バートレット政権の次期政権を担う大統領候補選びが始動するシーズン6では、次期大統領候補として民主党のマシュー・サントス(ジミー・スミッツ)が新たに登場する。このマシュー・サントスはなんと、オバマ大統領をモデルにして生まれたキャラクターなのである。
本国でシーズン6が放送された2004年、一躍注目を浴びた政治家がいた。ジョン・ケリー議員が立候補した2004年大統領選の党大会で、イリノイ州の若い政治家が基調演説で「人はみな平等であり、ブラックのアメリカも白人のアメリカもラティーノのアメリカもアジア人のアメリカもない、ただあるのはひとつのアメリカなのだ。」と感動的なスピーチを行った。自分にチャンスを与えてくれたアメリカという国をたたえたスピーチは高く評価され、一斉に全米の注目を浴びた、それがバラク・オバマ上院議員(当時)だった。
オバマ議員のスピーチに感銘を受けた「ザ・ホワイトハウス」の脚本家(アル・ゴア元副大統領の元スピーチライター)は、すでに、ラテン系俳優ジミー・スミッツがキャスティングされていたことから、特に人種や社会問題に対するオバマ議員の考えを参考にしてマシュー・サントス役を書き上げていき、演じるジミー・スミッツはオバマ議員のスピーチを研究、実際に会って話をするなど、マシュー・サントスは当時のバラク・オバマ議員をモデルとして作られたのだった。(実際、マシュー・サントスとオバマ大統領は同じ1961年生まれで、共にボブ・ディランファン。)
一方共和党からの大統領候補としてアーノルド・ヴィニック(アラン・アルダ)というキャラクターが登場するが、こちらもマケイン氏を彷彿とさせるキャラクターで、党の中では少数派の自称マーヴェリックというベテラン政治家、しかも年齢までマケイン候補と同じなのである。初の白人以外の大統領になる可能性を秘めた若手ホープと共和党のベテラン政治家が大統領候補......。まるでこの前の大統領選とまったく同じシチュエーション?! それにサントスの前に立ちはだかるさまざまな試練は、人種に関することや若さゆえの経験不足を攻撃されるのをはじめ、まさにオバマ大統領が切り抜けてきたものと同じであり、話題になる社会問題や両者の政策にいたるまで、2008年の大統領選のそれと非常に似ているのである。
2004年から2005年にかけて制作されたシーズン6は、まるで2008年の大統領選をドラマ化?!しているかのような展開を迎える。実在する若手政治家をモデルにしただけのはずだったのが、いきなり4年後を大胆予測してしまった?!いったい脚本家がどこまで4年後の大統領選を予知してしまったのか、感心しながらぜひ楽しんでいただきたい。