2月7日にシリーズ通算300話を放送した「スーパーナチュラル」。シーズン14を数える、米CWの看板番組だ。そんな人気シリーズも、放送開始当初はあまり期待されず、いつ打ち切られてもおかしくなかったと言われている。そんな崖っぷちシリーズがロングランへと成長。「スーパーナチュラル」は、TVドラマシリーズの可能性を広げたと米業界紙が紹介している。
「スーパーナチュラル」の人気の証は、番組を支える熱心なファンの存在だけではない。国際市場での好調、コンベンションビジネスの確立、さらに番組関連商品のラインナップも増加している。
「スーパーナチュラル」を製作するワーナーブラザーズ・テレビジョン・グループ社長のピーター・ロス氏は、「『スーパーナチュラル』は自らを高いレベルに押し上げました。毎回、クオリティの高い番組を作り続けています。この番組は、最高に熱心で強力な職人軍団によって製作されているのです」と語る。この成功は、優れたリーダーシップの元、脚本家、出演者らが機能的かつ刺激的、そしてハッピーな環境での番組作りに励んだ結果だというのだ。
真摯な番組作りは、米国以外でも評判だ。世界中で視聴されているが、とりわけ、カナダ、ブラジル、ニュージーランドでは本国に負けぬ人気だという。
そして、「スーパーナチュラル」人気を盛り上げたのが、2011年後半にスタートしたネットフリックスでの配信だ。初めの6シーズンの配信を開始するやいなや、番組は活気を取り戻した。主役のディーンを演じるジェンセン・アクレスが「想定外だった」と語るほど、ネットフリックスによって番組を知った人、さらにTVより若い年齢層のファンが増加したのだ。
「ティーンエイジャーに出くわすと、よく『オレはディーンの出てるエピソードを全部見たよ』なんて言われるんだ。年齢を尋ねると、『14歳』とか言われてしまう。彼らがお母さんのお腹にいたときから、僕らは番組を始めてたんだね」(ジェンセン)
事実、ネットフリックス配信後からはTVの視聴率も上昇。さらにその人気をかぎ取ったメーカーの商品開発担当からの問い合わせも増え、番組の関連商品も増えていった。Tシャツなど従来のコレクターズアイテムはもちろん、モノポリーなどのゲームやフィギュアなど多種多様な商品が販売されるようになったのだ。
これだけ目に見える形でファンが増えると、次はコンベンション(ファンミーティング)の開催だ。「スタートレック」シリーズのコンベンション企画を手掛けるクリエーション・エンターテイメント社は、この「スーパーナチュラル」人気で息を吹き返したと言われている。コンベンションでは、ファンとの質問コーナーやサイン会、撮影会が行われるのが普通だが、加えて若い「スーパーナチュラル」のキャストは夕食会、コンサートなどのイベントにも協力的なのだとか。「スーパーナチュラル」コンベンションは、2018年9月に第100回目の開催を達成したという。
米TV界からヒットシリーズは毎年のように生まれるが、「スーパーナチュラル」ほど多方面に人気を波及させる番組も珍しい。300話を超え、まだスローダウンする気配はなし。もう一人の主役サムを演じるジャレッド・パダレッキも、「僕らはまだまだやることがある。その気持ちは僕ら全員の魂に刻まれている」と頼もしい言葉で、これからも番組継続を誓っている。
<「variety.com」 2月6日>