ストーリー
サンフランシスコに拠点を置くIT技術開発会社SPRQ Pointで、コーダーとして勤めているゾーイ・クラーク。社内の他の同僚たちは上司のジョーンを除いては全員が男性社員。そんな紅一点のチームの中でも才能を発揮しながら仕事に邁進する日々を送っている。ゾーイの父親ミッチは、PSP(進行性核上性麻痺)という神経難病を患っており、日常生活はほぼ座ったまま、自ら食べることも話すこともできない状態に陥っている。そんなミッチの日常生活の介護は、ゾーイの母マギーが一手に引き受け、辛い顔ひとつ見せることなく献身的に愛する夫を支えている。ゾーイや近所に住む兄のデヴィッドは、頻繁に実家を訪れては両親の様子を心配しながら見守っている。
ハードな仕事の疲れからなのか、しばらく頭痛が続いているゾーイは、心配する母親に勧められて病院でMRI 検査を受けることになった。閉所恐怖症の彼女は不安な気持ちを抱えつつ装置の中へと通される。ドクターは、ゾーイをリラックスさせるために装置内で音楽を掛けてくれるのだが、そこから流れてきた曲は「♪何てことだ、地震から始まって……」という歌詞で始まるロックの楽曲。ついにゾーイの不安が頂点に達した瞬間、突然大きな地震が発生。地震はすぐに収まったのだが、ゾーイが病院からの帰り道に母親と安否確認の電話をしていると、なんと隣を歩いていた見ず知らずの女性が、「♪ひとりぼっちになりたくない」といきなり彼女に向かって歌い出す。戸惑ったゾーイは、思わず「私に向かって歌っていますか?」とその女性に聞いてみるが、相手は何のことがさっぱり分からない様子。その後、前からやってきた歩行者も突然ゾーイに向かって歌い出し、ついに周囲の人々までもがミュージカルのように派手に踊り出す始末。突然訪れた異変に困惑しながらも足早に自宅へと戻ろうとするが、やはりあらゆる人が彼女の周りで歌を歌い踊っている。大混乱状態のまま、ゾーイは隣人で音楽に詳しいモーのもとに駆け込み、相談してみることに。モーは、ゾーイが他人の頭の中を垣間見る不思議な能力を得たのではないかと仮説を立てる。結論には至らぬまま翌日を迎えたゾーイだったが、やはり翌日も状況は同じ。今度は陽気で明るいはずの新入社員が、胸の詰まるような悲しげな歌を一人で歌っている姿を目にしてしまう。思いがけず人の心の声が歌や踊りとなって見えるという特殊能力を得てしまったゾーイは、前向きに事態を受け入れることで、周囲に影響を与えながら彼女の人生も好転させ始めるのだった。