SPY CITY ~ベルリン 1961~

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ベルリン、1960年代、冷戦、スパイ――。各国のスパイ機関が暗躍する1960年代のベルリン。
東西を隔てる壁が建設される直前の時代背景の中で繰り広げられる、スパイドラマ「SPY CITY ~ベルリン 1961~」が日本初上陸!!

見どころ

舞台となる1961年3月――。まだベルリンに壁はなかった。

「SPY CITY ~ベルリン 1961~」を観るにあたり、第二次世界大戦後のベルリンを取り巻いていた背景について押さえておく必要がある。第二次世界大戦末期、策定されたポツダム協定において、ドイツの非ナチ化と民主化が行なわれるまでの間、ドイツの東部地区はソビエト連邦、北西地区はイギリス、南西地区はアメリカ、西部地区はフランスと、4ヵ国によって分割占領されることになり、ベルリン地区も4カ国のそれぞれの軍隊によって占領されることになった。1948年6月、西部地区を占領していたアメリカ・イギリス・フランスの3カ国が通貨改革(新通貨のドイツマルク流通)を強行したことにより、反発したソ連のスターリンが同年、西ベルリンへの交通路のすべてを封鎖。これがきっかけとなって、東ドイツはドイツ民主共和国(German Democratic Republic = GDR/ DDR)、西ドイツは、ドイツ連邦共和国(Federal Republic of Germany = FRG/BRD)と呼ばれ、ドイツ東西の分断が確定し、分割統治されていたベルリン地区も東西に分断されたのだった。この後、1961年までは相互の往来が許されていたのだが、西ドイツの自由と繁栄に憧れた東ベルリン国民が次々と西側に脱出したことから、ソ連と東ドイツ政府は共産体制を守るため、1961年8月にベルリンの壁を建設し始めた。1961年上旬のベルリンは、まだ東西間を自由に行き来することができたものの、4カ国による軍隊のほか、KGB(ソ連)、SDECE(フランス、現DGSE)、CIA(アメリカ)、MI6(イギリス)という4つの諜報機関も同時に存在していた。東西ドイツを隔てる壁が建設される直前を舞台にした「SPY CITY ~ベルリン 1961~」は、4カ国による機密組織が入り乱れていた頃のベルリン、スパイの街=SPY CITYを描いている。

007の新作小説を執筆したウィリアム・ボイドが脚本を担当! 主人公のエージェント役は「プリーチャー」のドミニク・クーパー!!

本作のプロダクションを担ったミュンヘンにオフィスを構えるOdeon Fictionのプロデューサーであるブリッタ・マイヤーマン、ミッシャ・ホフマン、アン・カトリン・アイヒャーは、1960年代のベルリンの壁建設時期を舞台にしたシリーズの構想について次のように語った。「第二次世界大戦や80年代のStasi=シュタージ(旧東ドイツ時代の秘密警察)に関する番組や映画はたくさんありますが、壁が建設されたこの特別な瞬間を舞台にした作品はありませんでした。当時、ソ連と東ドイツが何かを企んでいることは知っていましたが、まさか実際に街全体を閉鎖させる分断の壁を建設して西ベルリンを東ドイツの陸の孤島にしてしまうとは思ってもみませんでしたから」と語った。彼らはこの時代を軸にしたシリーズコンセプトにふさわしい脚本家をドイツとイギリスで探し始め、ウィリアム・ボイドに辿り着いたそうだ。ウィリアム・ボイドは、イアン・フレミングの『カジノ・ロワイヤル』出版から60周年を記念した007の新作小説「Solo(原題)」を執筆した作家でもあり、イギリスのスパイドラマ「Restless(原題)」やショーン・コネリー出演作『グッドマン・イン・アフリカ』、ロバート・ダウニー・Jr.の『チャーリー』などの脚本も担当した。プロデューサーがボイド氏に本プロジェクトについて打診をしたところ喜んで引き受けてくれたそうだ。監督は、テレビアクション作品を多く手掛けているミゲル・アレクサンドルが担当し、主人公は『マンマ・ミーア!』シリーズのほか、アマゾン・プライムビデオシリーズの「プリーチャー」で主演の牧師役を務め、『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』や「エージェント・カーター」でハワード・スターク役を演じたドミニク・クーパー。次なるジェームズ・ボンドの候補者としても名前が上がっていたことがある彼が、ハマり役でもありイギリスのMI6エージェント、フィールディング・スコット役に扮している。さらに、ミヒャエル・ハネケ監督のパルム・ドール受賞作『白いリボン』での演技で数々の賞に輝いたレオニー・ベネシュや、『バーダー・マインホフ 理想の果てに』のヨハンナ・ヴォカレク、ネットフリックス・シリーズ「センス8」のロマン・ポルタイユなどの俳優たちが脇を固めている。

音響、フッテージ映像、ベルリンに暮らしていた一般人の生活など、細部にこだわって当時を再現!

撮影は、チェコのプラハ周辺で行われ、セットやロケーションは、VFXチームの協力を得て、1960年代のベルリンを見事に再現させた。また、当時のアーカイブ映像も随所に挿入し、1960年代の空気感を作り出すことに成功している。さらに音響チームは、旧東ドイツ映画スタジオのアーカイブの中から1950年代に生産されていた旧東ドイツのトラバントという車の音源を探し出して劇中に使用。もう現存していない東ドイツ製の車は、当時の西ドイツ車とは明らかに音が違うのだそう。

「本作は、古典的なスパイ・スリラーの世界観に近づけながらも、多くの細かいエピソードやサイドストーリーを盛り込むことが準備段階で重要なポイントだった」とプロデューサーのブリッタ・マイヤーマンは語っている。ベルリンの一般市民を登場人物にし、彼らのストーリーも描くことで、スパイの世界だけでなく、その時代を本当に感じ取ることができるように配慮したそうだ。例えば、裏でイギリス(西)の情報をシュタージ(東)に流しているフィールディングの秘書であるエリーザは、ソ連政権(東)に対するプロテストソングを歌うボーイフレンドと一緒に住んでいることや、東側を支持している戦場カメラマンのウルリケ・ファーバーがフィールディング(西)の協力者になるなど、複雑なキャラクターを据えることで、悪の東と善の西という典型的な描写を避けたかったと語っている。「異なる国籍の人々が協力し合おうとしても、結局は民族主義的な考えにより壁を作ってしまうという、今日でも通じる普遍的なテーマが含まれています」とプロデューサーのブリッタ・マイヤーマン。「だからこそ、あの出来事を忘れないことが大切なのです。多くの人は、壁があったことを当たり前のように思っているかもしれません。実際にその当時、壁がどうして作られたのか、またベルリンに様々な国籍の人が混在していたこともあまり知られていないので、この事実は驚きになると思います。でも最終的に私たちは、この作品が楽しいエンターテインメント作品であることを望んでいますので、皆さんには楽しんで見てもらえたらと思います」と語った。

ストーリー

第二次世界大戦後 東西に分断されたベルリンは、それぞれソ連と米・英・仏によって占領統治され、冷戦が激化する中、各国のスパイ機関の暗躍の場となっていた。

1960年3月21日、MI6の諜報員フィールディング・スコットはある人物に封筒を渡す任務中、その男に襲われ殺してしまう。彼は同じMI6の諜報員のホールデンだった。事件の真相はうやむやのままフィールディングは服役を免れ、ロンドンで閑職に回されていた。しかし1年後にMI6の上官イアンから再びベルリンでの任務を命じられる。旧友のドイツ人科学者ツィーグラーの亡命の指揮を執り、彼と彼が開発した装置をソ連の支配下にある東ベルリンから脱出させる任務だ。それはミサイルの精度を向上させる画期的なジャイロスコープだった。フィールディングはホールデンの件の終結を条件に引き受ける。フィールディングはツィーグラーと接触し、必ず成功させると安心させたのだが……。

各話あらすじ

放送時間

キャスト

フィールディング・スコット/Fielding Scott (声:野島裕史)

英国MI6の頭脳明晰な諜報員。強い思想と価値観、西洋的モラルを持っている。全体主義体制と戦うことを信条としている彼の中では、人々に抑圧を強いる共産主義とナチスに違いはないと感じている。1960年の任務中に殺されそうになり、正当防衛で相手を殺して逃げ切ることに成功したが、それは同胞のエージェントだったと判明。ベルリンでは同胞でさえも信用できないことを痛感する。翌年、東ドイツの科学者を西側に亡命させる任務のために再びベルリンに戻る。

ドミニク・クーパー Dominic Cooper

1978年6月2日、英ロンドン生まれ。London Academy of Music and Dramatic Artsで演劇を学んだのち、ロイヤル・ナショナル・シアターやロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの作品に参加する。アラン・ベネットの舞台「The History Boys」での演技が評価され、以後『マンマ・ミーア!』、『ある公爵夫人の生涯』、『17歳の肖像』、『マリリン 7日間の恋』などの映画に次々と起用される。『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』では、トニー・スタークの父親、ハワード・スタークの若き頃をを好演した。『リンカーン/秘密の書』、『ドラキュラZERO』、『ウォークラフト』など出演作品のジャンルは多岐に渡る。テレビシリーズでは、「エージェント・カーター」でのハワード・スターク役のほか、アマゾンプライム・ビデオのテレビシリーズ「プリーチャー」でのジェシー・カスター役が記憶に新しい。アメリカで人気トーク番組「レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン」のホストを務めるジェームズ・コーデンとは元ルームメイト同士。

セヴリーヌ・ブロック/Severine Bloch (声:有賀由樹子)

ベルリンのSDECEで働くフランスの諜報員。フィールディングとは1960年から知り合いで、突然彼がベルリンに戻ってきたことに驚く。スパイの仕事をしながら人を愛することはできないと知りながらもフィールディングとは恋仲を続けている。同時に、第二次世界大戦中に夫を拷問して殺した犯人への復讐を企てており、フィールディングの協力を仰ぐ。

ロマン・ポルタイユ Romane Portail

1988年1月1日、フランス生まれ。16歳でConservatory of Dramatic Arts of Orléansに入学し演技を3年間学ぶ。その後、フランスで最も有名な演劇学校であるEnsatt National School Of Arts And Techniques Du Théatre(ENSATT)のオーディションを受けて800人の応募者の中から見事に合格。卒業後はパリに移り住み、アルノー・ドゥニ演出のヴォルテール作「'L'ingénu' <The Huron>(原題)」、ベルナール・タピ共演の現代劇「Les Montagnes Russes(原題)」など、数々の役を舞台で演じた。リーヌ・ルノーと共演した「Simple question de temps(原題)」、フィリップ・カロワと共演した「Mallory(原題)」、サガモア・ステヴナンと共演した「刑事ファルコ 失われた22年」などにも出演している。最近では、『マトリックス』3部作のウォシャウスキー監督によるネットフリックスシリーズ「センス8」のシーズン2に出演した。

エリーザ・ハーン/Eliza Hahn (声:宮島えみ)

ベルリン英国管区本部でのフィールディングの秘書。ベルリンの西側のアパートでは母親と一緒に暮らし、東側では恋人のラインハルトと暮らすという生活を送っている。1953年の学生運動時に恋人のラインハルトが投獄されたが、エリーザのおかげで出所させることができた。それ以来、彼女はラインハルトを守るため、密かにシュタージにイギリスの情報を流している。

レオニー・ベネシュ Leonie Benesch

1991年4月22日、ドイツのハンブルグ生まれ。2009年にパルム・ドールを受賞したミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』でエヴァ役を演じ注目を浴びる。同作品での演技が評価され、ヤングアーティスト賞やドイツのNew Faces Awardsに輝く。トム・ティクヴァ監督のテレビシリーズ「バビロン・ベルリン」、ネットフリックス映画『ホリデイ・シークレット』に出演。ネットフリックスドラマ「ザ・クラウン」では、ギリシャとデンマークのセシリー王女を演じている。最新出演作であるBBC版ミニシリーズ「80日間世界一周」では、「ドクター・フー」のデヴィッド・テナントと共に出演している。

ウルリケ・ファーバー/Ulrike Faber (声:加藤有生子)

東ベルリンに住み、知的アートシーンの一翼を担う写真家。人種差別のないイデオロギーを持つ新しい国家を信じている。裏社会の人々を撮影することをアートワークにしており、そのため犯罪者層とのつながりが深く、フィールディングから協力を依頼される。忠誠心が強い野心的な元戦場カメラマン。

ヨハンナ・ヴォカレク Johanna Wokalek

1975年3月3日、ドイツ生まれ。俳優クラウス・マリア・ブランダウアーに師事し、舞台「ローゼ・ベルント」での演技が高く評価されて3つの新人賞を受賞した。最も知られている映画作品は、ドイツの赤軍(RAF)を描いた『バーダー・マインホフ 理想の果てに』での過激派の若者グドルン・エンスリン役。その他の出演作品は、2008年の山岳アドベンチャー映画『アイガー北壁』や、2009年の『Die Päpstin(原題)』での主演。ドイツでの出演作が多く、最新作はミニシリーズドラマの「Am Anschlag - Die Macht der Kränkung(原題)」や「Tatort(原題)」など。

作品基本情報

原題:Spy City
データ:2020年/ドイツ・アメリカ/二カ国語&字幕/60分/全6話/HD作品
製作総指揮:ドミニク・クーパー、ビル・ブロック、トーマス・アウグスバーガー、ミハエル・シュルト
出演:ドミニク・クーパー、ロマン・ポルタイユ、レオニー・ベネシュ、ヨハンナ・ヴォカレク 
日本語吹き替え:野島裕史、有賀由樹子、宮島えみ、加藤有生子