September 5, 2017
俳優のリーヴ・シュレイバーが米紙のインタビューで、主演のドラマシリーズ「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」について語っている。
「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」は、現在、米でシーズン5を放送中。ハリウッドの闇を描くダークなドラマに出演を決めたのは、意外にも家族の存在だった。
「エージェントに『LAで出来る仕事を探してほしい』と頼んでいたんだ」と、当時を回顧するリーヴ。リーヴには女優ナオミ・ワッツとの間に二児がおり、LAを一家の拠点にして俳優活動したいと考えていたのだ(ナオミとは昨年破局)。
「そこでエージェントが持ってきたのが、このダークなフィクサーのドラマだったのさ。僕は『なんだかパッとしないけど、まあ、やってみるか』くらいの気持ちだった。それが今まで僕がやってきた中で、一番強烈な仕事になったんだよ」
初めは気乗りしなかったドラマが、リーヴの代表作の1つになったのだから、芸術はどう化けるか分からない。
「この役(レイ・ドノヴァン)を僕は何度も何度も何度も何度も繰り返し演じている。僕はそれまで3か月以上同じキャラクターを演じたことはなかったからね。自分の役がだんだんと膨らみ、成長してくると、ちょっとした親のような気持ちになるものだ」
レイは自分の分身、いや我が子のような存在なのか。このドラマがリーヴにとって特別なのは、もう1つ理由がある。
「僕の俳優人生で初めての主役作品だった。僕はいつも、自分の役がパズルの中でどの位置にいるのか、作品全体でどんな役割を果たすのか、よく理解しているつもりだ。その意味で、この役を演じるのは本当に楽しい。僕の役がストーリーを推し進めるのだからね」
自分がストーリーを展開させる重責を担う喜び。そしてリーヴは一層役にはまり込む。
「彼はどんどん(役を)掘り下げていく」と、コメントを寄せたのは、製作総指揮の一人、デヴィッド・ホランダー。「彼の演技を現場で見ていると、時々感じるんだ、『ああ、彼はレイをここまで成長させたのか』ってね」
作り手さえも、驚愕するリーヴの役への取り組み。それなのに、そこから生まれたレイを演じるのは「苦痛でしかない」とリーヴは言う。
「とてつもなく酷い苦痛だ。他の人にはどう説明すれば良いのか分からない。レイを演じるのは、まるで自分の体に操られているようなものだ。彼は精神的にタフな人生を送ってきた。それに彼は本質的に激高しやすい性格だから、たいていのシーンで彼はイラついているのだけど、表面には出していない。そこが彼の問題なんだよ」
レイの表面には出さないイラつきを、リーヴはそのまま受け止める。苦しみが直接伝わるから、リーヴはレイのことを「愛している」とかばう。シーズンを重ねて、リーヴが育て上げた我が子のようなレイ。その成長についても確認しながら、「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」を楽しみたい。
<「latimes.com」 8月5日付け>