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海外ドラマ最新レポート Vol.187 「インスティンクト -異常犯罪捜査-」のボヤナ・ノヴァコヴィッチ マジメ過ぎたっていいじゃない? バリア破るキャラクターに誇り

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アラン・カミング主演のドラマシリーズ「インスティンクト -異常犯罪捜査-」で、膨大な知識量と鋭い洞察力を持つディラン・ラインハートの良き相棒となる、リジー・ニーダムNY市警刑事を演じるのが、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ。
 
ブロンドに親しみある童顔で日本人にも愛されそうな顔立ちのボヤナだが、「インスティンクト -異常犯罪捜査-」では、ちょっぴり変わり者の刑事を演じている。
 
「彼女(リジー)って社会不適合者でもあるの」と、TVのインタビューに答えたボヤナ。リジーは真面目過ぎるがゆえ、感情面で他人とは分かち合えない性格なのだ。
 
「地上波のTVではあまり女性が演じることのないキャラクターじゃないかしら。こんな性格のキャラクターは男性が演じることが多いわ。その意味で、この作品は性差のバリアを破ったと言えるんじゃないかしら」
 
たしかに生真面目に正義を追求し、周囲から理解されないキャラクターは、多くのドラマで描かれてきた。ボヤナの言うように、そのキャラクターを演じるのはほとんどの場合、男性。社交性に長けるとされる女性は、チームを円滑に回すキャラクターを演じることがほとんどだからだ。
 
「だから、新しいタイプの人間を視聴者に見せることになるわ、素敵じゃない?」
 
女優として、ありきたりのキャラクターを演じるのじゃつまらないから、リジーを大切に思う。そして、ボヤナがもう一人、大切に思うキャラクターがいる。主人公のディランだ。
 
このディラン、演じるアラン同様にゲイをカミングアウトしている。米国のTVシリーズでゲイのキャラクターは、「glee/グリー」しかり「グレイズ・アナトミー」しかり、全く珍しくはなくなった。けれど“主人公”となると話は別。実は、ゲイの“主人公”が登場する地上波のドラマシリーズは、「インスティンクト -異常犯罪捜査-」が初めてなのだ。
 
ボヤナは、ディランの登場を誇りに思う一方で、(やっと?)と呆れる気持ちも隠さない。
 
「アランがいつも言うのよ、この手のことはなかなか進まないもんなんだって」
 
宗教・人種により多様な思考が混じりあう米国において、新しい性の役割が浸透するのは、他の国以上に難しいかもしれない。
 
そしてボヤナが嬉しいのは、「インスティンクト -異常犯罪捜査-」がCBSで放送されていること。「米国で一番視聴者が多いネットワーク(CBS)で放送されているのよ。しかも、CBSってそんなことをやりそうにもない(保守的な)ネットワークでしょ」
 
たくさんの視聴者に見てもらいたい。男性を愛するディランは、男性と同性婚をして、男性と幸せに暮らしている。そんな生き方もあるのだと、知ってもらいたいからだ。
 
「そういうのもアリなのよ。彼らの結婚も、皆と同じ結婚の一つなんだって。人は自分が知らないことに恐怖を抱くから、地上波で皆に見てもらうのって、とても大切だと思うの」
 
アランとボヤナがそれぞれ踏み出した一歩は、ドラマの内容にはあまり関係が無いのかもしれない。それでも性差のバリアを取り払う一歩二歩、彼らは誇りを持って歩んでいる。
 
 
<「newyork.cbslocal.com」 2019年6月27日>