プリズナーＮｏ．６ ＨＤ完全版

パトリック・マッグーハンは１９２８年３月１９日アメリカで生まれ、幼少期に両親の故郷アイルランドに渡り、イギリスでＴＶスターとして大ブレイク。２００９年１月１３日、惜しまれつつ逝去した。代表作に「秘密命令」「秘密諜報員ジョン・ドレイク」「刑事コロンボ」「新・刑事コロンボ」等がある。「プリズナーＮｏ．６」は、そのパトリック・マッグーハンのアイディアから生まれ、彼自身が企画・製作総指揮・脚本・監督・主演の５役を務めたＴＶシリーズで、１９６７年９月から翌年６８年の２月までイギリスのＩＴＶ局で、日本では６９年３月から６月までＮＨＫで放送された。２００９年にはジム・カヴィーゼル、イアン・マッケラン主演でリメイク版も製作されている。

「プリズナーNo.6」の発想は、パトリック・マッグーハンが、かつて「秘密命令」「秘密諜報員ジョン・ドレイク」で演じたジョン・ドレイク役の様な人気の潜入捜査員を演じることに飽き、新たなキャラクターの演技に取り掛かりたいという要望から始まった。この非凡な作品は、結果としてこれまで製作されたドラマシリーズの中で最も独創的で革新的なものの一つに確立され、熱狂的なファンも生んだ。

「プリズナーＮｏ．６」はスパイもの、ＳＦものといったジャンルでくくることの難しい、他に類を見ない作品である。Ｎｏ．２が毎回求めるＮｏ．６の辞職理由という情報はもちろん、＜村＞とは何なのか、「Ｎｏ．１」はどこにいるのか、そもそもＮｏ．６は何者なのか、すべてが謎として秘められたままシリーズが進行していく。元スパイと彼を洗脳しようとする巨大な権力との争いとも、個人と監視社会の軋轢の暗喩であるとも、視聴者それぞれがいかようにも受け止められるストーリーが当時画期的であった（最終回は優れたSF作品に毎年贈られるヒューゴー賞の1969年映像部門にノミネート）。

さらに＜村＞のロケ地となった北ウェールズのリゾート地ポートメイリオンの未来的で奇抜さも併せ持った建築が存在感を発揮し、それに非常にマッチした＜村＞の住人たちのファッション、車両、＜村＞の看板などに使われる書体といったところまで、美術・衣装などビジュアルの面でも大変印象的でこだわりの感じられる作品でもある。
「プリズナーNo.6」の魅力は、作品の持つ謎や、不条理にさえ見える不可解な象徴的表現と共に、時代を超えて輝き続ける。
なお、主人公にどうして「６」という番号をつけたのかという疑問についてマッグーハンは、「６は逆さにして別の数字になる唯一の数字だから」という、本作の謎に関してあまり明かしたがらない彼としては興味深い見解を残している。
今回は、驚異的な美しさのＨＤマスター、さらに地上波での放送時にカットされた部分を復元し、一部字幕で補った完全版で放送！


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