拠地を移し、女優として活動をはじめ、「フェリシティの青春」でブレイク。1999年にはフェリシティ役でゴールデングローブ主演女優賞を受賞。その後、映画に進出、メル・ギブソンの「ワンス・アンド・フォーエバー」、ジョーン・アレン、ケビン・コスナーと共演した「ママが泣いた日」などに出演。そして2006年にはトム・クルーズ主演「M:i:III」に出演、初のアクションに挑んでいる。
2004年には、ニール・ラ・ビュートの戯曲「Fat Pig」で、アンドリュー・マッカーシーやジェレミー・ピヴェンと共演、ブロードウェイ・デビューも果たしている。

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