ロサンゼルス市警察殺人課の警部コロンボは、ヨレヨレのレインコートに身を包み、安葉巻をふかしては、「うちのカミサンがねえ…」などと事件には関係の無さそうな世間話をする、風采のあがらない中年男。筆記具を忘れたり、地方検事との会話の最中に考え事をしてボーッとしたりと、とても有能な刑事には見えない。しかし実は鋭い観察眼の持ち主で、他の刑事たちが見逃してしまいそうな些細な事に着目して推理の突破口を見いだす、凄腕の捜査官なのだ。コロンボは犯人の立てた緻密な殺人計画の矛盾を執拗にそして辛抱強く追及し、エリート意識の強い犯人を確実に追い詰めていく。
ロサンゼルス。高級マンションの一室に住む著名な精神科医レイ・フレミングには、愛人ジョーンがいた。浮気に気づいた妻キャロルから離婚をつきつけられたフレミングは、妻を絞殺する。すぐに、愛人ジョーンが現れ、キャロルに変装した彼女を連れ、フレミングは外出する。アリバイ工作も完璧だった。
自宅に戻ったフレミングを出迎えたのは、ロサンゼルス市警察殺人課の警部コロンボだった。コロンボは、フレミングのちょっとした言動の矛盾に気づき、キャロル・フレミング殺害は彼とその愛人の犯行であると確信する。しかし、優秀な精神科医であるフレミングも簡単にはボロを出さず、確固たる証拠もない。そこで、コロンボは、ある作戦を考え出して大胆な賭けに出る。