ニュース

スパドラ!最新USレポート Vol.597:「ブレイキング・バッド」のブライアン・クラストン 名優ジャック・ニコルソンと肩を並べた?

BreakingBad_yr5_us600_0221.jpg

エミー賞受賞の「ブレイキング・バッド」出演以降、快進撃が続くブライアン・クランストン。映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ではアカデミー賞にノミネート、ブロードウェイ舞台「All The Way」ではトニー賞にもノミネートされた。
 
今や出演作にも事欠かないブライアンだが、その一方で「ブレイキング・バッド」のイメージがあまりにも強烈であることも事実。しかし、そんな世間の声にもブライアンは楽観的だ。
 
「それは自分次第だよ。自分が演じたばかりのキャラクター、もしくは過去最も知られているキャラクターと同じような役を引き受けなければいいんだ」
 
ブライアンには「ブレイキング・バッド」以前も同じ経験があった。7シーズン続いたコメディ「マルコム in the Middle」でお茶の間に知られる顔となったブライアン、番組終了後には、似たようなキャラクター、つまり天然系のお父さん役をオファーされていた。
 
演じ慣れてはいたものの、ブライアンの答えは「ノー」。「新鮮味に欠けたよ。何か新しいキャラクターにチャレンジしたいと思っていたからね」と、迷いのない即断だったと語る。
 
「ブレイキング・バッド」後、さまざまなキャラクターを演じてきたのは、俳優・ブライアンにとって何よりの贅沢。これまで過去のキャラクターに引きずられないような役選びをしてきたが、昨年公開された映画『Last Flag Flying』では、より悩ましい体験をした。名優ジャック・ニコルソンと比べられたのだ。
 
『Last Flag Flying』の原作はダリル・ポニクサンの同名小説で、1970年に発表された小説「The Last Detail」の続編的作品。「The Last Detail」はジャック・ニコルソン主演で映画化され、日本では『さらば冬のかもめ』の邦題で知られている。ジャックは『さらば冬のかもめ』の熱演で、アカデミー賞にノミネートされており、彼の代表作の一つでもある。
 
二つの作品は主人公の名前こそ変更されているものの、姉妹作であることは間違いない。続編なのだから、当然、主演はジャックの続投と思いきや、『Last Flag Flying』監督のリチャード・リンクレイターが選んだのは、ブライアンだったのだ。
 
このキャスティングは、『さらば冬のかもめ』ファンを中心にSNSで一時話題となった。こんな論争に巻き込まれたくないのは、当のブライアンだ。『Last Flag Flying』出演前に、『さらば冬のかもめ』を見直すことはしなかった。
 
「同じような役を演じた俳優の演技に影響されたくないからね。特に、ジャック・ニコルソンには!最悪だよ。僕はジャック・ニコルソンのへたくそな物まね演技なんて披露するつもりはなかった。彼は俳優のアイコンのような存在だ。彼の演技とは比べてほしくないね」
 
それでもジャック・ニコルソンの役を演じることができるのは、ハリウッド広しといえ、ブライアンなど実力とカリスマ性を備えた、ほんの一握りのスター俳優に過ぎない。過去の自分をとうに超え、アイコンと肩を並べた。ブライアンの役選び、これからも楽しみだ。
 
 
<「independent.co.uk」 1月22日付け>