2024年1月は米ドラマ界において記憶すべき月になる。毎年秋に授賞式が開催されている“ドラマ界のアカデミー賞”エミー賞(第75回)が、全米俳優組合(SAG-AFTRA)などのストの影響で延期となり、もうひとつの権威、ゴールデン・グローブ賞(第81回)の授賞式と同じ月に開催されるからだ。
ゴールデン・グローブ賞にTVの部ができた1957年以来、史上初のはず。そしてシリーズ第1弾「
LAW & ORDER」も第2弾「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」もエミー賞に何度も輝いた。「LAW & ORDER」はのべ52部門にノミネートされ、ドラマシリーズ作品賞(第49回)などのべ6部門で受賞。「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」はのべ25部門にノミネートされ、ベンソン役のマリスカ・ハージティに対する主演女優賞(第58回)などのべ6部門を受賞。
「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」はゲスト出演者の顔ぶれが豪華。アカデミー賞に輝いた、ロビン・ウィリアムズ、マーリー・マトリン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、エレン・バースティンらがエミー賞にノミネートされ、ドラマ「SEX AND THE CITY」のシンシア・ニクソンらがゲスト女優賞を受賞。
1990年に始まった「LAW & ORDER」は従来の米国のドラマがハリウッドなどの西海岸で製作されていたのに対し、米演劇界の頂点、ブロードウェイを有するニューヨークで製作したのもポイント。ブロードウェイの実力派俳優陣やハリウッドと距離を置く俳優陣を次々と起用して評価されたが、「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」はその試みをより進化させた。
「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」シーズン9の第1話では前出のニクソンが多重人格の女性役を熱演し、第17話にはやはり前出のウィリアムズがショッキングな容疑者役を演じる。シーズン10には「ビバリーヒルズ高校白書」の故ルーク・ペリー、無名時代のエズラ・ミラーらがゲスト出演。
毎回面白い「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」だが、俳優の層の厚さにもご注目を。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2023/12/28】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。