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海外ドラマ最新レポート Vol.498  「NCIS」4シリーズを全制覇した俳優とは?

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米CBSの大人気TVドラマシリーズ「NCIS ネイビー犯罪捜査班」から生まれたスピンオフには、「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」「NCIS: ニューオーリンズ」そして「NCIS: ハワイ」がある。 その「NCIS」4シリーズを全制覇した俳優がいるという。サンフランシスコ生まれの俳優カート・イエーガーだ。
 
驚くのは、4シリーズとも、カートはそれぞれ違うキャラクターで登場したのだという。最初に「NCIS」シリーズに登場したのは、「NCIS ネイビー犯罪捜査班」。退役後、ビジネスで成功を収めている元軍人を演じた。「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」では、5エピソードに渡って登場する重要なキャラクターを演じている。そして「NCIS: ニューオーリンズ」では、人生を変えるほどの大怪我を負った警察官役。
 
実はカート自身、オートバイ事故で左脚をひざ下から切断した。現在は義足をつけて活動している障がいを持つ俳優なのだ。 カートが出演した「NCIS: ニューオーリンズ」シーズン5第18話(「見えないスパイ」)は、ダリル・チル・ミッチェルがメインのエピソード。ダリルは、車いすのコンピューター専門家、パットン・プレイムとしてレギュラー出演している。同エピソードには他にも複数の障がいを持つ俳優がゲスト出演しており、TVドラマの1エピソードとしては、過去2番目に障がい者が多く登場した記録を打ち立てたという。
 
こうした障がいを持つ俳優の起用の場が増えることを喜ぶカートだが、ハリウッドは少し意識を変えるべきだとも考えている。 「(障がい者だとしても)どんなキャラクターでも演じられると思ってほしいんです。だって僕の出演シーンの95%は胸から上なんですよ」(カート) 確かにカートが、障がいを持つキャラクターとしてキャスティングされても、実際に画面に登場するのはほとんど上半身のみ。つまり画面では健常者と同じなのだ。だとしたら、その逆も然りというのがカートの意見なのだ。
 
CBSのキャスティング担当クラウディア・リヨンは、カートを「NCIS」全4シリーズに出演させる意図があったわけではないと話す。 「大いなる偶然でしょう。いろいろな条件が重なって実現したのです。まず言いたいのは、カートが才能ある俳優だということ。それに彼は自分にチャンスが廻ってくるのを待つ忍耐強さを持ち合わせているのです。一度カートと一緒に仕事をしたプロデューサーが、2度、3度と使いたくなるんですね。それとキャスティングディレクターにも好かれています。才能があるから、応援したくなるんです」(リヨン)
 
カートがどんな俳優も成し得なかった「NCIS」4シリーズを制覇できたのは、まさにその才能と愛すべき性格ゆえ。 最新の出演作「NCIS: ハワイ」シーズン2第18話では、主役のジェーン・テナント(ヴァネッサ・ラシェイ)の父親を演じたが、障がいは関係ない役だったという。 「僕自身、脚をもぎ取られるような大事故を経験するまでは、障がい者のことは何も知りませんでした。他の健常者と同じようにね。大変だ、くらいに思っていたんです。だけど、障がいを持って得るものもたくさんあると知りました。僕は今、他人の気持ちを思いやることができます。人の痛みを理解することも。人間として強くなりました。皆が障がい者から思い浮かべるイメージ以上に、僕は内側からも変わったんです」(カート)
 
魅力的な俳優カート・イエーガー。これからもきっと様々な役で私たちを楽しませてくれるに違いない。
 
 
<「variety.com」 4月10日>