チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ

チャーリー・シーン主演!
全米でロングラン・ヒットを記録した大人気コメディシリーズ

ストーリー

コラム

1980年代から1990年代にかけてハリウッドを代表するスターの1人として活躍したチャーリー・シーン。最近ではTV「24」のキーファー・サザーランド、「ダメージ」のグレン・クローズ、「ボストン・リーガル」のジェームズ・スペイダーなど、活動の場を映画からTVに移して成功するスターが増えているが、チャーリーもまた今やTV界のトップ・スターだ。トップというのはただ人気が高いというだけでなく、彼が主演する「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ」の1話あたりのギャラ(出資者としての利益配分含む)が82万5000ドル(約9100万円!)で、米TV界の頂点に立ったこともさす。

1984年、映画『若き勇者たち』で本格的に俳優デビューし、2年後の主演映画『プラトーン』がアカデミー作品賞に輝くという幸運に恵まれたチャーリーは、兄のエミリオ・エステヴェス(近年は「コールドケース」「CSI:ニューヨーク」を何話か監督)を含む若手俳優陣、"ブラット・パック"に追いつけ追い越せとばかりに活躍を開始。後にTV「ザ・ホワイトハウス」に主演する名優マーティン・シーンを父親に持つためか、お坊ちゃまというイメージがあり(だからか日本では"チャリ坊"というあだ名も)、一方でワイルドな役も似合うハンサムぶりで、ハリウッドで安定したポジションを築くのに成功した。

そんなチャーリーがコメディに開眼したといわれるのが、1989年の映画『メジャーリーグ』。大リーグの落ちこぼれチーム、インディアンズのピッチャーだが、豪速球の持ち主なのにノーコンというのがチャーリー演じるリッキー。しかしノーコンの原因が視力で、メガネをかけた途端、彼はエースとしてチームに貢献していくという痛快な役どころをチャーリーは好演した。ちなみに彼自身も高校時代は野球に熱中していたという裏話あり。しかし、筆者的に注目したいのは、1991年のおバカ・コメディ『ホット・ショット』のほう。『裸の銃を持つ男』シリーズなどに参加してきたジム・エイブラハムズ監督が『トップガン』、『愛の青春の旅だち』などのヒット映画をパロディにした映画だが、実はチャーリーには忘れられない事件がある。

『プラトーン』、『ウォール街』で組んだオリヴァー・ストーン監督から『7月4日に生まれて』の主演を打診されながら、ストーンは同じ打診をトム・クルーズにし、主演は結局クルーズに決まり、演じたクルーズは演技もできる俳優としてたちまち評価を高めてしまったのだ。以来、チャーリーはストーン監督と決別してしまう。つまり『ホット・ショット』で『トップガン』のトム・クルーズ似の主人公を茶化しまくったのは、『7月4日に生まれて』の遺恨があったからなのだ。さらにチャーリーとエイブラハムズ監督は2年後に続編『ホット・ショット2』でも組み、今度は"ランボー"シリーズをパロディに。深読みするならベトナム戦争つながりで、出世作『プラトーン』での自分のイメージも笑いに転じようとしたのかも。1994年にはヒット作の続編『メジャーリーグ2』にも出演したチャーリーは、きっとこう思ったにちがいない、"俺ってコメディ、イケる?"と。

そんなチャーリー、プライベートもかなり派手で、気になる人はネットででも調べてほしいが、大作映画からあまりお声がかからなくなり、1997年にはストレスをためすぎた男がキレまくるというB級サスペンス『プレッシャー/壊れた男』に主演。この邦題がチャーリーの私生活を皮肉った物であることを、当時の映画ファンは思い出せるはず。

そしてチャーリーが新天地を求めてか1996年、初めてTVコメディの世界に乗り込んだのがヒット作「フレンズ」シーズン2の第23話「水ぼうそうでおジャン?」だ。フィービー(リサ・クドロー)の恋人ライアンに扮したチャーリーは、この時の好演がTV界で印象に残ったらしく、2000年、再び注目される。主演のマイケル・J・フォックスがパーキンソン病の治療のため降板を決めたTV「スピン・シティ」のシーズン5・6で、何と主演に大抜擢されたのだ。チャーリーが演じた役は、彼と同じ名前でチャーリー。新たに市長補佐となったチャーリーはプライベートが派手な問題児......というのは、明らかに演じるチャーリー自身のパロディだ。しかし、周囲の期待以上に熱演したチャーリーはゴールデングローブ賞に輝くなど、一躍コメディ派としての評価を獲得したのである。

そんなチャーリーは『ヤングガン』で共演したキーファー・サザーランドが2001年、「24」でTV界に来たのを横目で眺めながら(←多分)、2003年、ヒット・コメディ映画シリーズ第3作『最'狂'絶叫計画』に出演する(役名がトムだったのはトム・クルーズを意識して?)と共に、TV「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ」に出演を開始。彼が演じるチャーリーはマリブ・ビーチに住むモテモテのセレブという、やはりチャーリー自身を思わせる役。しかし、『ホット・ショット』でも共演したジョン・クライヤーを弟アラン役に迎え、これまで磨いたコメディ・センスを一気に放出するかのように巧演。コミカルに生まれ変わったチャーリーから、もう目が離せない!