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NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」で天才数学者を演じたデビッド・クラムホルツが、米エンタメサイトのインタビューに答え、同作に出演していた頃の売れっ子俳優が陥りがちな若気の至りを告白している。
デビッドは「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」以前から、映画『サンタクロース』シリーズや『Ray/レイ』に出演していた人気者。27歳で主演の「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」がスタート、難解な台詞も早口で難なくこなす天才肌が少しばかり舞い上がってしまったのも無理はない。「『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』を何シーズンか終えた頃、僕は飽き始めていた。番組に非現実的な理想を抱き、なぜエミー賞が獲れないんだろうと腐っていたんだ。当時の僕は20代、周りを客観視できない愚か者だったのさ」
熱演する主演作がなぜ評価されないのか? 不満は募るばかり。
「『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』は見過ごされていると思った。それでシーズン4あたりで僕は真剣に降板を考えていたんだ」実際に口にはせずとも、主演俳優の不満は周囲に伝わっていたはずだ。(デビッドが辞めたがっている)そこまで察した仲間もいたかもしれない。
そんな頃、全米脚本家組合のストライキが勃発。3か月以上に渡り撮影はストップされた。「僕はただ家にいて、ストライキが終わるのを待つだけだった」時間を持て余していたデビッドは、ある英国のTVコメディシリーズを見た。毒舌で知られる英コメディアン、リッキー・ジャーヴェイス主演の「エキストラ:スターに近づけ!」だ。「自分の主演番組を持っている男の話なんだ。その男は自分が作り出した番組が嫌いになってしまった。その番組を楽しんでくれる視聴者がバカばっかりに思えてきたのさ。そして彼は本当に番組を辞めた。彼が失ったのは番組だけじゃなく、チャンスそのものだったということに気づかずにね」
まさに当時のデビッドそのもの。客観的に自分の姿を見せられたようで、一気に目が覚めた。「僕も『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』を辞めようと思っていたから、完璧なタイミングだったね」ストライキが終わり、撮影が再開した。「僕は小さくなって皆に謝った。実は辞めようと思っていたと告白したのさ。そして、もう二度と逃げようなんて考えない、皆と最後まで一緒にいると誓ったんだ」そこから『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』が終了するまでの2シーズン半の間は、それまで以上に現場が楽しかったとか。「あの体験は僕にとって、頭をこん棒で殴られたようなものだった。僕は謙虚でいるべきだったんだ。仕事があることに感謝しなければと。だから『NUMBERS 天才数学者の事件ファイル』が終了したときは寂しかったね。もう一度言うよ、本当に寂しかった」若気の至りも振り返ってみれば、いい経験。ハリウッドにおける、デビッドの息の長い活躍の一因であるに違いない。
<「avclub.com」 2016年8月30日>