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海外ドラマ最新レポート Vol.665  「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」のクリス・オドネル痛恨? 大ヒット映画『メン・イン・ブラック』の主演断っていた

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人は誰しも、(あのとき、ああしていたら)と思う一瞬があるものだ。それがハリウッドで大ヒットした映画の主演の座となればなおさらだろう。
映画『メン・イン・ブラック』監督のバリー・ソネンフェルドが、同作品の裏話を米エンタメサイトに語っている。
 
主役二人の黒スーツにサングラスが印象的な同作品、実はその主演俳優が当初トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスではなかったという。
映画『アダムス・ファミリー』シリーズを大ヒットさせたソネンフェルド監督。その手腕が買われ、『メン・イン・ブラック』の製作チームにかかわったものの、最初はプロデューサー陣との意見の相違、次は映画『ゲット・ショーティ』を手掛けるため、2度に渡りチームを離れている。
そして『ゲット・ショーティ』の製作が終え、『メン・イン・ブラック』チームに戻ると、プロデューサー陣はクリント・イーストウッドとクリス・オドネル(「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」)の二人を主演候補としていた。
 
「そこで私は、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスはどうかと提案しました」
MIBのベテランエージェント、K役にトミー、そして新人エージェントのJ役がウィルだ。今となれば完璧なキャスティングだが、企画段階ではK役にクリント、J役にクリスが最有力とされていたのだ。
「プロデューサーとトミーの話し合いがありました。トミーから脚本の書き直しをしてくれたら考えてみると言われたのです」
書き直した脚本をトミーが気に入り、無事に契約がまとまった。残るはJ役だ。新しく製作に加わったスティーブン・スピルバーグを含む、プロデューサー陣はやはりクリスを推した。当時のクリスは、『バットマン』シリーズのロビン役などでハリウッドの超売れっ子の一人。スピルバーグらが新星スターのクリスを選ぶのも無理はなかった。
 
「クリスはいい俳優ですが、私はどうしてもウィルのことが頭から離れませんでした」と、ソネンフェルド監督。そこでプロデューサー陣の要求を打ち砕く、唯一の方法を思いついた。クリスに出演を断ってもらうのである。
「私はクリスに直接会いました。彼は私たちの脚本に不満があり、他の映画オファーもあったので迷っていました。そこで私は『脚本が変わることはないし、私だってこの映画はどうなるか分からないと思っている』と伝えたのです」
これから俳優にオファーする監督にあるまじき消極的な態度で臨んだかいあって、翌日クリスからお断りの返事があったという。
そしてもう一押し。ソネンフェルド監督はウィルとスピルバーグらが面会する場を作り出した。チャーミングなウィルが、プロデューサー陣のハートをつかんだのは言うまでもない。
 
トミー&ウィル主演の『メン・イン・ブラック』は大ヒットを記録し、ソネンフェルド監督のキャスティングは正しかったことが証明された。
ウィル、プロデューサー陣、そしてソネンフェルド監督もウィンウィンウィン。しかし、唯一貧乏くじを引いたのが、クリスだ。ソネンフェルド監督が熱心に口説いていたら、出演を却下することはあっただろうか?
「うーん、まあね。おおげさに言って期待させるより、予想していたより良かったと思われる方がいいじゃないか」
 
きっとハリウッドではよくあること。しかし、当のクリスにしてみれば、(あのとき、ああしていたら)……そんなしくじりの気持ちを今も心のどこかに抱えていたとしても不思議ではない。
 
 
<「businessinsider.com」 2022年7月1日>