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海外ドラマ最新レポート Vol.496  「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」のディラン・マクダーモット、役作りに生かす過去とは

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米NBCの「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」でオンライン製薬会社CEOを表の顔とする、NYマフィアのボス、リチャード・ウィートリーを演じるディラン・マクダーモット。 代表作の「ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル」を始め、どちらかと言えば善のキャラクターを演じてきたディランが、本格的な悪役ウィートリーを演じるにあたり、米メディアの取材に答えている。
 
「僕はほとんどの俳優が経験できないような環境で生きてきた」
 
これまで隠してきたわけではないが、一般には知られていない過去を明かしたディラン。両親の離婚後、幼いディランは母と暮らした。シングルマザーとなった母の恋人は悪の世界に身を置く男だった。 「その男は銀行強盗だったんです。そういった連中はそのうち死ぬか刑務所に入ります。幸せな余生なんてありません、彼もそうでした」 やがて母も射殺された。ディランはそんな環境で育ったのだ。
 
「だから彼らの生き様は僕の身になじんでいるし、不思議でもありませんでした。いつの日か、そんな自分をキャラクターの中に落とし込むことができたらと考えていました」 そこに「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」のクリエイター、ディック・ウルフがオファーしたのが、ウィートリーというキャラクターだった。ウィートリーの持つ現代的なヤバさ。これまでTVが描いてきた悪役にいくつもの側面を加えた、複雑な人間性。それだけに何を考えているか分からない、常に緊張感あふれる雰囲気をまとわす、カリスマティックなキャラクターでもある。
 
役作りには周囲の協力も必要だった。 「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」主役のNY市警エリオット・ステイブラー刑事を演じるクリストファー・メローニは、ディランがありがちなギャング像を演じることを意識的に避けていたと話す。 「彼は俳優がやりがちな型にはまらなかった。ウィートリーは21世紀の悪役なんだ」(クリストファー)
 
製作陣も後押しした。ドラマ好きなら気づくかもしれない、ウィートリーがタバコを吸うことを。 「現実には、その手の連中はタバコをよく吸うんです。だから僕もキャラクターにその癖を加えたかった」 視聴者に与える影響から、最近の米TVネットワークでは滅多に喫煙シーンを放送しない。それでも、ウィートリーにタバコを吸わせたいというディランの提案を「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」の製作陣は受け入れたのだ。
 
「問題があることは僕も知っていましたが、許可してくれました。おそらくウィートリーが悪役だからでしょう」 内に秘めた悪役を解き放った。「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班」で、視聴者はこれまで見たことのないディラン・マクダーモットを知るに違いない。
 
 
<「apnews.com」  2022年3月8日>