マイケル・J・フォックス・ショウ:マイケル・ヘンリー役(マイケル・J・フォックス)日本語吹替  宮川一郎太さん インタビュー

あのマイケル・J・フォックスが主演でTV復帰!全米で話題の最新ヒットコメディ

インタビュー

宮川さんはマイケル・J・フォックスの声を、日本では1980年代の「ファミリータイズ」以来ずっと演じられていますね。

ファミリータイズ」は僕も大好きでした。吹替の演出をなさった加藤敏さんから、「スピン・シティ」に続いてこの「マイケル・J・フォックス・ショウ」でも声をかけていただき、本当にうれしいです。マイケルとの付き合いはこれで30年近くになりました。

マイケルの声を吹替えたのは「ファミリータイズ」が初めてですか。

はい。僕はまだ二十歳そこそこで、声の仕事自体ほとんど初めてで。自分だけでなくマイケルのファンの人たちも “僕で大丈夫なのか”と不安に思ったかもしれませんが、(加藤)敏さんは数話収録した後、“もうこれで大丈夫だな”とおっしゃっていました。

名声優の富山敬さんと共演なさった思い出は。

敬さんは優しいんですが、とにかくプロフェッショナルでした。アニメなどで声を聞いていた敬さんは以前から僕にとってヒーローでしたが(笑)、最初から気さくに接してくれました。アドバイスをいただいたというより、僕が敬さんの姿を見て勉強したのですが、とても大きな経験でした。いまだに僕の中では宝物です。敬さんが演じるお父さんがまた面白くて最高でした。つい吹き出しちゃって何度もNGになりました(笑)。

僕は最初の映画(『家族ゲーム』)で優作さん(松田優作)とご一緒し、最初の吹替で富山敬さんとご一緒したんですが、それは僕の誇りですね。

「スピン・シティ」はいかがでしたか。

ファミリータイズ」でマイケルが演じたアレックスは政治に関心があったので、「スピン・シティ」のマイケル・フラハティはアレックスが成長した姿だと解釈しました。これは「ファミリータイズ」の続編なんだと思いましたね。多少大人にはなっていても、僕の中ではアレックスだっていう気持ちでした。非常にやりやすかったんですが、ラブシーンではそれまでになかった大人の感じを出したりもしました。「マイケル・J・フォックス・ショウ」もその続編だと思っていますよ。

映画でも何度もマイケル・J・フォックスの声を吹替えされていますよね。

ファミリータイズ」や「スピン・シティ」の影響はあったかもしれません。でも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズだけはやっていなくて、僕は死ぬまでに絶対、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を吹替えたいです(笑)。署名を集めたいぐらいですが、とにかく……待っています(笑)。

こんなことがありました。ある人のアメリカの友人が、日本で僕が吹替えた映画をテレビで見て、“マイケルが日本語を上手にしゃべっている!”と驚かれたそうです。アメリカの人が違和感なく見られたのなら、僕は“よしっ!”と思って(笑)。

「スピン・シティ」の時点でマイケルがもうパーキンソン病だったことは……。

まったく気づきませんでした、吹替に関係していた人全員が。あらためて彼はプロフェッショナルだと思いました。恐らく相当つらかった頃もあったと思いますが、それを隠し続けたのはすごいです。パーキンソン病だと分かった時は本当にびっくりしました。

そしていよいよ「マイケル・J・フォックス・ショウ」です。

僕は(マイケルが「スピン・シティ」を去ってから)この13年間、“マイケル、なんで辞めちゃったんだよ~”と勝手に思っていましたが、マイケルが時々ドラマにゲスト出演すると吹替えることはありました。「ボストン・リーガル」ですね。だからマイケルが「マイケル・J・フォックス・ショウ」で主演に復活すると聞いて、僕が一番“やった!”って喜んだんじゃないでしょうか。かなり気合を入れて演じています。

とはいえ、マイケルが「スピン・シティ」で隠していたパーキンソン病を、今度は隠すことなく演じていることには衝撃を受けました。映像で表情や歩く姿を見ても分かりますよね。でも、そのことで逆に彼がこの作品に懸ける覚悟や意気込みを感じ、僕も一所懸命に演じようと思いました。

演技というのは基本的に素を隠すことだと思います。でも彼がそこまで素を見せて、役の家族構成もご自身と似ているようですし、マイケルは本当の自分を見てほしいと願っているんじゃないでしょうか。僕もその気持ちを受け止めて演じています。

マイケルがパパ役というのも新しいですよね。

ファミリータイズ」ではパパを困らせる子供の役だったマイケルが、今度はやんちゃな子供たちに困るパパの役というのも感慨深いです。僕も娘たちを持つ父親ですから、マイケルがそういうやんちゃを受け止める役を楽しんで演じているのが分かります。自分のことを重ねて吹替えていますよ(笑)。

「マイケル・J・フォックス・ショウ」は「ファミリータイズ」などと異なり、いわゆる“観客の笑い声”が無いコメディ・ドラマですが…。

「ファミリータイズ」でラブシーンとかに観客の“フー!”って声が入ったりするのは当時の僕には斬新でしたが(笑)、今回はお芝居をじっくり見てもらうという狙いがあるんじゃないかと思っています。以前のように機関銃のように話すこともありませんし。

僕は人生の半分以上でマイケルの声を演じているんですよね。マイケルの人生を演じさせてもらっているような気がします。学生時代の友人より長い付き合いで(笑)、役者冥利に尽きます。今回もマイケルの人を笑わせる才能がまったく衰えていないことを実感していますし、役者として学ぶところも多々あります。

これから「マイケル・J・フォックス・ショウ」をご覧になるみなさんにメッセージをお願いします。

13年ぶりのマイケルの主演作ということでみなさん楽しみになさっていると思いますが、僕もそんなひとりです(笑)。マイケルは本当にがんばっていて、とにかく僕も楽しんで演じています。とっても面白いですよ!

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