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グッド・ファイト」のオードラ・マクドナルドは、ブロードウェイ・ミュージカルで華麗なキャリアを築きながら、TVや映画でも活躍するマルチなスターだ。そのオードラが米メディアのインタビューで自身が抱えるADHD(注意欠陥・多動性障害)との向き合い方について話している。
思い返せば常に活発な子供だった。「父は私を“サーカス”と呼んでいたの」 何でも大げさにとらえがちだった少女オードラがやりたいことを見つけたのは、9歳の時。地元の劇団に入り、パフォーマーとしての第一歩を踏み出した。「家族は安心したみたい、私にできることが見つかって」
才能は本物だった。名門ジュリアード音楽院に入学。オペラを専攻したが、ここでつまづいた。 「みじめな気持ちになったわ。自分の歌う内容が理解できなかった。自分の感情と結びつけることも無理だった。歌う声さえも好きになれず、オペラを続ける気にもならなかった」
彼女の苦悩は周囲にも伝わり、“ミュージカル”という選択が新たに与えられた。「正解だった。ミュージカルこそ私が出会いたかったもの」 ジュリアード音楽院を卒業後、NYのブロードウェイへ。「Carousel/回転木馬」で最初のトニー賞ミュージカル助演女優賞を受賞すると、2年後には「master class」でトニー賞演劇助演女優賞を勝ち取った。歌って良し、演じて良しのお墨付きを得たのだ。 抱えきれないほどの勲章を手に、TVや映画に進出した。TVシリーズ「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」では準主役の抜擢、映画『美女と野獣』でも好演している。
多方面での活躍について、「プロフェッショナルとして、型にはめられたくない」とオードラ。さらに「私は多動的な子供だったし、大人になってADHDの症状も分かった。だから興味がたくさんあるの。歌い手として、アーティストとして成長するために、それらのすべてが大切なのだと思う。全てが成功しているわけじゃない、だけどそこから何かを学ぶことはできる。挑戦することが大事なの、失敗からも成長できるのよ」
歌って演じることのできる米女優としては、もはやトップクラスのオードラだが、向上心は衰えない。 そして何より仕事こそがADHDの治療法だと言う。 「両親は、私がパフォーマンスしている間だけ集中できることに気づいた。だから、それが私にとっての治療法」 特に舞台でのパフォーマンスが一番効果が有るらしい。 「いろいろな治療法はあるのだろうけど、私にとっては舞台ね。皆に当てはまるとは限らないわ」
外見からは、しっとりとした大人の女性の魅力を醸し出す一方で、内なる躍動がその魅力を引き立てる。オードラは症状と向き合いながら、これからもフィールドを限らず、多方面で活動するつもりだ。
<「thedailybeast.com」 2022年12月26日>