January 18, 2018
「ブラックリスト」のジェームズ・スペイダーが、ハリウッドを揺るがし続けるセクハラ騒動について、米紙のインタビューに答えている。
米国で連日報じられるセクハラ騒動の中で、昨年秋、ジェームズの名前が突然飛び出した。もちろん、ジェームズがセクハラの加害者だったわけでも、ましてや被害者だったわけでもない。有名ジャーナリストのチャーリー・ローズが、過去にインターンとして雇った若い女性に、ジェームズ主演の映画『セクレタリー』の一シーンを見せたことが問題視されたのだ。それは部下が上司からSMチックな指導を受ける、ややエロチックなシーンで、ローズはインターンの女性にそのシーンについてどう思うか意見を尋ねたという。
ローズによって、ジェームズとマギー・ギレンホールの名作ラブストーリーにケチがついてしまったわけで、名前を挙げられたジェームズもさぞ迷惑だったに違いない。
「うんざりするニュースだと思った。僕らの業界や政治の世界で、こういった性の乱れやふしだらな行為、もしくは無責任な言動がはびこっているという事実に驚いた人間は一人もいないだろう。ただ(女性たちの)怒りの激しさ、反撃の大きさに僕らは縮こまっている」
当事者ではないとはいえ、ジェームズはセクハラの存在を知りつつも見過ごしたという後悔の念を感じているようだ。
「僕に(セクハラ騒動について)聞くなんて、大水で行き場を無くした人間に、これからどうするつもりか聞くようなものだよ。水位はどんどん高くなっている気がするね。それに僕が情けないと思うのは、この騒動について肝心なことが、男性からでなく、女性の口からしか語られないという現実だ。男性はじっくり考え、彼女たちの意見をしっかり聞くべきだ。そこから何かを学ばないといけない」
「ブラックリスト」で、ジェームズは製作総指揮者の一人でもある。出演者・スタッフのため、より良き労働環境づくりに責任ある立場として、現在の騒動は他人事ではないのだ。
その「ブラックリスト」もシーズン5。視聴者がこれほどまでに娯楽の選択権を与えられた時代に、番組が長続きする理由は何だろう。
「物語にツイストやどんでん返しを、考え着く限り組み込むことだろうね。僕が最初に脚本を読んだ時、読み始めより、読み終わった後の方が、キャラクター(レディントン)が何者か分からなくなったと感じた。うまく書いていると思ったね、謎めいた男であり続けているんだ。この設定はどこから見ても完璧に機能していると思うし、(最近のシーズンでは)初期の頃の謎めいたムードを取り戻せているんじゃないかな」
実はジェームズ、2004年から08年まで主演していた「ボストン・リーガル」以前は、視聴者としてTVを見ることもほとんど無かったのだとか。
「だから、視聴者が次週どうなるか楽しみにしているという心理を理解できなかった。だけど、『ブラックリスト』を始めてから、楽しみで楽しみでね。毎回緊迫感があるし、時に冷酷であり残虐でさえある。僕は視聴者を驚かせるのが好きなんだ、僕自身(脚本を開いて)楽しんでるくらいだからね」
米では、1月17日に節目となる第100話を放送。ロングランを続けるヒットドラマは、視聴者を、そしてジェームズをまだまだ驚かせることになりそうだ。
<「nytimes.com」 1月12日付け>