クリエーターは、映画『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞脚本賞にノミネートされた、豪脚本家トニー・マクナマラ。共演は同映画にも出演した英俳優のニコラス・ホルトだ。米英豪、英語圏出身の才能が集結し、ロシア宮廷のドラマを描くというチャレンジを、エルが引き受けたのは「トニー・マクナマラが綴る台詞に圧倒されたから」
「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」の脚本をエルが最初に手にしたのは、『女王陛下のお気に入り』を見る前のこと。何の先入観も持たずに目を通した、その脚本に心打たれてしまったのだとか。「彼が描き出す文体、その世界は私がこれまで読んだことのないものでした。ダークで突飛なコメディとエモーショナルなリアリズムがごく自然に調和されているのです」その中で、圧倒的な存在感を見せるエカチェリーナこそ、自分がこの作品の一部となって演じたいと思える役だった。
それほど惚れ込んだ役だから努力することに後悔はないけれど、役になじんだ気持ちになるのは難しいと感じている。「トニー(・マクナマラ)から、史実とはかけ離れた内容になると最初の段階から言われていたの。だから、私バージョンのエカチェリーナを作り上げなきゃならなかった。今ももがき続けているところよ」
幸か不幸か、アカデミー賞ノミネート脚本家はアドリブを許さない。脚本を一字一句演じさせる。ちょっとした言い換えさえも許されない厳しさはプレッシャーだが、だからこそ“それ以外”の演技が醍醐味になる。「台詞に縛られるということは、それ以外でしか自分らしさを見せる場がないということ。演技中の動きや台詞の抑揚を自分の自由にできることに喜びを感じるの」
TVや映画は完全芸術だ。マクナマラの創り出す物語は台詞で伝えることができる。その物語をどこまで忠実かつより豊かに表現してゆくのか、演じる者の技量の見せどころなのだ。「この作品は映画ではない、2時間で終わるお話ではないの。TVシリーズとして(時間をかけて)このキャラクターの人生を探訪できること、歩みを合わせるられることに喜びを感じているわ」
米では2020年5月にHuluで配信開始されたシリーズだが、すでにシーズン2も製作が決定している。マクナマラは次にどんな物語をエカチェリーナに与えるのか。想像力を膨らませ、エルはエカチェリーナに息を吹き込む。
<「whtimes.co.uk」 2020年12月24日>
※エル・ファニング オフィシャルインタビューの全文は後日公開予定です。