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海外ドラマ最新レポート Vol.268  「インスティンクト -異常犯罪捜査-」のアラン・カミング、自分にはお手本となる人物がいないというワケ

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インスティンクト -異常犯罪捜査-」主演のアラン・カミングは、「グッド・ワイフ」などで知られるクセ者俳優。トニー賞ミュージカル主演男優賞を受賞した実力派の舞台人でもある。ひょうひょうとしたムードが魅力の人気者も、芸能とは無関係の環境で育った。
 
スコットランドに生まれ、父は由緒ある邸宅の森林管理者、母は保険会社の秘書だった。文字通り、森林に囲まれて育ち、お話を創造しては独り遊びする少年時代を過ごした。「幼い頃から想像力を使って演じていたんだろうね」とアランは述懐する。その独り遊びが実際の演技につながったのは、もう少し成長してから。「13歳か14歳の頃、演技にどんどん興味が沸いてきて、初めて学校劇に出た。自分でも凄く上手にできたと思ったね。正直言うと、それまでの人生で何かを上手くやれたと感じたのは初めてのことだった」
 
この時点で、アランの腹は決まったようなもの。高校を卒業後は、スコットランド王立音楽・演劇アカデミー(現・スコットランド王立音楽院)に入学した。同アカデミーではたくさんの先生に影響を受けたという。「影響を受けた先生はたくさんいたね。中にはマイナスの影響を受けた先生もいた。彼は2年生の僕に、一人前の俳優になれるわけなんてないと言ったのさ。陰では、きっと僕が成功するとも言っていたらしいけれど。あんまりいい教育じゃないよね」
 
その教師は、結果的にアランの才能を見抜いていたことになるものの、同時にアランの心を傷つけた。それが嫉妬の産物だったのかは不明だが、反面教師の存在を身をもって知った瞬間でもあった。「この世界に入ってからも、たくさんの人に影響を受けた。だけど、僕は誰かをお手本にしたいと思ったことはないんだ。誰かから良いところだけ見習って、悪いところは真似しないようにしてる。だって、僕ら(俳優)は自分だけのスタイルを生み出すべきだから」
 
アランの誰とも比較できないユニークな個性は、この「いいとこ取り」精神のたまもの。お手本は作らない。つなぎ合わせて作り上げた最高の自分を日々アップデートするだけだ。
 
 
<「passportmagazine.com」  9月22日>