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スパドラ!最新USレポート Vol.593:「ベター・コール・ソウル」のボブ・オデンカーク、「脚本には口を出さない」 視聴者目線の演技を語る
作品を支えるのが主演の
ボブ・オデンカーク。冴えない弁護士ジミー・マッギルから、「ブレイキング・バッド」で登場した、切れ者弁護士ソウル・グッドマンへと変貌してゆく過程を見事に演じている。
ボブはもともと「サタデー・ナイト・ライブ」などで活躍していたコメディアンで、脚本家そして監督としてコメディ作品も手掛けている。積み重ねたキャリアは十分、それでも本格的ドラマシリーズの主演は初めてとあって、役の打ち合わせは入念にと思いきや、意外にも「ベター・コール・ソウル」の脚本にはほとんど口を出すことがないのだという。
その理由についての答えは明確だ。「自分のキャラクターが、今後どうなるのか分からないまま演じるのが好きなんだ。僕は人間を演じている。人生の瞬間瞬間を演じている。僕たちは人生で次に何が起こるか分からないじゃないか」
脚本家たちの部屋に入るのは、シーズンを通して1、2度。役に対して確認するときだけだという。それでも、一度だけ、脚本に注文をつけたことがあった。ジミーと、
レイ・シーホーン演じる女性弁護士
キムとの関係について。視聴者の目線に立ってのリクエストだった。
「キムとジミーの関係をはっきりさせた方がいいんじゃないかと思ったんだ。視聴者にどんな関係なのか分かってもらうべきだとね。だからと言って(たとえば)僕らが裸になってラブシーンを演じるべきだと言ってるわけじゃない。僕らの関係を描くのに、伝え方はいろいろあると思う」
「ベター・コール・ソウル」の脚本に、ボブが全幅の信頼を置くのは、「ブレイキング・バッド」以来、約10年の付き合いとなる製作総指揮のヴィンス・ギリガン、ピーター・グールド率いる脚本家チームを尊敬しているから。
「ロングランのTVシリーズを構成することに心から敬意を払っているよ。長い期間に渡り、ストーリーを構築し、展開させながら、キャラクターも成長させる。当初はなかったストーリーを作り出すために、キャラクターにもっともらしい行動をさせて、それを全て矛盾なく自然な流れだと視聴者に思わせるんだからね」
「ブレイキング・バッド」「ベター・コール・ソウル」以来、ボブの俳優としての評価はうなぎのぼりだ。出演した映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 は、今年のアカデミー賞作品賞にノミネート。今夏公開予定の『インクレディブル・ファミリー』 ではサミュエル・L・ジャクソンらと共に声の出演をしている。シリアスからアニメまで、コメディで学んだ、脚本に対応する即興性と柔軟性がボブの最大の武器なのだ。
<「deadline.com」 8月17日付け>