TV進出以前は、ブロードウェイで経験を積んだ。実力派女優を生んだのは、ある一枚のメモがきっかけだという。「私が小学一年生の時の話よ。先生が私のシャツに一枚のメモをピンで留めて家に帰らせたの。『ポーラを演劇のクラスに入れなさい』って書いたメモだったわ」
シカゴ生まれのポーラ。演劇が盛んな大都市とはいえ、両親は驚いたに違いない。それでも先生の言葉に従った。「両親は私をYMCA(の演劇クラス)に入れたの」 ポーラは少女期からティーンエイジャー期にかけ、地域の劇団で活動、大学でも演劇を学んだ。まだ何者でもなかったが、「私が演劇を選んだんじゃないわ、演劇が私を選んだのよ」と若いポーラに迷いはなかったという。
大学を卒業後、ニューヨークへ向かい、ブロードウェイで活躍。舞台に運命を見出していたポーラだが、ある仲間の言葉からキャリア転換することになる。俳優デニス・オヘアと食事した時のことだ。 「それまで舞台以外で演じたいと思ったことがなかったの。それでもデニスがTVでいくら稼いでいるか教えてくれて、私はとにかくTVに出たいと心変わりした。それから4か月後のことよ、TVの仕事を決めて、LAに引っ越したというわけ」
デニスと言えば、近年は「アメリカン・ホラー・ストーリー」などライアン・マーフィーのTVシリーズで活躍する俳優。トニー賞も受賞している舞台俳優でもある。 デニスのフトコロ事情を知り、うらやましくなったのは事実。しかしポーラにとっても、舞台からTVへ移る良きタイミングだったのだろう、現在に至るまでTV出演歴は華やかだ。 そして、「CSI: ベガス」では堂々の主役。誰よりも早くポーラの才能を見抜いた、小学校の先生も楽しみに毎週TVの前に座っているに違いない。
<「essence.com」 2021年12月9日>