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海外ドラマおすすめコラム vol.8 旧作やその映画化を知らなくても楽しめる、全米最新ヒット痛快アクション「S.W.A.T.」 

S.W.A.T._yoko600.jpg6月のスーパー!ドラマTVの目玉は、早くもシーズン2への継続を決めた最新作「S.W.A.T.」の独占日本初放送開始。1975~76年に全米ABC系で放送された「特別狙撃隊S.W.A.T.」のリメイクだが、有名なテーマ曲や一部の登場人物名、舞台がロサンゼルスであること以外は世界観を一から再構築。なので「特別狙撃隊S.W.A.T.」も映画版『S.W.A.T.』もまったく知らなくても楽しめる。
 
それでもポイントを幾つか挙げよう。まず「特別狙撃隊S.W.A.T.」は後に「ビバリーヒルズ高校白書(青春白書)」などを放つ伝説的製作者、故アーロン・スペリングが製作総指揮したが、スペリング師匠は後に“暴力的過ぎた”と述懐。というのも全米警察事情においてSWAT自体、1960年代から定着しだし、題材にするには早過ぎたのかも。
 
しかし9・11の同時多発テロ事件や近年の全米各地の銃乱射事件を見ると、SWAT(邦訳するならやはり“特別狙撃隊”は大雑把か)に注目すべきタイミングがようやく訪れたようで(これを地上波のCBSが放送したのはリスクが伴ったかとも思うが)、全米ヒットも納得。
 
とにかく、「特別狙撃隊S.W.A.T.」よりぐっと進化した。旧作では男性しかいなかったSWATに、新たに女性のクリス(リナ・エスコ)がいるし、「クリミナル・マインド」のモーガン役で人気のシェマー・ムーア演じるホンドーが、SWATのリーダーに抜擢される理由がアフリカ系市民への政治的アピールというのも時事的。
 
本作を企画・製作総指揮したショーン・ライアンは「ザ・シールド ~ルール無用の警察バッジ~」「ザ・ユニット 米軍極秘部隊」を経て本作へ。そして第1話の監督は映画『ワイルド・スピード』シリーズ第3~6作を手掛け、ドラマ「SCORPION/スコーピオン」を立ち上げた名手ジャスティン・リン。“適材適所”という言葉の誤使用が見受けられるようになった日本だが、本作ではまさに最高の“適材適所”を堪能できる。


【アメリカTVライター 池田敏 2018/05/31】

池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。