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海外ドラマおすすめコラム vol.64 最新スピンオフ「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」放送決定! 重要な原点のひとつ、「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」の底力

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2022年1月のスーパー!ドラマTVは大型改編を記念する人気作が目白押しだが、米TV史上最重要という大ヒットドラマ「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班」のチャンネル初放送は要注目。海外ドラマ好きは「LAW & ORDER」というタイトルを聞いたことがあるだろう。1990年から20シーズンも続き、12年間中断した後、なんと2022年にシーズン21が全米放送されることが決まった名作。
 
この作品からは何本もスピンオフや海外リメイク版が生まれているが、最新のスピンオフ「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」をスーパー!ドラマTVは2022年3月から独占日本初放送するのは楽しみ。そして最初のスピンオフであり、すでに本家「LAW & ORDER」を上回る24シーズン目の製作が決まっているのが「~性犯罪特捜班(SVU)」。本家「LAW & ORDER」と同じく大都市ニューヨークが舞台で、そこで起きる、性が絡んだ犯罪を一話完結形式で描く正統派の犯罪ミステリーだ。
 
「LAW & ORDER」がユニークだったのは、各話の前半で警察による事件の捜査、後半で検察による訴追を描くというリアルなスタイルだったが、「~SVU」は男性が犯人であることが多い性犯罪(被害者のことを英語ではSpecial Victimと呼ぶ)を題材に絞ったのが画期的。SVUの中心人物は、当初は男優のクリストファー・メローニが演じるステイブラーだが、後に女優のマリスカ・ハージティが演じるオリビアに代わっていく。性犯罪の被害者は女性であることが多く、だからこそオリビアが事件を解決していくのが見ものだ。
 
かつてスーパー!ドラマTVが放送した傑作「ホミサイド/殺人捜査課」のマンチ刑事(リチャード・ベルザー)がSVUの一員なのも楽しい。本作が長く続いていることの背景に、性犯罪がなかなか無くならない現実があるのは悲しいが、いつも刑事ドラマの時流に目配りしながら犯罪ミステリーの最先端を走り続けているのが本作の成功の要因。その底力を堪能したい。
 
 
【アメリカTVライター 池田敏 2021/12/27】
 
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