ロサンゼルス市警のS.W.A.T.(特殊武装戦術部隊)の活躍を描く痛快アクションドラマ。リーダーのホンドー(シェマー・ムーア)がチームを去ってどうなるかと思われたシーズン5、彼はS.W.A.T.に復帰し、恋人ニシェル(ロシェル・エイツ)は彼の子どもを妊娠した……という気になる展開で幕を下ろした。
同時に紅一点のクリス(リナ・エスコ)がチームを去ったが、シーズン6ではパウエル(アンナ・エンガー・リッチ)とカブレラ(ブリジット・カリ・カナレス)という女性キャラ2人がS.W.A.T.に加わるのが見もの。
それにしても楽しいのはこのシーズン6、本作の名物“海外ロケ”でいきなり始まること。これまでシーズン2・5でメキシコ、シーズン3で日本の東京でロケをした本作だが、シーズン6の第1、2話ではタイでロケを決行した。第1話のタイトルは「タイ・ハード」で第2話のそれは「タイ・アナザー・デイ」。それぞれアクション映画の名作「ダイ・ハード」、人気シリーズ第20作「007/ダイ・アナザー・デイ」のタイトルパロディだ。
YouTubeでオフィシャルなメイキング映像が見られるが、現地のS.W.A.T.隊員がある建物の壁を足で登る、まるで“リアル「スパイダーマン」”のような場面も。映画「マッハ!」など肉体派アクションに定評があるタイ映画へのリスペクトがたっぷりだ。
そしてホンドーの恋人ニシェル役のエイツがレギュラー陣に加入。そう、「クリミナル・マインド」で本作のホンドー役シェマーが演じるデレク・モーガンの恋人(後に妻になった)、サバンナを演じていた俳優だ。まるで“ホンドー=その後のデレク説”という都市伝説(?)を裏付けるかのようなセルフパロディで、ぐっと来ない海外ドラマ好きはいないはず。
惜しくも続くシーズン7が最終章になる予定だが、そこまで本作ならではのお祭り感は続きそうだ。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2023/8/31】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。