カテゴリ: THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~

THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~エマ・フライヤー(衣装デザイナー) オフィシャルインタビュー


 

各キャラクターの衣装はとても優雅で素敵です。キャラクターごとにどのくらいの衣装を用意しましたか? シーズン1ではエカチェリーナとピョートルのために何着くらいの衣装を作りましたか?

作った衣装の数を数える時間はありませんでしたが、かなりの数を作ったのは確かです。キャラクターによっては新しいエピソードごとに新しい衣装が必要な場合もありましたが、必ずしもすべてのキャラクターに毎回必要とは限らなかったため、製作する衣装の数は脚本次第でした。

エカチェリーナ(エル・ファニング)とピョートル(ニコラス・ホルト)の衣装の場合、コルセット、下着、靴、帽子、ジュエリー類を含め、すべて彼らのためにデザインおよび製作しました。

その他のメインの出演者たちにも、できるだけ多くの衣装を製作しました。

 

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プリプロダクション(撮影前の準備)と撮影中の作業方法について教えてください。 衣装はすべて撮影開始前に作られるのですか? 撮影中に衣装の最終変更を加えることはあるのですか?作業プロセスについて教えてください。

新しいプロジェクトの開始時には、私は常に脚本の世界に浸るようにしています。リサーチから始め、ロンドンの美術館やアートギャラリーを訪れ、ヨーロッパや英国の18世紀の絵画やエカチェリーナやピョートルや18世紀のロシアの絵画を参照したりします。本作の衣装をデザインする上で重視していたことは、ハイエンドなファッションの要素とディテールをミックスさせた衣装で18世紀の世界を作り出すことでした。私は、本作の衣装デザインにそれらの要素を組み込むために、現在のハイエンドなファッション、形、生地、装飾を探求しました。18世紀のシルエットにモダンなファッションのディテールとシャープで綺麗なラインを組み合わせてデザインされた衣装を目指したんです。プリプロダクションでは、私とアシスタントは英国とヨーロッパの衣装店を訪れました。私たちは、面白い生地、装飾物、ボタンを探すためにヴィンテージマーケットにも行きました。また、プロジェクト開始時には多くの生地をリサーチし、調達を行いました。

 

 

 

 

各キャラクターの衣装のインスピレーションは何でしたか? 特定のキャラクターの衣装をデザインするとき、何か特別なことを考えていますか?

本シリーズは10話で構成されていました。2つのエピソードが1つのブロックとして構成されており、各ブロックごとに異なる監督がいました。

プロジェクト初期段階では、私は最初に与えられた台本分の衣装をデザインしました。シリーズが進むにつれて、1つのブロックの撮影ごとに新しい監督が来て、そのブロック分の新しい台本をいただきました。その台本を受け取ったら、その分の衣装を計画してデザインしました。

可能な限り、新しいストーリーと新しい脚本の要件に応じて、キャストのワードローブに新しい衣装を追加していきました。脚本の中のキャラクターの動作によっては、スタントや繰り返しの動きを容易にするために、同じ衣装を複数作成することもよくありました。

(本作の企画・脚本・製作総指揮を務めた)トニー・マクナマラの素晴らしい脚本はキャラクター達をとても個性的に描いており、それは、私が各キャラクターのビジュアルを作り上げる上で非常に役立ちました。本作のデザイン責任者達はこのプロジェクトの開始時に、私たちが作り上げようとしている世界とキャラクターについてトニーと話し合いました。この会議は、キャラクターごとの微妙な違いを確立し、それぞれの衣装をデザインするのに役立ちました。

シリーズの最初の方では、エカチェリーナは愛を探している理想主義でロマンチックな若い女の子です。最初はそのような彼女の特徴を反映した衣装を使用しており、風変りともいえる淡い色のオリジナル柄のダマスク生地を選びました。

 

レフ(セバスチャン・デ・ソウザ)がエカチェリーナの世界に入ってきた時、彼女の衣装はまだ若々しくて遊び心がありましたが、色使いが変わり、レフの衣装に似たものになりました。

第 8話から、エカチェリーナは宮廷の世界に挑み始め、彼女の衣装は色が強くなり、生地はより大胆になり、衣装ははるかにロシアの雰囲気を持っています。

クーデターが始まり、彼女の強さが明らかになると、最終的に彼女の衣装は鮮やかな色合いのものになっています。

 

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対照的に、ピョートルは混沌とした宮廷を運営しており、彼は18世紀の傲慢で危なっかしいアナーキストです。そんな彼の特徴を反映するために、彼の衣装は、革や力強い大胆な錦織、ジャカード生地を混ぜ合わせた、動物的なプリントや生地をうまく取り入れたものにしました。彼はクールな18世紀のパンクロッカーのようです。

おばのエリザベータ(ベリンダ・ブロミロフ)は不思議で、風変わりな人で、自然を愛しています。彼女は自分のセクシュアリティを探求するのが好きなので、彼女の衣装は18世紀の男性と女性の服を組み合わせたようなものの時もありました。彼女は王族なので、高い地位と力を反映するために、大胆な柄の生地を使用したいと思いました。ドレスや髪飾りや宝石の装飾は、昆虫と鳥をミックスしたようなデザインでした。

 

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ゲオルギーナ・ディモフ(チャリティー・ウェイクフィールド)は謎めいていて、知識が豊富で、鋭く、彼女と彼女の夫グリゴール・ディモフ(グウィリム・リー)はいわば宮廷の"デビッド・ベッカムとヴィクトリア夫妻"です。彼女にはシャープで美しいシルエット、大胆な色使いでありながら手間がかからず装飾のない衣装をデザインしました。

 

 

 

 

製作総指揮でもあるエル・ファニングとの仕事はいかがでしたか?エルは衣装に関して何かリクエストやアイデアをくれましたか?

エルと一緒に仕事をするのは最高でした。彼女は本当に素晴らしく、とても協力的です。

最終的なドレスを作る前に、私はいつもエルに生地の選択肢を示し、裁断される前にそれらについて話し合いました。衣装合わせでは、衣装についてや仕上げの詳細について、俳優と常に多くの議論をしますが、エルは常にこのプロセスに大きく関わっていました。テレビドラマの衣装デザインは共同作業であり、演じるキャラクターや出演するシーンに適している衣装だと俳優達自身に感じてもらうことは、私にとって非常に重要なのです。

私の衣装デザインは常にキャラクターに大きく左右されます。

 

 

 

このシリーズはロシア帝国を舞台にしているため、この作品のビジュアル(特に衣装)がとても華やかで驚くほど色鮮やかです。リサーチにどのくらいの時間を費やしましたか? デザインに関して、その信憑性/歴史的正確さを維持する部分と、少し妥協する部分をどのように決定しましたか?

ピョートルの宮廷の貴族達には伝統的なロシアの服を着させず、ヨーロッパのファッションに影響を受けた服を着させる事は美的観点から決定しました。宮廷内の衣装の色彩は非常に特殊で、金、パープルシルバー、さび色、青銅が混ざった、宝石や冬の果物のような色調にしました。

ロシアの地方貴族などの宮廷外のキャラクターは、伝統的なロシアの豪華な刺繡と装飾品があしらわれた天然色の衣装を身に着けており、エカチェリーナだけが淡い色を身に着けていました。ピョートルの宮廷の使用人は、より伝統的なロシアの民間伝承の衣装を着ていました。

 

 

 

エル・ファニングは、彼女のお気に入りのドレスは、シーズン1の終わりやポスターでも着ていたショッキングピンクのドレスだと言っていました。あなたのお気に入りは何ですか? また、製作する上で一番苦労した衣装も教えてください。

ショッキングピンクの衣装以外では、第8話「別荘でミートボールを」(原題「Meatballs at the Dacha」)でのエカチェリーナの衣装が大好きでした。このエピソードはエカチェリーナのターニングポイントでした。彼女の衣装は、柔らかく繊細なフリルとプリントがあしらわれた、流れるようなラインのガウンから、大胆でかつ色と質感が豊かでロシアの豪華さを備えた衣装に変わりました。

本作の衣装は現代ロシアの感性と映画「ドクトル・ジバゴ」の世界観を足して二で割った感じですね。本作で衣装を担当して、とても楽しかったので、苦労した衣装はありませんでした。私と私のチームの主な課題は、新しい衣装を作る時の時間の制約でした。この作品の進むペースはとても速かったので。

 

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衣装に関して、「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」で視聴者に何を見て楽しんでもらいたいですか?

トニーの脚本中の強烈でコメディータッチなキャラクター達を反映した衣装である点や、私の仲間である美術デザイン部門の人たちによってこの作品のために作り上げられた世界に衣装がうまくフィットしている点を視聴者に感じてもらいたいです。

 

 

 

 

 

衣装、美学、ビジュアルなどの観点から、好きな作品(映画/テレビ/舞台)は何ですか?特に印象に残っている衣装を使用した映画やテレビ番組はありますか?

キャリアの早い段階で、ロイヤル・オペラ・ハウスで働き、舞台「オペラ座の怪人」の衣装をデザインしたマリア・ビョルソン、舞台「ロッキー・ホラー・ショー」の衣装デザインを担当したスー・ブレインなどの素晴らしい衣装デザイナーと働いたのはとても幸運でした。オペラ・ハウスを出て、私は映画『恋におちたシェイクスピア』や『アビエイター』などの衣装デザイナーを務めたサンディ・パウエルの元で働きました。サンディ・パウエルは、私が非常に尊敬している素晴らしい衣装デザイナーです。

 

 

 

 

日本のファッション全般についてどう思いますか? どのように感じていますか?

ヴィンテージがミックスされた日本のストリートファッションはとても面白いと思います。国産の生地と外国のブランドを組み合わせることで、非常に独特なスタイルが生まれ、視覚的にも非常に興味深く、とても面白いと思います。

 

 

 

 

スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメでは、あなたが衣装を手がけた「ヘンリー8世と6人の妻たち」(BBC製作)が放送されています。イギリスや他のヨーロッパの王室を18世紀のロシアの衣装と比較したとき、何が最も違うと思いましたか?何が一番驚きましたか?

18世紀半ばまでは、ロシアは非常に伝統的であり、西洋のファッショントレンドは入ってきませんでした。

改革が始まると、ロシアのファッションデザインに対するヨーロッパの影響が始まりました。

イギリス、ヨーロッパ、ロシアの王室の要素は似ていますよ。

シルエットは違っていたかもしれませんが、高価な布地、豊かな刺繡、豪華な装飾、鮮やかな色と宝石をすべての人が楽しんでいました。

私はトニーの素晴らしい脚本の本質を反映した衣装を作りたかったのです。

"時々、真実"を取り入れたフィクションの楽しさがありました。

本当に素晴らしいプロジェクトに携われて最高でした!