2月のスーパー!ドラマTVの目玉は「
ゾーイの超イケてるプレイリスト」シーズン2の日本初放送だ。この“海外ドラマおすすめコラム”のvol.52でも紹介したが、シーズン1の面白さには驚かされた。サンフランシスコのIT企業で働くヒロイン、ゾーイ(ジェーン・レヴィ)は、あるきっかけから周囲の人々の心の声が歌と踊りとなって見えたり聴こえたりするように。だからこそ、ふんだんかつ華やかなミュージカル場面が見せ場だ。
そのコラムでもふれたが、ヒットドラマ「glee/グリー」に加え、設定が少し似ている1990年代の名作「アリー my Love」からの影響が大きかったはず。そして劇中で使われるナンバーの選曲が「glee/グリー」以上に幅広いのは出色。1960~90年代から21世紀まで、たくさんのヒットソングをカバーする一方、名作舞台「ジーザス・クライスト・スーパースター」の主題歌「スーパースター」、人気TVドラマ「人気家族パートリッジ」からヒットした「悲しき初恋」など、まるで“音楽の玉手箱”だ。シーズン2も、映画化もされたブロードウェイミュージカル「ハロー・ドーリー!」の主題歌(第1話)から、クイーンの「ドント・ストップ・ミー・ナウ」(第11話/映画「『ボヘミアン・ラプソディ」のエンディング曲)まで選曲の妙は健在。
またゲスト出演陣も充実しており、シーズン1には大ヒット舞台「ハミルトン」でトニー賞に輝いたレネイ・エリース・ゴールズベリイらが登場し、シーズン2ではドラマ「ギルモア・ガールズ」のローレン・グレアムが再登場。またシーズン2の後、長編のクリスマス・スペシャルが作られ、これには「犯罪捜査官ネイビーファイル」のデヴィッド・ジェームズ・エリオットがゲスト出演したので、いずれ日本上陸してほしい。
つまりこのドラマ自体が、アメリカンエンターテインメントの“超イケてるプレイリスト”なのである。気になる曲やキャストはぜひチェックしてみよう。
【アメリカTVライター 池田敏 2022/1/31】
池田敏:海外ドラマ評論家。海外ドラマのビギナーからマニアまで楽しめる初の新書「『今』こそ見るべき海外ドラマ」 (星海社新書) 発売中。