海外ドラマ・ファンには「グッド・ワイフ」のイーライ・ゴールド役でおなじみのアラン・カミングが主演する犯罪ドラマ「Instinct(原題)」が、3月18日、本国アメリカでの放映を開始した。
カミング演じるディラン・ラインハート博士は、名門ペンシルベニア大学で異常行動学を教える大学教授兼作家。そんなラインハートのところにニューヨーク市警察の刑事、リジー・ニーダムが訪れる。ニューヨークでは最近、連続殺人事件が起きているが、その犯人はラインハートの処女作を指導書代わりにしているらしいというのである。捜査への協力を求めるニーダムの要請に躊躇するラインハート。実は、ラインハートはかつてCIAの辣腕エージェントとして活躍していたが、恋人のアンディと出会って身を固めて静かな生活をおくる選択をしたのだった…。
「Instinct」は、ジェイムズ・パターソンのミステリ小説「Murder Games(ドラマ化に際して今は「Instinct」に改題されている)」が原作。パターソンの著作は、映画「コレクター」や「スパイダー」、テレビドラマシリーズ「暴走地区-ZOO-」など、既に映像化されているものも多い。原作でのラインハートもゲイだという設定らしいが、演じるカミングもゲイ(バイセクシャルであるという情報もあり)。「Instinct」は、アメリカでは3大ネットワーク局の1つ、CBSで放映されているが、メジャーなネットワーク局の1時間枠のドラマでゲイの人物が主役を演じるのは、このドラマが初めてであるという事でも注目を集めている。
「Instinct」に対するテレビ評は褒めているものばかりではないようだが、カミングの演技だけは一様に高く評価されている。1980年代から舞台や映画、テレビと幅広く活躍しているベテランだけに抜群の存在感を持つカミングが演じるラインハートは、見ていてとにかく楽しい。そういう点からいえば、「Instinct」は、個性派刑事・探偵が活躍する「刑事コロンボ」や「SHERLOCK(シャーロック)」、「メンタリスト」に通じる醍醐味が味わえるドラマだと言えよう。
【ロサンゼルス(米) 荻原順子 2018/04/02】
荻原順子: 在ロサンゼルス映画/TVライター。キネマ旬報とTVタロウにハリウッド情報コラムを連載中。