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トランスプラント 戦場から来た救命医」で有能な研修外科医のジューン・カーティスを演じるアイーシャ・イッサ。スレンダーかつ力強さを感じさせる体型に只モノではないと感じた方もいるかもしれない。実はアイーシャ、2010年に国際ブラジリアン柔術連盟世界大会のヘビー級成人女子白帯で優勝経験を持つ、本物のチャンピオンなのだ。
その華麗な実績を引っ提げ、映画『インモータルズ -神々の戦い-』やTVシリーズ「12モンキーズ」に出演、一級品のアクションを披露してきた。
しかし、「トランスプラント 戦場から来た救命医」では外科医役。なぜこれまでと毛色の違う役を選んだのだろう?
「私のエージェントがオーディションがあるって連絡をくれたの。私はもちろんマーシャルアーツが大好きだけど、変わった役をやるのもいいんじゃないかと思っていた。(最初の)オーディションを受けた後、しばらく忘れていたのだけど、またエージェントから電話があって、ぜひジューン役で本読みをしてほしいって言われたの」
それまでアクションを必要とする役がほとんどだっただけに、「トランスプラント 戦場から来た救命医」のジューン役はまさに新境地。それだけに本読みのオーディション動画を送るのにも力が入ったとか。
「とても嬉しくって、私は28回も撮り直したのよ。普通はそこまでしないわよね。私は28回撮り直した映像をどれがいいか決めきれなくって、キャスティングディレクターに全部送ったの」
たいていのキャスティングディレクターなら28回も同じシーンを見せられることに辟易してしまうだろうが、なぜだがアイーシャの28回は成功した。ジューン役を見事手に入れたのだから。
「トランスプラント 戦場から来た救命医」でも独特のムードをかもしだすアイーシャ。フィジカルの才能に恵まれたクールビューティーにとって女優業は当然の選択とも思えるが、柔術の第一線を退いてからすぐに演技の道を選んだわけではなかったようだ。
「女優になろうと決めていたわけではないわ。いろいろと選択があったし、一つの道に進むとしたら自分をしばりつけてしまうんじゃないかと思ったの」
第一線を退き、マーシャルアーツのスタジオを経営していたというアイーシャ。フリーに身を置くことで広い視野でチャンスをつかみたかったのだ。
「『トランスプラント 戦場から来た救命医』でチャンスをもらえたことに感謝しているわ。(28回の撮り直しも)楽しかった。私は演技の正式なトレーニングを受けたことがないの。だから、普通はこうやるもんだという常識はなかった」
アイーシャの才能を熟知、かつ女優としての将来を見据え、オーディションを薦めてくれるエージェントには感謝している。一方で自分の道は自分で選ぶ、その強気は今までもこれからも変わらない。
「常に柔軟な姿勢は崩すべきではないけれど、自分自身に正直でありたい。どんな役も楽しくなければ断るわ。この役よりも他にやりたい役があるからって。きっとその方がうまく行くものよ」
柔術世界チャンピオンとしての誇りと自信。何より願いをかなえさせるためなら、どんな努力も惜しまない、長年のトレーニングで培ったメンタルこそ、アイーシャのプロとしての強みなのかもしれない。
<「bossip.com」 2020年10月7日>