October 27, 2016
「ブラックリスト」のジェームズ・スペイダーは、80年代初頭から映画・TVに出演、長い芸歴の間を第一線で活躍してきた、ベテラン人気俳優だ。ハリウッドの表も裏も見尽くした、ジェームズが、似たような役や仕事ばかりを振り当てられる、タイプキャスティングを例に、ショービジネスの仕組みについて語っている。
「タイプキャスティングは(全ての俳優にとって)悲劇みたいなものだよ。だけど理論的に考えると、それは仕方のないことなんだ」
タイプキャスティングとは、主に俳優がその過去の当たり役から似たような役ばかり振り当てられること。ジェームズならば、もともとのクールで知的な外見に加え、「ボストン・リーガル」の弁護士役を演じて以来、時にその饒舌で相手を惑わす、手ごわい男のイメージが定着している。ジェームズに、愚鈍だったり三枚目の役が振り当てられることはない。
「例えば、誰かが数百万ドルを投資するとしよう。正直に言うと、映画の業界で働いている人間は1セントたりとも(映画やTV番組に)投資したいと思ってないよ。何の保証もないものに何百万ドル、何千万ドルも投資するっていうんだから、かわいそうな人がいるもんだ。その作品が、ヒットする保証なんてどこにもない、一流の俳優や監督、脚本家が参加してくれるかなんて誰にも分からないんだからね。もしかしたら、ヒット作を生み出せるかもしれないし、完全に失敗に終わるかもしれない、それは誰にも予測できないんだ」
見通しの立たない投資に対し、危険を少しでも回避したい。そこで投資家は、過去にヒットした作品から俳優や監督を選び出す。「タイプキャスティングとは、履歴書を見て選ぶようなものだ。監督なら、これから取り掛かる作品のような映画やTV番組を、今までに撮ったことのある監督が選ばれるだろう。それなら、どんな作品になるか予測がつくからね。俳優も脚本家も同じ。僕が投資家だったら、間違いなく同じことをする。だけど、僕ら(俳優、監督等)は今まで経験したことのない役や作品に挑戦したがる。僕を信じて(雇って)くださいって売り込むのさ。もうバトルみたいなもんだよ。とても難しいことだけど、戦ってみる価値はある、しっかり戦略を練ってね」
<「huffingtonpost.com」 9月29日>