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海外ドラマおすすめコラム vol.19 新たなる"ノルディック・ノワール"の快作『BELOW THE SURFACE 深層の8日間』は必見

 

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10月のスーパー!ドラマTVの目玉は「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」だ。筆者はこのコラムで何度も繰り返し、“デンマーク、スウェーデンなど北欧で作られるドラマは要注目”と書いてきたが、お先に拝見した「BELOW THE SURFACE 真相の8日間」も非常に面白かった。テロリスト3人組が地下鉄の乗客15人を人質にするという迫真のサスペンス。「THE KILLING/キリング」「コペンハーゲン/首相の決断」「ゾウズ・フー・キル 殺意の深層」から名スタッフが集まっているんだから面白いに決まっている……と言っては身もフタもないので、注目したい見どころをネタバレにならない範囲でご紹介しよう。
 
北欧産サスペンスドラマが面白いのは、米国や英国で同じアイディアを描いてもこうはならないという要素が必ずあること。第2話で語られるが、デンマークでは法律によってテロリストに身代金を払ってはいけないという(現実にどうかは筆者は未確認だが)。そこで人質の家族たちは、インターネットを使ったクラウドファウンディングで身代金を集めようとする。このことに象徴されるように、米英の人質奪還サスペンスなら“捜査当局VS犯人一味”のかけひきやバトルに力点を置くのに対し、「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」は人質たちとその家族にもドラマがあり、インターネットが重要な小道具になっているのも21世紀風で斬新だ。また邦題のサブタイトルからも分かる通り、各話1日ずつ計8話で“8日間”を描く趣向が、「THE KILLING/キリング」の再来を思わせるのもノルディック・ノワール好きにはたまらないはず。
 
さて本国で好評だった本作は2018年3月24日から英国でも放送される予定だったが、23日にフランスのカルカソンヌでテロが起き、放送は1週間延期された。時勢を一歩先取った作品ならではのエピソードだろう。そうした社会性と、見だすと止まらなくなる娯楽性の共存に、あらためて北欧産ドラマから目が離せないと確信させられる。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2018/09/27】
 
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