「
THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」のエル・ファニングが米誌の企画で、かつて共演し、敬意を抱いている女優ナオミ・ワッツと対談した。二人は2015年の映画『アバウト・レイ 16歳の決断』で共演。ナオミはエルの母親役を演じたのだ。「彼女はまだ16歳でしたが、感情的な面で知性を感じました」と、ナオミはエルの内面の成熟に感心したという。
ナオミは、イギリス生まれ、オーストラリア育ち。注目されたのは、30代半ばで主演した映画『マルホランド・ドライブ』という遅咲きのスタート。それまでは「(女優としての)野心を忘れず、それを隠して活動していた」という。つい最近まで女性が野心を表に出すことは特別な目で見られていたからだ。良く言えばスマートに、もしくはしたたかに徹し、開花した遅咲き女優は、その後もさまざまな役にチャレンジしている。売れてからも野心は失っていない。
そんなナオミについて、エルは「彼女はジャンルにとらわれない女優です。常に自分の道を切り開いてきました。いつか私も自分の仕事について、そう言われるようになりたいと願っています。いつも皆を驚かせたいと考えているし、私に対する皆のイメージを超える仕事をしたいのです」エルが主演する「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」では、大胆かつコケティッシュな女帝エカチェリーナを演じ視聴者を魅了する。
さらに、この作品でエルの挑戦はもう一つ。プロデュースだ。これまでも短編映画などではプロデューサーとして名を連ねたが、あくまでもマイナーな作品のみ。「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」のような大作配信シリーズとは規模が違うのだ。「(『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』は)私が初めて本格的にプロデューサーとして関わる作品でもあります。私はそれまでカメラの裏側の仕事をしたことがなかったし、製作に関する決定を下すこともありませんでした。それでもプロデューサーたちがどのように作品を作り上げているのか、いつも興味を持って見ていました」
かくしてエルが22歳の時にスタートした「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」では主演と製作総指揮を兼ねている。それまで出演者が足を踏み入れることもなかった、会議室での発言も恐れることはない。高級スーツを着た重役陣を前に、時に震えそうになっても『私は2歳からこの世界で生きているんだ』と子役からスタートしたキャリアを糧に、自らを奮い立たせているという。
遅咲きの先輩女優ナオミと、早咲きの後輩女優エル。世に出たスピードこそ異なれど、目指す方向は同じ。いつか再共演を果たす時、ハリウッドで生き抜く健闘をお互い称え合うに違いない。
<「nytimes.com」 4月20日>