米TV界の名誉、第72回エミー賞授賞式が、現地時間の20日に開催された。
例年LAエリアの劇場にて、ノミネートされたスターらが一堂に集まり、授賞式が華やかに行われるエミー賞も、コロナ禍の今年は例外。米国では現在でも毎日数万人単位の新規患者が報告されており、一時はエミー賞の開催も危ぶまれていた。
未曽有の状況下でも、ハリウッドのエンターテイメントは健在だ。授賞式の司会は陽気な笑いで人気のコメディアン、ジミー・キンメル。会場となったLAダウンタウンのステイプル・センターでは、スターが居並ぶはずの観客席にスターの写真が代わりに置かれた。
最初のプレゼンター、ジェニファー・アニストンが登場。笑い声も拍手もない会場だが、笑顔は忘れない。誇張されたソーシャルディスタンスをジョークの種に、ジミーと共にリモートで行われる今回のエミー賞を説明。各部門のノミネートはリモート画面でつながれ、授賞者には前もって届けられていた箱が自動的に開き、トロフィーを受け取ることができる仕組みだという。
ノミネートされたスターたちは、それぞれ自宅やパーティ会場から発表の瞬間を待つ。通常の授賞式に比べると、派手なドレスに身を包むスターは少なかったが、それでもスターたちのサービス精神は旺盛だ。エミー賞を盛り上げようと、ゲストスターたちもお祭り騒ぎを演出した。
また、医療従事者、宅配便ドライバーら、いわゆるエッセンシャルワーカー(生活維持に欠かせない職業の従事者)もプレゼンターとして登場。ハリウッド流の感謝を表現した。
この日、受賞した作品のうち、カナダ産のコメディ「シッツ・クリーク」が大勝。コメディ部門の主要部門を独占という偉業を達成した。
ドラマ部門の主演女優賞でも歴史が生まれた。若手女優のゼンデイヤ(「ユーフォリア/EUPHORIA」)が初受賞。24歳での主演女優賞受賞は史上最年少で、ローラ・リニーやサンドラ・オーら実力派のベテランを差し置いてのサプライズ栄冠となった。
放送プラットフォーム別の受賞数では、ノミネート数で他を圧倒していたネットフリックスがわずか2と惨敗。代わりにノミネート数で2位のHBOが、ドラマ部門作品賞の「キング・オブ・メディア」、リミテッド・シリーズ部門作品賞の「ウォッチメン」の2冠を含む11を稼ぎ、この日の勝者となった。
主要部門の受賞は以下の通り。
<ドラマ・シリーズ部門>
■作品賞
★「キング・オブ・メディア」
「ザ・クラウン」
「The Handmaid's Tale/侍女の物語」
「キリング・イヴ/Killing Eve」
「マンダロリアン」
「オザークへようこそ」
「ストレンジャー・シングス 未知の世界」
■主演男優賞
★ジェレミー・ストロング 「キング・オブ・メディア」
ジェイソン・ベイトマン 「オザークへようこそ」
スターリング・K・ブラウン 「THIS IS US 36歳、これから」
スティーヴ・カレル 「ザ・モーニングショー」
ブライアン・コックス 「キング・オブ・メディア」
ビリー・ポーター 「POSE」
■主演女優賞
★ゼンデイヤ 「ユーフォリア/EUPHORIA」
ジェニファー・アニストン 「ザ・モーニングショー」
オリヴィア・コールマン 「ザ・クラウン」
ジョディー・カマー 「キリング・イヴ/Killing Eve」
ローラ・リニー 「オザークへようこそ」
サンドラ・オー 「キリング・イヴ/Killing Eve」
■助演男優賞
★ビリー・クラダップ 「ザ・モーニングショー」
ジャンカルロ・エスポジート 「ベター・コール・ソウル」
ブラッドリー・ウィットフォード 「The Handmaid's Tale/侍女の物語」
マーク・デュプラス 「ザ・モーニングショー」
ニコラス・ブラウン 「キング・オブ・メディア」
キーラン・カルキン 「キング・オブ・メディア」
マシュー・マクファディン 「キング・オブ・メディア」
ジェフリー・ライト 「ウエストワールド」
■助演女優賞
★ジュリア・ガーナー 「オザークへようこそ」
ローラ・ダーン 「ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつ」
メリル・ストリープ 「ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつ」
ヘレナ・ボナム=カーター 「ザ・クラウン」
サミラ・ワイリー 「The Handmaid's Tale/侍女の物語」
フィオナ・ショウ 「キリング・イヴ/Killing Eve」
サラ・スヌーク 「キング・オブ・メディア」
タンディ・ニュートン 「ウエストワールド」
■ゲスト男優賞
★ロン・ケパ・ジョーンズ 「THIS IS US 36歳、これから」
アンドリュー・スコット 「ブラック・ミラー」
ジェームズ・クロムウェル 「キング・オブ・メディア」
ジャンカルロ・エスポジート 「マンダロリアン」
マーティン・ショート 「ザ・モーニングショー」
ジェイソン・ベイトマン 「アウトサイダー」
■ゲスト女優賞
★チェリー・ジョーンズ 「キング・オブ・メディア」
シシリー・タイソン 「殺人を無罪にする方法」
ラヴァーン・コックス 「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」
ハリエット・ウォルター 「キング・オブ・メディア」
アレクシス・ブレデル 「The Handmaid's Tale/侍女の物語」
フィリシア・ラッシャッド 「THIS IS US 36歳、これから」
<コメディ・シリーズ部門>
★作品賞
★「シッツ・クリーク」
「ラリーのミッドライフ★クライシス」
「デッド・トゥ・ミー 〜さようならの裏に〜」
「グッド・プレイス」
「インセキュア/insecure」
「コミンスキー・メソッド」
「マーベラス・ミセス・メイゼル」
「What We Do in the Shadows(原題)」
★主演男優賞
★ユージン・レヴィ 「シッツ・クリーク」
アンソニー・アンダーソン 「black-ish (原題)」
ドン・チードル 「Black Monday(原題)」
テッド・ダンソン 「グッド・プレイス」
マイケル・ダグラス 「コミンスキー・メソッド」
ラミー・ユセフ 「ラミー 自分探しの旅」
★主演女優賞
★キャサリン・オハラ 「シッツ・クリーク」
クリスティナ・アップルゲイト 「デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~」
レイチェル・ブロズナハン 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
リンダ・カーデリーニ 「デッド・トゥ・ミー ~さようならの裏に~」
イッサ・レイ 「インセキュア/insecure」
トレーシー・エリス・ロス 「black-ish (原題)」
★助演男優賞
★ダン・レヴィ 「シッツ・クリーク」
アンドレ・ブラウアー 「ブルックリン・ナイン-ナイン」
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー 「グッド・プレイス」
アラン・アーキン 「コミンスキー・メソッド」
スターリング・K・ブラウン 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
トニー・シャルーブ 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
マハーシャラ・アリ 「ラミー 自分探しの旅」
キーナン・トンプソン 「サタデー・ナイト・ライブ」
★助演女優賞
★アニー・マーフィー 「シッツ・クリーク」
ベティー・ギルピン 「GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」
ダーシー・カーデン 「グッド・プレイス」
イヴォンヌ・オージ 「インセキュア/insecure」
アレックス・ボースタイン 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
マリン・ヒンクル 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
ケイト・マッキノン 「サタデー・ナイト・ライブ」
セシリー・ストロング 「サタデー・ナイト・ライブ」
★ゲスト男優賞
★エディ・マーフィ 「サタデー・ナイト・ライブ」
フレッド・ウィラード 「モダン・ファミリー」
デーヴ・パテール 「モダン・ラブ」
アダム・ドライバー 「サタデー・ナイト・ライブ」
ブラッド・ピット 「サタデー・ナイト・ライブ」
ルーク・カービー 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
★ゲスト女優賞
★マーヤ・ルドルフ 「サタデー・ナイト・ライブ」
アンジェラ・バセット 「A Black Lady Sketch Show(原題)」
フィービー・ウォーラー=ブリッジ 「サタデー・ナイト・ライブ」
マーヤ・ルドルフ 「グッド・プレイス」
ワンダ・サイクス 「マーベラス・ミセス・メイゼル」
ベット・ミドラー 「ザ・ポリティシャン」
<リミテッド・シリーズ/TV映画部門>
■リミテッド・シリーズ 作品賞
★「ウォッチメン」
「リトル・ファイアー〜彼女たちの秘密」
「Mrs. America(原題)」
「アンビリーバブル たった1つの真実」
「アンオーソドックス」
■TV映画 作品賞
★「バッド・エデュケーション」
「アメリカの息子」
「ドリー・パートンのハートフルソング:オールド・ボーンズ」
「エルカミーノ:ブレイキング・バッド THE MOVIE」
「アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖」
■主演男優賞(リミテッド・シリーズ/TV映画)
★マーク・ラファロ 「アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー」
ジェレミー・アイアンズ 「ウォッチメン」
ヒュー・ジャックマン 「バッド・エデュケーション」
ポール・メスカル 「ふつうの人々」
ジェレミー・ポープ 「ハリウッド」
■主演女優賞(リミテッド・シリーズ/TV映画)
★レジーナ・キング 「ウォッチメン」
ケイト・ブランシェット 「Mrs. America(原題)」
シーラ・ハース 「アンオーソドックス」
オクタヴィア・スペンサー 「セルフメイドウーマン 〜マダム・C.J.ウォーカーの場合〜」
ケリー・ワシントン 「リトル・ファイアー〜彼女たちの秘密」
■助演男優賞(リミテッド・シリーズ/TV映画)
★ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世 「ウォッチメン」
ディラン・マクダーモット 「ハリウッド」
ジム・パーソンズ 「ハリウッド」
タイタス・バージェス 「アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖」
ジョヴァン・アデポ 「ウォッチメン」
ルイス・ゴセット・ジュニア 「ウォッチメン」
■助演女優賞(リミテッド・シリーズ/TV映画)
★ウゾ・アブダ 「Mrs. America(原題)」
ホランド・テイラー 「ハリウッド」
マーゴ・マーティンデイル 「Mrs. America(原題)」
トレイシー・ウルマン 「Mrs. America(原題)」
トニ・コレット 「アンビリーバブル たった1つの真実」
ジーン・スマート 「ウォッチメン」
<「variety.com」 9月20日>