パンデミックによるロックダウンの開始とともにシーズン1を終えた本作。コロナ禍のテレビシリーズ製作は、パンデミックという現実をありのままに描くのか? それとも、希望を込めてパンデミックがなかったかのように、または過ぎ去ったかのように描くのか? 作品によって判断は様々だった。そして、本作のシーズン2はどちらを選択したのかと言うと、パンデミックという現実をありのままに描くことを選択。キャストたちはマスク着用はもちろんのこと、ソーシャルディスタンスを取り、フェイスシールドやゴム手袋、アクリル板パーテーションも多く登場する。そして、これらコロナ対策だけでなく、コロナ禍で派生したBLM運動、警察の残虐行為問題、ヘイトクライムなどにも果敢に切り込んでいく。
第1話では、警察に抗議するデモが行われた夜、逮捕されそうになっている少女を見かけて間に入ったローラが、捜査妨害として拘束されてしまう。そこへ駆けつけたマークの一言は、ローラとマークの信頼ある友情関係にヒビを入れるだけでなく、BLM運動に関わる根本的な問題をも提起する。また、同じデモの夜の出来事は、エミリーやルークの関係にも長く続く影響を与えていくことに……。一方、ロックダウンで溜まった大量の残務処理のためにローラが新たに雇うことになった判事助手のネスは、頭は切れるが歯に衣を着せないタイプでシェリと衝突。シーズン1で仲睦まじく微笑ましかった主要キャラクターの面々に、ことごとく亀裂が入っていくのだ。また第1話は、主要キャラクターたちの設定も、シーズン1フィナーレから随分と変化が起きている。ルークは弁護士資格を取得して地方検事の事務所で働いており、エミリーとルークの関係、ローラの私生活の変化など、驚きの連続だ。
そんな第1話の脚本を執筆したのが、デニトリア・ハリス=ローレンス。シーズン1からグレッグ・スポティスウッドとともにショーランナーを務め、シーズン2では脚本だけでなく監督を務めたエピソードもある。UCLAを卒業後、音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズのパーソナルアシスタントを務め、またアメリカの大手航空宇宙会社でアナリストとしても働いていた面白い経歴の持ち主だ。ピーボディ賞を受賞し、高い評価を得たドラマシリーズ「David Makes Man(原題)」のショーランナーも務めている。