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海外ドラマ最新レポート Vol.161  「刑事カーディナル」 カリーヌ・ヴァナッスが明かす、共演者ビリー・キャンベルとの心地良い関係 

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カナダの良作ミステリー「刑事カーディナル」シリーズのシーズン3「刑事カーディナル 過去からの報せ」に、ビリー・キャンベルと共に主演するカリーヌ・ヴァナッスがオンラインメディアのインタビューに答えている。
 
厳冬のカナダの景色を最大限に生かし、登場キャラクターたちのダークかつ複雑な感情をベースにした人気ミステリーも第3弾。カリーヌの気持ちに変化はあるのだろうか。
 
「シーズン1から私たちは二人の関係を模索してきた。当時と比べれば、何かを築き上げていると思えるわ」
 
シリーズを通し、ビリー演じる孤高の刑事カーディナルと、彼とコンビを組むエリート刑事で、カリーヌ演じるデロームの二人に焦点が当てられてきた。ぎくしゃくしながらも、二人は信頼を深めてきたのだ。
 
「私たちは、どんどん分かり合えてきたと思う。脚本や監督さえも、私たちを信頼して任せてくれる。一つのシーンが、演技を進めるうちに、こう転がるんだと驚かされることがあるわ」
 
カリーヌには忘れられないシーンがあるという。
 
「ビリーと二人だけのシーンだったわ。台詞は彼の一言、あとは黙ったままの演技だった。ところが途中から、『これは脚本に書かれてる演技じゃない』って気が付いたの。彼は自分の本能に従って演じ始めていたのね、だから私も彼に合わせたのよ」
 
脚本を超える、本能の演技。これには、シーズン3で復帰したシーズン1の監督ダニエル・グルーの存在も大きい。グルーは「ヴァイキング 〜海の覇者たち〜」にも参加している、カナダの売れっ子監督だ。
 
「(グルーは)時々シーンの途中で撮影を止めて、ひっくり返してしまうことがあったの。彼と同じように、私たち(役者)も自分の感情に逆らわずに演じる段階にきたんじゃないかしら。もう一歩踏み込んで、キャラクターをぎりぎりまで追い込むべきだと感じた時にはね」
 
キャラクターと同化したシーズン3。カーディナルとデロームの信頼も深まっている。
 
「信頼も、ある段階を超えると、心地良く感じるわ。“気楽”というんじゃないの、自分の弱さを見せてもいいんだという意味よ。シーズン3のビリーの演技を見ていると、たいていのシーンで彼は孤独を感じている。彼の顔が画面に映るだけで分かる。パフォーマーとして、私はその境地になれたんだと思うし、それは(グルー)監督も同じじゃないかしら」
 
しかし、彼らの心地良さを読み取ったグルー監督は、さらに深みを要求したという。気持ち良く演じていられた時間は短かったと、カリーヌは明かす。
 
「デロームとカーディナルの間に、ある種の心地良さがあるのは間違いないと思う。ビリーはその状態を、あたかも眩暈(めまい)を起こしたかのように表現していたわ。二人の間には、まだ語られていない何かがあるのだけど、その関係性が何であるかは二人とも決めかねている。私たちの関係については、もっと深みがあるような気がしてるの」
 
「刑事カーディナル」ファンなら、画面からにじみ出る二人の何かはとっくに感じ取っているはず。その何かこそ、このシリーズ最大のミステリーなのかもしれない。
 
 
<「thegate.ca」 2月27日>