8月のスーパー!ドラマTVの目玉は「MACGYVER/マクガイバー シーズン2」の独占日本初放送開始。米国では過去の人気ドラマのリメイクが流行中だが、本作も1980年代の人気作「冒険野郎マクガイバー」が原点。しかし原点が主人公マクガイバー(リチャード・ディーン・アンダーソン)が単身活躍したのに対し、リメイク版はマクガイバー(ルーカス・ティル)が仲間たちと活躍する新趣向へ。
これは米国流のドラマ&映画作りが21世紀、チームワークを重視するようになったのと重なって興味深い。たとえば本作を企画したピーター・M・レンコフは「ハワイ5-0」を「Hawaii Five-0」として復活させた“リメイク名人”だが、最新作も1980年代の人気作「私立探偵マグナム」のリメイク。筆者のような海外ドラマバカ的には「ハワイ5-0」後、同じハワイを舞台にした「私立探偵マグナム」が「Hawaii Five-0」のクリエイターによってリメイクされるのは、まるで歴史の再現のような奇跡だ。
……話がそれた。そんなレンコフと「Hawaii Five-0」を製作総指揮したアレックス・カーツマンらはJ・J・エイブラムス一派の共同作業の名手で、レンコフも彼らからチームワークを学んだのだろう。そしてこの「MACGYVER/マクガイバー」では、かつて映画界で名手として鳴らした監督たちを多くのエピソードで招いており、映画ファンも要注目だ。シーズン1は第1話を「ワイルド・スピード SKY MISSION」や最新作「アクアマン」のジェームズ・ワンが監督し、「グレムリン」のジョー・ダンテ監督、「飛べないアヒル」のスティーヴン・ヘレク監督も参加し、シーズン2もヘレク監督や「シティ・スリッカーズ」のロン・アンダーウッド監督らが参加。
ちなみにリメイク版「私立探偵マグナム」第1話は「ワイルド・スピード」シリーズや「SCORPION/スコーピオン」第1話のジャスティン・リンが監督。レンコフは「MACGYVER/マクガイバー」を映画に匹敵する痛快作にしようと挑んでいる。
【アメリカTVライター 池田敏 2018/07/30】
池田敏: 海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。