VEGAS/ベガス: インタビュー

デニス・クエイド、マイケル・チクリス、キャリー=アン・モスら豪華キャスト競演!
米CBSで高視聴率ヒットを記録!マフィア・ドラマとカウボーイ・アクションが融合した斬新なクライム・アクション大作

インタビュー

デニス・クエイド(ラルフ・ラム役)

Q:「VEGAS/ベガス」について教えてください。

まだいろんな企業が進出してくるずっと前の1960年代初頭のラスベガスが舞台だ。まだ荒涼としていたこの土地に、マフィアたちが占領し始めてきた頃の話さ。

Q:成功したドラマシリーズに関わることができて、どのような気分ですか?

実はテレビシリーズに参加することに少し躊躇したんだ。自分に合うかどうかわからなかったから。でも今ではすごく好きだよ。毎日仕事に行くことや、時間をかけて作り上げていく作品の一部になれることはとても嬉しいことだ。



Q:主人公ラルフ・ラムについて

ラスベガスで4代続く牧場を経営していたけど、不本意ながらも保安官の任務を引き受けることになったラルフ・ラムという男だ。

Q:1960年代初頭のラスベガスはどのような場所だったのでしょう?

すでにその地に住みついていたのは、ギャンブルをする奴らや娼婦のような荒くれ者ばかりだった。だからラルフ・ラムも、そんな人間たちの一人ということになるだろうね。でも彼は、他の奴らとは異なった人生哲学を持っていた。彼の世界観はアメリカ西部の文化が基盤になっている。そこにシカゴ出身の奴らがどんどん流入してきて奴らの文化と衝突したんだ。そこからラスベガスが生まれた。

Q:実在の保安官ラルフ・ラムについて

保安官になりたての頃の彼は荒っぽい人だったらしい。でもラスベガスの住民たちは、彼のおかげで街が一掃されて、彼に好意を抱いたんだ。文面通りの法に従ったやり方ではなかったかもしれないけど、住民たちからはマフィアを遠ざけたし、しかるべき対応をした。

Q:1960年代のラスベガスで保安官になるということはどういうことだったのでしょうか?

ラスベガスの保安官であったということは、当時のネバダ州で一番権力を握っていたということだ。州知事はその下に位置していたんだ。ラスベガスにおける全ての免許証などの発行は保安官によって管理されていた。だから犬を飼う場合も保安官から許可をもらう必要があったし、仕事をする場合も彼から労働許可を出してもらう必要があった。酒類を販売する場合も同じだから、ラスベガスにおいて許可証を発行してもらうことは、特に重要なことだったのさ。

Q:ラルフの有能な保安官の一面はどのようなところですか?

ラルフ・ラムは初めからラスベガスに居住を構えていた市民の一人だ。マフィアによる侵略が始まったけれど、彼は強気に立ち向かった。人々に対してどう公平に対応すればいいかも分かっていた。

Q:ラスベガスはラルフにとってなぜ重要なのですか?

実際のラルフ・ラムは4代続く牧場の経営者だ。彼の祖先はインディアン戦争まで遡る。彼らの牧場は今のベラージオの建っている所にあったんだけど、売却するのが早すぎたね(笑)。

Q:「VEGAS/ベガス」で衝突する二つの世界とは何ですか?

マフィアたちがラスベガスに流れ込んできて、法を犯さないように何かを成し遂げようとする中に、ラルフ・ラムが法執行の立場としてそこにいる。彼らは時に衝突し、時に互いを利用する。全員で車輪が回転するために潤滑油を注入し続けるみたいな感じさ。それがドラマを面白くする。

Q:マイケル・チクリスとの共演はどのような感じですか?

マイケル・チクリスと僕のキャラクターは、ラスベガスにおけるそれぞれの世界の象徴だ。彼は力強く素晴らしい俳優だよ。面白くなりそうな予感がしている。

Q:1960年代のラスベガスを再現することにどのような困難がありますか?

この時代を作り出すには全てが本物でなければ説得力がない。1960年代初期に走っていた車や、当時のままの雰囲気を作り出す必要がある。だからこの時代を細部に至るまで再現させるため、多大な力が注がれているのさ。

Q:「VEGAS/ベガス」でのストーリーに1960年代の歴史的な人物は登場するのでしょうか?

1960年代のラスベガスはありとあらゆる人物が集った場所だから、たくさんの歴史的な人物が登場するんじゃないかと思うよ。

Q:ラルフ・ラムの本当の人生はどのようなものだったのでしょうか?

実際のラルフ・ラム氏は相当興味深い人物だよ。話し方一つとってもそうだし、もちろんラスベガスの保安官という彼の人生そのものもね。それからほんの少し謎めいたところもあるんだ。

Q:製作総指揮のニック・ピレッジは「VEGAS/ベガス」に何をもたらしましたか?

能力ある人たちを集めて、素晴らしい番組を作り出す機会を提供してくれた。僕はそこに一番惹かれたよ。彼らは、毎週事件を解決するありきたりの犯罪捜査ドラマを作りたいわけじゃなかったんだ。根底にはラスベガスの成り立ちを語るというもっと大きなテーマがあって、それについて語れる人物は『カジノ』『グッドフェローズ』の脚本家であるニック・ピレッジ以外誰もいないのさ。彼はラスベガスが出来上がっていった世界を知り尽くしているし、実際にラルフ・ラム氏とも顔見知りだったみたいだ。彼はその分野の専門家だ。

Q:カウボーイを演じるのはあなたにとって大変ですか?

牛や馬と触れ合ったりするのはとても好きだし、僕にとって自然なことだ。

Q:なぜあなたが「VEGAS/ベガス」で演じるカウボーイは説得力があるのでしょう?

僕はテキサスで生まれ育って、モンタナ州に牧場も持っている。用具一式を身につけるのにも慣れてる。カウボーイを演じるのは楽しいよ。

Q:あなたのキャラクターになりきる衣装のアイテムは何ですか?

僕がカウボーイを演じる時は決まって帽子から始まる。(渕の)曲がり具合にこだわりがあるんだ。

Q:視聴者は「VEGAS/ベガス」のどこに惹かれると思いますか?

ラスベガスの歴史やラスベガスという土地は、全ての人を掻きたてる。この番組を見れば、ラスベガスがどう始まってどういう発展を辿ったのかを知ることができるよ。

Q:この時代のラスベガスの歴史になぜ惹きつけられるのでしょう?

これはラット・パックやエルビスがラスベガスで活躍した時代でもあるよね。ラスベガスだけじゃなく全国的に急成長の真っ只中だった。楽観的な良い時代だった。国家プロジェクトとして月面にも行って、20年も経てば皆がジェットパックを背負っているだろうと思ったし、色んな改革が行われると思っていた。まさにあの時代を生きるのは素晴らしいことだった。
あの時代のラスベガスにはスタイルがあった。エレガントである意味ロマンチックな時代だったと多くの人が感じている。ギャングの活躍も含めてね。ギャングはアメリカの象徴だよ。

Q:アメリカ文化のどの部分が「VEGAS/ベガス」に登場しますか?

このドラマの核はカウボーイ対ギャングだ。だからこの二つのアメリカの象徴の戦いということになる。

Q:後半のエピソードで登場人物たちは、どのような展開を見せてゆくのでしょうか?

視聴者たちが登場人物について深く知るようになるほど、事件捜査ではなく、キャラクター主導の番組になっていくね。
ラルフが法の代弁者で、サヴィーノがマフィアの代弁者だ。サヴィーノはまっとうなビジネスマンになろうとしている一方で、ラルフは状況に応じて善と悪の境界線が揺らいだりする。今後の展開の中で、グレーな領域に入る事態が多くなるよ。ラルフはサヴィーノの協力が必要になったり、逆に彼は僕の援助が必要になることが出てくる。

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マイケル・チクリス(ヴィンセント・サヴィーノ役)

Q:「VEGAS/ベガス」について教えてください。

今日でのラスベガスの姿は誰もが知っているよね。1960年からのラスベガスの発展は、真のアメリカン・サクセスストーリーなんだ。世界レベルでの街の成長という視点から見ても、凄まじい発展を遂げた。ギャングたちによって始まったというだけあって、合法と非合法が刺激的に背中合わせになることで奇妙な世界を作り出している。
僕らは、これはラスベガスという街の心や魂の闘いだと解釈している。皮肉なことに、全く異なった背景を持つラルフ・ラムとヴィンセント・サヴィーノという2人の男には、共通しているところがたくさんあるんだ。でも彼らの違いが大きすぎるから、2人は中間地点で出会う必要があるんだ。

Q:「VEGAS/ベガス」が世界的に成功したことについてどう思われますか?

デニス・クエイド、キャリー=アン・モス、ジェイソン・オマラ、サラ・ジョーンズのような素晴らしい俳優たちが揃っている。しかも、ラット・パック、エルビスやショーガールたちが活躍した本当にワイルドな時期のセクシーで魅惑的な60年代のラスベガスが描かれている。誰の干渉もなく楽しめたし、ラスベガスで起きたことはラスベガスに留まった。罪の意識を感じさせるような享楽的な雰囲気があったね。その空気感に、グレッグ・ウォーカーやニック・ピレッジの脚本家たちと、プロデューサーのキャシー・コンラッド、ジェームズ・マンゴールド、アーサー・サルカシアンたちの才能という素材が絶妙に混ざって調理されると、本当に旨いシチューが出来上がるんだ。

Q:ヴィンセント・サヴィーノについて

ヴィンセント・サヴィーノは、キューバを経由してたまたまシカゴから来たというだけの、まっとうなビジネスマンだ。キューバにいる家族のために、あることをして、その利息を払うためにラスベガスにたどり着いたんだ。

Q:「VEGAS/ベガス」の中でどの二つの世界が衝突しますか?

平原で牧場の経営をしていた元憲兵が、シカゴ出身の犯罪者グループと鉢合わせになったという、街と田舎の意外な遭遇だよ。
ラルフ・ラムとヴィンセント・サヴィーノは奇妙な仲間さ。ラスベガスがまるで呼吸しながら巨大化しつつある中で、2人はある意味協力し合わなければならなかった。それは、まさにテレビシリーズの背景としては持ってこいの設定だ。

Q:マフィアたちは、ラスベガスの成長にどのように貢献しましたか?

彼らがラスベガスのマーケティング・キャンペーンを仕掛けた張本人たちだ。エンターテイメントを身近にさせたことで、これまでよりもさらに大勢の客を呼び込むことに成功し急成長につなげた。

Q:ラスベガスでのサヴィーノの主な目的は何でしょうか?

合法的に支配者層の一部になることはサヴィーノのゴールだ。彼は腐敗の中で育ってきたチンピラだったけど、頭は良かった。ギャングたちの中に大学出の人間はいないけど、彼らの数世代先の子供たちは、ハーバードやイェール、アイビー・リーグの一流大学を卒業してラスベガスを回していくようになっているだろう。彼らは単なる繁盛店のオーナーだけでは終わりたくなかったんだ。僕の演じるサヴィーノは、まず富と権力を獲得してそれを持続させることを目的とした。そうすることで真の支配者層になれると考えているんだ。

Q:ラスベガスの成功はサヴィーノにとってなぜ重要なのですか?

サヴィーノはみすぼらしい所で育ったから、1000ドルのスーツに身を包んだ男を見て「ああなりたい」と思い描いていたような男だった。その時に強い願望が芽生え、そういう男になるためなら何でもするようになった。でもかといって正当なやり方を教えられたわけじゃないし、正当な方法でそれを手にする術を知らないんだ。彼は大学に行ってないし、教育を受けたわけでもない。だからストリートで覚えた感覚を使いながら自分で方法を見つけるのさ。

Q:サヴィーノのどのような所が良いビジネスマンとしての一面ですか?

とても感心させられるのは、マフィアたちが自然に起業家精神を持ち合わせていたことなんだ。彼らはビジネスを理解していたし、どうすれば客を呼べるかをよく分かっていた。そこはストリートで洗練された感性ならではの部分で、教育を受けても得ることができないところだ。それがゆくゆくはラスベガスの大隆盛へと繋がってゆく。

Q:マフィアのボスたちが、ラスベガスでビジネスマンとして成功できた要因は何だったのですか?

ラスベガスのような莫大な空間を見て、ここならそれが作れると大きな夢を持ったんだ。もし客がボクシング試合からコンサートホールへ行きたかったらカジノを通過させ、レストランに行くにもカジノを通過させるように、カジノを中心に作った。金が奴らのポケットにどんどん入って行くように、すべてが稼ぐために考えられている。今度行ったら注意深く観察してみるといい、感心するよ。

Q:ラムとサヴィーノの間には、お互いへの尊重はあるのでしょうか?

僕は実際にサヴィーノ側の組織のトップだったという男と会う機会があったんだけど、彼は今ラルフ・ラムと仲が良いそうなんだ。彼らはお互いの墓穴を掘りあっていたようなものだしね。ローマ兵とギリシャ兵の戦いの末、平和が訪れた時はお互いに親友になっていたみたいなもんさ。だって2人には誰よりも共通点が多くあるからね。この2人の男たちの関係性はとても興味深いものがある。当時、渋々ではあるけど協力させられたりすることがあったし。

Q:実在のキャラクターを演じていいところはどのような所ですか?

違った角度から物事を捉える視点ができる。人にどう物事を成し遂げたかをインタビューすると、全てが手に取るように理解できるわけじゃないけど、ある程度の疑問は解消される。そうするとその新たな視点から物事を捉えて演じることができるようになる。

Q:あなたがサヴィーノを演じる上で、個人的な経験を当てはめたりしますか?

僕がブルックリンに近い場所に住んでいた時、朝起きたら、ドライブウェイに駐車してあった自分の車が無くなっていたことがあったんだ。それで近所のパン屋に行ってそれを伝えた。僕はたいていの場合、機嫌良く楽しそうにしているもんだから、そこのおばちゃんは「マイキー、どうしたのさ?」って心配してくれたんだ。そこで「誰かに車が盗まれた」って伝えると、おばちゃんは「街に車なんて乗って行ったらダメだよ、あそこはみんなが野獣みたいだから」って言うんだ。「でもすぐそこの僕の家の前で盗まれたんだ」って言ったら彼女すごく驚いてね。その後すぐに仕事に出掛けて、12時間後に仕事から帰ってきたら、家のドライブウェイに僕の車がきちんと戻って来ていて、割られた窓ガラスも修理されて、全てがきちんと揃っていたんだ。その時、マフィアは映画の中だけにいるだけじゃなくて、本当に存在するんだってことを感じたよ。彼女はたった1本の電話をかけただけなんだ。そうしたらそれがどんどん伝わって行ったみたいで。翌朝僕は再び店に行っておばさんに「おばさんの名前は一切言わないから、何をしたか教えて」って言ったら「心配しないでよ、誰も殺されちゃいないからさ。この近所で誰も盗みは働かせないよ。1000ドル札を貼っておいても誰も手出しはできないさ」って言うんだ。それを聞いて「ワオ」って感じだった。彼らは独自の捜査網を使って突き止めた犯人から僕の車をきれいにして戻してくれた。彼らの独自の捜査網は、自分たちの身は自分たちで守ることができるのが良い所なんだ。
それからフェドーラ帽をよく被っていた祖父のことを思い出すね。彼はスーツとネクタイを着用してフェドーラ帽をかぶらないと絶対に外出しない人だったんだ。当時の彼は本当にそうだった。

Q:サヴィーノと妻との関係はどのようなものですか?

彼女は気品があるから俺が引き立つだろう?でも彼女は単なる彼の飾りみたいな存在じゃなく、彼は本当に彼女に惚れてるんだ。自分の子供たちの母親でもあるからね。しかも彼女は彼が住んでいた反対側の通りの出身だから、彼は身分が上の女性を仕留めたのさ。

Q:サヴィーノのこれからには何が待ち構えているのでしょう?

ある程度の地位にまで登りつめると、将来的にはおそらく政治が絡み始めるんじゃないかな。


Q:ニック・ピレッジとグレッグ・ウォーカーのプロデューサーたちは「VEGAS/ベガス」に何をもたらしましたか?
マイケル・チクリス:ニック・ピレッジとグレッグ・ウォーカーは、番組の脚本執筆ということに関して言えば最強のコンビだ。ニックはこれまで『カジノ』『グッドフェローズ』という素晴らしい2本のギャング映画を書いた。グレッグはテレビ界で様々な番組を手掛け、もう何年も大活躍しているプロデューサーだ。
この番組に携わっている人達は、何十年もの経験がある。これはとても特別な番組になると思うよ。

Q:「VEGAS/ベガス」と他の捜査ドラマとの違いは何ですか?

「VEGAS/ベガス」は誰もが知ってる捜査ドラマとは一味違って、ありきたりの番組じゃなんだ。それは僕がこの番組に惹かれた理由の一つでもある。キャラクター、ストーリー、争いごとや生身の人間たちの感情や葛藤の中に深く分け入っている。

Q:デニス・クエイドとの共演はいかがですか?

彼との共演はとても楽しみにしている。対立する2人とならばなおさらだよ。
一流のテニスプレーヤーは一流のプレイをするものだ。だから僕らはとにかくボールを力いっぱい打ち合う。楽しくなりそうだ。

Q:「VEGAS/ベガス」の現場の雰囲気はどのような感じですか?

いい現場にいる時はそれを肌で感じる。特別な作品に関わることへの興奮やその場にいることを心底楽しんでいるという、みんなに共通するフィーリングが現場に充満しているんだ。だからそういう雰囲気が初めから流れているんだよ。

Q:ラスベガスのマフィアという存在は邪悪と感じますか?

もちろん過ちはたくさんした。でも彼らは、家族のためにアメリカンドリームを勝ち取ってやろうという野心に燃えていた。そうすれば確実に子孫の代に受け継ぐことができるからね。

Q:1960年代のラスベガスにはどんな魅力があったのでしょうか?

ラスベガスは多くの人々のために様々な機会を提供した。今や墓場は一杯だ。

Q:「VEGAS/ベガス」では街のダークな部分に焦点を当てていますか?

この番組は、大々的に悪徳から生まれた街を扱っているから闇の要素は必ずある。でもそれこそが、この番組を魅力的でセクシーにしている要素だ。

Q:ラルフ・ラムというキャラクターの魅力は何ですか?

ラルフ・ラムは1960年から20年間ラスベガスの保安官を務めてきた男だ。その歳月で隆盛したラスベガスを考えてみるといい。反対側にいるFBIの視線を感じながら、どう警察当局とマフィアの境界線を狡猾に渡り歩いてきたのか。
彼は独自のやり方を持った型破りな男だ。乗馬も好んだ。昔ながらという言葉が良く似合うカウボーイさ。

Q:ジェームズ・マンゴールド監督は「VEGAS/ベガス」に何をもたらしていますか?

シリーズを通して語られるべきすごい話が本当にたくさんある。これは映画じゃなくテレビシリーズだけど、映画的な要素があるんだ。ジェームズ・マンゴールドが番組の監督というだけで、美しく仕上がるし、素晴らしい出来になる。

Q:セットのデザインは、1960年代のラスベガスに行った気分にさせますか?

番組の見た目は見事だ。美しく撮影されているし、撮影技術が素晴らしい。(カジノホテルの)サヴォイの内装がすごく気に入っている。目を見張るような光景だよ。だから俳優として、その世界にどっぷり浸かることはとても簡単なことだよ。カクテルに敷いてあるナプキンのような細部に至るまで、全てが完璧なんだから。

Q:あなたのキャラクターになりきる衣装のアイテムは何ですか?

ピンキーリングとカフスボタン、ロレックスの金時計、それからフェドーラ帽とビシッと決まったスーツだね。

Q:視聴者は「VEGAS/ベガス」にどのような反応を示すと思いますか?

これは、視聴者たちを甘やかすいい番組になりそうだ。

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キャリー=アン・モス(キャサリン・オコンネル役)

Q:「VEGAS/ベガス」への出演を決めた理由は?

「VEGAS/ベガス」のパイロット版台本が、これまで私が読んできたどの台本とも違っていたからなの。すでにこの世界での精鋭たちが揃っていたし、ジェームズ・マンゴールドやキャシー・コンラッド、デニス・クエイド、マイケル・チクリスたちとも一緒に仕事が出来るなんてとても興奮したから。


Q:「VEGAS/ベガス」について教えてください。

舞台となっているのは、ベガスが今日の姿に変わるまでの50年代後半から60年代初頭よ。その変貌を主人公ラルフ・ラムの視点から描いているのよ。彼は牧場経営者でもあるカウボーイ。善戦を信じる男よ。誠実で実直で裏がない。マイケル・チクリス扮するキャラクターヴィンセント・サヴィーノが、東部から流れて来てラスベガスの建立に関わることで、二つの世界の対立を生み出すの。わくわくするような衝突よ。

Q:「VEGAS/ベガス」の良い評判を楽しんでいますか?

人々が観てくれていて本当に感謝しているの。これもデニス(・クエイド)やマイケル(・チクリス)のほか、番組の雰囲気づくりをしてくれるスタッフや脚本家たちに負うところが大きいわ。これからも見続けてくれるといいんだけど。本当にハマるストーリー展開だから。観て行くうちにもっと観たくなってくれるといいな。私が小さいときに好きで見ていたテレビシリーズを今の再放送で見てみると、1年目以降にさらに良さが加速して行くのよね。長く続けば続くほど面白くなっていくの。この番組でもそれができると嬉しい。

Q:「VEGAS/ベガス」の脚本は番組の成功にどう貢献していると思いますか?

化学反応が関係していると思うけど、やはり脚本が重要な要因よ。脚本は良いテレビシリーズの要だわ。人物関係の複雑さで私たちの頭を混乱させないのがとてもいいわ。話の筋を理解して現場に挑めばいいだけだから。ちょっとずつ理解できるように、とても良く書かれているのよ。

Q:「VEGAS/ベガス」の時代背景になぜ惹きつけられるのでしょうか?

ラスベガスが今日のような姿になるまでの時代を知ることは私もとても興味があるし、惹きつけられるわ。番組のプロモーションでラスベガスに行ったんだけど、あの場所は本当に別世界よね。今日のラスベガスになるまで、どのような姿から始まって進化していったかを考えるのは、とても興味をそそられるわ。

Q:キャサリン・オコンネルについて

キャサリンはラルフの近くで成長した女性よ。彼女の家族は彼の家の隣に住み、彼女はラルフに憧れ、尊敬しながら育ってきたの。大きくなって進学した東海岸の学校を卒業してからは、故郷のラスベガスに戻って来て地方検事補として働きはじめるの。

Q:キャサリンは「VEGAS/ベガス」の中で善悪を判断する役割を担っていますか?

彼女には高潔さと、教本上は物事がどうあるべきなのかという感覚が身についているわ。一方のデニス・クエイド演じるラルフは、同じ気質を持っているけど、彼は独自の方法でそれを進めるの。彼の場合、正しい声が心の奥に響いているんだけど、彼女の場合は正しい方法で進めなきゃ気が済まないの。

Q:キャサリンは自分の道徳観を貫くことを妥協してしまいますか?

彼女はだんだん悪人を捕えることに情熱を燃やすようになるわ。だから、教本通りじゃないことに対して寛容になっても驚かないわ。

Q:キャサリンとラルフの間にロマンスは生まれたりするのでしょうか?

どうやら彼らは、互いの関係を作っていくのに時間をかけているみたいなの。2人の間にはとにかく尊敬があるわ。時としてそういうロマンチックな雰囲気も流れることはあるけど、2人の中心には尊敬の念があるの。それ以上の関係の発展については私はよく分からないし、キャサリン自身もラルフにも分かってないと思う。それぞれが敢えてその関係に持って行くことはしないわ。彼らは自分のやるべき仕事に集中しているからね。

Q:キャサリンとしてはラスベガスの急成長をどのように感じているのでしょう?

キャサリンはラスベガスの開発については反対していたわ。そこは彼女が成長した土地だったわけだし、彼女の故郷だったから、前向きにはなれなかったはずよ。

Q:キャサリンは、ラルフ・ラムのことを良い保安官だと感じていますか?

キャサリンには与えられた仕事があったし、彼女は法律は守るためにあると考えるタイプだけど、ラルフ・ラムの型破りなやり方については理解があったわ。彼女は必ずしも認めたわけじゃないけど、それは彼女の遺伝子の中にもある気質なの。対立を鎮静化させるためには、例外の手段を取らなきゃならないことを知っていたわ。

Q:ラムとサヴィーノの関係性の魅力は何ですか?

2人のキャラクターそのものがとても興味深い存在だと思う。2人ともとても豊かで個性の強いキャラクターだわ。彼らはお互いに異なった考えを持っていて、それが全てにおける衝突の種になる。

Q:後半のエピソードでは、キャサリンはどのようになってゆくのでしょうか?

彼女がなぜこれほどまでに仕事に熱中するのかが理解できるようになるわ。彼女の過去についてや、何が彼女を突き動かしているのかを知るようになる。あの時代に地方検事補でいるためには凄まじく強い精神を持っていなければならなかったの。彼女はあの時代を乗り越えるためのある種の習慣みたいなものを身につけていたわ。物事には暗黙のコードがあって、それに対して「それはこうあるべきよ」って声を上げるわけじゃないけど、彼女は自身のやり方を見出して、自分の中の声に耳を傾けるようになるの。彼女もだんだん自分の持つ視点ややり方を強く誇示するようになるわよ。

Q:1960年代の働く女性にとっては何が大変でしたか?

1960年代は、労働社会に入ろうとする女性への風当たりが強かったし、とてもタフな時期だったわ。私は何人かの女性からそのことについて話を聞いたんだけど、ある女性がとても興味深いことを言ったの。「多くの女性は働く女性に対して敬意がなくて、それがとても怖かった」とね。

Q:1960年代のキャラクターを演じられて楽しいですか?

この時代はとても好きなの。服やヘアスタイル、化粧の雰囲気がかっこいいのよね。

Q:このドラマは、視聴者をどんな風に1960年代のラスベガスに誘ってくれますか?

番組の雰囲気が本当に美しいわ。セットのデザインや衣装やメイク、照明に至るまでドラマの全体が素敵なの。これから音楽の要素も加えようとしているから、そうなるとまた時代設定としては次のレベルに格上げされるわ。

Q:「VEGAS/ベガス」の中で使用される衣装はどの程度本格的なのですか?

衣装はキャサリン・デトロが担当していて見事なのよ。衣装の中にはあらためて作られたものもあるんだけど、私が身に着けている衣装は全てが当時のもので、ネットで買い集めた本物ばかりらしいわ。あの時代の女性は時間をかけて良い物を着こなしたし、それを楽しんでやっていたわ。私は実際にそのようには暮らしてないけど、スカートやブラウスやセーターを着るのは楽しいし、色や形が美的に優れたものばかりだったわ。私は今のファッションよりも、あの時代のファッションの方に興味を持っているわ。今流行のファッションはあまり理解できないのよ。

Q:1960年代の洋服は着心地がいいですか?

息苦しいわ。でも呼吸くらいどうってことないわよね。素敵に見える方が優先だものね(笑)。



Q:あなたのキャラクターになりきる衣装のアイテムは何ですか?

ベルトを締めたタイトスカートと色鮮やかなセーターとイヤリングが彼女の制服のような感じがするわ。番組の中でよく私が身に着けているビンテージの指輪があるんだけど、それは私の人生で身に着けたジュエリーの中で一番気に入っているの。仕事が終わってそれを外すのが辛いくらい。「家に着けて帰っていいですか?」ってお願いするんだけど、私は信用されてなくて、ダメって言われるの(笑)。

Q:ジェームズ・マンゴールドは、「VEGAS/ベガス」に何をもたらしていますか?

ジェームズ・マンゴールド監督は、まるで世界を埋め尽くしてくれるようなタイプの監督よ。セットに到着した時は「ワオ!」って感じで、当時にタイムトラベルしてきたかのような気持ちになったわ。彼は当時を再現するための、わずかなディテールにもこだわる鋭い眼を持っている。

Q:「「VEGAS/ベガス」が他の捜査ドラマと違うところはどこですか?

おかしな話なんだけど、パイロット版の台本は4回か5回は読んだんだけど、5回目くらいの時に捜査ドラマの要素があるってことに気付いたのよね。全然そんな角度からは読んでいなかったのに、突然それに気づいて「あら、これってすごい」って思ったの。今まで捜査ドラマをこの視点から観たことはなかったから。

Q:「VEGAS/ベガス」に対するファンからの反応はどのようなものがありましたか?

撮影が始まってからよく耳にしたのは、当時のラスベガスが今日の姿からかけ離れていることに、人々がとても興味を持っているということ。まだベガスの土地が純潔で、牧場を大切に経営する人々は、空港もそのほかのものも欲しくないって思っていたの。視聴者もその部分にとても興味を持っているのよ。
私が出会ったラスベガスで育った人々は、ラスベガスができた背景を取り上げた番組になることをとても喜んでいたわ。それについて彼らは感情的になってしまうほどよ。だってあの土地は彼らの故郷なわけだし、変貌する街をずっと見守ってきたからね。私たちにもとても興味深いことよ。

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ジェイソン・オマラ(ジャック・ラム役)

Q:「VEGAS/ベガス」に参加しようと思った理由は?

デニス・クエイド、マイケル・チクリスとキャリー=アン・モスが出演するって聞いて、参加しない手はないと思ったのさ。

Q:「VEGAS/ベガス」について教えてください。

開発真っ只中の急成長にあるラスベガスの運営指揮を誰が執るかという権力と支配力の争奪戦だ。



Q:ジャック・ラムについて

ジャック・ラムは僕が演じるキャラクターで、ラルフ・ラムの弟のフロイドをもとにしている。このストーリーが展開される時代の彼は既に上院議員になっているんだけど。彼も、ラルフがカウボーイからクラーク郡の保安官に転身したように、カウボーイから上院議員に転身しているんだよ。その事実を知って興味を持っていたから、その転換経緯にも興味があったんだ。

Q:「VEGAS/ベガス」で衝突する二つの世界は何ですか?

カウボーイ団とイタリアンマフィアのギャング団の直接対決だ。


Q:ラルフ・ラムとギャング間の争いをどう説明しますか?

当時はギャングも勢力を伸ばしながらカジノを牛耳り始めていたから、法による取り締まりが必要な状態になっていた。しかし当時のラスベガスには事実上そのような抵抗力に対抗できる法執行の組織が存在していなかった。そこでラルフ・ラムに白羽の矢が立ったというわけだ。ラスベガスには戯言を言うような奴じゃなく、ギャングたちに、悪事を働ければそれ相応の責任を取るべきだときっぱり言い渡せるようなタフな人間が必要だったんだ。

Q:このストーリーの中ではどっちが善でどっちが悪になりますか?

この街は堕落や腐敗から生まれただけあって、その両方に傾く傾向がある。白黒はっきり線引きができる話じゃないんだ。だから時にはどちらかが勝る時もある。マフィアたちだって常に暴力的だったわけじゃないと思うんだ。彼らの中には優れたビジネスマンもいたしね。マフィアたちがいなかったら今日のラスベガスもないわけで、それは事実だから。

Q:なぜこの時代のラスベガスの歴史は人を惹きつけるのでしょう?

この街の始まり自体はもう歴史に残るストーリーだ。ラスベガス誕生の裏にある、まだ表に出ていない歴史的な事実もたくさんある。全ての人間がストーリーを持っているんだ。ある一夜の話を切り取っても、当時そこにいた人たちからはそれぞれ食い違った話を聞くことができるし、色んなストーリーが満載なんだ。あの時代はとてもセクシーでグラマラスな時代だった。番組の中でも言っているけど、この砂漠の街に新たな秩序であるネオンの波が到来し、人々は互いに感心しあうために思い切り着飾ったんだ。ラスベガス(Las Vegas)という言葉はスペイン語で牧草地という意味で、本当に何にもなかった場所に街が出現したんだよ。

Q:兄のラルフとジャックの違いはどのようなところですか?

ジャックのほうがラルフよりも人付き合いがうまくて、より政治的だという注釈が台本にあったよ。彼は至って公平で、ラルフより少し安定して落ち着いたタイプだ。
ジャックは牧場経営をする傍らで保安官の仕事もしているから、ラルフほどの情熱はないのさ。ラルフが争いに巻き込まれている最中、ジャックはラルフの息子のディクソンの面倒を観なければならなかった。だから彼はそういったわだかまりを持っていて、時としてその不満が噴き出すことがあるんだ。2人とも共通して優れた捜査官ではあるけど、同じ人間ではないのさ。

Q:ラム兄弟は法の執行役という立場に向いていますか?

彼は場違いの人間で、時として間違った選択を取ってしまうこともあるけど、ジャックもラルフも常に信念に従った選択をしている。彼らには善悪に対する強い感覚が備わっているんだ。彼らは普通の警察、捜査官やFBIが取らないような行動を取ることが多い。たいていの場合で彼らが従うのは、自分の心と直感なんだ。ラルフが犯人を追っている最中に別の犯人に出くわして、その犯人の犯した罪の動機が善意から来るものだと分かると彼は、「誤りを犯してしまったことはもう仕方がない。誤りから学んだだろう」って言って深追いはしないのさ。そういう所にカウボーイならではの正義感が垣間見えるんだ。

Q:あなたにとってカウボーイを演じるのは大変ですか?

全ての俳優にとって、少なくとも僕にとっては確実に、カウボーイを演じることは夢だったよ。僕らが牛たちをまとめて移動させているとDC-9機が頭上をかすめるっていうあの素晴らしい風景がオープニングシーンにある。

Q:ラルフ・ラムのキャラクターの魅力は何ですか?

ラルフ・ラムがクラーク郡の保安官として有名だったという以外に、彼がギャングたちをビリヤード・テーブルだかルーレット・テーブルの上に投げ飛ばしたという逸話があるんだ。その話の細かいところは覚えてないんだけど、とにかくそんな命知らずなことができる人間は当時誰もいなかったんだ。だからシーズン(もしくは何シーズンも)を通して、そういった側面を描き広げていくドラマになる。争いごとの度にラルフ・ラムが立ち上がって「それは許されない」って言うのさ。

Q:1960年代の犯罪捜査は今日の犯罪捜査の手段とどのように異なっていますか?

今は毛髪などからのDNA鑑定が当たり前になって、細かい証拠に欠けて息詰まるということが少ないね。ラルフとジャックのやり方は、罪を犯した人物を特定して彼らを処罰する過程の中で、その人物をさらに見極めようとする。目の前の人物が本当に罪を犯せる人間なのかどうか考え出すのさ。僕はその判断の下し方はカッコいいと思うんだ。

Q:後半のエピソードで、キャラクターの私生活も垣間見えるようになりますか?

毎週何らかの犯罪が起きるけど、キャラクター主導のドラマになればなるほど、犯罪捜査の要素が占める割合が若干減っていく。それだけじゃなく、カウボーイ側のストーリーも少なくなるね。それからこれまでは、各登場人物の描写がどんどん充実し始めたところだったから、十分に彼らを紹介できてこなかった。これからはそれぞれの関係性がもっと確立されてゆくから、どんどん興味深く、引き込まれる展開になっていくよ。その辺の要素をじっくり番組の中で伝えることができるようになるね。

Q:ジャックとミアの関係はどのように発展しますか?

この部分はロミオとジュリエットのようなスタイルだ。ロミオとジュリエットほど若くはないけど、二つの家庭がある決定的な違いによって引き離されるという展開は、確実にその路線を行っている。誰かが殺されなければ面白い展開だ。ラルフはそれを良いことだとは思ってないけど、誰かを好きになるのは心の問題で、それをどうこうすることはできないし、それに応じた代償を払わされるだろうって見守っているのさ。

Q:キャスト同士の相性についてはどのように言えますか?

レギュラー陣の誰でもが主役を張れるクラスの役者ばかりだ。デニス・クエイドとマイケル・チクリスがナンバー1とナンバー2にいるというのは本当に驚異的だよ。素晴らしい役者がそろうと全員の士気が上がるんだ。僕らはみんな軽くやってのけたりしてるわけじゃなく、全てのシーンに全力で挑んでベストの演技を出したいんだ。結果として沢山のドラマチックな素晴らしいシーンが生まれていると思う。演技のアプローチの仕方はそれぞれ異なっているけど、全員がお互いのプロセスを尊重している。それがとても良い結果を生んでいるよ。今回の俳優陣の中に加えてもらえてとても感謝しているし恐縮しているのさ。

Q:後半のエピソードでは、それぞれのキャラクターから何が期待できそうですか?

パイロット版は素晴らしい出来だったけれど、43分間の中でキャラクターを確立させ、ストーリーを多く伝えるには限界があった。番組が進んでいく中で、全体像が見え始めて、マフィア側やカウボーイ側のキャラクターたちについての理解が進み始めたよね。だから突然キャラクターが居なくなったり、お互いに利用し合う姿を見ていると、このいたちごっこゲームの全容やウソの数々が見えてくるんだ。視聴者は、どれほどキャラクターやストーリーにどっぷりはまっているか気づいて驚くと思うよ。

Q:アメリカンのウエスタン文化はこのストーリーを語る上でどのくらい重要ですか?

この番組の中でのウエスタン文化は、ラスベガスにあったこれまでの古い世界と台頭してきたこれからの新しい世界の対比を表現するための部分にしかすぎない。ラルフが腰で銃を打つシーンやカウボーイがショットガンを持って登場するシーンがこの番組の中で一番ウエスタンっぽいところだ。番組の核は、キャラクター同士の係わり合いで、そこから本当のドラマチックな展開が生まれている。
これは今無くなりつつある世界の話だ。今ではほとんどなくなってしまったと言っていいくらいだ。牧場主であること自体、今は稀なことだ。ごく典型的な労働者の姿を、この番組の場合は突拍子もない立場に置かれることになった人物だけど、カッコよく見せている。

Q:この番組で使われているウエスタン訛りはどの程度正確なものですか?

鼻声訛りに話してはいるけど、それほど南部訛りにはしてないんだ。今では残っていないけどその時代と場所に依るものだ。実際のラルフ・ラム氏だって南部人のような訛りはない。カリフォルニアとテキサスが混ざったような訛りで、今のネバダ州の人達にはそんな訛りはないんだ。この場所特有の訛りはもうほとんど存在しないと言っていい。僕らは、そこは明確にしようとしているんだ。

Q:あなたのキャラクターになりきる衣装のアイテムは何ですか?

帽子、ベルト、ブーツの3点を身に着けると、ジャックになれる。カウボーイの必需品だから、特に帽子だね。当時の男性の多くは帽子を被っていたから、帽子のエチケットは大きな問題だった。こういう場で帽子を被っていいのか、被るべきなのか、帽子を脱いだ際に帽子はどうすればいいのか、小道具の一部なのか、ジェスチャー表現に使うべきなのか、手に持っておけばいいのか、下に置いてもいいのか、などなど。最初の数週間、帽子の淵を下に向けて置いてしまっていたんだけどそれは大きな間違いでタブーなんだってことを知ったよ。帽子は常に逆さに置くものなんだ。帽子そのものに大きな意味があって、カウボーイたちは屋内にいる時以外は絶対に帽子を取らないし、屋内であってもそこに居る客人によっては取らないこともあるんだ。帽子のマナーの奥は深いのさ。

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テイラー・ハンドリー(ディクソン・ラム役)

Q:「VEGAS/ベガス」に出演しようと思ったのですか?

それほど素晴らしくないドラマが巷に溢れている中で、こういう台本に出会ったから、とにかくこの作品に関わりたかった。そのためにするべきことを全てやったよ。
ある時、デニス・クエイド、マイケル・チクリス、キャリー=アン・モス、ジェイソン・オマラたちキャストの椅子の横に僕の椅子があって、全て出揃っていた日があったんだ。それを見たとき「ワオ、僕はこれからデカくなるすごいプロジェクトの一部なんだ」って思った。「こんなことが本当に起きるなんて」って圧倒されたよ。

Q:ディクソン・ラムについて

ディクソンはあらゆる意味でトラブル・メーカーだ。でも悪気はないんだ。

Q:父親のラルフとディクソンの関係を説明すると?

ディクソンは本当にマイペースだ。父親のラムもそれをよく理解しているから、勝手にさせてくれているのさ。でも息子の中に何らかの可能性を見出して自分の補佐をさせようとする。

Q:ラルフはディクソンの犯罪捜査の腕を買っていますか?

ディクソンは自分には犯罪捜査の知識があることを証明しようとしている。ストーリーが進むにつれ、自分ひとりで対処できることを父親に示すようになるよ。

Q:ドラマの中でディクソンの恋愛話は出てきますか?

特定の誰かとの恋愛はまだないんじゃないかな。彼に特定の人がいないからこそ問題ばかり起こすっていう設定なんだと思う。僕はそれでも一向に構わないけど。

Q:「VEGAS/ベガス」でのアクションシーンは楽しいですか?

毎回何かが爆破するし何等かの争いごとが起きる。

Q:「VEGAS/ベガス」に関わるスタッフやキャストのレベルの高さに驚いていますか?

今回の作品のスタッフやキャスト以上のまとまりやレベルの高さは越えられないよ。ジム・マンゴールドやキャシー・コンラッドを始め、デニス(・クエイド)、マイケル(・チクリス)、キャリー=アン(・モス)、ジェイソン(・オマラ)、それからニック・ピレッジやグレッグ・ウォーカーの脚本家たち。すばらしい精鋭たちの集まりだ。

Q:カウボーイを演じることはあなたにとって大変ですか?

子供の頃から乗馬はちょくちょくやっていたんだ。5、6年前の作品で乗馬することがあって以来だ。顔合わせとトレーニング・セッションを組んでくれた時にそこで乗馬してみたんだけど、勘とか技術が鈍ってるのがよく分かったんだ。だから一回だけのセッションじゃなくて5回くらいセッションをこなしたんだ。そうしてやっと自信を取り戻すことができて頑張れたのさ。上手くいって良かったよ。

Q:なぜこの時期のラスベガスの歴史は人々を惹きつけるのでしょうか?

僕自身も惹きつけられるよ、だって混沌とした場所だからね。ここで問題が起きた際はケンカして解決するか、相手を家の中に連れ込んでじっくり話し合うかしかないんだ。あの時代は今とは大きく違っていたし、番組を見ても毎回が冒険のような感じだ。60年代にタイムトラベルをしているような気にさせられるよ。すごいぜ。

Q:視聴者にとって「VEGAS/ベガス」の魅力は何でしょう?

語られるべきストーリーが本当に多くあるんだ。キャラクター間のストーリーや謎とかいろいろね。興味深い内容のストーリーが山ほどあるから、視聴者も長期にわたって楽しめるはずさ。 

Q:「VEGAS/ベガス」のどのようなところが海外の視聴者に受けていると思いますか?

誰もがラスベガスにのストーリーを持っているのさ。それは60年代のものかもしれないし、70年代かも80年代かも、今のストーリーかもしれない。だから多くの人は番組に共感できるんじゃないかな。

Q:「VEGAS/ベガス」は世界的にも成功していますが、なぜだと思いますか?

俳優たちの力量が関係している。全てのキャストが本当に素晴らしい演技をしているよ。プロダクション・デザインも大きく影響していると思うし、見事な脚本や、キャラクターに息を吹き込む役者たちの演技も左右している。

Q:「VEGAS/ベガス」の舞台裏の雰囲気についてどうですか?

初日からキャストもスタッフも既に準備万端だったからそのまま走り続けてるって感じさ。皆との相性もいいし、あまりにもうまく行ってて驚きだよ。
メインのキャラクターたちがオープンな姿勢で話しやすく、いいシーンを作り出そうと取り組んでくれていると、本当に良い雰囲気が流れる。デニス・クエイドとマイケル・チクリスは熱心に演技に取り組むし、提案したことにオープンな上、様々なアイデアを生み出してくる。その時の状況に応じて何かを創り上げるっていう仕事の環境がとても楽しいし大好きなんだ。今の僕には「VEGAS」の現場以上適した場所はないくらいだ。

Q:日々の厳しいスケジュールとどう折り合いをつけていますか?

そのことについてつい先日、ジェイソン・オマラと話をしていたんだ。この仕事は他のどの職業とも違って、激しい感情の高ぶりや落ち込みを体験させられることになる。だから身体的な負荷はかからなくても、常に精神的な負荷がかかっているんだ。テレビでやってるように、来る日も来る日もそれの繰り返しだ。心身ともにエネルギーを消耗するよ。

Q:あなたのキャラクターになりきる衣装のアイテムは何ですか?

カウボーイ・ブーツを履くと少し違った歩き方になる。ジーンズを履いてカウボーイ・ベルトを締めてカウボーイ・シャツに身を包むとカウボーイのような歩き方になってカウボーイのような話し方になる。衣装ってのはそこがいいね。
よく共演者たちと冗談を言い合うんだけど、僕らはいつも素敵な良いシャツを支給される。視聴者は気付いたかどうかわからないけど、当時のカウボーイたちはクローゼットには数枚しかシャツがなくてそれらを着まわしていたらしいんだが、僕らは毎週新しいシャツを着ている。だから僕らはファッショナブルなカウボーイなのさ。

Q:「VEGAS/ベガス」の中の他の誰かを演じるとしたら誰になりますか?

マイケル・チクリスの演じるサヴィーノが大好きだよ、だって本当に危険な男なんだけど、その中から良心が垣間見える時がある。彼のキャラクターには何層もレイヤーがあって、彼は見事にそれを表現しているんだ。あのキャラクターを見ることが好きだし、彼のこの先の展開も読めなくて楽しみだ。彼を突き動かしている動機はみんなが予測している通りのものかもしれないし、シーズンの終盤では全く違っていたってことにもなるのかもしれないし。

Q:あなたのご家族は「VEGAS/ベガス」のファンですか?

両親も兄弟も祖母もみんな楽しんでくれてる。ばあちゃんからは、自分の美容師さんと会ってほしいって言われたよ。ばあちゃんの好きにしていいよって感じだったけど。

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サラ・ジョーンズ(ミア・リゾ役)

Q:なぜこの時代のラスベガスは人々を惹きつけるのでしょうか?

大体60年代自体がとても特別な時代だったんだと思う。当時は物議を醸すような活動や動きがたくさん起きていたし、新しい考え方も広まって来ていた。政治的なことだけじゃなく、社会的な考えやファッションや音楽や映画などの文化的な動きも激しかったわ。全てが激変の時だったのよ。60年代はとにかくエキサイティングな時代だったの。

Q:1960年代の女性を演じることの大変さは何ですか?

女性は自分の人生プランを今とは違う方法で立てなければならなかったわ。キャリー=アン(・モス)がどうあのキャラクターを演じているか代わりには話できないけど、私について言うと、当時の男性と渡り合うことには、ある種の感性が求められた感じがする。会話も今とは違うし、沢山男性がいる中で自分が唯一女性の場合は、男性のエゴには少し繊細にならなきゃいけないの。

Q:シーズン1でのミアとジャックの関係はどのように発展しますか?

普通の男女関係と同じよ。出会って、お互いに興味を抱いて、お互いを求めるようになる。とても自然な流れでジャックとミアの仲も進展してゆくと思うわ。

Q:ラスベガスでの成功はミアにとってなぜ重要なのですか?

彼女が築いたキャリアでステップアップする大きなチャンスだからよ。彼女にとってのラスベガスは次のステージなの。ある責務を負って彼女はシカゴから送り出された。彼女が自分の力量をマフィアたちに証明する大きなチャンスなのよ。

Q:ミアとサヴィーノは同じ目的を持っているのですか?

2人とも自分たちのしていることを合法的に成し遂げたいのよ。彼らはもちろんマフィアと深く繋がっているけど、まっとうなラスベガスのビジネスを成功させたいとお互いに暗黙で理解しあっているのよ。

Q:ミアのキャラクターについてあなたが最も興味を持っているのはどこですか?

私の演じるキャラクターは、ストーリーの中でダークな位置にいるわ。ダークな人物っていうのは興味を惹くと思うの。ダークじゃなくても反社会的な立場にいると言われる人でも、良心に従ってクリーンな生き方をしている人は特にね。

Q:ミアと彼女の父親の関係性についてどう説明できますか?

彼らの関係は普通の父娘の関係と同じよ。彼女はやっぱりパパのお姫様で、パパは娘の言いなりよね。でも同時に彼は非情なマフィアのボスなわけで、彼に特定の物言いができるのは彼女くらいだけど、彼女も立場をわきまえて争うようにしているのよ。その関係性は一般的な親子関係と同じだけど、唯一違うところは彼らには反社会組織のマフィアが絡んでいるっていうところね。それ以外は普通の父と娘の関係と基本的に同じよ。

Q:このシーズンであなたのハイライトはどこですか?

今の共演者やスタッフたちと仕事ができているっていうところがハイライトよ。みんなとても素敵だし、それぞれいい仕事をしようと懸命で、楽しみながら仕事ができてるの。とてもシンプルで複雑なことはないわ。本当に新鮮よ。

Q:番組の中でのミアの衣装は何を象徴していますか?

彼女は男性を理解しているわ。彼女の母親は死んでしまっていたから育った環境には母親はいなかった。だから父親やマフィアの男たちの手によって育てられて、周りには男しかいなかったのよ。彼らはギャングたちだけど、パワフルなビジネスマンでもあるわ。だから彼らのような男性たちが、女性やビジネス・パートナーから何を求めているかよく把握していたから、その二つの素質を合わせ持てるようになったわ。だから彼女が着る物も、女性らしさを隠さない衣装が多いの。その力はパワフルよ。彼女らしさを際立たせる要素でもある。男性が彼女のような容姿の女性に求めている女性像を敢えて演じるわ。だから彼らが彼女を利用しようとするものなら、彼女から奇襲攻撃を食らうことになるの。そんな時の彼女は本性を現して彼らを締め上げるのよ。

Q:「VEGAS/ベガス」の良い評判を楽しんでいますか?

視聴者が気に入ってくれるならとても喜ばしいことよ。そうでなくても仕方のないことだけど、別にいいの。私はとにかく自分に課された仕事をするだけだから。

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グレッグ・ウォーカー(企画・原案)

Q:「VEGAS/ベガス」について教えてください。

話の核は、1960年代にラスベガスで起きた東部と西部の衝突だ。保守的な価値観を持った西部の牧場経営コミュニティーに対し、ラスベガスに膨大な可能性を見出し流れてきた東海岸からのマフィアたち。
帝国が築き上げられようとしている中には権力争いがある。マイケル・チクリス扮するヴィンセント・サヴィーノや、デニス・クエイド扮するラルフ・ラム、そして地方検事補という様々な人間たちが、機会を伺いながらラスベガスの王座を狙って入り混じるんだ。

Q:このプロジェクトはどのようにしてもたらされたんですか?

アーサー・サルカシアンと僕の共同脚本家のニック・ピレッジは、ラフル・ラムのストーリーを映画用に企画していた。とても長いプロットで、ラルフ・ラムが権力の座に就き、彼が保安官を退職するまでを丁寧に辿り、最後は夕日の中に馬に乗って消えていくというラストだった。野心に溢れた大作だけど、彼の膨大なストーリーを映画の中にきちんと収めるのは大変なことだった。アーサー・サルカシアンはそれをキャシー・コンラッドとジム・マンゴールドに持って行って見せ、キャシーがテレビシリーズに最適なんじゃないかって提案してくれたんだ。

Q:実際のラルフ・ラム氏はどのような人物ですか?

ラフル・ラムはまさにジョン・ウェインそのものだ。長身(6フィート3インチ=190センチ)で肩幅が広く大柄、カウボーイ・ハットを被ってブーツを履き、大きなバックルのベルトを締めている。穏やかな話し方をする人で、よく頭で考えてから言葉を口にするストイックなカウボーイだ。そこに彼の人格の全てが表れているから、それ以外には見当たらないな。

Q:なぜデニス・クエイドがラルフ・ラム役に適していたのですか?

デニス・クエイドにはラルフ・ラムのブーツが履きこなせたし、落着きと堂々さがあった。今の時代にはそういう人物を演じられる人が少なくなってきているんだけど、デニスは稀に見る一人なのさ。彼はそれを目を輝かせながら自信たっぷりにこなすことができる。絶滅寸前のタイプだ。

Q:ヴィンセント・サヴィーノについて教えてください

もしヴィンセント・サヴィーノが20年あとに生まれていたら、彼はきっとウォール街で達人になっていただろうね。ヴィンセントは大きな視点で物事を見ることができるんだ。それに彼はマフィア世界の中で成長したから、暴力というものへの理解があったし、それを手段として使う場面があることも知っていた。でも彼は人に頼る人間じゃない。ココっていうタイミングで矢筒から正しい矢を抜き放つことができる巧妙さが彼のキャラクターにはあって、常に自分の知性に頼っているんだ。彼は独自の道徳観を持ち、物事には正しいやり方と間違ったやり方があると信じている。時に自分の中でも葛藤が生まれているんだ。

Q:キャサリン・オコンネルについて教えてください

キャサリン・オコンネルは1960年代では稀に存在した地方検事補だ。ラムの牧場の近くに住んでいてそこで育ったんだ。ラムが持つ牧場よりも大きい牧場だった。彼女の父親はラムよりも政治的で狡猾だったんだ。キャサリンは10年前にラスベガスを後にしてニューヨークの学校に進学し、法律の学位を取得したあとに法律関係の仕事に就いたんだ。でも公私ともに失望させられて、故郷のラスベガスに戻って来る。彼女の記憶の中のラスベガスは埃まみれの牧場の町だったのに、戻ってきたら様変わりしていて、ニューヨークにもなかったチャンスがそこに生まれていた。彼女もその街に自分の居場所を見つけようとしている。帝国の一部を占有できる機会を伺っているんだ。

Q:ジャック・ラムについて教えてください

ジャックは家族の中での平和維持者だ。牧場を実質経営しているのは彼で、彼のおかげで牧場が回っている。ラルフのほうはすこし奇人で孤立したところがある。ジャックはコミュニティーの中でうまく立ち回れるタイプだ。彼なりの野心を持ってはいるけど、シリーズの回が進むにつれて彼の野心が芽生えてくるんだと思う。彼は牧場での生活に満足していたし、むしろ牧場の方を好んでいた。でもラスベガスにある機会を見出し始めた。でも彼の主な目的は、自分の生活と牧場を守ることだった。ベガスという街が彼らの牧場の世界を侵蝕しはじめ、ジャックはこのマフィア側の動機や計画自体に深い疑念を感じるようになる。

Q:ディクソン・ラムについて教えてください

ディクソンはイイ奴だけど、まだわんぱくな小僧だ。ラルフの息子なだけあって、今の時点では抑制のきかない火の玉みたいなんだ。問題ばかりに足を突っ込んでいるけど、誰よりも楽しんでいる。

Q:ラルフ・ラムとヴィンセント・サヴィーノの共通点は何ですか?

ラルフ・ラムとヴィンセント・サヴィーノの2人は、だいたいが同じコインの裏と表なんだ。2人とも野心家で、それぞれに何かを成し遂げたいと思っている。それに、独自の類似したポリシーを持ち、ギリギリの社会ルールに則ってプレイしながらこの世を渡っている。極めて独立している男達なのさ。

Q:「VEGAS/ベガス」が他の捜査ドラマシリーズと異なるところはどこですか?

ラルフ・ラムとヴィンセント・サヴィーノという2人の最強なキャラクターがいるというのはすごいことだ。でもそれは同時に、キャラクターにまつわるストーリーや、ラスベガスの王座をめぐって繰り広げられる衝突での彼らの動きを、毎週起きる事件のストーリーの中にうまく織り込む必要があるんだ。パイロット版のバランスが、そのままの配分でシリーズを通したバランスになるんじゃないかな。事件も起きるし、それが話を引っ張っていくことになるけど、それ単体が毎週視聴者を惹きつける要素にはならない。テレビ番組のいいところは、毎回起きる事件や謎解きに引き込まれるけど、それと同じくらいに毎週の背景設定が興味深いというのがいいんだ。登場人物たちの変貌ぶりを観察しつつ、誰がラスベガスの覇者となるのかという争いを楽しんで見ることができるんだ。

Q:保安官としてのラルフ・ラム氏の実体験はどのくらい「VEGAS/ベガス」の中で使われているのですか?

彼は本当に色とりどりの経験を18年間もしてきたから、僕らはそれらの事実とフィクションを織り交ぜたものを作り出している。彼が出会った歴史的な出来事や彼の保安官の秘話なんかは、時系列順に取り込むようにしている。ラルフ・ラムの脅威になった人物の到来や、ラスベガスの歴史的な出来事は取り入れているよ。だからラルフ・ラムに実際に起きたことにフィクションを取り交ぜたものが僕らの番組なんだ。

Q:1960年代のラスベガスを再現することはどのくらい大変ですか?

幸い一生懸命に取り組んでくれる素晴らしい製作スタッフたちに恵まれている。小道具係からヘアメイク係から衣装係から、一丸となって時代を忠実に再現することに注力してくれているんだ。博物館のようなものじゃなく、リアルで現実感がないと困るんだ。当時のラスベガスの空気感を出したいんだ。だからそれは挑戦だよ。でもすごく楽しい挑戦だ。

Q:1960年代をテレビドラマの背景にすることの素晴らしさは何ですか?

ネオンで書かれたアメリカン・ストーリーだ。ニューヨークのように、移民の到来とともにもたらされた向上的なアメリカ文化の話とも違う。爆発しそうな勢いの快楽とセックスと欲と暴力がごった返していた瞬間を捕え、この砂漠のど真ん中に築き上げられた帝国のストーリーを伝えたいんだ。メイフラワー号やボートに乗ってやって来て移住してきた人間たちは登場しないのさ。ワイルドウエストとギャングの出会いなのさ。ラスベガスに来たら、出身がベルギーだろうとフランスだろうとドイツだろうと、みんな何を求めているかがはっきりしていて、そこに辿りつけばそれを手に入れる。疑う必要もないし、気取る必要もない。

Q:ラルフ・ラムのどのような所が保安官としての良い所ですか?

彼には西部の正義感の気質がある。とてもシンプルだけど、今の世の中はずっと複雑になってしまった。彼はそんな中でも、感覚的に正しく、シンプルで常識的な解決方法を見つけ出すんだ。当時のラスベガスでは政治目的で行われていたことがたくさんあって、ラルフ・ラムはそういう下らない動きに切り込んでいくのさ。周りの余分な所は省いて単刀直入に答えまでたどり着く。女性に無礼な男の顔をぶん殴る必要があれば彼はやる。

Q:ラスベガスにおける法の取り締まりは1960年代から大きく変わりましたか?

ベガスの司法制度は厳しい。一度投獄されると出所するのが大変になる。その基本はラルフ・ラムのように自らの手で法の執行を行っていた実質主義のフロンティアたちによって築かれたものだ。止めに入る米国自由人権協会もいない。究極の自由主義社会で、正しいことは正しく、間違っていることは間違っているという、明確でグレーが無い世界だったんだ。

Q:ラルフは善と悪の境界線をどのように渡っているのですか?

ラルフ・ラムが直面する難問は、ラスベガスでの権力の座に関われば関わるほど、それにまつわるカネや権力やセックスの世界に引き込まれるようになることだ。この場合、かつてのフロンティアたちが直面して選択を迫られたような簡単な問題とは違い、グレーの領域が生まれることになるんだ。ヴィンセント・サヴィーノのキャラクターは常に彼をこのグレーの領域に引き込み、彼の家族もろともラスベガスの大きな渦の中に引き入れて染めようとする。

Q:さらに善と悪の境界線について

砂漠に出現するオアシスのように、ベガスは本来見えている姿と異なっているのと同じだ。同じことがラルフ・ラムのキャラクターにも言える。ある日突然目が覚めて1,2歩大きく歩いたら悪の道にいたということはなく、小さな歩みを何歩か重ねているうち、ある時ふと気づくと、元いた場所から何百メートルも離れてしまっているんだ。ラルフ・ラムには、戻るためにはどこまでこの小さな歩みを続けていいかという葛藤が生まれている。ヴィンセント・サヴィーノの存在も複雑だよ。なぜなら彼は単なる悪人じゃないからね。彼にはビジネスマンとしてまっとうな成功を収めるという夢があるし、ラスベガスを、ハバナが辿れたかもしれない路線に乗せようとしている。ギャンブルの合法化で、ここに帝国を築くことができれば、マフィアである必要はなくなるんだ。彼は心底それを望んでいるし、マフィア文化がこの変化に耐えられるように変えようとしている。マフィアは長いスパンではなく、短いスパンで手にできる利益の事ばかり考えている。だからマフィア特有の暴力的な要素を、IBMやゴールドマン・サックス的な思考と融合させる必要があった。綱渡りのような危険な状況のすぐそこには、サヴィーノを特別なギャングと思っているラム保安官がいる。サヴィーノは、彼を消してしまっても、次に来るのはさらに厄介な奴だって分かっているのさ。

Q:なぜ1960年代のラスベガスが女性にとってチャンスの地だったのでしょうか?

ミアとキャサリンは、ニック(・ピレッジ)が知る実在の人物がもとになっているんだ。
ラスベガスは女性にチャンスの場を与えた。彼女たちにとってもワイルドウエストだったってわけだ。ニューヨークやボストン、フィラデルフィアではガラスの天井にぶち当たってしまうところ、ラスベガスではトップまで登り詰めることができるのさ。



Q:「VEGAS/ベガス」の中でキャラクター描写と、犯罪捜査描写のバランスを保つことは大変な作業ですか?

これは上手く混合された番組だから、謎解きの要素が毎週ありつつ、ケーブルテレビ特有の長期に及ぶストーリーテリングの特性も併せ持ち、かつキャラクター描写も深い。ニック・ピレッジになじみ深い世界から生まれた、本当に興味深いキャラクターたちがいる。どの人物にも手をかける必要があるから、時に目隠しをしてダーツを投げて当てでもしないとどの人物に手を付けていいのかわからなくなる。僕にとってはストーリーテリングのバランスを取るというのが大きなチャレンジだ。

Q:これから視聴者を興奮させるようなストーリーのひねりは出てきますか?

サヴィーノとラムの予想外の敵がラスベガスに到来してくると、2人がチームとして力を合わせる方がまだましだということに気付くんだ。だからラスベガスの地に手ごわい敵が現れることになる。サヴィーノやマフィアをつぶすだけでなく、ラスベガスのギャンブル自体をこの地から一掃させて核開発計画を実行しようとするんだ。ラムとサヴィーノは、この男にこの選択をさせてしまうことで、ラスベガスの土地が脅かされることを痛感するんだ。

Q:1960年代の犯罪捜査手法は今のそれとどこが違いますか?

いくら脚本家が「CSI」のキャロル・メンデルソーンであっても僕らであっても、ここで語るストーリーはカッコいい犯罪で番組の幕が開くものじゃないんだ。少なくとも僕らにとっては、1960年代の犯罪捜査のように、方法に限界がある方がすごくエキサイティングだ。携帯電話もなければDNA鑑定もない、電話に逆探知をかけることもできなければコンピュータ上で車の位置確認が出来るわけでもない。そんなものは無かったから、自分の創意工夫の能力、推論することや良識に頼るしかなかった。どれもラムが持ち合わせている核の部分だ。だからそのハンデが逆に僕らにとって楽しいね。でも一方で、ラスベガスでの犯罪を全て羅列することは困難だ。世界中の銀行強盗がラスベガスに来れば安全だと考えていて、銀行強盗をした後はみんなラスベガスにやって来る。ラルフ・ラム氏は、FBIから銀行強盗犯の顔写真を入手してカジノで張っていればみんな捕まえられるって提言してたくらいさ。全員がラスベガスに逃げてきているから自分は目立たないって思ってるのさ。

Q:後半のエピソードでは、登場人物たちのどんな展開が期待できますか?

いままだ考え中だよ。僕らは全部出し切ってしまおうって決めていたんだ。最初の12話がシーズンの一区切りで、12話目で大きな出来事が起きてキャラクターたちが新たな問題に直面した。今はそこからの展開を話し合っている最中だ。サヴィーノとラムの穏やかではない同盟関係は続きそうな雰囲気だ。
これからさらにロマンスあり、セックスあり、バイオレンスありって感じだね。これまで僕らが築いてきたキャラクターの設定がどんどん開花していくんだ。だからもっとキャラクター同士の間でロマンスが生まれるし、複雑な関係にもなるし、これまで予想しなかった2人が互いに愛し合っていたことに気付いたりするよ。もし他の誰かがキャサリンに想いを寄せていたら、ラムはどう感じるだろう?ミアとジャックが急接近して2人の仲が危険に晒されるかも?善人であるはずの保安官がマフィアの娘と一緒になるなんてことができるのか?もしそうならどうやって?というようなセクシャルな恋愛の三角関係や同盟関係が、後半ではさらに複雑になっていくんだよ。

Q:視聴者は「VEGAS/ベガス」のどこが楽しめますか?

「VEGAS/ベガス」は、エネルギーに満ち溢れていた時代を捕えているし、それはテレビドラマでまだかつて誰も見たことのないものだ。東海岸のマフィア文化と西海岸の法と正義という二つの世界が衝突する。フェドーラ帽対カウボーイ・ハットだよ。世界中どこにいても、僕だったらチャンネルを合わせて見てみたくなるテーマだね。

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