11月のスーパー! ドラマTVの目玉は「FAMOUS IN LOVE」の独占日本初放送開始だ。全米TV界には「ビバリーヒルズ高校(青春)白書」以来、「SEX AND THE CITY」「The OC」「ゴシップガール」「プリティ・リトル・ライアーズ」など、女性ファンの熱い支持を獲得したドラマ群があるが、これはその最新版である。
ロサンゼルス、女子大生ペイジ(「シェキラ!」でブレイクしたベラ・ソーン)は友人に誘われ、話題の映画『ロックト』のオーディションを受け、主演女優に抜擢される。そんなペイジと共演スター、レイナー(カーター・ジェンキンス)と、彼女の親友ジェイク(チャーリー・デピュー)という三角関係を中心に、ドラマティックな人間模様を描く業界ドラマだ。
ヒロインのペイジがまだ只の学生である第1話はそうでもないが、第2話以降はおしゃれ指数がアップ。スタイリストは「プリティ・リトル・ライアーズ」のキャメロン・デイルが努め、「ゴシップガール」の上流社会系とも異なる、西海岸ロサンゼルスならではの華やかなファッションも見ものになる。ハリウッドを舞台に美男美女がおりなす、恋と成功をめぐるストーリーから目を離せなくなるが、コアな映画・ドラマ好きも魅了する楽屋オチが多いのも楽しい。
まず、本作を製作したのが「The OC」「ゴシップガール」「プリティ・リトル・ライアーズ」を手掛けたワーナー・ブラザースなのが、このジャンルとしては期待させる。そして劇中で作られる映画『ロックト』はファンタジーということになっているが、そんなワーナーもまた『ハリー・ポッター』シリーズとそれに続く『ファンタスティック・ビースト』シリーズを成功させている。
そして本作が従来の女子向けドラマと一線を画すのは、“仕事/労働”を重要な要素にしている点だ。21世紀、女性にとっても“仕事/労働”は避けて通れないテーマになった。ツッコミどころが無くもないが、それもまたファンタジー。「FAMOUS IN LOVE」は幅広い層が共感できる夢を見させてくれる。
【アメリカTVライター 池田敏 2018/10/31】
池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。