「声なき目撃者」
自宅で倒れて死亡しているところを発見された若い女性。死因は脳卒中によるものと思われたが、検視の結果、血中のミダゾラムと、首の後ろの動脈を押して脳の血流を止めたと見られるアザが見つかったため、自然死に見せかけた殺人事件として捜査が開始される。
捜査が進むうちに、この1年の間に似たようなケースが2件も起きていることが判明する。そんな中、病院の駐車場で昏睡状態で発見され、アリソン・ウィレッツという若い女性が脳卒中で入院していることを掴んだ刑事トム・ソーンは、一連の事件は同一犯による犯行であると考え、幸運にも命を取り留めたアリソンから貴重な目撃情報を得るために面会に向かう。だが担当医師から、アリソンは意識はあるものの、目と瞼以外の運動機能を失っていることを聞かされる。
その後にアリソンのアパートを訪れたトムは、そこである種の不自然な印象を受ける。犯行現場にしては部屋が綺麗に片付いており、見晴らしの良い場所なのに目撃者がいない。しかも病院の監視カメラには、アリソンが病院の駐車場へ行く様子が映っていない。殺害しようとしていた犯人が、わざわざ病院へ運んできたのか?その後、謎に包まれた事件は新たな展開を見せることに……。
「臆病な殺人者」
イギリス・ロンドンで、同日の2時間以内に発生した2つの女性殺害事件。一人は公園内で絞殺体で発見された若い売春婦ルースで、検視の結果、遺体の額には犯人のものと思われる涙の痕跡があった。もう一人は若い母親カラルで、憎しみに任せたように何度も後頭部を床に叩きつけられ、惨殺体となって自宅で発見された。
捜査を担当することになった刑事トム・ソーンは、全く手口の異なる2つの事件が同一犯による犯行の可能性があると主張、そして両事件にあるパターンがあることを見つけ、犯行は2人の連続殺人鬼が手を組んで行っていると想定する。だが、過去に同じ日に2件起きている未解決事件を調べ直していくが、上手くいかずに捜査は難航する。そこで前回、気まずい関係になってしまったものの、頼りになり、仲間でもある検視官フィルに相談を持ちかける。そうした中、二人は殺害方法がかなり類似している、過去のある未解決事件にたどり着く……。