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海外ドラマ最新レポート Vol.670  「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」のプロデューサーは、あの個性派俳優だった!

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クラシック音楽界に一石を投じたコメディ・ドラマシリーズ「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」は、オーボエ奏者のブレア・ティンダルが執筆した書籍『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル ~セックス、ドラッグ、クラシック~』が原作だ。
2005年に出版された同書を読んで、プロデューサーとして「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」を映像化したのが、ジェイソン・シュワルツマン。フランシス・フォード・コッポラ監督(映画『ゴッドファーザー』シリーズ)を伯父に持つシュワルツマンは、『天才マックスの世界』、『ダージリン急行』など独特の世界観で描かれた作品に数多く出演する個性派俳優だ。
 
「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」の映像化についてシュワルツマンが米エンタメサイトのインタビューに答えている。
「僕はずっとロック音楽のファンだった、ロックを聴き、ロックの本も読んできた」
自身は、俳優業の他、ロックバンド、ファントム・プラネットの一員としてツアーを周ったこともあるミュージシャン。音楽は大好きだけど、クラシック音楽に興味を持つことはなかったとか。
「音楽の種類によっては苦手なものもあったんだ。好きじゃないというか、ただ僕には高尚すぎる気がして」
そんな時、ティンダルの本を手にした。
「ロック音楽やハリウッドと同じことがクラシックの世界でも起こっていると思ったのさ。ロマンス、ケンカ、裏切り、政治、きっと世界中のどこでも似たようなものなんだろうけど」
 
それまでシュワルツマンはクラシックの世界をピュアなものと思い込んでいた。「だから、本を読んでみて、がぜん身近に感じた」
コッポラファミリーの一員、シュワルツマン、すぐに映像化を思いついた。
「きっとクールな作品になるだろう、クラシック音楽について描いたストーリーなんだ」と周囲に言い続けていた。なんと8年間もそんなことを口にしていたという。俳優としてのキャリアはあったが、製作経験は乏しかったから、誰かに背中を押してもらいたかったのかもしれない。
 
その誰かは、やはりファミリーの一員のロマン・コッポラだった。
「いとこのロマンが『君はそのクラシック音楽の作品についてずっと話し続けているけど、なぜ自分でやってみないんだい?』と聞いてきた。僕は、どうやって作ったらいいか分からないと答えた。そしたら彼は『一緒にやろう』と言ってくれたんだ」
ロマンは、コッポラ監督の息子であり、妹も映画監督のソフィア・コッポラ。ロマン自身も『チャールズ・スワン三世の頭ン中』などを監督、製作の経験も豊富だ。これ以上の援軍は見当たらない。
かくしてシュワルツマンの目の付け所は正しかった。「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」は4シーズン続くヒットとなり、2016年にはゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカルシリーズ部門最優秀作品賞も受賞している。
 
個性派俳優の心を揺り動かし、8年間もの粘りが実った「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」。シュワルツマンのようにクラシック音楽が高尚すぎると思っている人にも是非見てもらいたい一作だ。
 
 
<「nylon.com」 2016年1月16日>