ヨーロッパやアジア出身の俳優がハリウッド作品への出演を限定される大きな要因の一つが、アメリカン・アクセント。ハリウッドでは、英国やオーストラリアのスター俳優でさえ、米国流のアクセントで台詞を話すことができなければ、主演級になるのは難しい。
そんなハンデを見事にクリアしているのが、「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」のダニエラ・ルーア。ポルトガル人女優で同国のソープオペラ出身の彼女が、米TVシリーズで準主役キャラクター、ケンジーを演じているのだ。
「私はボストン生まれなのよ。その後、2歳半で両親と一緒にミネアポリスに引っ越して、5歳でポルトガルに移ったの」
両親はポルトガル人だが、ダニエラ自身は米ボストンで生まれた。そのため米国在住時は完全なバイリンガル環境で育ったという。
「私の一族は皆、ポルトガルに住んでいるの。米国に居た時から、ポルトガルの親せきが訪ねてきたり、私たち家族もポルトガルを訪問していたわ。家の中では、両親は私にポルトガル語で話しかけていたから、理解はしていたけれど、返事は英語だったわね。家の外では全て英語生活だったもの」
ケンジー同様、子どものころから自信家で積極的だったのだろう、ポルトガルに移ってからも何の抵抗もなく、生活になじんだ。
「問題なかったわ。ただ新しい学校に転校したってことよ。私は外向的な性格なんでしょうね」
英語学校に通った後、インターナショナル・スクールに進学。欧州のポルトガルだけに、学校ではブリティシュ・アクセントとアメリカン・アクセントが混じった英語を話していたという。
外向的な性格は、陽気な米国人気質をどこかで学んでいたのかも。両親は、ダニエラの注目を浴びるのが好きで物怖じしない性格に気づいていた。
「小さい頃、母は私をタップダンスのクラスに入れたわ。バレエや体操にも興味があった。その後は、演技のクラスにも通ったの。私は小さいうちから自分のやりたいことが分かって、本当にラッキーだったと思う。16歳の時に初めてソープオペラの役をもらって、これが私のやりたかったことなんだって実感したものよ」
「NCIS: LA 極秘潜入捜査班」はポルトガルでも放送。撮影休みには、ポルトガルに戻って、芸能活動を行っている。
「私たちはとても愛国心の強い国民なのよ。ディオゴ・モルガド(TV映画『サン・オブ・ゴッド』)は国際的に活動している俳優だし、ジョアキム・デ・アルメイダ(「24 -TWENTY FOUR-」)も有名ね。長い間、世界中で知られていると思うわ。私は16歳から活動を始めたけれど、小さい頃から『いつかハリウッドへ行く!』と言ってたの。どうにかそれが叶ったみたい」
人口1032万人(2016年)の小さな国から生まれた、国際派女優。彼女の存在は、ポルトガル国民の誇りとなっていることだろう。
<「billboard.com」 2月12日>