人気ドラマ「LAW & ORDER(L&O)」の最初のスピンオフで、米国TV史上最も長く続いている実写ドラマが「LAW & ORDER: 性犯罪特捜班(SVU)」。「L&O」がシーズン20で終了した後も全米放送は続き、2022年に「L&O」は復活しつつもシーズン23で終わってしまう一方、今年、「SVU」はシーズン25が全米放送され、シーズン26への継続が決まり、本家超えの勢いは止まらない。
このシーズン12の最大の見ものは、性犯罪特捜班のエリオット・ステイブラー刑事(クリストファー・メローニ)が番組から卒業すること。シーズン1から組んできたオリビア・ベンソン(マリスカ・ハージティ)との名コンビぶりは、“ベンスラー”と形容されるほどファンに愛された。
犯罪に対する怒り、はすべての「LAW & ORDER」に共通するテーマだが、それを最も痛感させるのが“ベンスラー”だったと思える。そんな2人にどんな別れが待つのか、期待しないファンはいないだろう。
もっともステイブラーは10年後、スピンオフ「LAW & ORDER: 組織犯罪特捜班(OC)」に再登場。「SVU」シーズン22~24には「OC」とのクロスオーバーがあり、相乗効果を生んだかのように、「OC」はシーズン5への継続が決定。
また、このシーズン12は別のスピンオフドラマ「LAW & ORDER:LA」とのクロスオーバーもあり、さらに、ステイブラーが去った後のシーズン13からは「コールドケース」でヴァレンズ刑事を演じたダニー・ピノがニック・アマーロ役を演じるなど話題はたっぷり。
このシーズン12はジョーン・キューザック(第1話)、ジェニファー・ラヴ・ヒューイット(第3話)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(第8話)などゲストスターも充実。
後の#MeTooで注目されるローズ・マッゴーワンが第19話にゲスト出演していたことに、本作が俳優たちから信頼されていることを感じる。
【海外ドラマ評論家 池田敏 2024/5/31】
池田敏:海外ドラマ評論家。映画誌「スクリーン」などに寄稿し、TV・ラジオで出演や監修をすることも。著書は「『今』こそ見るべき海外ドラマ」(星海社新書)など。