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海外ドラマおすすめコラム vol.31 21世紀流アクションドラマとして1970年代の原作をアレンジし直し切った「S.W.A.T. シーズン2」

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6月のスーパー!ドラマTVの目玉は「S.W.A.T. シーズン2」の独占日本初放送の開始。すでにシーズン3への継続も決まり、さらにファンを楽しませてくれそうな最新全米大ヒット作だ。
 
この“海外ドラマおすすめコラム”vol.8でも筆者はご紹介したが、1970年代の「特別狙撃隊S.W.A.T.」が原作。そしてシーズン1を見て思ったが、21世紀流アクションドラマとして徹底的にアレンジしたのが功を奏した。
まず原作は各話で起きる凶悪事件にS.W.A.T.が挑むものだったが、そこでぼんやり気味だった各キャラの個性をくっきりさせたのが「S.W.A.T.」は秀逸。各話で事件を描きつつ、並行して登場人物陣のプライベートも描くので次のエピソードが見たくなる。
各話完結形式と連続形式が同居するのは「ブラックリスト」などからの影響だろう。
前シーズン、ホンドー(シェマー・ムーア)と上司ジェシカ(ステファニー・シグマン)は別れたが、2人の今後は気になる。また若手警官の成長は米国の警察ドラマとして定番のストーリーラインだが、やんちゃなストリート(アレックス・ラッセル)があまり成長しておらず、S.W.A.T.から追い出されたのはご愛嬌。
 
さらに原作は、男性5人がレギュラーキャラで男くさい世界が特徴だったが、本作はジェシカの他にも、女性のS.W.A.T.隊員クリスティーナ(リナ・エスコ)がいる。
実は本物のS.W.A.T.の世界は原作の1970年代と変わらず、男性社会が長く続いた。本作と同じロサンゼルス市警S.W.A.T.でジェニファー・グラッソという女性が史上初の隊員になったのは2007年で、続く2010年代、ようやく他の全米の各警察の特殊部隊でも女性隊員が生まれるようになった。
そんなクリスティーナがバイセクシュアルなのも、ドラマとして最先端。ドラマのスケールを超えたアクションが一番の見どころだが、人間群像からも目が離せなくなってクセになるのが「S.W.A.T.」なのだ。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2019/5/31】
 
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