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海外ドラマ最新レポート Vol.148 ジェームズ・スペイダー、「僕が『ブラックリスト』出演を決めたワケ」

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9月中旬、ニューヨークで行われたトライベッカTVフェスティバル内のイベントに、「ブラックリスト」のジェームズ・スペイダーが登場、番組に対する正直な気持ちを明かしている。
 
ジェームズ・スペイダーと言えば、もともと“映画俳優”と知られてきた。1981年の映画『エンドレス・ラブ』でのメジャーデビューから一貫して映画を活動の場に選んできたからだ。
 
その映画俳優が初めてTVシリーズに出演したのが、2003年の「ザ・プラクティス」。1シーズンきりの契約が、ジェームズに初のエミー賞をもたらした。気を良くしたのか、同じクリエーター、デビッド・E・ケリーの「ボストン・リーガル」に翌年から5シーズンにわたり主演。さらに2つのエミー賞を獲得することとなった。
 
映画からTVへの転身。現在では、映画スターがTVに出演することも珍しくなくなったが、2000年代初め、ジェームズはそのハシリ的存在だった。
 
「僕にとっては、長い期間に渡って同じ役を演じ続けるのは無理なんだ。飽きてしまうよ。あっという間に興味を失うからね」長くても撮影は数カ月で終了する映画に対して、好評ならば数年に渡って続くTVシリーズ。飽き性のジェームズにとって、単調な役はまっぴらごめんである。
 
その点、5シーズンも続いた「ボストン・リーガル」は脚本が優れていた。シリアスな法廷劇あり、おとぼけなコメディ劇あり、毛色のコロコロ変わるユニークな番組だった。
 
そして「ブラックリスト」。実はこの番組に出合う前、ジェームズは長い休養期間に入っていた。フトコロ事情もあって、仕事探しを始めた時、「休み明けの体慣らしとして、興味を持てそうな作品を探していたんだ。ガチガチのコメディじゃダメ、ガチガチのドラマでもダメ、アクションだけなんて問題外」。つまり「そういうのがミックスされた作品を探していた」と、妥協は考えていなかった。
 
やがて手に入れた「ブラックリスト」のパイロット版脚本。
 
「最後まで目を通して、読み始めた時より、もっと分からなくなっていることに気づいたんだ。読み終わった後の方がずっと疑問が多くなってることに」
 
脚本に引き込まれたジェームズが、もう一つ気に入ったのが、主役レディントンのユーモアセンス。「どんな状況であれ、どんな事態に彼が陥ろうとも、不遜なまでに彼はユーモアを忘れないんだ」
 
そしてジェームズにとって大切な、いろいろな要素が「ミックスされた」作品でもある。
 
「ある意味スリラーであるけれども、それだけじゃない。コミカルな場面もある一方で、緊迫感あふれる場面もある。構造的には(レディントンの)キャラクターありきの話であり、連続物なのだけど、一話一話独立して楽しんでもらうこともできる」
 
ジェームズの「ブラックリスト」賛歌は止まらない。「脚本を全部読んでみて、最高だと思ったよ。やる価値があるってね」
 
映画俳優、エミー賞俳優、ジェームズを称える肩書はいくつもあるが、今は“レディントン”一本だ。この秋、米でシーズン7を迎える「ブラックリスト」に、ジェームズが飽きる気配はまだまだ無い。
 
 
<「tvguide.com」 9月13日>