米エンターテイメント業界は、年末から年始にかけて2023年度の優秀作品や俳優、クリエーター、アーティストなどを称える授賞式シーズンに突入した。授賞式に先だって発表されるのが、ノミネート。アカデミー賞やエミー賞、ゴールデングローブ賞など有名な賞になると、MC役のスターがノミネート発表を読み上げる。スターが参加することで、メディアを使ってのお祭り騒ぎが一層盛り上がるのだ。
先日ノミネート発表が行われたのは、来年1月7日に開催される第81回ゴールデングローブ賞。ノミネートを読み上げたのは、「
NCIS ネイビー犯罪捜査班」のウィルマー・バルデラマとコメディアンのセドリック・ジ・エンターテイナーだ。
驚くのはその時間。朝のニュースで放送してもらうため、スタートはとびきり早いのだ。彼らがノミネートを発表し始めたのは、米東部時間の朝8時。会場はLAだから、現地時間でいえば早朝5時から彼らはノミネート発表を行っていたのだ。もちろんリハーサルの時間も含めると、入りの時間はもっと早かった。全米の業界人、メディアが注目する一大イベント、早朝とはいえウィルマーたちも万全を期して臨んだことだろう。
「だけどね、どれだけリハーサルをやっても、朝の4時だもの。うまくいかないよ」と、愚痴るのは、ウィルマー。
栄誉あるノミネートを受けた作品名、俳優たちの名前を読み上げるわけだから、正確でなければならない。しかし、いくら同業とはいえ初見の名前もある。移民の多い国だけに、読み方の分からない名前も少なくない。早起きの頭をフル回転だ。
ウィルマーといえば、かつては数々の若手女優と浮名を流してきた、ハリウッドのチャラ男。絶対的に夜型のイメージだが、婚約者との間に一女を授かったパパ・ウィルマーにかつての姿はなかった。
「僕は毎朝4時半からジムに通っている。仕事終わりに体を動かすのは好きじゃないんだ、疲れきっているからね。だけど4時半から運動すれば、いい具合に一日のスタートを切れるんだ。一度そういった日課になってしまえば、早起きのメリットを満喫できるというものさ」
過去のウィルマーなら朝の4時半は、夜遊びからの帰宅時間。しかし、今ではその時間から運動で体を起動させるというのだから、人間は変わるものだ。そんなウィルマーだから、早朝から始まるゴールデングローブ賞のノミネート発表MCは願ってもない大役だった。
「今朝の早起きは歴史の一部に立ち合えるチャンスだった。最高の気分だね」
残念ながら、ウィルマーがシーズン14からニック・トーレスNCIS捜査官役で出演する「NCIS ネイビー犯罪捜査班」のノミネートは無し。悔しいとは思わない、世界中の視聴者から愛され続けていること、それがウィルマー含め関係者にとっての“賞”なのだから。
「僕らの番組は21年の間、愛されているのだから賞賛に値すると思うんだ。僕ら出演者も脚本家チームも常に限界を目指している。視聴者も世代から世代へと受け継がれ、新しい世代も増えている。これって特別な番組じゃないかな」
ウィルマーが早朝のゴールデングローブ賞のノミネート発表MCを引き受けたのは「NCIS ネイビー犯罪捜査班」のPRの意味もあったに違いない。これからも「NCIS ネイビー犯罪捜査班」の誇り高きの一員として、早起きで体を作り上げてゆくつもりだ。
<「yahoo.com」 12月11日>